2023-10-2 10:26 /
这几天一直都在搜集有关末期少女病的信息 这本03年公爵为了宣传少女病发售发给粉丝的天价小册子竟然偶然有幸在一位个人博客网站里找到了 真是一大发现 里面有详细的游戏文本内容 应该可以一窥少女病的些许轮廓与世界观了吧(激动) 这里依然抛砖引玉(没人的话我有空抽时间细读然后翻译一下)(底部龟速更新)
原blog(建议阅读):https://koinucomputerscans.wordpress.com/2013/03/03/the-original-shoujobyou-and-the-hunt-for-the-artist/(作者说没有完整的扫图 就比如这张图左边的那张CG并没有清晰的扫图 但这是他能找到最完整的了 他还试着去寻找担任少女病03年版本的原画同样也是101原画的貴森裕友的去向 可惜无果)
以下是文字部分

<ATTENTION!>

 このページは、公爵(デューク)様が今冬発売予定として製作している18禁ゲーム「末期、少女病~Lyrical pop World's end~」宣伝用として配布されている小冊子の内容を電子化したものです。
 著作権とか公爵様のものなので無断転載はダメダメです。
 私自身、正式な許可を得て上げてるものでもないんで怒られたら引っ込めますし。

 それからこの先のページには残酷シーンや、暴力描写、性的描写なども含まれてるので、そーゆーのが駄目な人は読んじゃいけません。
 んで、真似たら犯罪者になるような真似は真似んなや?

 以上、お約束を守れる人だけ光と共に歩め!(それ前作)

黙示録のカレンダー
制暦2001年2月3日。
今崎浩二(28歳・無職)は、インターネットから以下の知識を手に入れた。

月経周期は、以下のように繰り返される。
排卵の時期になると、脳の視床下部から性腺刺激ホルモンが分泌される。このホルモンは、脳の下垂体に卵胞刺激ホルモンと黄体化ホルモンの分泌を指令する。
 まず、卵胞刺激ホルモンが卵巣へと分泌される。これを受けていくつかの卵胞が肥大し、その際にエストロゲンが分泌される。エストロゲンは血液を介して子宮に到達し、子宮内膜を成長させる。
 血液中のエストロゲンの増大によって、脳の視床下部は、「卵胞の十分な成熟」と「子宮内膜での妊娠準備の進行」を判断。続いて脳の下垂体に、黄体化ホルモンの分泌を指令する。
 黄体化ホルモンが多くなると、脳の体温の中枢が刺激されて体温が上昇する。黄体化ホルモンは卵巣へ分泌され、肥大した卵胞を破裂させる。これが「排卵」である。
 排卵後の卵巣では、黄体化ホルモンが黄体を形成する。この黄体から、プロゲステロンが分泌される。プロゲステロンは子宮内膜を柔らかく変化させ、妊娠の準備を進める。
妊娠しなかった場合は、排卵からおよそ二週間程で子宮内膜が剥離する。これが「生理」である。 月経周期は、一般的には28~35日周期になっている。そして周期の長短に関わりなく、次回月経予定日の12~16日前に排卵が起こる。

今崎浩二はそれから一年にわたって、Y家のごみ袋を集積所から回収し続けた。そしてごみ袋のなかから、使用済みの生理用ナプキンだけを丁寧に選り分けた。
回収されたナプキンは彼の自室の壁に貼リ付けられることとなった。添作作業にはセロハンテープが使用された。
やがて壁は戦利品たる赤黒いナプキンで覆い尽くされ、結果的に、そこにはY家の姉妹の月経周期が浮かび上がることとなった。今崎浩二はそれを「黙示録のカレンダー」と呼んだ。
失敗は許されなかった。
機会は一度しかなく、それは世界を救う唯一の方法だった。人類が昇華へど至る最後の道であった。今崎浩二は孤独に耐えた。
彼はもともと孤独な男であった。五年以上、彼の部屋だけが彼の世界だった。閉じられた世界のなかで、彼は、自分にぴったりと寄リ添う孤独という名の呪いを諦観していた。孤独であること。それは生まれたときから魂に刻まれているしるしのようなものなのだ。骨に巣食う病気や肌の色と同じで、そのありさまをを選ぶことはできない。
もちろん表層を塗り変えることはできる。だが、そんなものは雨の日のへアスプレーみたいに剥げ落ちる。なぜならそれが本質というものだからだ。静かに向かい合って生きていくしかない種類のものごとが世界には存在するのだ。
しかし、使命感は、彼の孤独を孤独として浮かび上がらせることとなった。彼は孤独を恐れるようになった。そんなとき──「おれは戦車だ」──今崎浩二は、嫌な匂いがむっと鼻をつく部屋でひとりつぶやいた。おれは戦車だ。
キュラキュラキュラ! それ以上はなにも聞くな!

今崎浩二はこのようにして決行日を導き出した。
彼はY家に押し入リ、Y家の三姉弟──長女、次女、長男──を全員縛リ上げた。
 彼はまず長女を包丁で脅し、弟のぺニスを咥えさせた。長女は泣きながらそれを拒絶したが、次女の肩口を包丁で一突きすると(そして次女が絶叫を上げると)、自ら進んで「します」と言った。
 長男はすぐに勃起した。
 それどころか、姉の口腔に精液を放った。
 今崎浩二は烈火のごとく怒った。
 長男の腹を蹴飛ばして悶絶させ、それから長女に命じて、次女の手のひらに精液を一滴残らず吐き出させた。そしてこう命じた。
「姉ちゃんの子営にそれを全部流し込むんだ」
 きょとんとする次女の肩の刺し傷に、今崎浩二は親指をねじ込んだ。
「早くしろ、戦車が壊れてしまう!」
 その作業は、スポイトを使って行われた。
次女は涙を流しながら兄の精液をスポイトで吸い取り、姉の膣口へと流し込んだ。姉妹がすすり泣く声と、じゅるじゅるという淫靡な音が暗いリビングに響いていた。今崎浩二はそんな種付け作業を見ながら自慰をして、次女の髪の毛に大量の精液を放った。呆然とする次女の髪をぐしゃぐしゃとかき回しながら、今崎浩二は宣言した。
「よし、次はお前の種付けだ」
長女が泣きながら懇願した。──私ならどうなってもかまいません。妹だけは許してください!
 今崎浩二は交換条件を出した。
「一時間以内に、弟が勃起しないくらい射精させたら妹は許してやる」
 弟の上に跨って腰を上下させながら、長女はうわごとのように「ごめんね、ごめんね」と繰リ返していた。あっという間に2発の精液が長女の子宮に流し込まれた。繋がりあった姉弟の性器が、ぶじゅぶじゅと異様な音を立てた。
精液と愛液が混じりあった液休が半透明のあぶくを作っていた。あぶくは姉弟の性器が上下するたびにぱちんと弾けて、糸を引き、またあぶくとなった。
40分過ぎ、長女は勢いを失った弟の性器を自分の性器から引き抜き、指と胸と舌と唇を使って再び完全に勃起させた。「ごめんね、ごめんね……」。長女は弟の性器を手で固定して、自分の性器に押し当て、腰を下ろした。ぶぶっ、と空気が漏れる音がして、姉弟は再びひとつになった。ふたりは命令されるがままに唇を合わせた。桃色の舌が絡み合い、唾液がふたりの顎を汚した。唇を離すと、白い唾液がだらりと太く姉弟をつないだ。ねっとりとしたそれはしぶとく重力に逆らい、最終的に、顔を背けた長女のほほから下あごにかけてべったりとこびりついた。ふたりとも汗まみれで、全身が蛍光灯にてらてらと照り輝いていた。次女は、兄と姉との交尾を見ながら自慰をすることを命じられた。手が止まったり、目をそらしたりした瞬間、今崎の指が傷口をえぐった。
 結局、一時間の間に長男は5回の絶頂を迎えた。
 姉の性器から引さ抜かれたぺ二スは、くったりと勢いを失っていた。
「ようし、立つかどうかテストだ」
 今崎浩二は次女を後ろから抱え上げ、兄に向かって両足を開かせた。次女のパンティはじっとりと湿っていて、薄布のうえには性器の形が浮かび上がっていた。
「おい、勃起させれば妹とやらせてやるぞ?」
 今崎浩二は次女の性器をパンティ越しに撫でさすりながら、そこの手触りを丁寧に説明した。次女はすでに流す涙も無く、呆然とされるがままになっていた。長女もまた、放心したかのように天井を見上げて動かなかった。
 パンティを引き抜くと、クロッチと性器の間を白い液が糸でつないだ。熱気にしっとリと湿った陰毛を撫でさすりながら、今崎浩二は仕上げに入った。
「いい機会だ。妹の×××で女の勉強といくか」
 今崎浩二は長男の襟首をつかみ、広げた妹の股の間に押し村けた。そして次女の性器を指で押し広げ、性器の解剖学的な名称と俗称を説明してみせた。長男の性器は完全に勃起してぃた。
「そうか、そんなに妹としたいか!」
 今崎浩二は笑った。
 今崎浩二は長女に、妹の処女喪失の手伝いをする権利を与えた。
「痛くて死んじまわないように、優しくやりかたを教えてやれ」
 長女はもう逆らわなかった。
仰向けになった長男のぺ二スをまたぐ形で、次女は立てひざをついた。長女が弟のぺ二スを握り、妹の膣にあてがった。「いい?2、3回チョンチョンって突いてから、ちょっと強めに押すのよ。それを何回も根気よく繰り返すの」とアドバイスした。
 次女は、姉のアドバイスのとおりに兄の性器を受け入れた。
長女がじっと見守るなか、次女の腰の動きが少しずつ速くなっていった。
やがて長女は両手で妹の肩を支え、「1・2の3」と言いながら全休重をかけた。次女が痛みに悲鳴を上げ、身をこわばらせて凍りつぃた。長男のぺ二スが根元まで、妹の胎内に埋まっていた。
兄の性器で串刺しにされたまま、次女は震えて動かなかった。息だけが荒く、涙が桜色に上気した頬を伝い落らた。
何かを言おうと唇が開いたが、言葉は出てこなかった。水のような涎がつう、っと糸を引いてこぼれた。涎は次女の胸のふくらみに落ち、なめくじのようにゆっくリと糸を引いて兄の胸へと滴った。
 かくして今崎浩二は、Y家の姉妹を血族の精液で妊娠させたのだった。
 これによって、Y家の素晴らしい血統は守られることとなった。現代社会は、血が繋がった姉弟、兄妹が子をなすことをタブーとしている。しかし、そんなものはまったくのナンセンスだ。カルマを払う聖なるカを汚れた血で汚してはならない。それは人類の損失に他ならない。人類の財産は──未来は──戦車である俺の手によって守られたのだ!
 今崎浩二は笑いながら包丁を自分の腹に突き立てた。
「おれは戦車だ!」
 25回刺すまで、今崎浩二は死ななかった。
キュラキュラキュラ。

しかし、今崎浩二の行為はまったくの無意味だったのである。
Y家の三人はみな養子で、血が繋がっていなかったのだ。
すなわちこの寓話の教訓はこういうことだ。
人生とはオチの無い冗談でしかない。
──そういうものだ。

世界の果てを車はゆく
カーラジオの男が言う。
 「今年の冬の流行色はあおいろです」
 その話題は僕の心を奇妙な方向にスライドさせる。座りの悪いどこかへと連れてゆく。
ガラス窓の向こうは摂氏34度の世界で、冬の到来はアコーディオン状に折り重った熱気のはるか彼方にある。夏。
完壁な夏がそこにはある。象徴としての夏でも、形而上の夏でも、詩的比喩としての夏でもない。リアルでシンプルな夏。アクセルを踏み込むと時速90キロで後方に流れ去っていく夏。
それでもカーラジオの男は予言する。「今年の冬の流行色はあおいろです」。
やれやれ。
僕は思う。
僕たちを取り囲む多くのものごとがそうであるように(あるいは僕たちそのものがそうであるように)、来たるべき冬の流行色もまた定められているのだ。
「今年の冬の流行色はあおいろです」。
それは正確には予言ではなく、予定なのだ。
ハンドルを指で叩きながら──とん・とん・とん──個人的営為と絶対的運命の相克について考える。そのシビアなしのぎあいのなかで、僕がふさわしい自我を得ることができる可能性について考える。もちろん少しのあいだだ。
煙草一木分の時間。それ以上考えたところで辿り着く場所は決まっている。なぜならすべては予定されているのだ。
冬の流行色みたいに定められている。
オーケイ。
諸君、ロックしようじゃないか。
カーラジオのチャンネルをひねる。
アナウンサーの声が雑音に溶け、かわりにギターの音色が夜の霧みたいにスピーカーからこぼれ出す。大昔のプロテスタントソング。ロックと呼ぶにはあまりにフォークじみたしろもの。
まあいいさ、と僕は思う。
まあいいさ。自我についての沈思黙考に比べれば、ずいぶんと健康的でドライブ的だ。イエス。すべては比較の問題だ。どちらがよりマシか。より長い期間我慢できるか。吐瀉物と排泄物のどちらがより詩的かというような意味合いにおいて、それは無意味で限定された選択なのだ。無意味で/限定された/選択。とん/とん/とん。
  ライリー・Rをころしたのはだれだ?
  なぜ、どんなわけがある?
  十五人の奇術師が おれにいう
  「いいかい ヤンク・ディラン
  人生は 坂道で起こる事故みたいなもの
  制御できない悲劇の連続のなか
  われわれがなせることは あまりに少ない
  だとしたら なあ ヤング・ディラン
  ライリー・Rは ロストハイウエイにいくしかなかったのさ」
 リアルな僕の世界についてのインフォメーション。
F県I市。東京から車で三時間のポイント。 僕たち(つまりは僕と、僕の車)は時速90キロでハイウエイを移動してぃる。まっすぐなハイウエイ。カール・ルイスが全カでラインカーを走らせたみたいにまっすぐ。見渡す限リ他の車の姿はない。僕たち専用の失われたハイウエイだ。
ハイウエイの両協にはホ口コースト的な荒野が広がっている。すべてが白っぽい砂利に覆われてぃる。田畑どころか、木も草もない。信号機も、民家も、コンビ二も、ばかげた交通標語の看板もない。──いいかいヤング・ディラン。交通標語の看板さえないのだぜ? 『ギュッと締め/心とからだの/シートべルト』。極めて完壁に近いかたちの無意味。そしてここには、そんな無意味さえありはしない。100パーセントの荒野。
30分はど前、放棄された原子力発電施設の脇を走り抜けた。
閉鎖されて久しいのであろう。かつてそれが抱えていたはずのべらぼうなエネルギーは、洗いざらしのジーンズみたいに漂白されてしまっていた。それは僕に巨大な動物の死骸を思わせた。しんどそうなため息をひとつついて、次の瞬間あっけなく死んでしまった生き物。そしてそれは死骸的であると同時に墓標的でもあった。
陰鬱な光景だった。世界に動きはなく、のぺっりとした均一性の上に夏だけが満ちていた。時間さえも死んでしまったように思えた。なにもかもが身を固めて、息をひそめていた。空は灰色で暗く、黒い雲がものすごい勢いで此方から彼方へと流れていった。

  すてきな すてきな ロストハイウエイ
  へイ いかれたガチョウにしがみつけ
  すてきな すてきな ロストハイウエイ
  へイ いかしたハンドルを握るんだ

 ──世界の果て。
僕はそんな言葉を思う。舌に乗せ、声に変えてみる。
「世界の果て」
 悪くない。
 それは時速90キロで夏をゆく僕の車のなかに、素敵に響く。
リリカルだ
詩的にリリカルで、駄菓子みたいにポップだ。
LYRICALでPOPなWORLD'S END──。
「世界の果て」
 けれども二度目に口に出してしまうと、それはもうちっともリリカルでもポップでもなかった。魔法は失われてしまっていた。ただ白々しく、虚しいだけだった。
 なぜだろう?
もらろん──僕にはわかっている──世界の果てなど本当はどこにもないからだ。
辿り着いた瞬間、世界の果てはリアルなフロンティアに化ける。僕たちはそこで生きていくしかない。その時点ですでにそこは『ここではないどこか』──世界の果てではなくなってしまっているのだ。僕たちが辿り着くたびに、世界の果てからは世界の果て性とも呼ぶべき神秘が失われる。一歩前に出ればその一歩先に。伸ばした手のすぐ先にありながらも決してつかむことができない。
あるいは、僕たち自身が定点のない世界の果てなのかもしれない。
僕たちが前に進む。世界の果てもまた前に進む。亀に追いつけないアキレスみたいに、僕たらは世界の果てには辿り着けない。それはすなわら、僕たらは僕たち自身をつかむことはできないし、僕たち自身から逃げることもできないということなのだろう。
カーリングみたいにシビアで、トライアスロンみたいにハード。
つまりは現実的ということだ。
やれやれ。
カルマ落とし
「御茶ノ水という町が好きだったんです。
少し足を伸ばすと秋葉原だとか、後楽園遊園地だとかで賑やかなんですけれど、私は御茶ノ水の静かさが好きで。
とりわけ特徴がある町というわけはないんですけれど、メイン通りから少し中に人ったあたリ──ニコライ堂とか。あのへんの空気が好きなんです。洗練された田舎というか、やぼったい都会というか。わりあい緑が残っているんですよ。ああ、そんなこといわなくてもご存知ですよね、東京の人だから。
町って、どこであれ、そこにしかない空気感みたいなものがあるものですよね。その波長が合うか、今わないか。
御茶ノ水は、合った。そういえば、友達と、『町の色』っていうのを話したことがあるんです。町には固有のイメージカラーがあるんじゃないかって。池袋は青。秋葉原は赤──なんでだろう。赤いネオンが多いから? あはは……。たいした統一見解は得られなかったんですけれど、「御茶ノ水は緑」というのだけはピッタリあって。そんなこと、覚えてます。

あのあたり──JR水道橋駅に近づくと特に──坂が多くて、自転車はあまり役に立たないんです。だから原付自動車の免許を取りました。大学一年の夏休みです。行動範囲が広がりました。これさえあればどこにだっていける──。わけもなくあたりを走り回ったものです。暑くなったら本屋に入るんです。本を読みながら、汗が引くのを待つ……。
 本は、そんなに読むほうじゃないんです。べストセラーとか、情報雑誌とか。そういうのをときどき読むだけ。
すみません。

 東京の夜って、お墓みたいじゃないですか。
昼間はあんなに賑やかで人がいっぱいなのに、夜になると誰もいない。そういうのがお祭りの後みたいでいやだったんです。哀しい気持ちになるから。新宿で飲み会があって終電を逃したとき、歩いて家に帰ったんですけれど──哀しかった。すごく哀しくて、涙が出そうになりました。核戦争のあと、世界で一人だけ生き残っちゃったみたいに哀しかった。コンビニは開いてます。でも、コンビ二の蛍光灯もすごく白々しく見えた。切り離された感じ。ひとりなんだって、思った。
でも、御茶ノ水の夜はそうじゃないんです。
もちろん人はいないし、静かです。でも、いやな静けさではないんです。せいせいとした、凛とした──昼間のおまけじゃないんだって。そんな夜。優しい夜。
家賃は安くはなかったですね。でも、親の仕送りがあったから。半分の6万円はそれで賄っていました。残リはアルバイト代で。友達は沿線に引っ越せって、しきリにアドバイスしてくれたんですけどそれでも御茶ノ水が好きで。
あの日もアルバイトにいく途中だったんです。新宿の××って喫茶店。サラリーマンのひとが打ち合わせで使う喫茶店で──笑えるでしょう? みんな笑うんですよ、じじくさいって。
中央線を使うんですけど、よく遅れるんです。ほら、人身事故とか、いろいろ。その日もなにがあったのかしらないけど、いったん、代々木の手前で止まっちゃったんです。10分くらい止まっていたかな? ……いえ、昼間だから混んでいなくて、そういう意味でつらいということは。ただ、バイトに間に合わないって、焦っていました。時間は守るはうなんです。一度も遅刻したことないです。いやなんです、そういうの。すごく。別にとくべつ几帳面というわけじゃないんですけど、時間は、うん。だから焦ってました。

そしたら、胸の部分にビシャーッって。
最初、野球のボールでもぶつけられたと思ったんです。液体というよりも、固体がぶつかった感じで。でもじっとりとしていたから、ああ、これはぺンキかなにかだって。
買ったばかりの白いTシャツだったし──こいつはなんてことするんだ、って、すごく腹が立ったんです。だから、前に座ってる子をジロッってにらんだら、その子も私を見てた。目と目が、合ったんです。高校生くらいの男の子で。とたんに、怖くなった。殴られる、って思いました。どうしてかわからないけど、殴られるって。
でも、なんかその子、真っ赤なんです。首の下からズボンまで、真っ赤で。のどからぴゅー、ぴゅー、って噴き上がってるんです。スプリンクラーみたいに……ああ、血だ、って──。
吊り革をつかんだ手がこおりついて、逃げられなかったんです。
だから助けて、って叫びました。手が取れないんです、助けてください、って。
まわりのひとたらは、私の声で我に返ったみたいでした。悲鳴が聞こえて、隣の車両に逃げていく人とか、げえげえ吐く音とか。私は凍りついたまま、金縛りのまま。目をつぶって助けて助けて助けてって。
そうしたら、ずしっ、と抱きつかれたんです。
心臓が上まるかと思いました。
反射的に目をあけました。
血まみれのその子が席から立ち上がって、私に抱きついていました。
耳元で声がしました。
「ぺちゃぺちゃぺちゃっ」
 って聞こえました。
だから
「えっ?」って。
そしたら大声で──。
「ワスレルナ!」

大声で言ったんです──」

× × ×

 依頼人はそこまで言うと、深い沈黙の中に沈みこんだ。
彼女の視線は、テーブルの上のマグカップにじっと固定されていた。
 マグカップのなかのコーヒーはすっかり冷え切って、表面にしなびた膜ができていた。東京を引きあげるときに持ってきたのであろう、テーブルやソファーは品がよく、垢抜けていた。けれどもオレンジやイエローのポップな家具はこの和室にはひどくなじんでおらず、どこか現実味を欠いていた。本来ここにあるべきではないものたち。ある種の哀しみすら湛えていた。クーラーが効きすぎていた。まるで小酒落た冷凍庫にいるみたいだった。
 話を終えた彼女は、ひどく老け込んで見えた。 僕を出迎えて、コーヒーを入れて、ソファーに座ったときから二時間しか経っていないのに、もう200歳も歳をとってしまったみたいだった。彼女はマグカップを見つめていた。けれども本当はマグカップを通り越えたどこでもない空間をじっと見つめているのだった。彼女の目には何も映っていなかった。暗い井戸みたいなくらやみが、ぽっかりとあるだけだった。
本当は魅力的な女性なのだろう、と僕は思った。
御茶ノ水の坂ですれ違った人たちに、春の木漏れ日みたいな微笑みを浮かべさせる女性。けれども今の彼女からは、そうした種類の美徳がことごとく失われてしまっていた。ひどいことに、彼女は人間にさえ見えなかった。かわいそうなミイラみたいに乾いて、消耗していた。
そしてそれこそが、人狼輪廻教会が彼女にかけた呪いなのだ。

 人狼輪廻教会。
 チープな名前だ。彼らは拠るべき教会を持たなかったし、輪廻なんて信じていなかった。もちろん人狼でさえなかった。
その名前のこけおどし加減が、本質的な彼らのチープさを物語っていた。とどめに彼らはインターネット上にのみ存在する少年少女のカルトだった。電脳カルト人狼輪廻教会。勘弁してくれ。そして人狼たらは制暦2002年の夏──7月1日正午ちょうどに様々な場所で一斉に喉を掻き切り、自らのチープ性を完壁にしたのだった。

『互いの顔さえ知らない少年少女たちが──』
『デートの待ち合わせでもするかのように示し合わせて同時刻に命を絶つ』
『携帯電話によるうわべだけのコミュ二ケーションに不安を抱き──』
『ウソが横行する社会に共感を覚えられず──』
『電脳上の擬似コミュ二ティに居場所を見つけた少年少女──』
『そしてそれを永遠にするためには死を選ぶしかなかったのだ──』

人狼たらはウルトラチープな殉教者だった。ありがちな現代社会が生み出した、ありがちなピエロだった。多くの人間は驚くと同時に、鼻白んだ。「やれやれ」と思った。「こいつらはどうしてこんなにも馬鹿なんだ?」
彼らは間抜けだった。しかし、自分たらの意思表明がすぐに忘れ去られることぐらいは理解していた。その尊さに見合わず、自分たらの行為がワイドショーのドブ川に流れ消える数々のゴシップのひどつに成り下がることを知っていた。
だから人狼たらは個人に呪いをかけたのだった。
社会に名を刻むことができないのなら、個人にそれを刻んでやろう。
見知らぬ他人の前でいきなり喉を切った。
相手の目を覗き込んで言った。

「忘れるな」と。

彼らは、彼女たちに、革命への参加を強制した。傍観者として通り過ぎ、忘れることを許さなかった。共犯者に仕立てあげた。彼らは死んだ。しかし、ゼロにはならなかった。彼らがなにを考えていたのかは知らないし、知りたくもない。しかし、その想念は確かに残ったのだ。少なくとも、僕の目の前で虚空を眺めている(あるいは彼女自体がすでに虚空そのものなのかもしれない)依頼人の心には、深い傷として残った。
呪いとはすなわち、そういうものなのだ。

僕はアタッシュケースを膝の上に載せ、ロックをはずし、小瓶を三つ取り出し、机の上に一直線に並べて置いた。
薄暗くなった部屋の中で。小瓶は宝石のように輝いていた。
依頼人の顔に複雑な色が浮かんでいる。
この人はいかれているんじゃないだろうか?
そして私もまたいかれてしまったのではないだろうか?
「安心してください」
 と僕は言った。
「月蝕カルマ水があなたの穢れを落とすでしょう。あなたが求め、そしてあなたを救う霊水です。あなたの穢れ──カルマは相当のものです。けれども中和することができます。見たところ、三瓶もあれば足りるはずです。これだけ置いていきます。足りなかったらまた私を呼んで、お話を聞かせてください」
「あの──」
「使い方はこの紙に書いてあります。危険なものではありませんが使い方を間違えると効果がありません。しっかり目を通して、それから使ってください」
「あの──」
「ひと瓶、三万円です」
 とびきりの笑顔。
鏡で何回も練習したとびきりの笑顔。

安心してください。
なにも心配は要りません。
私が、あなたを、救済してあげましょう。
悪いのはあなたではないのです。穢れなのです。カルマなのです。
さあ、穢れを落としましょう。
カルマを落としましょう。
大丈夫です。
私に任せればなにもかもうまくいくようになります。

微笑みながら僕は思う。
姉さんも、こんなふうに笑ったのだろうか──?
姉さん。
百円ショップで買ったビ二ールロープを三重に首に回して、梁からぶらさがった姉さん。
ああ、姉さんもこんなふうに笑ったのだろうか……?

カルマ落とし
月蝕カルマ水を売り始めたのは姉さんだった。
姉さんは大きな団地の右端から左端まで、一軒一軒の呼び鈴を押してまわった。運良くドアを開けてもらえたときには、「水はいりませんか?」と、とびきりの笑顔できりだすのだった。
「──いえいえ、浄水機の押し売りなんかじゃないんですよ。わるいものを落とすとくべつな水を売っているんです。洗剤みたいにおちるんです。TVの通信販売でドイツのカーワックスの実演をしているでしょ? あれくらいおちるんですよ。もう、ごそーっ、て。大きな声では言えませんけど、月蝕カルマ水っていうんです。カルマってご存知ですか? 詳しくお話ししたいのですけれど……あア、暑いですね。まったく、もう、ねえ。暑くてたまらない。ねえ、よろしかったらおうちにあげていただけませんか?」

水がたくさん売れた日には、姉さんは、僕と理有をファミリーレストランに連れていってくれた。
彼女は店員に対して女王のようにふるまった。みんなが僕たらを怪訝そうに見た。僕は恥ずかしくてしかたがなかった。肘でつついて姉さんやめなよ、とたしなめたが、姉さんは決してやめようはせず、女王のように僕を叱るのだった。

「このひとのためじゃなぃ! ねえ、わかるでしょう、あなた? あなたよ、あなたに言ってるの。あなたもいつまでも女給みたぃな仕事やってる場合じゃないのよ。もっと世の中の役に立つ仕事をしなくちゃあ、なんのために生まれたのかわからないもの。まったく、もう、ねえ!」

× × ×

姉さんが月蝕カルマ水を売り始めたのは、両親が死んでからだ。
父と母は、時速900キロのスピードでインド洋につっこんで死んだ。結婚30周年、初めての海外旅行中の飛行機事故であった。航空会社がよこした小さな箱には、遺骨の代わりなのであろう、簿くて平たい長方形の御影石が入っていた。若き日の父と母が最初のデートで観た映画は『2001年宇宙の旅』だった。
そういうものだ。

× × ×

葬式。
僕は弔問客と親戚の対応に忙殺されて、悲しむヒマさえなかった。
叔父も叔母も僕らを引き取ることを躊躇しているようにみえた。
僕らは遺伝子学的には彼らの一族ではなかった──と事態をくくるのはフェアではないかもしれない。僕も理有も姉さんもそのころはまだ学生だった。学生をいきなり三人も養うというのは、赤ちゃんを三人生むのとはわけが違う。そこには人生計画の洗い直しと、価値観の再構成が存在する。やわなことではない。
とにかく──僕は忙しかった。
理有は部屋にこもって泣くだけだった。姉さんは遺影の前に。ぺたんと座って、しらけた表惰でずっと経済新聞を読んでいた。株式市場の、よくわからない数字や記号がずらり並んだぺージをひたすら睨んでいた。やがて姉さんは顔を上げて、誰に言うでもなく、ぽつりと言ったのだった。

「わかった。なにもかも、わかった」

× × ×

僕は、姉さんの奇妙な仕事が嫌いだった。
もちろん、姉さんがインチキな水を売って僕たちを養ってくれた事には感謝している。けれども、姉さんが持つと自称する『ちから』なんて、一度たりとも信じたことはなかった。
逃避。すべてが逃避の諸相であることを、僕は理解していた。
みな、怖いのだ
人生がリアルであることが恐ろしくてしかたがないのだ。なにか夢みたいな不条理に──アンチリアルに依存したいのだ。たとえばカミサマに。たとえば月蝕カルマ水に。姉さんは弱者たちの人柱であり、姉もまた同様に弱者であった。つまりはそういうことだ。

× × ×

姉さんが、近所のディスカウントストアで6本600円の『自然名水ぺットボトル』を箱買いする姿を、晴れた日の夕方によく目にしたものだ。僕に気づくと、彼女は照れくさそうに、そして少し哀しげに笑うのだった。
「真ちゃん、運ぶの手伝ってヨ?」

× × ×

僕はいま、理有と僕自身を養うために、月蝕カルマ水を売り歩いている。綺麗な小瓶にディスカウントストアの水を詰めて、黒いアタッシェケースに詰めて歩く。宣伝はしない。口コミで商売をする。呼ばれればF県まで車で向かう。話を聞く。三万円で月蝕カルマ水を売る。ただの水だ。それでも何人かは「救われた」と涙を流す。今日の依頼人みたいに、僕と寝ようとさえする。
姉さんは死に、理有は流産し、僕は水を売り、それでも世界は止まらず、人生は流れる。

× × ×

姉さんはよく、「カミサマ」について語ったものだった。

「カミサマは空の上にはいないのよ。あれはウソね。カミサマ空の上にいると語る宗教、全部二セモノね。ふふふ。カミサマは私たちの中にいるのよ。姉さんの場合はそうだなあ、ドルチェがカミサマなのね。ドルチェ覚えてる? 死んじゃった私たちのアメリカンショートへアー。お母さんとお父さんが買ってくれたドルチェ。肺炎で死んだ。でも私のカミサマになったのよ。まったく、もう、人生ってわからないわねえ。ところで、ねえ。ところで真ちゃんのカミサマは、なあに?」

× × ×

姉さんの残した遺書には、こう書き残されていた。

「わたしは、カミサマをにくむ」

× × ×

カルマ落としを終えて外に出ると、あたりはすっかり夜に飲み込まれていた。
吹く風はしっとりと雨の気配を合んで、濡れた和紙みたいに肌に張り付いた。三時間締め切ってあった車内はちょっとした移動式サウナに化けてぃる。僕はエンジンをかけ、そしてクーラーがついに死んでしまったことを知る。
やれやれ。あらゆるものが組織的ないやがらせで僕をうんざりさせようとしているように思える。

駅まで車を走らせ、依頼人に紹介された店を探す。草餅がうまいらしい。この町の名物だという。
「急がないとお店、閉まっちゃいますよ」
彼女は言った。
「東京と違ってここ、夜、早いですから」

小さな商店街を歩く。
端から端まで三分もあれば足りる典型的な地方の駅前商店街だ。
八百屋。精肉店。文具店。洋品店。家電ショッブ。酒屋。自転車とバイクを売る店。シャッターを下ろしている最中の店もあれば、すでに下ろし終えた店もある。
どの店も宿命的な倦怠感を漂わせてぃる。鈍いあきらめのような空気が地層みたいに積もっている。この商店街は10年前もこんな様子だったし、おそらくは10年後もこんな様子なのだ。そんな予感。停滞がもたらす淀み。それは、どこにも行けないのだという閉塞感だ。
僕以外、ただひとリの買い物客の姿もない。
草餅を売っている店は見つからない。見落としてしまったのだろうか? 商店街の端に座っていた犬が、僕の顔を見てのっそりと立ち上がり、溶けるように暗闇へと消えていく。そうして商店街は完全に営業を終えたのだった。
がらんとした駅前通り商店街に、僕はひとり取り残されてしまったのだった。
まるで疫病神にでもなった気分だった。僕が来る。シャッターが閉まる。僕が去る。シャッターが上がる……。
「歓迎・ふれあい通り商店街」と記された街灯が、僕の影をアスファルトに明滅させている。ふと、思った。街灯が消えたら、僕自身も消えて無くなってしまうのではないか? 見上げれば、街灯は神経症的な音を立てて明るくなったり暗くなったりをくりかえしている。羽虫やら蛾やらのあまり気持ちのよくない虫が群れて踊っている。そしてなんの前触れもなく、大きな感情の波が僕の心をばらばらにする。
膝から下が木っ端と砕けてしまった気分。
立っていることすらままならない。
よるよろと道の端に腰を下ろす。
膝と膝のあいだに頭をうずめる。
息を殺す。
どうしようもなく寒くて、哀しくて、怖い。
こんなことになんの意味がある?
僕は思う。こんなことになんの価値があるというのだ。 僕は世界の果ての詐欺師だ。誰とも繋がっていない。どことも繋がっていない。
いっそ、電脳カルトにでもはまってしまえたらと思う。赤の他人にカルマを背負わせて、永遠の自己満足に浸って死ねればと思う。
でも、それほどの馬鹿じゃない。
「人生を変える101の方法」「心を明るくする30の提案」「誰もが知っているのに実行していない69の真実」──そんなものに啓蒙されるほど、チープにはできていないのだ。僕は知っている。そんなものでは世界は変わらない。月蝕カルマ水が姉さん自身を救えなかったように。僕はそれを知っているのだ。
なのに──
なのに僕は、どうすれば世界を革命できるかを知らない。
弱さに浸れるほど弱くはなく、強く生きるほど強くなく。
僕はどこにも行けない。行けるとしたって、それはロストハイウエイだけだ。哀れなライリー・Rが行くしかなかった場所。内的地獄。あるいは外的地獄。すべては子め定められている。だとしたら、なあ、ヤング・ディラン。こんなことになんの意味があるというんだい?

大丈夫だ。
大丈夫だ、と自分に言い聞かせる。
いつものことじゃないか。
これはただの一時的な感情の混乱で、やがて過ざ去っていくものなのだ。いつまでも僕を苦しめることはできないし、捉え続けることもできない。ただじっと身を固めて、うねりが去るのを待てばいいのだ。
ものごとはまさにそのとおりに起こる。
数分後、僕はすっかリ自分を(あるいは自分であると信じているものを)とりもどしている。残っているのはちょっとした疲労と、気持ちの悪い汗だけだ。オーケイ。僕は十分にクールで、ポップだ。
オーケイ。

僕は死んでしまった商店街を引き返し、車に命の炎を点す。
そして帰り道、僕は時速90キロで水上夏樹を撥ねたのだった。
水上夏樹
 あるいは僕はそのとき本当に水上夏樹を時速90キ口で撥ね飛ばしていて、制暦2002年の夏、僕を魔法の国へと導いた女は幽霊か何かだったのかもしれない。いまでもそう思うときがある。

「私は生きてる」

 けれども助手席に座った水上夏樹は、手のひらをそっと僕の膝の上に置いてみせたのだった。
「こんなにリアルに、生きてる」
 彼女の指はほっそりと長く、蝋のように白かった。手の甲には青い静脈がうっすらと浮かび上がっていた。爪の先まで完壁に手入れが行き届いていた。なんだかまるで人間の手には見えなかった。手が宿命的に抱える従属性や機能性から独立して、もはや手であることだけで完結した存在であるかのように思えた。世界美手コンテストというものがあるとしたら、それは間違いなくいなく上位にランキングされるべき手だった。
「きれいな手だ」
僕は言った。
「きれいな手だ」
 彼女はくリかえした。
「手を褒められるのって嫌いじゃないわ。ありがとう」
「どういたしまして」
「あなたの膝も悪くないわ」
「膝」
 僕は言った。
「世界美膝コンテストに出れば間達いなくいなく上位にランキングされるべき、膝」
「おかしなひと」
 彼女は小さく笑った。

× × ×

道は夜の中に完全に沈みこみ、へッドライトだけが頼りなく世界を切り裂いていた(言うまでもなく、ロスト・ハイウエイには街灯なんてやわなものはないのだ)。一瞬、リアウインドウになにかの影がよぎった。そして──それまで人を撥ねたことはなかったけれど、人を撥ねるとおそらくこういうことになるだろう、という衝撃が僕と僕の車を揺るがした。
急ブレーキ。ゴムが焦げる匂い。恐怖。焦燥。後悔。
車が止まってからも僕は外に出ることができなかった。シートに頭をもたれ、無意味な深呼吸を何回も繰り返した。
胃は喉までせりあがり、心臓はチャーリー・ワッツのドラムソロみたいなありさまだった。だから
「──乗せてくれるの?」
という声をドア越しに聞いたときは心底篤いたし、実際、座席から飛び上がりもした。
開け放たれたサイドウインドウの向こうから、女の顔がのぞいていた。
短く切った黒い髪が、描みたいな目にくるくるとかぶさっていた。黒目がちで、その黒は夜の闇よりもなお深かった。
それが水上夏樹だった。

× × ×

 水上夏樹がどうして夜中のハイウエイを一人で歩いていたのか──僕が撥ねたものの正体と同じく、それはいまだに深い秘密の影のなかにある。彼女はただ
「散歩」
とだけ言い、それ以上なにも語ろうとしなかった。若い女の子が深夜のハイウエイを散歩するなんて聞いたことが無かったけれど、僕はあえてそれ以上詮索しようとは思わなかった。彼女は僕にとって他人で、僕は彼女にとって他人だった。

「あなた、神父さん?」
 ラジオのスイッチを切って、水上夏樹が唐突に言った。
「神父?」
 僕は言った。
「その服。神父服でしょう?」
「ああ、そうだ。でも僕は神父じゃない。セールスマンだ」
「聖書でも売ってるの?」
「いや」
「じゃあ十字架?」
「十字架も銀の弾丸も免罪符も扱っていない。水を売ってるんだ」
「水」
「一リットル百円で仕入れて、ひと瓶三万円で売る」
「それって完壁な詐欺じゃない?」
「どうだろう。信じられないかもしれないけれどこの水で救われている人もいるんだ。わざわざ東京からこんな辺鄙なところまで出張もする。誠意を持って相手の話を聞く。クーラーが壊れる。お土産の草餅は買えない。そういった点を考慮に入れると完壁な詐欺というのはシビアな評価かもしれない」
「限リなく完壁に近い詐欺」
「それが妥当な評価だろうね」
「インチキな水を売ってる人の車に乗るのって初めてだわ」
「僕も幽霊を乗せるのは初めてだ」
 ふふん、と彼女は小さく笑った。沈黙が満ちた。しばらく彼女は窓の外をじっと見詰めていたが、やがて、ぽつりと
「初めてセックスした相手は聖書の訪問販売の男だった」
 と言った。闇を見つめたまま、彼女は続けた。
「小さいとき、留守番をしていたらその男がやってきたの。『ご両親はいらっしゃいますか?』『いません』『実はありがたい言葉がたくさん書かれている本を配っているんです。お嬢さん、本はお好きですか?』『好きよ』『それじゃあ、少し話を聞いてくれるかな?』『少しならいいわ』。暑い夏の日だった。そして私たちはひとつになった──。どう、面白いと思わない?」
「それって本当の話なのかい?」
「まさか」
 水上夏樹はけらけらと笑った。それから突然
「──世界の果て」
 と言った。
「ねえ、ここってまるで世界の果てみたいだと思わない?」
「世界の果てなんて、ない」
 僕は言った。
「あるとしたら、それは僕たち自身だ。僕たち自身が定点のない世界の果てだ」
 気がつくと、水上夏樹は僕の顔をじっと見つめていた。
「連れて行ってあげる」
 彼女は言った。
「連れて行ってあげる。世界の果てに」
と水上夏樹の手が車内の闇のなかを伸び──それはそんなときまで美しく、完壁な手だった──ハンドルを握り……
次の瞬間、世界が回転した。
車は完全に制御を失っていた。僕と、僕の車と、水上夏樹は、いかれた駒のようなダンスをロストハイウエイで踊り、路肩に乗り上げ、そしてアスファルトの上を数回転して無様なフィニッシュを決めた。


そして目を覚ましたとき、僕は『赤い部屋』にひとり佇んでいたのだった。



还有一些其他内容 这里放直接放下载链接吧:http://www.mediafire.com/?x9egsqgy5h8f7fr
再附带个101的INVITATION:http://www.mediafire.com/?1jzm7bb0mb97jf1
#1 - 2023-10-2 11:58
(魔王承認、魔法力解放、ケルビム(Cherub)詠唱、セラフ)
キーワードは
「宗教」「原爆」「救済」

2002年発売予定。
開発コード:「マンハッタン計画」プレストーリー 文:やまだおろち
わたしたちは、おりてゆかなければならない――。
制暦2002年、転落と魔法の夏。

つまりはこういうことだ。
僕たちは真実というものに触れたかったのだ。
いろいろと補注をつけて、理論を重ねて、もっと高尚な……
だれにも笑われない立派なことばでそれを飾りたい気持ちはある。
けれどもたぶん、僕たちが求めていたものはそれなのだ。
シンプルでソリッドな解答。
つまりは――僕たちは真実というものに触れたかった。

「わたしたちは、おりてゆかなければならない」
雲居菜種はそう言った。
そして僕たちは、降りていった。
深く。
深く。
自己のなかに。
他者のなかに。
あるいは世界のなかに深く降りてゆくことで、僕たちは真実に触れたいと願った。
どこにも真実などというものがないのだとしたら、
真実などというものがないという事実を得るために、僕たちは魂の井戸を降り続けた。
そうした僕たちの探索行を、『転落の物語』と呼ぶ者もいる。
TVで。
雑誌で。
インターネットで。
僕たちは転落の物語の登場人物として物語られた。
――認めよう、公正に言って、僕たちは多くの傷つくべきではない人たちを傷つけた。
社会のありようを傷つけた。
そしてなによりも自分自身を修復不能なまでに損なった。
この事件に関わった人間は、長いあいだ傷を傷のまま抱え続けていくことになるのだろう。
もしかしたらそれは、永遠に癒えない致命的な傷であるのかもしれない。
僕たちは踏み外した。
やりそこねた。
いくつかの選択肢を、最悪のかたちで選びとった。
 それでもなお、僕は言おう。
僕たちの物語は奇跡についての物語であると。
 奇跡ということばがいかにもシンコウシュウキョウテキに響くのなら、
もっとチープに、魔法といいかえてもいい。
あの夏、僕はいくつものほんものの魔法を目の当たりにした。
ほんものの魔法使いたちと過ごした。
――認めよう、確かに僕たちは多くを選びそこなった。
けれども、いくつかの選択肢に限っては最良のチョイスをしたのだ。
 そうだろう? 
 ねえ、そうだろう?

あの夏に起こった出来事はすべて、目眩にも似た幻惑の揺らぎのなかにある。
制暦2002年。
夏。
僕は理解していた。
価値あるもの。
美しいもの。
意味のあるもの。
それらは僕が伸ばした手の、ほんのわずか先できらきらと輝いていた。
僕はそれを掴み取ることができると思った。
そして結局、僕は、掴むことができなかった。
月代映子ならきっとこう言うだろう。
「だいじょうぶ。いつかきっと――だよ」

つまりはこういうことだ。
僕たちは真実というものに触れたかったのだ。
 僕はいま、制暦2002年の夏をそういうふうに総括することができる。
 けれども、そこには当時あったはずのなにかが欠落していることも知っている。
それは光であり、風であり、音であり、そういった類いのかたちにならないものたちなのだ。
僕はもうそれらに触れることはできないし、それらを物語ることもできない。
それらは僕が伸ばした手の、はるか彼方できらきらと輝いている。

カミサマお願いです。
お願いです。僕からこれ以上なにも奪わないでください。

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2002/07/26 更新
  



 『月蝕カルマ水』を売り歩く主人公=真市。

 インチキにすがる人間の弱さを嫌悪しながらも、
 それを革命するほどの強さもなく――
 おのれもまた弱者のひとりでしかないことを彼は理解し、
 生きている。

 いっそ究極の愚者になりたい……
 お安い救済に溺れてしまえる阿呆でありたい……
 そう思いながら、真市は月蝕カルマ水を売り歩いている。

 『カルマオトシ』を希求する人々。
 妄想めいた奇妙な告白。
 義妹との淫靡な関係。
 フラッシュバックする記憶。
 自殺した義姉がソファに埋もれて笑う『赤い部屋』。
 カレイドスコープ的混乱のなかに、真市はおのれをすりつぶしていく。

やがて真市は、弱者たちが集い暮らす『廃墟コミュニティ』へと辿りつく。

放棄された鉄道線路を遡行し。

草に埋もれた道しるべを探し。

きしむ鉄橋を歩み。

長いトンネルを抜け。

時間を超えるかのごときみちゆきの先に、
 その廃墟はひっそりと息づいていた。

自分たちを否定する世界を逆否定し、
 世界を閉ざす事で世界を作り出そうとする少女たち。
 そこにあるのは弱者たちのシェルター、
 敗北者たちの王国、世界の果てであった。

真市は救済のかけらを見出す。

だが、彼らはやがて『新興宗教』と名づけられ、
 糾弾され、侵略され、蹂躙される事となる。

世界の条理がふたつの世界の両立を許さないのなら。
 あくまでも弱者を否定するのなら。
 ならば世界の条理を終わらせてしまおうじゃないか。

 真市たちのテロルは何者に対して向けられるのか。
 社会構造にか?
 運命にか?
 カミサマにか?

あるいは自分自身に――その銃口は向けられるのかもしれない。


-----------------------------------------

あいもかわらず暑い一日だった。
けれども風はさらっとして、日差しにはかつての精気が感じられなかった。
あらゆるものが宿命的に抱える「終わりの予感」とも呼ぶべき影が、
ひっそりと世界に滲んでいた。
電信柱のねもとに、雲のかけらに、草のゆらぎに。街の端々にその
ひんやりとした気配を見出すことができた。
蝉は死ぬ。夏は終わる。すべては去ってゆく。
そして僕はここに残る。

去っていくもののことを考えるのは哀しい。
たとえそれが不快な熱気や苦い記憶であったとしても、去っていくものは去っていくがゆえに哀しい。
そしてその哀しみは、僕にひとつの啓示をもたらす。
「結局のところ、僕はなにひとつ手に入れられずに終わるのではないだろうか?」

美しいもの、正しいもの、価値のあるものを手に入れたいと願ってきた。
たとえばふさわしい自我や完璧な自律といったようなものを。
そしていずれは――いつかはわからない。いずれだ――手にできると信じてきた。
けれども結局のところそれは夢で、すべてはオチのない冗談なのかもしれない。
夏を見送ったように、彼女を見送ったように、あるいは僕は僕自身の人生を
見送るしかないのかもしれない。
だとしたら、そこには何の意味があるというのだろう?
#2 - 2023-10-2 20:45
(魔王承認、魔法力解放、ケルビム(Cherub)詠唱、セラフ)
<注意!>
这个页面,是公爵(Duke)大人今年冬天预定发售制作的18禁游戏「末期、少女病~Lyrical pop World's end~」作为宣传用分发的小册子的内容的电子化的东西。
著作权是公爵大人的所以擅自转载是不行的。
我自己也没有得到正式许可,如果被骂了会收回去的。
接下来的页面包含有残酷的场面、暴力描写、性的描写等等,接受不了那种的人不能读。
所以,模仿的话就会变成犯罪者还是不要模仿了吧?
以上,遵守约定的人才能与光同行!(这是前作(101)的梗)
#2-1 - 2023-10-2 20:48
サトネ
公爵都无了所以转载应该没问题吧(心虚)
#3 - 2023-10-3 00:24
(魔王承認、魔法力解放、ケルビム(Cherub)詠唱、セラフ)
完全业余翻译,存在个人理解与错误,有能力请阅读原文。
关于“译者注”,主要是由于翻译能力不足所添加的一些解释、文本内容的注释以及翻译过程中的感受,现在发现还挺影响阅读的,还有种居高临下趾高气昂的臭味,不适的话还请跳过忽视。

默示录的日历
西历2001年2月3日
今崎浩二(28岁·无职)从因特网获得了以下知识。
月经周期,会像以下这样重复。
在排卵期,大脑的下丘部会分泌出促性腺激素。这种激素命令大脑的下垂体分泌出促卵泡激素和黄体化激素。
首先,卵泡刺激素被分泌到卵巢。接受这种激素的卵泡变得肥大,在此时雌性激素被分泌出来。雌性激素通过血液到达子宫,使子宫内膜成长。
随着血液中雌性激素的增加,大脑的下丘部判断「卵泡已经足够成熟」和「子宫内膜妊娠准备的进行」。接着大脑的下丘部命令分泌出黄体化激素。
随着黄体化激素增加,大脑的体温中枢受到刺激体温上升。黄体化激素分泌到卵巢,使肥大后的卵泡破裂。这就是「排卵」。
在排卵后的卵巢中,黄体化激素形成黄体。从这个黄体中,黄体酮被分泌出来。黄体让使子宫内膜柔软地变化,推进妊娠的准备。
没有妊娠的情况下,排卵后大约两周子宫内膜就会脱落。这就是「生理」。月经周期,一般为28~35天。并且与周期的长短无关,在下次月经预定日的12天~16天前发生排卵。
今崎浩二在之后的一年里,从垃圾集聚所里持续回收Y家的垃圾袋。然后从垃圾袋里,仔细地只把使用过的生理用卫生巾挑选出来。
回收的卫生巾被贴在他自己房间的墙上。添加工作中使用了透明胶带。
不久墙壁就被满是作为战利品的卫生巾所覆盖,结果,在墙上浮现出了Y家姐妹的月经周期。(译者注:大概就是一张张卫生巾排列起来能浮现出一个体现出月经周期的图,怖い)今崎浩二把这称为「默示录的日历」。
失败是不被允许的。
机会只有一次,那是拯救世界唯一的方法。是人类走向升华的最后的道路。今崎浩二忍耐了孤独。
他原本就是孤独的男人。五年多来,他的房间就是他的世界。在封闭的世界中,他谛观(审视)了自己紧紧地依偎着的名为孤独的诅咒。所谓孤独。那是从出生起就铭刻在灵魂上的像是记号一样的东西。和骨头里蛰伏的疾病与皮肤的颜色同样,无法选择它存在的状态(样子)。
当然涂改表面是可以的。然而,那种东西会像下雨天的喷发胶那样剥落下来。因为那就是所谓的本质。只能静静地相对着生活下去的这类事物在世界上是存在的。(译者注:这句没太搞明白,原文是静かに向かい合って生きていくしかない種類のものごとが世界には存在するのだ。)
但是,使命感使他的孤独作为孤独浮现了出来。他似乎变得害怕孤独。就在那时——「我可是战车」——今崎浩二在难闻的气味扑鼻而来的房间里自言自语道。我可是战车。库拉库拉库拉(译者注:大概是战车轮子转动声)除此以外什么都别问!
#4 - 2023-10-3 00:56
(噪…噪噪噪噪噪音)
机翻“在这个世界上,有些事情不得不默默面对”
直译大概是“默默地面对(只能以这种生存)种种事物在这个世界上市存在的”
#5 - 2023-10-3 00:57
(噪…噪噪噪噪噪音)
*是
#6 - 2023-10-16 19:41
(魔王承認、魔法力解放、ケルビム(Cherub)詠唱、セラフ)
今崎浩二就这样推导出了执行日。
他强行闯入Y家,把Y家的三姐弟——长女、次女、长男——全部绑了起来。
他先用菜刀威胁长女,让她含住弟弟的阴茎。长女哭着拒绝了,但当他用菜刀刺了一下次女的肩头后(接着次女惨叫起来),长女主动说「我会做的。」
长男很快就勃起了。
不仅如此,在姐姐的口腔里射出了精液。
今崎浩二如烈火般勃然大怒。
他猛踢长男的腹部使其痛苦,然后命令长女,在次女的手上把精液一滴不剩地吐出来。然后又这样命令道。
「你要把它们全部灌进姐姐的子宫里」
今崎浩二用拇指扭拧呆然若失的次女的肩上的刺伤。
「快点做,战车要坏掉了!」
那个过程,是用滴管进行的。
次女一边流泪一边用滴管吸取兄长的精液,灌入姐姐的阴道口。姐妹们的啜泣声和那啾噜啾噜的淫靡的声音在昏暗的客厅里回响。今崎浩二边看着那样配种的实施过程边自慰,在次女的头发上射了大量的精液。边咕沙咕沙地搅动着呆然的次女的头发,今崎浩二边宣言道。
「好,接下来轮到你配种了」
长女边哭着边恳求。——我的话怎样都无所谓。只请你放过我妹妹!
今崎浩二提出了交换条件。
「在一小时内,让你弟弟射精到不能勃起的程度就放过你妹妹」
边跨在弟弟的上面腰部上下摆动,长女像呓语那般重复着「对不起,对不起」。眨眼间2发精液灌入了长女的子宫。连接起来的姐弟的性器,发出了咘啾咘啾的异样的声音。
精液和爱液混合的液体产生出了半透明的泡沫。每当姐弟的性器上下运动时泡沫就啵嘤地绽开,拉出丝,又变成泡沫。
40分钟后,长女将自己的性器从丧失气势的弟弟的性器拔出,用指和胸和舌和唇让他再次完全勃起起来。「对不起,对不起······」长女用手固定住弟弟的性器,对准自己的性器压上去,坐了下来。噗噗,发出漏气的声音,姐弟再次结为一体。两人就那样按着命令交合嘴唇。桃色的舌头缠绕着,唾液弄脏了两人的下颚。嘴唇分离后,浓稠得下垂着的白色的唾液将姐弟连接起来。变得粘糊糊的唾液顽强地违抗着重力,最终,背过脸去的长女从脸颊到下颚都满满地沾上了唾液。两人都汗流浃背,全身都像被荧光灯那样照得闪闪发光。次女,被命令边看着兄长和姐姐的性交边自慰。每当她停下手、移开视线的瞬间,今崎的手指就戳刺她的伤口。
结果,长男在一小时内迎来了5回高潮。
从姐姐的性器里拔出来的阴茎,完全无力地失去了气势。
「好,这是还能不能勃起的测试」
今崎浩二从后面抱起次女,面向兄长张开双足。次女的内裤湿漉漉地濡湿,薄布上浮现出了性器的形状。
「喂,勃起的话就让你和妹妹干哦?」
今崎浩二边搁着内裤抚摸次女的性器,边仔细地说明那里的手感。次女已经流不出眼泪,就那样完全呆然地任由他摆布。长女也,像安心了那样仰望着天花板一动不动。白色液体将股布(译者注:西装裤、内裤、短裤等裤裆部位用以补强为目的的布料缝制成的双层的部分)和性器丝连起来。今崎浩二一边专注地抚摸着湿漉漉的阴毛,一边进入了收尾工作。
「好机会。用妹妹的XX来学习女人吧」
今崎浩二抓住长男的衣领,把他推到妹妹张开的两腿之间。然后用手指撑开次女的性器,说明了性器的解刨学名称和俗称。长男的性器完全勃起了。
「是吗,那么想和妹妹做啊!」
今崎浩二笑了。
今崎浩二给予了长女帮助妹妹丧失处女的权利。
「为了不让她疼痛而死,教给她温柔的方法哦」
长女已经无法再反抗了。
次女以跨式半蹲半坐在仰面的长男的阴茎上。长女握着弟弟的阴茎,对准妹妹的阴道。「明白了吗?啾啾地顶2、3回后,再稍微用力压上去。然后你得很有毅力地重复那个动作。」她这样建议道。
次女她,照着姐姐的建议接受了兄长的性器。
在长女目不转睛的守望下,次女腰部的动作逐渐加快。
不久长女用两手支撑着妹妹的肩,边说着「1·2·3」边把全体重按压下去。次女发出痛苦的悲鸣,身体僵硬地冻住了。长男的阴茎直到根部,都埋在妹妹的胎内。
被兄长的性器穿刺着,次女颤抖得不能动弹。只是喘不过气,泪水顺着樱色红润的脸颊落下。
虽然她张开嘴唇想说些什么,话语却没有显现出来。唾液像水那样垂涎着,拉着丝溢出来。唾液落到次女胸部的隆起处,像蛞蝓那样慢慢地拉着丝滴到兄长的胸前。
就这样今崎浩二用血缘近亲的精液使Y家的姐妹妊娠了。
如此一来,Y家的美好血统得到了保护。现代社会,将有血缘关系的姐弟、兄妹的生子视为禁忌。但是,那种东西完全是无稽之谈。认为不能用驱散神圣力量的污秽的血去玷污宿业。(译者注:这句是真不明白,原文:カルマを払う聖なるカを汚れた血で汚してはならない。それは人類の損失に他ならない。)那只能说是人类的损失。人类的财产——未来——是由作为战车的我亲手保护的!
今崎浩二一边笑着一边把菜刀刺进自己的肚子里。
「我可是战车!」
直到刺了25回之前,今崎浩二都还没有死。
库拉库拉库拉。
但是,今崎浩二的行为完全是无意义的。
Y家的三人都是养子,并没有血缘关系。
换句话说,这个寓言的教训就是这样。
所谓人生只不过是没有收尾笑点(译者注:“オチ”:在单口相声中,用俏皮话和谐音等结束故事的部分。)的玩笑。
——就是这种东西。
#6-1 - 2023-10-16 19:46
サトネ
收尾笑点理解成幽默结语也行
#6-2 - 2023-10-16 19:59
サトネ
サトネ 说: 收尾笑点理解成幽默结语也行
カルマを払う聖なるカを汚れた血で汚してはならない。这句话该怎么理解,想了很久 那个カ应该是力?就算这样还是理解不了 译成 不能用驱散神圣力量的污秽的血去玷污宿业 勉强说得通 若有大佬路过请赐教
今崎浩二以为自己所做的是伟业 其实一切都毫无意义 连他自己所定义的意义都是不存在的 确实是没有笑点的玩笑
#6-3 - 2023-10-16 20:17
サトネ
サトネ 说: カルマを払う聖なるカを汚れた血で汚してはならない。这句话该怎么理解,想了很久 那个カ应该是力?就算这样还是理解不了 译成 不能用驱散神圣力量的污秽的血去玷污宿业 勉强说得通 若有大佬路过请赐教
今崎浩...
贴吧开了个贴有日语大佬回复说是 不可让脏血玷污能驱散恶业的圣洁之力。这样应该能理解了 孩子诞生确实是美好的事 有能驱散恶业的圣洁之力吧 但是有血缘关系的近亲生下来的孩子会伴随疾病的概率比较高 在这层意义上说 血缘变成了不好的东西 变成了"脏血” 所以现代社会将近亲生子视为禁忌?
#6-4 - 2023-10-16 20:51
サトネ
サトネ 说: 贴吧开了个贴有日语大佬回复说是 不可让脏血玷污能驱散恶业的圣洁之力。这样应该能理解了 孩子诞生确实是美好的事 有能驱散恶业的圣洁之力吧 但是有血缘关系的近亲生下来的孩子会伴随疾病的概率比较高 在这层意...
嗯也有可能这句话的语境应该和前后切割开来 是今崎浩二的想法 他认为近亲的血是神圣不可玷污的 外人的血液会玷污它们 所以实施了这个计划 后面人类的损失指的是现代社会将近亲视为禁忌 就这样说服自己吧
#6-5 - 2023-10-16 21:59
サトネ
サトネ 说: 嗯也有可能这句话的语境应该和前后切割开来 是今崎浩二的想法 他认为近亲的血是神圣不可玷污的 外人的血液会玷污它们 所以实施了这个计划 后面人类的损失指的是现代社会将近亲视为禁忌 就这样说服自己吧
讨论了一下后我大概懂了 “那种东西完全是无稽之谈。”后的两个“ならない”是同一个句式 后面两句应该译成“那只能说是用脏血(他人的血)玷污能驱散恶业的圣洁之力(近亲的血)。那只能说是人类的损失。” 社会把近亲视为禁忌 社会认为只有他人的血才能生子 而今崎浩二不这样想 他认为他人的血是脏的 近亲的血才是神圣的 所以实施了这个计划  “那是拯救世界唯一的方法。是人类走向升华的最后的道路。”指的就是近亲生子吧 结果今崎浩二自以为是完美实现了目的 却导向了他最厌恶的最不愿意发生的反面“没有血缘关系的人的生子” 太戏剧太讽刺了
人生就是没有收尾笑点的玩笑
#6-6 - 2023-10-16 22:36
サトネ
サトネ 说: 讨论了一下后我大概懂了 “那种东西完全是无稽之谈。”后的两个“ならない”是同一个句式 后面两句应该译成“那只能说是用脏血(他人的血)玷污能驱散恶业的圣洁之力(近亲的血)。那只能说是人类的损失。” 社会...
好像也不戏剧某者意义上这不就是现实吗(bgm38)自以为一切都向自己所希望的发展 其实到最后带来的只是完全背离的结果而不自知 在他人看来只不过是疯人的呓语 是笑话罢了
#7 - 2023-10-25 17:20
(魔王承認、魔法力解放、ケルビム(Cherub)詠唱、セラフ)
驶向世界尽头的汽车
汽车收音机中的男人说。
「今年冬天的流行色是蓝色」
 这个话题让我的心滑向奇妙的方向。将其带到了不安稳的某个地方。
玻璃窗的对面是摄氏34度的世界,冬天的到来存在于折叠成手风琴状的热气的遥远彼方。夏天。
完美的夏天就在那里。既不是作为象征的夏天,也不是形而上的夏天,亦不是作为诗的比喻的夏天。现实而单纯的夏天。一踩油门就会以时速90公里向后流逝而去的夏天。
即便如此汽车收音机中的男人还是预言道。「今年冬天的流行色是蓝色」。
哎呀哎呀。
我想。
正如围绕在我们周围的许多事物一样(或者说正如我们自身一样),即将到来的冬天的流行色也是注定的。
那正确地说并非是预言,而是预定。
一边用手指敲着方向盘——咚·咚·咚——一边思考着关于个人的行为与绝对的命运相克的事情。在那毫无严肃的心情中,我思考着能得到适合的(译者注:与自己相配的)自我的可能性。当然(译者注:这种思考)只是一会儿。
一根烟的时间。即使再思考下去但到达的地方已经决定了。因为一切都是被预定好的。
像冬天的流行色那样被注定好的。
OK。
各位,让我们摇滚起来吧。
扭转更换汽车收音机的频道。
播音员的声音溶于杂音中,取而代之的吉他的音色像夜晚的雾一样从音响里流溢出来。很久以前的新教歌曲。与其称是摇滚不如说是更像民谣的东西。
嘛算了吧,我想。
嘛算了吧。比起对自我的沉思默想,这是非常健康且适合兜风的。是的。一切都是比较的问题。哪个更好。哪个是我能忍受更长的时间的。在呕吐物和排泄物哪个更有诗意这样的意义中,那是无意义的且被限定的选择。无意义的/被限定的/选择。咚/咚/咚。
是谁杀了莱利・R?
为何,有怎样的理由?
十五人的魔术师 对我说
「听着 杨格・迪伦
人生 就像是在坡道上发生的事故
在一连串无法控制的悲剧的连续中
我们能做的事情 实在太少了
如果是这样的话 呐 杨格・迪伦
莱利・R 只能前往失落高速公路了(译者注:lost highway)
 关于现实的我的世界的信息。
F县I市。距东京车程三小时的地点。我们(也就是我和,我的车)正以时速90公里在高速公路上移动行驶。笔直的高速公路。犹如卡尔·刘易斯用全力推动着划线车那样笔直。(译者注:“ラインカー(划线车)”:在运动比赛的跑道、网球场等地画白线时使用的机械。这里大概指的是高速公路像划线车画出的线那样笔直,比喻成卡尔·刘易斯所画的应该是为了表现我行驶汽车的速度快和高速公路的长。)放眼望去直到界限也没有其他汽车的踪影。这是我们专用的失落高速公路。
高速公路的两侧延伸着大屠杀般的荒野。(译者注:“ホロコースト”大屠杀般的荒野?一般会这么形容吗...)一切都被发白的沙砾覆盖着。别说是田地,连树和草都没有。也没有红绿灯,没有民家,没有便利店,没有愚蠢的交通标语的看板。——听着杨格・迪伦。连交通标语的看板都没有哦?『紧紧系着/心灵和身体的/安全带』极其近乎完美的无意义。而且在这里,甚至连那种无意义都不存在。
100%的荒野。
大约30分钟前,从废弃的原子能发电设施旁疾驰而过。
已经关闭很久了吧。它曾经应拥有的极大的能量,已像洗褪色的牛仔裤一样被漂白了。这使我想到了巨大的动物的尸骸。发出一声痛苦的叹息之后,下个瞬间就平淡地死去的生物。于是那既是作为尸骸存在的同时又成了一具墓碑。
阴郁的光景。世界中没有动静。在单调的均一性之上只是夏天充满着。仿佛甚至认为连时间都已经死了。一切事物都凝固了身体,屏住了呼吸。天空灰色而黑暗,黑色的云以猛烈的势头从此处流向彼方。
美好的 美好的 失落高速公路
嘿 紧紧抓住那只不正常的疯鹅
美好的 美好的 失落高速公路
嘿 握住好看帅气的方向盘
——世界的尽头。
我想着那样的话语。话语搭上舌头,试着变成声音。
「世界的尽头」
   也不错。
那是以时速90公里疾驰于夏天的我的车里,美妙的回响。
是抒情曲
富有诗意的抒情曲,像和菓子那样的流行曲。
抒情般的流行般的世界的终结──(译者注:LYRICAL POP WORLD'S END)
「世界的尽头」
但是第二次从口中说出时,那已经一点都不抒情也不流行了。那时那里已经是『不是这里的某处』——已经不再是世界的尽头了。每当我们终于到达的时候,世界的尽头就失去了可被称为世界尽头性的神秘。我们向前迈出一步的话,世界的尽头就比我们先迈出一步。尽管就存在于伸出手的前方,却绝对抓不住它。
或者,我们自身或许就是没有定点的世界的尽头。
我们向前进。世界的尽头也向前进。就像追不上乌龟的阿喀琉斯一样,我们无法到达世界的尽头。那也就是说,我们既不能掌握(译者注:抓住)自身,也无法逃避我们自身这么回事吧。
像冰壶一样严峻,像铁人三项一样艰难。
总之就是如此现实的。
哎呀哎呀。
#7-1 - 2023-10-25 18:37
サトネ
​既不是ROCK 也不是FOLK
LYRICALだ POPだ 然后是WORLD'S ENDだ
不错 这才有少女病的韵味 LYRICAL POP WORLD'S END
像阿喀琉斯追不上乌龟那样我们永远也到不了世界的尽头 亦或者我们自身就是世界的尽头哎呀哎呀
很有趣
#7-2 - 2023-10-25 19:02
サトネ
不知为何这层编辑不了 更正“抒情般的流行般的世界的终结”——“抒情般的流行般的世界的尽头"
#8 - 2023-10-25 18:20
(魔王承認、魔法力解放、ケルビム(Cherub)詠唱、セラフ)
译者注:关于杨格·迪伦,ヤング也是年轻的意思,年轻的迪伦,迪伦,又和音乐有关,灵光一闪突然想到之前偶然点到餅月播101的直播回放好像在评论区看到过这个名字,然后找到了这条评论

啊,是鲍勃迪伦啊,这样的话文本里的“摇滚”“民谣”也能说得通了。金月龙之介好像很喜欢的鲍勃迪伦的 101里早桃想象的猫猫朋友(多尔切)说过:

“答案呢,早桃,就在风中喵。”(答はね、早桃ちゃん。風のなかにあるニャ)
如评论所说,这句话是出自鲍勃迪伦的歌曲Blowin’ In the Wind中的歌词 『The answer, my friend, is blowin' in the wind The answer is blowin' in the wind』所以少女病里的这章的迪伦应该也是在致敬鲍勃迪伦吧,鲍勃迪伦还有一首Highway 61 Revisited,不过歌词好像和这章没什么关系,我对音乐领域也不是很熟悉,要说如果还有什么可能是致敬点的话,比如“莱利R、十五人的魔术师”,但这些就完全不知所云了www。这章确实有种公路片的感觉。以及上一章有同名的“キュラ☆キュラ”作BGM,这章的话,用鲍勃迪伦的歌比较好吧?(笑)
#9 - 2023-12-2 23:19
(魔王承認、魔法力解放、ケルビム(Cherub)詠唱、セラフ)
驶向世界尽头的汽车更正(之前漏行了):
「世界的尽头」
但是第二次从口中说出时,那已经一点都不抒情也不流行了。魔法已经消失了。只剩下一片空白、空虚存在。
 为什么呢?
当然——我是知道的——世界的尽头这种事其实哪里也不存在。
抵达的瞬间,世界的尽头化为了现实的边界。我们只能在那里生存下去。那时那里已经是『不是这里的某处』——已经不再是世界的尽头了。
后接原文
#10 - 2023-12-3 05:41
(魔王承認、魔法力解放、ケルビム(Cherub)詠唱、セラフ)
净化业力
「我喜欢名为御茶水的这个城镇。
虽然稍微伸一伸脚就到秋叶原、后乐园(译者注:位于东京都文京区的回游式庭园)之类的热闹的地方,但我喜欢御茶水的宁静。
虽然算不上是特别有特色的城镇,从主干道稍微往里一点的有人烟的一带——比如圣尼古拉大教堂之类的。(译者注:东京复活大教堂,又称圣尼古拉大教堂,是一座位于日本首都东京千代田区神田骏河台的东正教教堂,也是日本正教会的总部、东京大主教区总堂。本堂以耶稣基督复活为名,其俗称圣尼古拉是纪念把东正教传入日本的圣尼古拉。 以及这句话没太理解,原文是“メイン通りから少し中に人ったあたリ”主干道往里不应该没人烟了吗,也可能错字了。)我喜欢那附近的空气。该说是精致的乡村呢,还是庸俗的都市呢。意外地还留有一点绿色哦。啊,不必那么说也知道的吧,我是东京人。
城镇,无论是哪里,都存在着只有那里才独有的像是空气感的东西呢。与那种波长相合吗,还是现在不相合呢。
御茶水的话,是相合的。这么说来,和朋友,有聊过『城镇的颜色』的话题。城镇是不是都有固定的印象颜色。池袋是蓝色。秋叶原是红色。——为什么呢。因为有很多红色的霓虹灯吗?啊哈哈……。虽然没有得出什么了不起的统一见解,但对于「御茶水是绿色的」这点(译者注:我们的看法)还是非常一致的。那样的事,我还记得。

那附近——特别是靠近JR水道桥站的地方——坡道非常多,自行车不是很派得上用场。所以我考取了电动自行车的驾照。那是大学一年级的暑假。行动范围扩大了。只要有这个的话无论是哪里都能去——。天气热的话就进书店去。一边看书,一边等待汗水退去……。
书,看得并不是那么多。畅销书啦,情报杂志之类的。只是偶尔读读这些东西。
真是抱歉呢。

 东京的夜晚,就像坟墓一样不是吗。
明明白天那么热闹人山人海,一到晚上便空无一人了。这种事情就像祭典之后那样令人讨厌。因为会变得哀伤。在新宿有酒会并错过末班电车的时候,虽然步行走回了家——还是很悲哀。太过哀伤,以至于眼泪好像都要出来了。宛如核战争之后,世界上只有我一人幸存下来那样悲哀。便利店开着。但是,看到了便利店的日光灯显得非常惨白。被分离的感觉。是孤身一人的,我想。
但是,御茶水的夜晚就不是这样的了。
当然没有人,很安静。但是,并不是令人讨厌的寂静。非常清爽,非常凛冽(译者注:或凛然)——并非是白天的赠品(译者注:附加物)。那样的夜晚。温柔的夜晚。
房租并不便宜呢。但是,因为有父母汇寄给的生活费。所以房租一半的6万元都用其支付了。剩下的靠打工偿付上。朋友让我搬到沿线去,虽然他再三给我建议但即便如此我还是很喜欢御茶水。
那一天也是在去某个打工的途中。新宿的叫XX的咖啡店。上班族的人们碰头会谈时用的咖啡店——很好笑吧?大家都在笑着哦,老里老气地。
尽管乘坐中央线,也经常迟到。因为你看,人身事故之类的,各种各样有很多。虽然也不知道那天发生了什么事,暂且,在代代木跟前停了下来。大概停了10分钟吧?……不,因为是白天所以并不拥挤,从这个意义上说倒说不上难受。只是,要赶不上打工了,令人焦急着。我是守时派的。一次也没迟到过。那种事,很讨厌。非常地。我虽然也不是特别循规蹈矩的人,但时间实在,嗯。所以很焦急。

然后,我的胸部传来啪的一声。
最初,我以为是被棒球打中了。与其说是液体,不如说是被固体打中的感觉。但是因为湿乎乎的,啊啊,这是油漆还是什么的。
这可是刚买没多久的白色T恤——这家伙在做什么啊,心想,我非常地窝火。所以,我瞪了坐在前面的孩子一眼,那个孩子也看着了我。眼和眼,对上了。是个高中生左右的男孩子。突然,我害怕起来。会被打,我以为会这样。虽然不知道为什么,总感觉会被打。
但是,不知为何那孩子,是鲜红的。从脖子下面到裤子,都是鲜红的。有什么从脖子咻咻地喷了起来。像洒水器那样……啊啊,血,是血——。
抓住(译者注:公交车上的)吊环的手像被冻僵了那般,我没能逃掉。
所以救命,这样喊了。手挣脱不下来了,请救救我,这样的。
周围的人们,似乎因为我的声音向我回过头来。听到了悲鸣声,逃向隔壁车厢的人之类,咯咯的呕吐声之类。我依然冻僵着,紧紧地束缚在那里。闭上眼睛默念着救救我救救我救救我。
然后,突然地(译者注:原文是ずしっ,没明白啥意思,是拟声词吗?),我被紧紧抱住了。
觉得心脏要往上跳出来了。
反射性地睁开眼睛。
浑身是血的那个孩子从座位上站起来,抱住了我。
耳边传来了声音。
「啪嗒啪嗒啪嗒」(译者注:pechapecha)
 听到了如此的声音。
所以
「诶?」我说。
然后他大声地说——。
「不要忘记!」

大声地如此宣言道——」

× × ×

 委托人说到这里,陷入了深深的沉默之中。
她的视线,一动不动地固定在桌上的马克杯上。
 马克杯中的咖啡已经完全冷掉了,表面上形成了干瘪的薄膜。大概是离开东京时带来的吧,桌子和沙发都很有品味,非常风雅。但是橙色和黄色的流行家具与这间和室格格不入,总觉得缺少现实感。本来不应该存在于这里的东西们。充满了某种悲哀。空调太过起效了。简直就像在时髦的冷藏库一样。
说完话后的她,看起来非常苍老。从迎接我,泡好咖啡,坐在沙发上的时候为止才只过了不过两小时,她却好像已经老了200岁。她注视着马克杯。然而实际上是越过马克杯目不转睛地凝视着哪里都不是的空间。她的眼中什么也没有映出来。只有像阴暗的井一样的黑暗,空空地存在着。(译者注:原文是:ぽっかりとあるだけだった。直译是突然裂开,也有飘浮的意思。也可以理解成飘浮般地存在着)
其实她本来是很有魅力的女性吧,我这么想。
能让在御茶水的坡道上擦肩而过的人们,浮现出春天的透过树叶的阳光那般的微笑的女性。然而现在的她,已然失去了那种美德。残酷的是,她甚至看起来不像人类。像可怜的木乃伊的那样干硬着,消耗着。
而这正是,人狼轮回教会给她施加的诅咒。

 人狼轮回教会。
 廉价的名字。他们既没有可依赖的教会,也不相信什么轮回。当然更不是人狼。
那个名字的虚张声势的程度,揭示出他们本质上的廉价。最终他们是只存在于因特网上的少年少女的邪教。电脑邪教人狼轮回教会。饶了我吧。然后人狼们在西历2002年的夏天——7月1日正午整于各种各样的地方一齐割断喉咙,完美地完成了自己的廉价性。

『连彼此的长相都不知道的少年少女们——』
『宛如做出约会的碰面那样合谋在同一时刻断绝生命』
『对通过移动电话所进行的只是表面上的交流抱有不安——』
『无法对谎言横行的社会感到共鸣——』
『在电脑上的虚拟社区找到容身之处的少年少女——』
『而为了使其成为永恒只能选择死亡——』

人狼们是极端廉价的殉教者。习以为常的现代社会所孕育出来的,司空见惯的小丑(译者注:丑角)。许多人惊讶的同时,嗤之以鼻。「哎呀哎呀」这样想着。「这些家伙为什么这么愚蠢?」
他们是白痴。但是,他们至少也明白自己的意志的表明很快就会被忘却。和尊贵并不相称,他们知道自己的行为会沦为流入并消逝在综合节目的污水沟中的无数流言蜚语(译者注:八卦)中的一个。
所以人狼们对个体施加了诅咒。
若不能在社会上铭刻名字,那就铭刻在个体(译者注:某个人)身上吧。
在陌生的他人面前突然割断自己的喉咙。
窥视着对方的眼睛说。

「不要忘记」。

他们,强迫她们,参加革命。不允许作为旁观者经过的她们忘记。将她们打造成共犯。(译者注:这两句主宾省略,原文是:傍観者として通り過ぎ、忘れることを許さなかった。共犯者に仕立てあげた。意译一下应该是这个意思)他们死了。然而,并没有成为零(译者注:无价值)。不知道他们在想什么,也不想知道。但是,那个想念确实地残留了下来。至少,在我眼前眺望着虚空的(或者她自身可能已经是虚空本身了)委托人的心中,作为深深的伤痕留了下来。
所谓诅咒,就是这种东西。

我把公文包搁放在膝盖上,卸下锁,取出三个小瓶,在桌上一直线地并排摆放好。于昏暗的房间中。小瓶如宝石般闪闪发光。
委托人的脸上浮现出复杂的神色。
这个人是不是疯了?
然后我是不是也已经疯了?
「请放心」
我如此说。
「月蚀业力水必会净化你的污秽的。这是你所寻求的,并能拯救你的灵水。你的污秽——业力是相当的深重。然而可以中和它。看起来,三瓶就应该足够了。就先放这么多。不够的话请再叫我来,告诉我让我知道」
「那个──」
「使用方法写在这张纸上。虽然不是什么危险的东西但使用方法错误的话就没有效果了。请好好过目,然后再使用」
「那个──」
「一瓶,三万日元」
 我露出灿烂的笑容。
在镜子前练习过许多次的灿烂的笑容。

请放心。
不需要担心任何事情。
我会,对你,赐予救济。
错的不是你。是污秽。是业力。
来,洗净污秽吧。
净化业力吧。
没事的。
交给我的话一切都会顺利进行的。

边微笑我边想。
姐姐也是,像这样笑的吗——?
姐姐。
把从百元店买来的乙烯绳在脖子上拧绕了三圈,吊在房梁上的姐姐。
姐姐。
啊啊,姐姐也是像这样笑的吧……?


译者注:故事逐渐串联起来了,原来Y家的姐妹就是夕凪鏡子和夕凪理有,因为姓夕凪(yuunagi)。附带的插图便是姐姐夕凪鏡子。这里卖月蚀水的应该就是Y家的弟弟也就是主人公真市,因为公爵官网的人物介绍中有说镜子姐姐存在于真市的精神世界里,所以是很想念姐姐的。而理有在今崎浩二那件事之后就得了精神疾病自闭了。卖给的对象是前文的住在御茶水的那位女性。
关于净化业力(カルマ落とし),业力(カルマKarma)是佛教语,佛教中的解释可以自行搜索,查辞书时看到了有关奥姆真理教的解释:
「奥姆真理教的修行」的记事中「净化业力」的解释
指通过苦行减少业力。除了用竹剑敲打、倒吊等自力修行之外,遇到事故等不幸的事情也因为这是“净化业力”而被认为是好事,最后被施了剧毒 VX 也因为是净化了业力而被认为是安全的(参考停车场经营者 VX 袭击事件)。
少女病的keyword是「宗教」「原爆」「救済」,奥姆真理教也是很多电波作里能看到的影子了(比如终和素)。所以净化业力从奥姆真理教的角度来解释个人总觉得很贴合。但现在一看,这不明白着完全就是洗脑信徒的扯淡吗,在说受罪是好事情,是净化业力,喝月蚀水应该没什么痛苦的所以好像和喝月蚀水也没什么关系?
#11 - 2023-12-22 06:14
(魔王承認、魔法力解放、ケルビム(Cherub)詠唱、セラフ)
净化业力
开始卖月蚀业力水的是姐姐。
姐姐从大团地的右端到左端,来回按着挨家挨户的门铃。运气好得到别人开门的时候,便问「需要水吗?」,露出灿烂的笑容。
「——不不,不是净水机的推销什么的哦。是卖去除坏东西的特殊的水。就像洗涤剂一样去除掉。电视的邮购上做过德国的车蜡的演示吧?像那样去除掉哦。真是的,悄悄地,和您说。虽然不能大声地说出来,这叫做月蚀业力水。您知道业力吗?虽然想详细地说一说。……啊,好热呢。哎呀,真是的,呐。热得受不了。呐,不介意的话能请您开开家门吗?」

在卖了很多水的日子里,姐姐她,会带我和理有(译者注:“我和理有”所以叙述者是真市无误了)去家庭餐厅。
她对店员表现得像女王一样。大家都诧异般地看着我们。我羞耻得不得了不知所措。我用胳膊戳着她说姐姐快停下吧,虽然这样劝告了,但姐姐绝不罢休,像女王那样斥责了我。

「不是为了这个人(译者注:工作)! 喂,知道的吧,你?就是你,我在对你说话。你也不能一直做像女服务员那样的工作吧(译者注:原文为あなたもいつまでも女給みたぃな仕事やってる場合じゃないのよ。对你来说也不是一直做女服务员那样的工作的时候(情况)了吧 但不太通顺所以意译了。)如果不做些对社会更有用的工作,就不知道(译者注:自己)是为了什么而诞生的了啊。哎呀,真是的,呐!」(译者注:まったく、もう、ねえ是姐姐的口头禅吗)

× × ×

姐姐开始卖月蚀业力水,是从父母死后。
父亲和母亲,以时速900公里的速度(译者注:虽然不太好但我还是想吐槽这是驶向世界的尽头的汽车的10倍ww)冲撞进印度洋里去世了。结婚30周年,初次的海外旅行中发生的飞机事故。航空公司寄来的小盒子里,大概是代替遗骨的东西吧,放了一块薄而扁平的长方形的花岗岩。昔日年轻时父亲和母亲最初的约会中看的电影是『2001年太空漫游』。(译者注:是那块黑色方碑呢,2001年也和本作故事的发生时间正好对上了)
就是如此。

× × ×

葬礼。
我不可开交地忙于应对吊唁者和亲戚,连哀伤的时间都没有。
叔父和叔母也是看起来都在犹豫着要不要收养我们。
我们从基因学上说和他们并不是有血缘关系的一家人——也许如此总结这样的事态是不公平的。我和理有和姐姐那时也还都是学生。突然要养育三个学生这种事,和生下三个婴儿是完全不一样的。在那存在着人生计划的重新考虑,价值观的重构。可不是什么夜话闲谈那般轻松的事。
总之——我非常忙碌。
理有只是闭门不出在房间里哭泣。姐姐在遗像前。扑通地一屁股坐下,带着扫兴的表情一直在读经济新闻。一味地盯着股票市场的,列满看不太懂的一排排成行的数字和记号的页面。最终姐姐抬起头来,没有对任何人说,只是静静地嘟囔道。

「明白了。所有的一切,我都明白了。」

× × ×

我,讨厌姐姐的奇怪的工作。
当然,我很感谢姐姐卖弄虚作假的水养活我们。然而,姐姐自称拥有的『力量』什么的,我连一次也没有相信过。
逃避。一切都是逃避的种种表现,我理解了。
大家,都很害怕
对于人生是现实的感到害怕而束手无措。想依赖某种梦幻般的不合理——反现实。比如说神明大人。比如说月蚀业力水。姐姐是弱者们的人柱(译者注:为达成某目的而献身的人),姐姐亦同样是弱者。总之就是这么回事。

× × ×

晴朗日子的傍晚我经常看到,姐姐,在附近的折扣店里一箱一箱地购买6瓶600日元的『自然名水宝特瓶』的身影。注意到我的时候,她似乎害羞地,而且又有点哀伤地笑了。
「小真,帮我搬一下吧?」

(译者注:新版的CG里正好有一张对应这里的,放个)

× × ×

我现在,为了养活理有和我自己,到处售卖月蚀业力水而奔走。漂亮的小瓶里装满折扣店的水,装进黑色的公文包里我便步行着。
不做宣传。通过口碑买卖。有人叫我的话甚至连F县我都会开车过去。倾听他们的话。以三万日元卖月蚀业力水。只是单纯的水而已。即便如此,有些人仍流着泪说「被拯救了」。像今天的委托人一样,甚至想和我同床共枕。
姐姐死了,理有流产了,我售卖水,即使这样世界也不会停止,人生流逝着。

× × ×

姐姐常常,说有关「神明大人」的事情。
「神明大人不在天空上哦。那是谎言呢。说神明大人在天空上的宗教,全部是虚假的冒牌货(译者注:伪物)。呵呵呵。神明大人就在我们心中哦。姐姐我的话大概是那个啊,多尔切是神明大人呢(译者注:诶,你们的猫也是多尔切呢)。还记得多尔切吗?死掉了的我们的美国短毛猫。妈妈和爸爸给我们买的多尔切。因为肺炎死了。但是它却成为了我的神明大人哦。哎呀,真是的,真是不明白人生呢。(译者注:人生ってわからない,101op结尾独白的公主也说过这句话。)话说回来,呐。话说小真你的神明大人,是什么?」

(译者注:PV里有对应的画面,放个)

× × ×

姐姐留下来的遗书上,写下了这样的话。

「我,恨上帝」

× × ×

结束净化业力后来到外面时,四周已经完全被黑夜吞噬了。
吹来的风温和地(译者注:湿润地)和雨的气息融为一体,像濡湿的和纸一样贴在肌肤上。三小时没启动的车内已经稍微有点变成移动式桑拿房了。我启动引擎,然后才知道空调到底还是一命呜呼了(译者注:原文是死,翻成一命呜呼更幽默些)。
哎呀哎呀。我觉得所有的东西似乎都有在组织地使坏来让我厌烦着。

开车到车站,寻找委托人介绍的店。草饼好像很好吃的样子。(译者注:用艾草制成的绿色的日本和果子,是女儿节的代表果子之一。)据说是这个城镇的特产。
「不快点的话,店铺就要关门了哦」
她说。
「这里和东京不同,所以夜晚,来得很早」

步行在小小的商店街中。
是从一端到另一端只要有三分钟就足够的典型的地方的站前商店街。
蔬菜店。精肉店。文具店。洋品店。家电商店。酒屋。出售自行车和摩托车的店。既有正在拉下卷帘门的店,也有已经拉下完毕关门的店。
每个店都飘浮着宿命般的倦怠感。迟滞的(译者注:沉闷的)自暴自弃(译者注:原文あきらめ放弃)似的空气像地层一样堆积着。这条商店街10年前就是这个样子了,恐怕10年后也还是这个样子。这样的预感。停滞所带来的沉淀。那是,一种哪里都去不了的(译者注:无处可去的)闭塞感。(译者注:想到了时代的闭塞感)
除了我以外,没有哪怕只是一个顾客的身影。
找不到卖草饼的店。是看漏了吗?坐在商店街一端角落的狗,看见我的脸静静地站起来(译者注:原文:僕の顔を見てのっそりと立ち上がり,“そりと”不知道是什么意思,是“そっと”吗?),像是溶化般地消失在黑暗那端。就这样商店街完全结束营业了。
空荡荡的站前通商店街上,只剩下了我一个人。
简直感觉自己变成了瘟神。我一到来。卷帘门关闭。我一离开。卷帘门上升……。
写着「欢迎・和睦交流通商店街」的街灯,使我的影子忽明忽暗地闪烁在柏油路上。突然,我想到。街灯消失的话,我自己不也会消失不见吗?抬头一看,街灯发出神经质的声音循环往复地变明变暗。如羽虫之类蛾之类的让人不太舒服的虫子成群地跳着舞。于是没有任何前兆,巨大的情感浪潮将我的心冲刷得七零八碎。
感觉膝盖以下像木屑那般粉碎得稀烂。
连站都站不稳。
摇摇晃晃地在路边坐下。
把头埋进膝盖与膝盖之间。
屏住呼吸。
无可奈何地感到寒冷,悲哀,恐怖。
这样的事有什么意义?
我想。这样的事有什么价值呢。我是世界的尽头的欺诈师。与任何人都没有联系。同任何地方都没有联系。
索性,我想不如沉迷上电脑邪教吧。想着不如让素不相识的他人背负业力,我沉浸在永远的自我满足中死去好了。
但是,我还没那么蠢。
「改变人生的101种方法」(译者注:101呢)「点亮心灵的30条建议」「每个人明明都知道却没有实行的69个真相」——受到这种东西的启蒙,我还没变得廉价到那种程度。我知道。这样的东西的话改变不了世界。就像月蚀业力水没能拯救姐姐自身一样。我是知道那一点的。
然而——
然而我,不知道怎么做才能革命世界。
没有软弱到沉浸在软弱中,而也没有强大到可以坚强地活下去。
我哪里都去不了。即使能去,那也只能是失落高速公路而已。可怜的莱利・R只能前往的地方。内的地狱。抑或是外的地狱。一切都是预先注定好的。若是这样的话,呐,扬格·迪伦。这样的事有什么意义?

没事的。
没事的,我这样劝说自己。
这不是常有的事吗。
这只是一时的感情的混乱,不久就会过去的事情。不能一直让我痛苦,也不会持续攥着我不放。只要一动不动地(译者注:静静地)稳固住身体,等待浪潮退去就行了。
万事万物便正是如此发生的。
数分钟后,我完全找回了自己(或者说是找回了自己所拥有的和所相信的东西)。残留下来的仅是些许的疲劳,和令人恶心的汗水。OK。
我已十分地冷静,流行了(译者注:pop)。
OK。

我从死去的商店街折回,在车上点燃生命的火焰。(译者注:启动引擎)
于是在回家路上,我以时速90公里的速度撞飞了水上夏树。

(译者注:同样放个对应的CG,由这部分倒推第二章驶向世界尽头的汽车的叙述者应该也是真市。)
#12 - 2023-12-22 06:16
(魔王承認、魔法力解放、ケルビム(Cherub)詠唱、セラフ)
水上夏树
 或许我那时真的以时速90公里的速度撞飞了水上夏树,制历2002年的夏天,将我引导向魔法之国的女人是幽灵还是什么的也说不定。即便现在我有时也会这么想。

「我还活着」

 然而能看见坐在副驾驶座上的水上夏树,将手掌轻轻地放在我的膝盖上。
「如此真实地,活着」
 她的手指纤细而修长,像蜡一样白。手背上隐隐约约地浮现出蓝色的静脉(译者注:青筋)。连指甲尖都完美地保养得无微不至(译者注:井井有条)。总觉得简直看起来不像是人类的手。从手命中注定般(译者注:宿命般的)所持有的从属性和功能性中独立出来,我想仅仅只是有这只手就已经像是完结了的存在了吧。如果有所谓世界美手比赛的话,那毫无疑问毫无疑问应是被排名在前茅的手。
「漂亮的手呢」
我说。
「漂亮的手呢」
 她回复道。
「我并不讨厌别人夸奖我的手。谢谢」
「不客气」
「你的膝盖也不错」
「膝盖」
 我说。
「如果参加世界美膝比赛的话毫无疑问毫无疑问应是被排名在前茅的,膝盖」
「奇怪的人」
 她微微地笑了

(译者注:同样放CG)
× × ×

道路完全沉没进黑夜中,只有唯一可以依靠的车前灯将世界切割分裂开(自不必说,在失落高速公路没有街灯这种柔和的东西)。一瞬间,在车后窗闪过了什么东西的影子。然后——虽然以前我从没撞到过人,若是撞到人的话恐怕就会变成这样吧,这样的冲击摇动着我和我的车。
急刹车。橡胶烧焦的气味。恐怖。焦躁。后悔。
即使车停下来以后我也没能出去。头靠在座位上,无数次重复做着无意义的深呼吸。
胃往上逼近直顶喉咙,心脏像是有查理·沃茨(译者注:滚石乐队鼓手)的架子鼓在独奏一般的样子。于是乎
「──能载我一程吗?」
透过车门听到这样的声音时我心底里都危笃了,实际上,甚至都从座位上害怕得跳了起来。
从完全敞开的侧窗的对面,窥视到了女人的脸。
剪得很短的黑色头发,像描线一般一圈一圈地覆盖在她眼睛前。(译者注:大概是头发卷曲着地遮住眼睛那样)半眯着黑眼睛(译者注:原文:黒目がちで,不知道什么意思,倒是伏せ目がち是视线向下,半眯着眼的表情,姑且就这样译吧),那黑色甚至比夜晚的黑暗还深。
那就是水上夏树。
× × ×

 水上夏树为什么一个人走在深夜的高速公路上呢——和我所撞到的东西的真面目同样,那现在仍隐藏于深深的秘密之影中。她只是
「散步」
仅仅是这样说了,除此之外什么都没有说。虽然从未听说过年轻的女孩子在深夜的高速公路散步什么的,我也不想再硬要继续死抠追问下去。她对我来说是外人,我对她来说也是外人而已。

「你,是神父吗?」
 关闭收音机的开关,水上夏树唐突地说。
「神父?」
 我说。
「那衣服。是神父服吧?」
「啊啊,是的。但我不是神父。是推销员」
「圣书也卖吗?」 
「不」 
「那么是十字架?」
「十字架也好银色子弹也好免罪符也好都不售卖。是卖水的」
「水」
「以一升一百日元进货,一瓶卖三万日元」
「这不是彻头彻尾的完美的欺诈吗?」
「谁知道呢。虽然你也许不会相信但也是有因为这水而被拯救的人的。我甚至还特意从东京到这么偏僻的地方出差。怀着诚意倾听对方的话。结果空调坏了。土特产的草饼也买不到。将那些方面纳入考虑的话说是完美的欺诈也许是个严苛的评价」
「无限近乎完美的欺诈」
「这才算得上是妥当的评价吧」
「我还是第一次坐卖弄虚作假的水的人的车呢」
「我也是第一次载幽灵上车呢」
 呵呵(译者注:或哼哼),她这样微微地笑了。一时充满了沉默。她虽暂时目不转睛地凝视着窗外看了一会,最终(译者注:不久),静静地嘟囔了一声
「第一次做爱的对象是上门销售圣书的男人」
 这样说了。仍旧注视着黑暗,她继续说道。
「小时候,留在家里看家时那个男人来了。『您父母在家吗?』『不在』『其实我正在分发写有许多值得感激的话的书。小姑娘,您喜欢书吗?』『喜欢哦』『那么,能听我稍微说几句话吗?『稍微的话可以哦』。那是炎热的夏日。于是我们合为一体了——。怎样,不觉得有趣吗?」
「你说的那是真的吗?」
「怎么可能呢」
  水上夏树咯咯地笑了。然后突然地
「——世界的尽头」
  这样说了。
「呐,不觉得这里简直就像是世界的尽头吗?」
「世界的尽头什么的,不存在」
  我说。
「就算有的话,那就是我们自身。我们自身就是没有定点的世界的尽头」
  回过神来时,水上夏树正目不转睛地盯着我的脸。
「我带你去」
  她说。
「我带你去。世界的尽头」
说着水上夏树的手在车内的黑暗中伸了出来——那是直到那时都还是很美丽,完美的手——握住方向盘……
下个瞬间,世界旋转了。
汽车完全失去了控制。我和,我的车,还有水上夏树,在失落高速公路上跳着犹如疯了的马般的舞蹈,驶上路肩,然后在柏油路上旋转了好几圈后以狼狈的结局收尾。


于是醒来时,我已一个人伫立在了『红色房间』里。
(译者注:还真是结束在了最令人在意的地方啊)
#13 - 2023-12-29 06:15
(魔王承認、魔法力解放、ケルビム(Cherub)詠唱、セラフ)

「我是战车,除此以外什么都别问!」
       被受妄想支配的男人所威胁,夕凪真市与自己的家人发生了禁断的关系。
       其结果,是姐姐的自杀,妹妹经历堕胎后自闭在精神的壳中。
              真市为了养活自身和妹妹到处售卖『月蚀业力水』而奔走。
虽然是宣称能够救济灵魂的奇迹之水,那实际上不过是普通的自来水而已的『虚伪的救济』。
      真市被罪恶感和卑劣感所折磨,其精神已经迎来极限。
自缢而死的姐姐在『红色房间』里复活、自闭的妹妹不断从电视雪花里接受『启示』。
      迷之少女,水上夏树反复耳语道――「我带你去世界的尽头」。
      不久真市,到达了于世界的尽头耸立着的废墟『茧(Cocoon)』。
舍弃世界的人们在这里肩并肩相互依存苟活的废墟,果真是『世界的尽头』吗,
还是说,只是悲惨的弱者的避难所而已?
所有秘密的解答,都在、『茧(Cocoon)』的地下深处长眠……
(此内容部分参考百度百科,稍作修改)
#14 - 2023-12-29 06:21
(魔王承認、魔法力解放、ケルビム(Cherub)詠唱、セラフ)
公爵官网旧版的介绍

第一版 2002/06/01  更新

关键词是「宗教」「核爆」「救济」

2002年预定发售。

开发路线:「曼哈顿计划」先导故事(译者注:prestory) 文:やまだおろち(译者注:金月龙之介)
我们,不得不落下——。
制历2002年,跌落与魔法的夏天。

也就是这样的事情。
我们想触碰名为真实的东西。
加上各种补注,重叠各种理论,变得更加高尚......
怀有想用不会被任何人嘲笑的华丽辞藻来装饰它的心情。
然而大概,我们所追求的东西是那个。
简单而确实的答案。
也就是——我们想触碰名为真实的东西。

「我们,不得不落下」
云居菜种这样说了。
于是我们,落下了。
深深地。
深深地。
在自己中。
在他人中。
或者说通过深深地坠入世界内部,我们祈愿能够触碰到真实。
如果哪里都没有所谓真实的话,
为了得到所谓的真实并不存在的这样的事实,我们不断从灵魂之井落下。
我们那样的探索之旅,有人称为『跌落的物语』。
TV上。
杂志上。
因特网上。
我们作为跌落的物语的登场人物被叙述了。
——承认吧,公正地说,我们伤害了许多不该伤害的人。
伤害了社会本应有的样子。
而最重要的是把自己自身损坏到了无法修复的地步。
与这起事件有所牵连的人,在很长一段时间里大概都会保持着伤痛继续承受下去吧。
也许那是,或许是永远无法愈合的致命的伤。
我们踩空失足了。
搞砸了。
数个选项中,选择了最坏的形式。(译者注:以最坏的形式选择)
 尽管如此,我也还是要说。
我们的物语是关于奇迹的物语。
  若是奇迹这个词听起来实在有点像新兴宗教似的话,
那就更加廉价点,也可以改说成是魔法。
那个夏天,我目睹了数个真正的魔法。
和真正的魔法使们一起度过(译者注:或生活)了。
——承认吧,我们确实选错了很多选项。
然而,在数个选项的限制范围内做出了所能做到的最好的选择。
 是这样吧?
  呐,是这样吧?

那个夏天所发生的事件全部,都处在晕眩似的幻惑的摇动之中。
制历2002年。
夏。
我理解了。
有价值的东西。
美丽的东西。
有意义的东西。
它们在我伸出的手的,触手可及(译者注:一点点)的前方闪闪发光地熠熠生辉。
我以为我能抓住它。
而结果,我,还是没能抓住它。
月代映子的话一定会这样说吧。
「没关系。总有一天会——的哦」

也就是这样的事情。
我们想触碰名为真实的东西。
 我现在,可以像这样总结制历2002年的夏天。
  然而,我也知道那里缺少了某种当时应该存在的东西。
那既是光,也是风,亦是音,是那类不能化为形体的众多事物。
我已经不能再触及它们,也无法叙述它们。
它们在我伸出的手的,遥不可及的彼方闪闪发光地熠熠生辉。


拜托了神明大人。
拜托了。请不要再从我身上夺走任何东西了。
(译者注:月代映子,后来少女病的公开的信息中好像从没出现过这个名字了,是废案吗?和101的神奈一样,都姓月代呢。话说仔细看旧版水上夏树的立绘的话,个人觉得和神奈很像,只是长马尾变成了短的。而且这校服很熟悉吧,就是101中的人物穿的校服,只是胸口处的纽扣由圆形变成了十字架形,适当地联想一下101中与十字架有关的人物是?对,是神奈。所以我不负责任地想水上夏树可能其实就是这里所称的月代映子吗,神奈的妹妹之类的?(瞎想的)但是为什么要把名字改成水上夏树呢,当然全是我乱想所以这个假设可能本来就不成立所以也就没什么好思考的了 新版立绘倒是把十字架纽扣去掉了 头发也变成了感觉和贵森原画不搭的红色)
#15 - 2023-12-29 06:22
(魔王承認、魔法力解放、ケルビム(Cherub)詠唱、セラフ)
第二版 2002/07/26  更新

售卖『月蚀业力水』而到处奔走的主人公=真市。

虽然厌恶依靠诈骗这一人类的弱点。
却没有足够强大到去实行革命——
他也理解自己只不过是个弱者,
但依然这样活着。

索性想成为究极的愚者……
想要成为沉溺于廉价救济的傻瓜……
一边这样想着,真市一边售卖月蚀业力水而到处奔走。

希求『净化业力』的人们。
充满妄想气息的奇妙的告白。
与义妹的淫靡的关系。
闪回的记忆。
自杀的义姐埋在沙发中笑着的『红色房间』。
在如万花筒般的混乱中,真市将自己磨损得粉碎。

最终真市,到达了弱者们聚集生活的『废墟社区』。(译者注:废墟community)

逆行于废弃的铁道线路。

寻找埋在草中路标。

走过嘎吱嘎吱的铁桥。

穿过长长的隧道。

仿佛超越时间的旅途前方,
那个废墟悄然地呼吸着。

反过来去否定否定他们自身的世界,(译者注:对否定他们的世界,他们回以否定)
试图通过封闭世界来创造世界的少女们。
存在于那里的是弱者的避难所。
是失败者们的王国,是世界的尽头。

真市寻找出了救赎的碎片。

但是,他们最终被命名为『新兴宗教』。
成为被谴责,被侵略,被蹂躏的对象。

若世界的条理不允许两个世界并存的话。
若是非要否定弱者到底的话。
那么就让世界的条理终结如何。

真市他们的恐怖行动是针对指向何物的呢。
对社会构造?
对命运?
对神明大人?

或者说是对着自己自身——将那枪口对准了自己自身也说不定。
#16 - 2023-12-29 06:22
(魔王承認、魔法力解放、ケルビム(Cherub)詠唱、セラフ)
以下出处未知,是从原blog下载的zip中的txt里的最后一段话

和往常一样仍旧是一成不变的炎热的一天。
然而风很清爽,因而阳光中感觉不到以往的精气。(译者注:精神活力)
一切事物都宿命般地抱有着可以被称为「终结的预感」的阴影,
悄无声息地渗入了世界。
渗进电线杆的根部,云的碎片,草的摇曳中。在街道的角落
能够寻找出那个阴森森的气息。
蝉死了。夏天结束了。一切都将远去而消逝。
然后我便会留在这里。

思考远去而逝的事物真是悲哀。
即使那是不愉快的热气和苦涩的记忆,远去而逝的事物也因其远去而逝而令人悲哀。
而这种悲哀,给我带来了一个启示。
「归根到底,我不是什么也没得到就终结了吗?」

我一直渴望得到美丽的事物,正确的事物,有价值的事物。
比如适合的(译者注:与自己相配的)自我和完美的自律诸如此类的东西。
而迟早——虽不知是何时。总有一天——我坚信能够掌握手中。
但是归根结底那只是一场梦,或许一切都只不过是没有收尾笑点的玩笑。
就像目送了夏天,就像目送了她一样,也许我对我自身的人生
也只能将其送走了也说不定。
若是如此,于那里还存在什么意义呢?
#17 - 2023-12-30 11:03
(魔王承認、魔法力解放、ケルビム(Cherub)詠唱、セラフ)
公爵官网里的主要人物介绍(官网的图片已经404了,自己从pv里截了)
雲居 菜種
(くもい・なたね)

        占卜未来的少女。
废墟社区的领导者般的存在。
其力量是真的吗?
抑或是与月蚀业力水同样
只是『弱者的神明大人』呢?


夕凪 鏡子
(ゆうなぎ・きょうこ)

         真市的义姐。
虽曾售卖月蚀业力水,
半年前自杀了。
存在于真市的精神世界中
被幽禁于『红色房间』里。

夕凪 理有
(ゆうなぎ・りう)

        真市的义妹。
半年前,经闯入家中的强盗的强迫下
强制地被迫与真市性交,妊娠。
经历了堕胎,自那以来精神罹病
正自闭着。


御厨 椎子
(みくりや・しいこ)

         目标成为记者的少女。
正义感很强,
坚信世界可以革命。
但是,也开始对这种立场感到身心疲惫。


水上 夏樹
(みなかみ・なつき)

        通过冷嘲热讽,
将对世界的绝望理论化的少女。
嘲笑废墟社区是「弱者的圣地」,
保持着退一步的立场。


宮代 恋
(みやしろ・れん)

          
受被称为『少女病』的
无法治愈的腐朽疾病侵蚀的少女。
一边直面死亡,也一边始终保持积极乐观。
「只要坚信愿望就会传达」
口中哼唱着这样的流行歌。












最后想说的话

感谢您愿意看到这里。

蒐集四处散落的残垣断壁般的碎片,拼凑出的妄想逐渐有了轮廓,妄想有了凭依,有了方向,被赋予了形体。无数次想要触碰到的真实。无法触及。无法叙述。得到了什么,又失去了什么呢。但妄想终是妄想,也许无法成为现实,只是在伸出手的那似触手可及而又遥不可及的前方闪耀着。我,于此满足了吗?

制历2002年的那个夏天的魔法大概到现在也持续着。

驶上失落高速公路吧。身穿神父服。出差前往委托人所在的城市。倾听委托人的哭诉衷肠。卖一杯月蚀业力水。赐予委托人救济。当一名世界尽头的完美欺诈师。

默示录的日历。战车。失落高速公路。莱利・R。杨格・迪伦。时速90km的汽车。世界的尽头。LYRICAL POP WORLD'S END。人狼轮回教会。月蚀业力水。神明大人。水上夏树。红色房间。曼哈顿计划。跌落的物语。于世界尽头耸立着的废墟『茧』。弱者所聚集的废墟community。与拓司所见白色房间不同的红色房间中,姐姐会对真市说什么呢?自闭的理有从宛如101中闪现而过的“沙沙沙”的电视的雪花中获得了何种启示?真市撞到的东西真面目为何物?于世界的尽头存在着的废墟,其中的弱者们会产生怎样的交点?然后御厨椎子是怎样呢?宫代恋呢?云居菜种呢?月代映子呢?对社会的叛逆?对命运的反抗?对神明大人的忤逆?对世界条理的终结?对真实的追寻?对自身的救济?对自己的革命?将枪口指向自己自身的,被称作『新兴宗教』,被谴责,被侵略,被蹂躏的真市他们会将这一切如何收尾终结?

或许是通过一次犹如曼哈顿计划的宏大的核爆炸也说不定。

制历2002年,幻惑的跌落的夏天,究竟发生了什么,失去了什么,终结了什么呢?

少女病到底是什么呢?是侵蚀宫代恋的腐朽疾病?是其于口中哼唱出的流行歌?还是真市以时速90km于失落高速公路中让话语搭上舌头所吟唱出的魔法般的抒情流行曲?是LYRICAL POP WORLD'S END?抑或是在每个弱者心中都存在着的那份终难以消散的悲哀?

去失落高速公路兜风吧。乘上时速90km的汽车。细斟一杯月蚀业力水。收音机中放着抒情而又流行的曲子。远处的荒野。废弃的核电站。目的地是世界的尽头。或许副驾驶上还陪伴着一位奇怪的少女。

制历2002年的那个夏天的魔法无疑到现在也持续着。

即便是20年后的现在,也持续着,并且会永远持续下去。
要问为什么的话,因为我或是我们已经受病缠身、病入膏肓了。那是无法治愈的,无法言喻的,没有形体的,将一切终结的,腐朽的,虚幻的,极其严重的,却亦有价值的,美丽的,有意义的,流行曲般的,抒情诗般的,从过去,现在,到未来,即使是在世界的尽头也依然存在的,宛如宗教般的已至末期的永恒的疾病
——末期、少女病

LYRICAL POP WORLD'S END

只要坚信    愿望便能传达
信じれば  思い届く
#18 - 2023-12-30 19:43
(魔王承認、魔法力解放、ケルビム(Cherub)詠唱、セラフ)
#18-1 - 2023-12-31 10:30
サトネ
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