2021-6-17 21:15 /
評価点
ストーリー
『1』から暗躍していた悪の組織「プロペラ団」との完全決着。
ファンの間からは『1』『2』『3』を合わせて「プロペラ団三部作」としてあげられる事もある。
初代から継続して登場した『四路智美』は本作では「選ばれなかった彼女キャラ」として1主人公への未練を捨てきれないプロペラ団の幹部として登場。1度クリアして条件を満たすとお互いに素性が分からないまま交流を持つことが出来る。
「別の世界の自分」が『1』の主人公と結ばれた可能性について想像する台詞はロマンチストな彼女らしく良くも悪くもギャルゲー度の高いパワポケシリーズの根底を見据える発言として名言として挙げられている。GOODエンドで過去の記憶を取り戻した主人公が極亜久高校の頃の集合写真を手に取るアルバムEDは『1』からのプレイヤーを切なくさせるだろう。
今回の主人公が所属する事になる草野球チーム「火星オクトパス」は、多くのキャラをスカウトできる。
「たかゆき(ロボット)」「立花ボボ(バッタ怪人)」「服部(新興宗教の教祖)」のようなプロペラ団の部下をミニゲームで仲間にできる上、『1』で登場した聖皇学園の「ネロ」、大東亜学園の「鋼」、白鳥学園の「冬野」、『2』のモグラ―ズ選手の「ドミオ(条件を満たすとメカドミオと化してパワーアップ)」「倉刈仁志」といった旧作キャラも仲間に出来る。初期メンバーの「アンヌ」も女性ながら投手・野手能力ともに頼りになる。
亀田は本作では野球選手としては仲間にならないが後のシリーズのアレンジモードでは「ネオ亀田」も追加される。
初期パワポケオールスターチームとも言え、パワポケの草野球チームの中でも最強クラス。なかなか熱いシチュエーションである。
一方モブキャラ勢(火星カンパニー社員)も主人公がコーチをすることで強化ができ、鍛え上げればサクセスキャラに匹敵する能力にすることもできる。多くの行動ターンを消費するため、どこまで強化して試合に臨むかはプレイヤー次第。
初期状態でも能力バランスが良く大抵スタメンに入る「島宗」や「杉本」、特に欠点のない先発投手の「池藤」「栗原」などは頼りになり、サクセスキャラと組み合わせれば強化しなくても意外と運用しやすいチームである。
ただし「たかゆ」「立花」「服部」「ネロ」*1以外のキャラは必要なイベントが多かったり加入がランダムだったりするため全員集合を見るのは難しい。
野球の進化
ハード進化に伴い、グラフィックが色鮮やかに。
パーツが必要だが守備・走塁をオート・セミオートから選べるようになった。前作まではオートオンリーだったので目覚ましい進化と言える。
また「アウト」「フェア」「セーフ」「ゲームセット」などの掛け声がボイスで流れるようになった。GBAの性能をいかんなく発揮したといえよう。
その他
BGMは好評なものが多く、味の出ているサクセスの季節曲や1のスタッフロールのアレンジが使われている「セレクト画面の曲」やガンダーロボ戦にて流れる「ガンダーロボ」など完成度が高いものが多い。GBAのローチンタイトルのため音色使いには癖がある*2が、それがいい味を出している要因となっている。
後のシリーズにも引き継がれた新要素
パーツを集めて能力を上げるシステムが初登場。
パーツは能力パーツ・特殊能力パーツの他にサクセス内でのみ使用するパーツがあり、合計で30個まで所持できる。能力パーツは同じカテゴリ内でも上昇量の違うパーツがあり、上昇量が大きいほど値段が跳ね上がっていくが、小さいパーツで能力を上げようとすると30個しかないパーツ欄を圧迫し頭打ちになるため、所持金や目標能力・サクセスパーツとのバランスを意識したやりくりが必要となっている。
特殊能力パーツは従来の特殊能力と同じだが、売却や破損などにより付け外しが可能である。またサブポジションも特殊能力アイテム扱いで購入できる。
サクセスパーツは選手能力に影響しないアイテムで、「ドリル」などのアルバイトに必要な道具、「防水スプレー」「対人ミサイル」などイベントで身を守るアイテム、現金と同額で売れる「金目のもの」などがある。なおサクセス終了後は不要になるため、売却しなければパーツ欄を圧迫するだけである。
パーツは売却可能だが、売値は原則として買値の半額となる。なおマイナス特殊能力も売却できる(消去できる)が、多額の金を払って引き取ってもらう形となる。「呪いの人形」などのマイナスアイテムも同じ。
通常のサクセスと違い、特定の能力を上げやすく個性的な選手を作成しやすい。
後のシリーズではRPGでキャラを鍛える「裏サクセス」の野球人形において使われる手法になる。
新しい特殊能力が追加された。それに伴い彼女キャラとの攻略で得られる強力な「超特殊能力」も追加された。
パワポケの歴代オリジナルチームと実在球団を合わせたチームを作れる「アレンジ」が選択できるようになった。
パスワード入力により過去の作品の選手を登録できるようになった。
条件を満たせば彼女や仲間のアルバムが追加される。
アルバムの自由閲覧モードは『4』から追加された。

賛否両論点
パーツシステムによる「練習しない」野球ゲーム。
アルバイトなどでお金を稼いでパーツを買って強化する変化球システムは賛否両論である。
なお『4』以降は普通の練習や彼女との交際で強化するシステムに戻っている。
シリーズでは唯一、やる気の状態のメーターが無い。その為、試合では主人公の調子はランダムである*3。ただ、やる気がないことによって管理をする必要がないため遊びやすいところもある。
とにかくマイナスイベントが多くて死にやすい。
以前作や本家「パワプロ」での「体力」が本作では「エネルギー」となっているが、「エネルギー」が切れる(数値が0になる)と道端で動けなくなって粗大ごみとして捨てられて即ゲームオーバーになる為、他シリーズ作品より体力ギリギリまで行動するリスクが高い。絶えずエネルギーには細心の注意を払う必要がある。
通常の行動や「仕事」でのエネルギー消費はどれだけ行っても最低「1」で踏みとどまってくれる。しかしエネルギーを消費する、あるいはエネルギーを消費する状態異常になるマイナスイベントがとにかく多く、最低値付近で回復する前にその手のマイナスイベントが起きるとゲームオーバー確定である。
「ストレス」が溜まって暴れるしかなくなってエネルギーを使い果たして死ぬ、川に落ちたりするランダムイベントで大きく削られて死ぬ、雨が降ったり事故ったり荒井三兄弟にキムチぶっこまれたりで「ショート」になってエネルギーが削れて死ぬ…等。
かといってエネルギーを毎週大きく回復してくれる原子力発電を持つと、亀田が放射能汚染を恐れて殺しに来る(鉛箱に入れられて海に沈められゲームオーバー)。警告のイベントが2回発生するのでそれを見てからパーツを処分すればいい…のだが、原子力発電はマイナスアイテム扱いのため、売るには大金を支払う必要がある。
発電機にはガソリンや太陽光などもあり、回復量は原子力に劣るものの上記のようなゲームオーバーに直結するデメリットはない。ただし入手から1年経過するとランダムで爆発し他のパーツもろとも消滅してしまう。こちらは売却すれば高額で売れるので、入手時期を覚えておいて1年経過直前に買い取って貰えば低リスクで運用できる。
運が悪いと「川に転落してショート+ストレス激増→暴れるしかできずエネルギー激減→そのままショートでエネルギー切れ」とイベント一つでゲームオーバー一直線になることも。そのため、やり込んでいてもリスクのある行動を取るとあっという間にゲームオーバーになってしまうこともある。
その分、コマンドの「エネルギー回復」を実行すれば必ず100%まで回復できたり、上記のエネルギーを自動回復してくれる発電アイテム、ショートやサビつきを防ぐ「防水スプレー&メッキ」*4、エネルギーがゼロになった瞬間に自動的に100%に回復する「予備バッテリー」など、エネルギー切れを防ぐ術は結構あるため、バランスは取れてはいる。前述のケースも防水スプレーや予備バッテリーを持っていれば防げる話である。
効率的に「ドリル」か「シールド」を手に入れてその仕事をするのが一番いいとされる。
博士のゴミ捨てや亀田の無駄遣いなど無限発生する凡庸イベントが数多く存在する。そのくせ仲間や彼女が必要なランダムイベントは欲しいときに起こらない事もしばしば。
ただ、慣れれば最終的に記憶さえ上げておけば亀田と殴り合えるのでクリア自体はそれなりに安定する。ただし終盤にトラックや仕事での事故が運悪く連発して記憶が激減することがあるため油断は禁物。
上にも繋がる話だが、相棒メガネの「亀田」が非常にウザイ。『1』の頃はお調子者ながらそこまで悪い奴ではなかったが、本作の亀田は本当にウザい。
商売道具を拾ってきては主人公を故障や病気にする。一定の週に「徴収」として自分勝手な買い物(ハンコ・英会話キット・空気清浄機など最高6万)をするためにお金を持っていく*5。そのせいで難病のヒロイン・ゆかりを救うのに必要な手術費(300万円)を稼げずに死なせてしまう事も多々あり、亀田への殺意が湧く。またエネルギー切れなどのBADエンドで主人公がうっかり死ぬ時は薄情なほどあっさり見捨てる。
本作でも唐沢博士の娘である「ヒナコ」ルートなどでは亀田が主人公に気を効かせているシーン自体はそれなりにあるのだが、それ以上に妨害行動*6が目立ち、明らかな「お邪魔キャラ」として設定されている。
だが、ストレス要素であるパーツの破損の原因には一切作らないという憎めない点もあったりする。
そんな「亀田」とは、最後のミニゲームでの殴り合いで決着がつけられる。それまでの亀田の散々な徴収や嫌がらせで溜まった鬱憤を熱いBGMと展開と共にぶつけられ、勝った際には主人公が亀田を一喝する熱い展開がある。
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荒れ果てていた極亜久高校野球部を持ち前のやる気と熱意で立て直し、甲子園優勝まで成し遂げたことや、実は主人公が好きだったのに当てつけで自分が智美と付き合うことになってしまった主人公に対して激しい嫉妬心を抱いていた亀田。自分を当て馬にした智美への当てつけとして、智美の本当の想い人だったその主人公を最大限利用して、世界征服を企んでいたことを告白する。
それを聞いた主人公は激怒し、「自分で努力をしようともせず、他力本願で物事を為そうとしても心が満たされるわけがない。苦労してこそ、努力してこそやり遂げたっていうことなんだよ!」と歪んだ心を持った亀田を一喝する。
最終決戦で負けると亀田の奴隷となり、全所持金とパーツの多くを持って行かれる悲惨なラストが待つ。だが亀田との殴り合いミニゲームは練習不可なので緊張感が溜まる。
そのミニゲームも、亀田に今まで徴収されたお金の額によって難易度が変わるため*7、負けた時のリスクを考えれば、後述のように人の良さを上げて避けた方が良い見方もある。
「人の良さ」が極端に高いと亀田を許し、その亀田も主人公の人の良さにあてられて主人公を人間に戻す展開になるため、ミニゲームが免除されてそのままクリアとなる(逆に「人の良さ」が極端に低いと亀田と共にサイボーグのまま(プロで大活躍するため)悪の道に進むことになってしまう(一応これでもゲームオーバーでなくクリア)。
その際に主人公が語る「亀田君のおかげで生き返ってみんなに出会えて野球が出来た」というお人よし全開な「相手の悪意的な行動に対して恨みを抱くよりも自分にとってプラスになったことに感謝する」という解釈をする展開は後のシリーズの一部の彼女とのクライマックスでも使われることになる。所謂「正義の反対は、慈悲・寛容」なんじゃよ。
本作の亀田は主人公に対する「腐れ縁」で嫌がらせを行っており、主人公との因縁が非常に強い。DSシリーズ末期にありがちな「主人公と一切接点がない悪役」よりも、小物でも主人公への因縁が非常に強い亀田の方がいい悪役だったと評価する声もある。
本作で完全に「悪役キャラ」が確立したためか、次作の『4』以降の裏サクセスの黒幕キャラは全て亀田と「ガンダーロボ」か(ファンタジー風世界なら)「ガンダーゴーレム」が務めている。
ただし後期シリーズではほるひす・曽根村・ギャスビゴー星人・ハームレス・グントラムなどのキャラに「真のラスボス」のお株を奪われる事もしばしば。
効率良く育てる手段が「智美」「ゆかり(難病の小学生。300万円を渡すと助かる)」ともう1人別の女性(唐沢博士の娘である「ヒナコ」など)の三股をかける事である事は賛否が分かれる。
結局、智美とは友情は取り戻せても恋仲になる事はないし、ゆかりは小学生である故に恋愛関係ではないので厳密には三股ではないのだが…。
なお「ヒナコ」は彼女と結ばれた後に起こる「唐沢博士の暗殺事件」が『11』において重要な伏線として回収されたため、正史ヒロインではないかという説がある。
パワポケにおいて今後はあまり「正史ヒロイン」を明言しなくなった。
おまけサクセスの「ドキドキ地雷パニック」が本当におまけ。
『2』の戦争編にあった呪い島とほぼ同じルール。要するにマインスイーパ。
新プラットフォーム以降で開発期間が足りず、ミニゲーム的なものしか作れなかったとのこと。
この現象は後にDSへ移り変わった直後の『8』でもあり、その際に「新ハードは地雷」というネタも残している。



問題点
ストーリー
『1』の正史が荒井紀香(ハズレ彼女)であること。
当時の話になるがこの紀香が本当に酷いキャラである。良い事は「野球超人伝」をくれる事くらい。
とにかくマイナスイベントを与えてくる。パワプロのカレンが聖女に見えるほど性格も悪い。『2』では保険金目当てで2主人公を殺しに来るイベントがあるくらい。
本作ではランダムイベントでの回想のみの登場であるが、それでも酷さは健在で、記憶はある程度戻せるがストレスが大幅に上がってしまう。ただ、これはまだマシなレベル。
また亀田が歪んだのも、主人公が好きだった智美があてつけに亀田と付き合いだした事が大きいらしい。主人公が紀香とくっついてしまった事で起きた悲劇でもある。
バグ
初期出荷版ROMでのバグがある。
彼女候補の看護婦「叶野ミキ」のイベントで強制フリーズする*8。
そのため、このルートのアルバムは修正版でなければ見ることが出来ない。
服部を仲間にしなかった場合、3年目の全試合相手の調子が絶好調になる。
ホームラン直後にセレクトボタンでスキップするとフリーズすることがある。
試合中に特性操作を行うことでリセットペナルティを回避でき、何度でもリセットできる*9。
一部のイベントでのパラメーター変動がテキストに表示されない。特定条件を満たすと河原で犬に合うイベントでストレスが下がらなくなる。
ドキドキ地雷パニックでパーツアイテム*10から「変化球+2」パーツを手に入れることができない。
バグと言えるかは微妙だが、ゴール直前でのセーブが初期版のみ可能。
アンヌをパワーアップさせると、それまで受けていた能力補修が無くなってしまい逆に弱くなってしまう。
これは「能力が上書きされてしまうこと」が原因。
火星オクトパスに最初から所属しているアンヌや社員達は前述のようにコーチによる能力補正がつくのだが、この補正は「鋼」や「ミニゲームで仲間になったキャラたち」などは一切受けない。パワーアップ後のアンヌは後から入団したキャラと同じ扱いになってしまう。
ドミオのパワーアップイベントが発生しない*11。

運要素の強いゲームバランス
身体の故障や心の病気の治療の成功率がGBAシリーズの中では55%と最も低く、運が悪いと連続で失敗する。
バイトでの事故率がエネルギー関係なしに固定されているため、高額収入の仕事は常に危険が付き纏う。
しかも事故が発生する毎にパーツが破損してしまう仕事が二つあり、それがよりによって「ドリル」所持時に行える「トンネル工事」と「シールド」所持時に行える「ボディガード」である(前者は10%、後者は15%)。
どちらも高給の仕事で、強い選手の育成には不可欠であるため、アイテムを高価な能力パーツで埋めることが多い終盤に事故が起こり高額パーツが壊れてしまいストレスが溜まることが多い。せっかくもらった威圧感や超特殊能力パーツまで壊れてしまうことがある。
一応持っているだけで優先的に破損してくれる「チョコレート」などのパーツもあるが、非売品である。
トラックに轢かれるイベントの発生確率がシリーズ中最も高い。
育成選手の二人に一人は発生するぐらい。さらにイベント発生時にトラックに轢かれる確率が80%と非常に高いことも問題であり、自力回避の前に犬が助けてくれる確率も20%と低い(『1』『2』では自力回避率と犬が助けてくれる確率がそれぞれ『3』より20%高い)。
前二作ほど轢かれた時の育成ダメージは大きくなく*16、運良く格安パーツだけが壊れるだけで済むこともある(最大3つまで)が、それでも高すぎである。
また、このイベントは発生した瞬間、轢かれたかどうか決まるためリセットでは防げない。
パーツシステムのためか特殊能力パーツを入手する機会がほとんどなく、基本はジャンク屋にうろついて買う以外方法はない*17、売っているパーツがランダム*18のため欲しい特殊能力パーツが売っていることが中々ないため*19入手しづらい。
ランダムイベントでたまに入手できることもあるが、マイナス特殊能力パーツを手に入れてしまうことも多い*20
ジャンク屋のシステムにも批判が多く、特殊能力以外のパーツも売っている確率がそれぞれ33%か17%で、何週間うろついても防水スプレーやドリルなど欲しいアイテムが売っておらずストレスがたまることが多い*21。
せめてもう少し確率を増やすか、ローテーション制にする必要があったと思われる。 このように、パワポケ3にはプレイヤーの運を問われる要素が多く、問題点となっている。
他にも仲間評価の概念が無いため、火星オクトパスの選手達の能力を上げるためには、うろつきで選手達のコーチをして上げるしかなく、この時能力が一段階上がる確率は60%でこれも運要素である。
その他の点
サクセスでキャラクターの製造番号が「4n-1」の時にロックオンマシーンが貰えるイベントがあるが、真面目に強い選手を作ろうとするとこれを貰わない手は無い為、結果として選手を1回作る間に3回わざとデータを消去する必要に迫られる*22。手間がかかるだけの要素として批判されやすい。
アレンジチームとしても使用できる敵チーム「ドリームドルフィンズ」の適正ポジションの偏りが異常。
一塁手と三塁手以外の適正ポジション持ちは各ポジション1人(外野手は3人)だけ、三塁手は2人で残り全員が一塁手というとんでもない配分になっている。その上サブポジは誰も持っていない。
しかも一人しかいない二塁手と遊撃手は共に能力値がFとGしかなくまるで使えない。一塁手の控えはそこそこ能力の高い選手が多いが、スタメンの一塁手がパワーAの主砲であるため殆ど出番が無い。
この時代のパワポケはアレンジチームの登録人数が少なく(野手は14名)、ドルフィンズに限らず選手のやり繰りは苦労するのだが、ここまで偏ったチーム構成は他にはない。ドルフィンズは選手の能力もかなりピーキーでありわざと偏った構成にしているのかもしれないが、それにしても使い辛いと言わざるを得ない。
総評
携帯機における野球ゲームとして見てもパワポケ世界として見ても歴史に大きな影響を与えた一作と言ってもいいだろう。今から見ると陳腐だが当時としては十分だったのだ。
パワポケの中でも癖の強い一作ではあるものの、プロペラ団と決着をつけるストーリーは十分熱く、心に残る名言も多い。
後のシリーズにおいて伏線扱いされた設定も含めて『パワポケ』シリーズの方向性を決めた一作の一つと言えよう。

余談
パワポケシリーズ本編は『14』まで発売されたが、バントが必須なのは本作だけである。
GBAの『4』~『6』でもバントを生かした戦法は有効だが、使えば便利なレベルにとどまっている。
サクセスで「安定感」が作動する数少ない作品である。
シリーズおなじみの「ダイジョーブ博士の肉体改造イベント(サイボーグなので改造パーツ装着イベント)」だが、本作では珍しいことに(発生さえすれば)確実に成功させる手順が正攻法で存在する。
『1』『2』『12』とセットでほぼ全曲収録された「パワプロクンポケット音楽館」というサントラが発売された。
本作のメインセレクトBGMはPSの『パワプロ2001』『2002春』『プレミアム』のものと共通(発売順的には本作が最初。またハードの違いによる音源の違いは当然存在する)。
パワポケとパワプロで共通のBGMが用いられることは非常に珍しい(他にはDS以降のホームラン競争くらい)。
先述した敵チーム「ドリームドルフィンズ」の選手名は、茂宮・口坂・井堀・上三・ビデオなど著名な(ゲーム)クリエイターの名前をもじった名前となっている。
ややマイナーなところでは角西・ジパトノフといった名前もあり、本作の対象年齢から言えば気付いた人は少ないかもしれない。
後のシリーズに与えた影響
『4』『5』では大人しくなったものの、『11』で回収された「ヒナコのGOODエンドで暗殺される唐沢博士」や『12』で中核を占めた「寺岡薫が遺したモノ」など後のシリーズへの影響は大きく、そもそも「サイボーグ」自体が『8』で別の掘り下げが進められ、DSシリーズの肥大化する世界観の根源が『3』で創られたともいえる。
本作だけ見ても「唐沢博士の暗殺」などは引っかかるモノがある。そこもパワポケ節なのかもしれないが。
智美の遺伝子は『8』の白瀬芙喜子、『9』の広川武美にも影響を与えている。特に白瀬は最終作の『14』までその生き様を見せつけるため、智美のロマンチストでビターエンド好きな性格がパワポケシリーズの土台を支えていた重要なファクターであるともいえる。
火星オクトパスのヤクザ監督である垣内監督は元々「火星の土地を手に入れたせいで火星開拓したがっている人」であり、プロペラ団基地を壊滅させた後に「次世代の連中がやってくれる」という事を信じていたが、最終作のつもりで創られた『14』のトゥルーエンドでは次世代の子供である主人公によって火星開拓が本当に進められ、彼の夢が叶った形になる。
Tags: 游戏