2016-12-20 15:21 /
今も続くアニメ遊戯王シリーズ、その原点である原作遊戯王へのレビューです。
(カード)ゲームをメインとした異質な漫画ですが、友情の素晴らしさを感じさせるものでした。

【良い点】

・ゲームを用いた戦闘
前半では色々なゲーム、後半はカードゲームを中心にバトルが繰り広げられます。ゲームということで重要なのは戦略となり、登場人物が様々な戦法を取るのが好きでした。
カードゲームは特にその色が強く、カードを複数枚組み合わせたコンボにいつも驚かされました。モンスターのデザインも個性的で、見ていて飽きません。

・友情の熱さを伝えるストーリー
本作の主人公の名も無きファラオは、当時はかなり過激な性格でしたが、武藤遊戯や城之内などの友を得る内に、少しずつ正義の心を知っていきます。
そして他のキャラも互いを支え合え、徐々に友情を築き上げて行きます。この辺りの描写も丁寧で、好感が持てます。

・キャラが魅力的
主人公の表&闇遊戯のコンビに、初期からの仲間である城之内や杏子、永遠のライバルである海馬、激戦を繰り広げた決闘者達と、色々なキャラがいました。
この作品の登場人物の大半は、最初は碌な性格ではありませんでしたが、戦いを経て少しずつ成長していきます。その様子は見ていて感慨深いです。

・古代エジプトを生かした奥深い設定
本作の主人公は古代エジプトの王で、特殊能力を持つ千年アイテムをめぐって戦います。そしてカードゲームが中心になると、神のカードが登場し、戦いはさらに激化します。
これらを集めた上で始まった記憶編では、これらのアイテムを使った展開が繰り広げられます。うまく設定を使っていて面白かったです。

・画力が高い
初期は微妙でしたが、連載が進むにつれて登場人物はもちろん、モンスターの迫力もより強くなってきました。ブラック・マジシャンや青眼の白龍を代表として、個性的なデザインのモンスターが数多く登場しました。
コマ割りもうまいので、漫画をより楽しく見られました。セリフも後半になるにつれ格好いいのが増えていきました。

・ラストの展開
真の記憶を取り戻した王が、武藤遊戯と遂に戦います。他のキャラが次々と声援を送る中、今まで使用したモンスターを操り戦いを繰り広げる2人、そして最後の別れは感動してしまいました。
人の「死」について向き合う遊戯の姿が印象的です。物語の終わりとしても、非常に納得できるラストと言えました。

【悪い点】

・空気化するキャラがいた
ヒロインの杏子や親友の本田など、カードゲームが中心になるにつれやや出番が減る人がいたのが少し残念でした。
1発キャラの中にも面白い人が多く、再登場の機会をもう少し増やして欲しかったです。

・都合のいい展開がやや多い
初期はカードの効果がご都合的だったり、ゲームのルールの穴(とは言いにくいもの)をつく様な展開が多く、あまり納得できませんでした。
しかしこれについては、後半では改善されているのであまり気にはなりません。

・倫理観に欠けた世界観
舞台が現実世界にありそうな町だった分、ゲストキャラ(初期はメインキャラも)の性格がひどく、常識的にどうなんだというキャラが非常に多かったです。
また初期の海馬の行動は犯罪に限りなく近く、やや過激な描写に思えました。

【総合評価】

やや無理な展開はあるものの、友情を全面に押し出したストーリーは非常に熱かったです。カードゲームも戦略性が高く、毎回戦闘を楽しめました。
以上が漫画遊戯王へのレビューです。評価は最高で。