2022-8-10 16:59 /
Tags: 游戏
#1 - 2022-8-10 17:00
りっちゃんの憂鬱
原文http://yellow.ribbon.to/~savess/20060630/pri1.html

その日、彼女は暇でした。
どれくらい暇かといえば、コタツの周りをぐるぐる回ったりするほど暇なのでした。
彼女の名前はリーゼル。こっちの世界では理子。
その正体はみんなから「りっちゃん」の愛称で親しまれている『鋼の姫』なのでした。

それでは皆様、ただ今よりプリンセス・ワルツ番外編



      リ・エールタ
       開幕!!!


  「りっちゃんの憂鬱 お留守番編」


その日、彼女はどうしようもなく暇でした。
ぶっちゃけて言って何もやることが無いのです。
この家唯一の男は友達の所属する草野球チームの応援に出かけています。
他の姫達も各々の用事で家にはいません。
つまり今、この家にはりっちゃんしかいないのです。
出かけようにも気が乗りません。
家事はもう全部やってあります。
飛行型携帯電話の充電(1個につき約20円かかる)も100個全部終わりました。
何もやることが無いのです。

「・・・・・あらた・・・・・・・・・くん。」

座布団に顔を埋めながら愛する男の名を呟くりっちゃん。
いくらウブで純情とはいえども、やはりそこは年頃の女の子。
暇になると好きな男のことを考えてしまうものです。

「・・・あら・・・・・た・・・くん・・・・・・。」

もう1度呟いてみると不思議と彼が自分のすぐ傍にいるような気がしてきます。
そうだ、いつだって彼は当たり前のように前を向いて笑い続けてきました。
率先して危険な場所に飛び込んでいきました。
その姿にどれだけ勇気付けられたことでしょう。
そんなピカピカ光ってる彼だからこそ彼女は彼を好きになったのです。


「あらた・・・・・く・・・ん。」

さらに呟いています。
どうやらもう駄目のようです。
思考が止まらない。
色んな所に遊びに行ったり、何気ない日常を共有したり。
妄想が次から次へと溢れ出てくる。
左を向けば新くん。
右を向けば新くん。
正面にも新くん。
後ろにも新くん。
四方八方が新くんで埋め尽くされていきます。
まさにここは新くんだけで構成された約束された理想郷(アヴァロン)。
『新のいつも座っている』座布団に顔を埋めながら、彼女の手はゆっくりと下腹部に伸びて行く・・・



「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・。」

どうやら思いのあまり2回ほどヤッてしまったみたいです。
詳しい描写は作者の技量不足ゆえに勘弁してください。


そしてヤッてから大体10分。
どうやら少しずつ冷静になってきたみたいです。
まずは赤面。
そして後悔。
さらに自己嫌悪。
そんな自分をも優しく慰める彼を妄想してまた赤面。
顔どころか耳も首も真っ赤。
その姿は茹でられた蛸か海老かといった具合です。
自分でもまるで蛸のようになってるだろーなーとか思ってたら突如こんな言葉が頭に思い浮かんできました。


『彼のオカズは誰?』



無論彼とは彼女にとっての王子様である彼のことです。
考えるまでも無くお姫様たちは皆とんでもなく美人揃い。
りっちゃんは自分なんか全然パッとしない女だと思っています。
でも・・・もし万が一・・・自分を思って彼が・・・・・(///)


りっちゃん妄想中につきしばらくお待ちください


何かもう行動を起こす前に疲れ果ててるりっちゃんですが、ようやく彼の部屋の前につきました。
しかしここまで来て最後の1歩が踏み出せません。
もしも、そうもしもの話だけど
本の内容が『男装した美少女』とか『義理の姉』とかだったらどうしよう。
そんなことになったら自分は1週間は立ち直れない自身がある。
だけど知りたい、見てみたい。
不安と好奇心が鬩ぎあっておるようです。

(やっぱりこんなの良くないよね・・・)←理性
(いや、情報収集が勝利への第1歩だ。)←本能
(でも勝手に見たりしたら・・・)
(ばれなければ同じことだ)
(うう・・・)
(それとも、他の姫に盗られても良いのか?)
(!!)
(目の前で彼が他の姫と仲良くしてるのを見たいのか?)
(いや・・・見たくない・・・)
(ならば最大限の結果を出すために最大限の努力を行うのは当然のことだ)
(当然・・・)
(そうだ。・・・決して興味本位ではないぞ?)
(う、うん。そうだよね・・・)
(そうだ。これは、ほら、あれだ。単なる情報収集だ)
(うん・・・情報収集だから・・・良いんだよね?)
(まあ、良いだろう。たぶん)

理性と本能は対決どころか一致団結してしまいました。
もう彼女を止めることはできません。
恋する乙女に理屈は通用しないのです。

さて、部屋の中に入ったりっちゃんは何よりもまずこう思いました。



( ベ ッ ド が 無 い )


そうです、彼はいつも布団で寝てるのでベッドは無いのです。
一緒に働いていた職人の妻達から教わった隠し場所候補はベッドの下だけ。
他の隠し場所は知りません。
いや、そんなことはない。きっと忘れているだけだと思い直し、もう1度思い出してみました。



「エッチな本はベッドの下に隠してあるわよ。男ってそういうの好きだからね~」
「普段は眼鏡をかけておいたほうがいいわよ。男ってそういうの好きだからね~」
「武器は大きいハンマーかドリルがいいわよ。男ってそういうの好きだからね~」



どうでも良いような知識ばっかりですね。
1回だけ深くため息をついた後、気をとりなおし部屋を見回してみます。
まず目に付くのはトロフィーの数々。
つまり彼の努力の証とも言える栄光の象徴。
彼は何だかんだで下級のガードナーなら1対1で勝てるぐらい強いのです。
きっと元々才能があったのでしょうが、本人の努力によるところがとても大きいのです。
りっちゃんは知ってます。彼がこっそりクリス王子に頼んで戦闘訓練を受けていることを。
彼は前に歩み続けている。王子としての宿命を受け入れクリス王子と2人で支えあっている。
戦闘も、政治も、自分には向いてないとか逃げないでちゃんと真正面から向き合っている。
しかるに過去の自分はどうだったのか。
友達を傷つけても勝利のみを求めていたあのころの自分は。


「やっぱりすごいや・・・新くん・・・」


彼に関することならどんな些細なことでも、ますます彼を好きになってしまう。
そんな自分に呆れるどころか嬉しく思ってしまう。
もはや自分は彼から離れることはできないだろう。
彼がいなくなると思っただけで世界のすべてが壊れてしまったかのような錯覚に陥る。
きっと自分は彼の足に縋りつき泣きながら慈悲を乞うのだろう。
そんな風に思えてしまうぐらい、絶対にそんなことはしない彼が好きになってしまっているようです。


「新くん・・・。」


誰にも聞かれないように名を呟くと彼の布団に倒れこみました。
(私は何をしようとしていたんだろう?
 彼のオカズ?
 そんなの知ってどうするんの?
 いや、まあ、参考にはしようと思ってたけど、でも、やっぱり、そういうのは、ねえ?
 そうだ。それよりもこの布団を干しておいてあげよう。
 きっと彼は喜ぶだろう。
 こんなことからで良いんだ。
 焦らなくても良いんだ。
 少しずつ少しずつ私も歩んでいこう。
 彼に追いついて隣で歩めるように・・・)


「じゃあ、干しちゃおうっと。」

そう言って布団を持ち上げようと思ったその時です。
彼女の体から力が抜けました。
いや、違います。力が入らないのです。

「え・・・?どうして・・・?」

(大丈夫だ。七皇はもういない。
 とりあえず落ち着くんだ。はい、深呼吸。
 吸って~~~~~っっっっっ!!!!!)

「あ・・・う・・・ぁぁ・・・・・。」

深呼吸はするべきではありませんでした。
彼女は思いっきり吸い込んでしまったのです。
汗とかアレとか色々混じった愛する彼の体臭を。
頭がボンヤリする。体に力が入らない。いや、入ってることは入ってるようです。でも、その手は下腹部に伸びて・・・。
いけない、まずい、やばい、ピンチが危険で危くてデンジャラスです。

(駄目・・・こんなの・・・)←理性
(良いじゃないか。きっと気持ち良いぞ)←本能
(うん・・・良いよね)
(良いさ)

たった4行で理性は白旗を上げてしまいました。
なんせ彼の体臭はまさに『プリンス・スメル』とでも言うぐらいのすんごいものだったからです。
そんなのをメロメロな女の子に吸わせたらもうたまりません。
うつぶせになり大きく息を吸い込んで、そして・・・・・


「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・。」


4回もヤッてしまったみたいです。
さすがのプリンセスも体力が尽きてしまったようですね。
しかしまだ足りないのか手は小刻みに動き続けています。
そういえば、このごろは毎日こうして彼を思って慰めている。
週に1日ぐらいはしない日を決めておこうかな、と思いながら体を仰向けに返しました。
なんせずっとうつぶせなので、腕は痺れるしさすがに息苦しいしで結構大変だったからです。
でも、今は少々タイミングが悪かったですね。


「ただいまー・・・・・え?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・え?」


部屋の主がちょうど戻ってきたのです。
さて、彼女は今どんな体勢をとっているのでしょう?
まず、仰向けです。
そして、足を広げています。
ちなみに、足はドアの方に向いています。
さらに、自らのアレを指で広げています。
結論と致しましては、『丸見え』なのです。


「あ・・・・・・ぁぁ・・・・。」

彼女は思いました。
これは罰なのだと。
オカズを知りたいなどと思うからこんなことになったのだと。
きっと嫌われた。
絶対嫌われた。
彼女の世界が壊れていきます・・・。

「いや・・・見ないで・・・・・いやぁ・・・。」

思考が停止。
体も動かない。
隠さなくちゃ、逃げなくちゃと思っても、何もできない。
彼女はまさに無力。
闘う意思すら持てない哀れな子ウサギ

「理子・・・。」
「っっ!!」

ゆっくりと近づいてくる彼。
何も喋らない。
何も語らない。
その姿はまるで獲物を捕らえたオオカミにも似ていました。
ただ何だか普段と様子が違うような・・・?

「理子ぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」
「あ~~~~~~れ~~~~~~~~」


突如りっちゃんに覆いかぶさる新くん。
しかもいつの間にかパンツ1枚のみ。
どうやら彼はかの有名なル○ンダイブもマスターしていたみたいです。


「え?あ?新くん?だ、駄目!こここここ、こんな、あの、あれ?えっと?」
「ごめん、理子。俺もう我慢できない。」
「え?あの、だから、これはあの、違うから。」
「実は俺、最近ずっと理子のことが気になってて、一人でする時も理子のことばっかりで・・・。」


良かったね、りっちゃん。
彼の最近のオカズはずっとりっちゃんだったらしいよ。


「嗚呼!もう駄目だ!理子ぉぉぉぉおおおおおお!!!」
「あ、駄目!ああああああぁぁぁぁぁぁ・・・・・・。」


必死に抵抗(のフリ)をしますが今日1日だけで6回も自分を慰めたりっちゃんに体力は残ってませんでした。
可愛い野ウサギはオオカミさんに食べられてしまったのです。
ちなみに半分は喜んで食べられたところもあるようです



こうして妊娠したりっちゃんは、再び神の血を取り戻した聖女と呼ばれたりもしたが、
そんなことは気にせず、愛する夫と子のため今日も機械弄りをするのでした。



後日談

「これは何だ?」
「これ・・・揺り篭だよ。」
「揺り篭か~・・・・・揺り篭か?」
「怪しい人が襲ってきた時のために自己防衛システム搭載。
 いざという時のためにブースターも標準装備。
 トラックにぶつかっても大丈夫な衝撃吸収クッション。
 さらにクラシックなんかを状況を判断して自動的に流してくれるシステムも搭載してあるの。」
「あ、ああ。そっか・・・。まあ、頑張れ。」
「うん!新くんとお腹の子供のためにも頑張るよ。」
「・・・そうだな。でも、無理はしないでくれよ?」

ゆっくりと2つの影が重なりました。
例えきっかけがアレだとしても、2人は今、幸せなのです。

   めでたし めでたし


そのころ・・・
ここは闇と光が交差する場所。
ここにいるは始まりの王。
ここにいるは英雄だった魔王。
形はあっても姿は無い。
言葉はあっても声は無い。
ただただそこにいる2人だけの場所。

「やっとくっついたみたいですね。」
「ああ、そうだな・・・。」
「やけに淡白な反応ですね?」
「いや、まあ一体何のためにこんなことをしたのかと思ってな。
 念話や思考操作までやって・・・。」
「そんなの決まってます。あの子を見てると過去の自分を思い出すのですよ。」
「過去の?」
「はい。内気でシャイで素直になれない過去の私です。」
(そうだな・・・過去はそんな感じだったかな・・・)
「今もそうですけどね。」
「・・・あっそう。」
「その反応は何です?」
「いや?別に?」
「そんな反応をするなら今晩は『無し』にしますよ?」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・まあ、どうしてもと言うなら3回ぐらいなら。まあ。」
「やれやれ。そんなに嫌なら素直に言え。」
「だって1000年も待ってたんですから。あなたとこうすることを・・・。」
「まったく・・・。物好きな女だ・・・。」
「そんなこと言わないでください・・・。」


(本当に変わったよな・・・。まあ、こっちのほうが良いか・・・。
 深森新よ。覚悟しておけよ・・・。
 他の姫達がそろそろ攻制に出るころだ。
 たった一人の王子を求め行われるワルツ。プリンセス・ワルツ。
 お前もきっと魔王になった俺の気持ちが分かるさ。
 そして新しい魔王が生まれる・・・。
 その時は、一緒にワインでも傾けよう・・・。
 愚痴なら聞いてやるさ。
 過去の俺よ・・・。スマン。イーリスの思惑に気づけなかった俺を許せ。
 たぶん、俺が倒した魔王もこうだったのだろうな・・・。
 まさにこれはワルツだ。それも決して終わらないワルツ・・・
 いや・・・あいつらならきっと難しいことも全部まとめて
 グダグダに解決するだろうな・・・。
 あいつらは正に『王子』と『姫』なのだからな。
 『勇者』と『従者』では魔王を倒せても世界を変えることはできなかった・・・。)
 だがお前らならきっと・・・。)


そして2年後、第2次プリンセス・ワルツが行われ、嘗て無いほどの激戦が行われたのはまた別の話です。
さらにその3年後、世界全てと異世界からたどり着いた壁の姫を巻き込んだ大戦の果てに統一王国『ディープ・フォレスト』を
建国したのもまた別の話・・・。


それでは、プリンセス・ワルツ番外編


     閉幕!!!


   終わり(ワルツはまだまだ終わらない)



>>211-224 これで終わりです。
お目汚し、本当にごめん・・・
#2 - 2022-8-10 17:02
プリンセス・ワルツ外伝『ただ歩んで行こう』
来源http://yellow.ribbon.to/~savess/20060630/pri3.html
  
カーテンの隙間から朝日が差し込む。
目覚まし時計の仕事を奪い目を覚ます。
首だけを曲げて横を見ればそこには愛しい人。
寝顔は幼く、そのくせ真面目な表情にはドキリとさせれられる。
そんな時は少しだけずるいと思う。
だってこんなにも僕の心を奪っているのだから。
ゆっくりと首を伸ばし頬に口付ける。
今はこれだけ、唇は我慢だ。
だってそこは彼が目覚めた時のために取っておくからだ。
唇に触れたい衝動をおさえて頬、額、鼻、顎と様々な所に口付けていく。

「ん・・・んん。」

彼が微かに身じろぐ。
もう少しだけ寝顔を眺めていたいような気もしたがそれは諦め目覚めを祝福する言葉を言う。

「おはよう、新。」
「おはよう、クリス。」

そして今度は唇にそっと口付けた。

 
ただ歩んで行こう2/122006/05/21(日) 22:09:50 ID:NQAbCcO+0
そのままで、しばらく抱きしめあう。
心も体も安らいでゆく。
胸をくっつけ髪を撫で上げる。

「新、寝癖ついてる。」
「ん?どこ?」
「ここだ・・・」

髪をそっと口の中に含む。
ザラザラした感触が舌を踊る。
そんなことですら愛しさを覚えもごもごと唾を馴染ませる。

「汚いって、クリス。」
「ふふふ、少し汗の味がするな。・・・ん。」

寝癖のあった場所の周辺を丹念に含み、舐め、湿らせる。
新もクリスの行動にされるがままに体を預ける。
その間も互いの腕は互いを抱きしめあっていた。

「もう良いかな?じっとしてろよ。」

その腕をようやく解き黒髪に触る。
髪の流れに沿うように手櫛を滑らせる。
ゆっくりと、丁寧に、愛情を込めて。


「ほら、できたぞ。」
「ありがとう、クリス。」

横になったまま話し合う2人。
そしてそのまま再び口付ける。
愛しさを堪える事ができず舌を差し込む。

「ふ・・・うん・・・。」
「ん、んん・・・ん。」

体を擦り付けあいお互いを求め合う。
でも、まだ我慢する。
めちゃくちゃにしたいような、優しくしてあげたいような衝動を必死に抑える。
知っているからだ。
ここで我慢すれば後でもっと気持ちよくなれると。

「む・・・ん、んむ・・・。」
「ん、ん、ん・・・んん。」

流し込まれた唾液を味わい飲み込む。
昨夜の晩餐に出たワインも、シホウの米酒も、パルミードのブランデーもここまでは酔うことはできない。
2人は確かに酔っていた。
新はクリスに。
クリスは新に。
止める者などこの場には存在しない。
否、いたとしても誰も止めることはできない。


舌は相手の舌と絡み、手は相手の体を弄る。
ゆっくりと首を撫でると体を震わせ、
耳を触ればくぐもった声をあげる。
もう限界だった。
ゆっくりとクリスの体に圧し掛かる。
舌を頬から首、肩、鎖骨と少しずつ下げていく。

「く・・・ん!はん、あ!や・・・だめ・・・ん!」

焦らすようなスピードでしか下がっていかない舌に反応し、声を上げてしまう新だけの姫。
すでに秘所は十分すぎるほど濡れてしまっているがあえてそこには一切触れず胸の頂点にある突起を口に含む。

「ひゃん!んんっ、・・・あっ、ん、・・・だめぇ・・・きもちいい・・・。」

理性などすでに溶け果て新との快楽をただ求めてしまう。
少し前の自分では考えられない姿だ。
王宮の奥深くで1人で生きていた時には自慰ですらしたことはなかった。
王子となり、1人でも強く生きていかなけらばならなかったからだ。
それが今ではどうだ。
身も心も全てがただ1人の男に囚われ、差し出している。

「んっ!は、あん!・・・した、きもちいいよぉ・・・はんっ!」

そのことに疑問すら浮かばない。
2人でいることの温かさをすでに知ってしまったから。
もう1人には戻れない。
ただ歩んで行こう5/122006/05/21(日) 22:13:39 ID:NQAbCcO+0
「もう、だめ・・・いれて・・・おねがいだ、あらたぁ。」

貫かれたい。
奪われたい。
そして、新に自分の全てを愛されたい。

「もう、がまんできない・・・おねがい・・・。」

はしたなくも自らの秘所を指で広げ娼婦のように懇願する。
自分で自分の心に鎖を巻きつけているようなものだ。
今までのとは違う、新しい道だけを見続けることができるように。
だから、その鎖さえも喜んで受け入れていた。

「俺も、我慢できない。入れるよ、クリス。」
「きてぇ!はやくきてぇぇぇ!」

男としてではない。
女としてでもない。
ただの『クリス』として、『新』を求める。

「ああぁぁぁぁ!はいって・・・はあぁぁぁぁぁん!」

熱い。
竜の炎とはまた違う熱さ。
心がドロドロに溶けて相手と1つになってしまうかの様な熱さだ。

「クリス!動くぞ!」
「きてぇ!はやくきてぇぇぇぇ!」

肉と肉のぶつかり合う音。
どんなに快楽に攻め立てられようとも目線だけは交差させ腰を動かす。
でも、まだ足りない。
もっと、もっと、もっと、もっと、もっと高みへ。

「んあぁ!いい!きもちいいよぉ!あらたぁ!」
「俺も!俺もクリスの中が気持ち良い!」

激しく出し入れされたかと思えば最も奥の部分をゴリゴリと刺激したりとクリスの弱い部分を容赦なく刺激していく。
すでに両の手の指どころか足の指を使っても数え切れないほど交わっており、クリスの弱いところは全て知り尽くしているのだ。

「あらた!くる!きちゃうよぉ!あらたぁ!」
「も、もうちょっと我慢してっ!」
「むり!むりぃ!ああ!きちゃう!きちゃうぅぅぅ!はああぁぁぁぁぁぁん!」

腕が激しく震え、背中が大きく仰け反る。
絶頂に達してしまい、もはや思考は朦朧とし何も考えることができない。
戦闘においては致命的であろうと、今傍らにいるのは全ての信頼を預ける最愛の相手。
すでに全てを曝け出した相手。
ワルツの最中には文字通りに心を1つにして戦った最高の相棒だ。
今だって、射精に達することができず相当欲求不満になっているだろうに、こちらの体を気遣って何もしていない。
そんな相手が愛おしくて愛おしくてたまらない。

「ごめん、新。僕だけが・・・。」
「いや、良いよ。気にしないでくれ。」
「駄目だ!僕だけ気持ちよくなってしまうなんて、卑怯じゃないか。」
「卑怯とかそんなんじゃないと思うのだけど・・・。」
「だから、こっちで・・・な?」

そう言うと新の性器に顔を近づけ舐めあげる。
いつも蒸し暑いヴィスレイでは大人気のアイスキャンディーを舐め上げるように丹念に愛撫を加える。

「ん、んふ・・・ん・・・ん~・・・。」
「ク、クリス。ちょっ、そこ駄目だって、ひゃ!」

無論クリスが口淫に及んだことは1度や2度ではない。
そのため、クリスもまた新をどうすれば最も悦んでもらえるのかはよく知っていた。
例えばこのように裏筋を舐め上げたり。
他には、くびれの部分を舌先でなぞってみたりとか。
さらに、尿道を何度もつついてみたり。

「んむ・・・ん、ん、ん~~~・・・。」
「クリス・・・!駄目!マジでやばいって!」

新の抗議を右から左へとさらりと流し、フィニッシュのために亀頭に強く吸い付き嘗め回す。
同時に竿を強く扱きたてられるのが新が最も弱いのだ。

「ん!ん~~~~~!!」
「だ、駄目だ!出る!ううううぅぅぅ!」
ただ歩んで行こう8/122006/05/21(日) 22:19:13 ID:NQAbCcO+0
まるで魂まで吸われるかと思うような強烈な吸い付きに耐え切れず射精してしまう。
しかも、射精している間も竿を扱く手は止まらず、最後の1滴まで搾り出そうとする。
まるで、ほんの欠片ほどでも新を離したくないと言いたげな切なそうな表情で全てを吸い出す。

「んぐ、ん、ん・・・ぷは。はぁ、はぁ、はぁ。ん、新の濃かった。」
「・・・馬鹿。変なことばっか言うな。」
「馬鹿と言うな、馬鹿と。お前のせいなんだからな。」
「・・・俺だってクリスが全部欲しいよ。」
「やっぱり、お前は馬鹿だ。まあ、僕もだな。」

そっと手を握り、心地よいまどろみに身を任せる2人。
目覚まし時計が本来の役割を発揮するまではもう少しだけゆっくりしておこう。

「新、今朝は何が良い?」
「ん~、鮭食べたい。」
「分かった。残ってた2匹焼いちゃうな。」
「ん。あと、目玉焼きも。」
「塩コショウで?」
「そう、もちろん黄身は半熟で。」
「了解。つまりいつも通りだな。」
「そうさ。クリスはソースだろ?」
「まあな、1口分けてやってもいいぞ?」
「口移しなら喜んで。」
「馬鹿。」

他愛の無い会話。
ただ、それだけのことが本当に幸せだ。

炊飯器には炊きたてのご飯。
シャモジを使いお椀に移す。
もちろん2人分だ。

「はい、新。」
「あいよ。」

運ぶのは新の役目だ。
2人の朝食に欠かせない触れ合いだ。
クリスが作り、新が運ぶ。
何てことは無い日常だが、だからこそ尊く愛しい。
城の奥で1人きりだったこと。
そしてワルツの時は彼を殺そうとしてしまった。
もしかしたら贖罪なのかもしれない。
でも、それでも今のこの時を大切にしていきたいと思う。

「ねぇ、新・・・ん。」

仕草だけでキスをねだる。
いかにも、しょうがないなと言いたげな表情で顔を近づける彼。

「ん・・・。」
「ん・・・。」

そっと触れて、そっと離す。
こんな時間がたまらなく愛しい。

「新、鮭焼けた。」
「分かった。」

交わす言葉は二言、三言。
ただそれだけでも互いの心は十分に分かる。
ほら、新は今キスをしたがっている。
こっちに近いてきてじっと見つめる。

「クリス・・・ん・・・。」
「んん・・・。」

腕は腰に回され、そして少しずつ下がっていく。
だがそんなスケベな手の甲を強く抓ってやる。

「あいてててて、クリス、ごめ、痛い痛い痛いって。」
「まったく、もう駄目だ。朝食も冷めるだろ。」
「悪かったっていてててててて。ベッドの中じゃ素直なのに・・・。」
「そう言いながらまた触ろうとするな!お前は猿か!」
「ごめん!ごめん!マジで悪かった!」
「まったく・・・。これで我慢しろ。」

三度交わす口付け。
どうも、新には甘くなってしまうな。
もう少し厳しく・・・できないだろうな。

「ほら、朝食を食べよう。」


朝食は2人で並んで行う。
向かい合わせだと距離を感じてしまうからだ。
そう言ったら新は微笑みながら、良いよと言ってくれた。
僕はきっと、いや、絶対に新に依存しているだろう。
暗闇の中で1人ぼっちだった。
だれも本当の自分を見てはくれなかった。
ただ王子であることだけを望まれ強制されていた。

「どうしたんだ?クリス。そんな暗い顔をしてさ。」
「え?そんな顔してたか?」
「してた。放っておくと飛び降り自殺しそうなぐらいしてたぞ。」
「そんなことはしない!・・・とはいえ、たしかに変なことを考えていた。」
「クリスは何でも溜め込んじまうからな。俺ってそんなに頼りないかな?」
「そ、そんなことはない!その、・・・新のことは誰よりも信頼している。」
「ならもうちょっと頼ってくれよ。お前危なっかしいんだよ。」
「そうだな・・・でも、この事は大丈夫だ。もう、終わったことだからな。」
「ん、そっか。」
「ああ・・・ん。」
「ん・・・。」


首を伸ばし再び口付ける。
まるで彼の心の中を表すように暖かい。
凍った心が溶けてゆくような錯覚まで感じられる。
彼無しでは生きていけない。
そう強く実感した朝食だった。


そういえば聞いたことがある。
人間は自分に欠けている物を持っている相手を本能的に選ぶのだと。
自分と彼は父は同じだが母親は違う。
だが、母親自体も姉妹なので血筋は非常に似ていると言える。
そして、その結果祝福の力は女である自分に受け継がれてしまった。
だとすれば最初に新を求めたのは自分に無いものを持っていた片割れだったからだろうか。

そこまで考えてすぐにその考えを改めた。
そんなことがあるものか。
自分が新を求めたのは新が好きだからだ。
そのことに迷いは無い。
こんなにも好きで、好きで、たまらない。

商店街のアーケードの上で交わした誓い、それは絆。
今も薬指にある指輪は絆の象徴。
この絆さえあれば何処までだって行ける。
自分にはそれが全てだから。
この温もりを失うことなど考えただけでも恐ろしい。
だから2人で、
僕と君の2人で、
ただ歩いてゆこう。
#3 - 2022-8-10 17:03
Infinity of Our...
作者:あむゆま
来源:https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=1062386

もちたんのつぶやきで今日がクリスの誕生日だということを思い出し、クリスと新で何か書こうと思いました。数分後、いくら何でも残り1時間じゃまとめるのは無理だと悟りました。無計画ここに極まれり。…なので、C78で発刊した『ためしよみ±0』からちょっと書き加えたりしてみましたよ、というお話です。

声とか。
 感触とか。
 温もりとか。
 吐息とか。
 ――心地よい、疲労とか。

 ぼんやりと。
 そんなことを頭の中で思い描きながら、意識は覚醒した。

「……う」
 昨晩に色々と無茶をしたからか、思っていた以上に身体中がだるさを訴えている。
 だるいだけならまだしも、まだ、猛烈な眠気が襲ってきて――覚醒したばかりの意識が、早々に持って行かれそうになって。
 それでもいいのかなあ、と思いながら……
「……た」
 気のせいだろうか。
 さっきから、心地良い揺らぎが続いている。
「新。起きろ、新」
 気のせいだろうか。
 さっきから、誰かの声が聞こえている、気がする。
「いい加減にっ……」
 気のせいだろうか。
 さっきからの揺らぎと声が途切れた、よう、な……
「起きろ馬鹿者っ!」

 唐突に。
 罵声と共に、布団が捲り上げられた。

「うおっ!」
 何事かと周囲を見渡すと、こちらを睨むクリスの姿が目に入った。
「何度起こせば気が済むんだ! もう時間が無いんだから早く起きろ、この馬鹿者!」
「いや、その……ゴメン」
 いきなりまくし立てられて、とりあえず謝ってしまう。
「まったく。休みまで叩き起こす方の身にもなってほしい」
「……ん?」
 それを聞いて、ふと気付く。
 今日は何も予定が無かったはずだ、と。
「そういや、何で起こしてくれたんだ?」
「忘れたのか? あちらに戻って荷物を取って来たい、と言ったのは新だろう」
 そういえば、そんなことを言った気もする。

 けれど。
 それは別に、急ぎでどうこう、という話ではない。

 何より、
「……どうした?」
 今のクリスは、一糸纏わぬ生まれたままの姿で。
 起き抜けの意識をあらぬ方向へ向かわせるには、十分すぎる。
 ならば。
「起きないのか? 僕は別に止めないが」
「いや、起きる」
「そうか。それなら僕は先に行く……」
「起きる、けど」
 言いながら、俺はクリスの腕を掴む。
 そしてそのまま、思い切り自分の方へと引っ張った。
「なっ!」
 突然のことにバランスを崩してか、クリスはあっさりと俺の方へと倒れこんでくる。
 それをしっかりと抱きしめて、そのまま軽い体をベッドに押し倒した。
「っ!」
 一瞬、クリスはわけがわからないという表情を浮かべる。
 けれどすぐに俺の行動の理由を理解したのか、途端にその顔は真っ赤に染まり、拒絶の意思を見せた。
「ばっ、馬鹿者! 何をする!」
「ああ、悪い」
「本当だろうな? なら、この腕を離せ」
「……えーと」
 正直、悪いとは思っていない。
 けれど。
 ここで止める気は俺には無かったし、何よりクリスだって……そのどこか曖昧な表情を見る限り、まんざらでもなさそうだ、と自分の中で解釈しておくことにする。
 なので、
「悪いと思ってる。だから、離さない」
 そう、きっぱりと宣言しておいた。

 ……そうして。
 結局、荷を取りに戻るのは日が傾き始めてからになったのだった。
#4 - 2022-8-10 22:08
君と僕とお前と私
http://yellow.ribbon.to/~savess/20060630/pri2.html

薙ぎ払い、打ち払い、斬りこむ!
鋼のぶつかり合う甲高い音と荒い息だけがその場を支配していた。

汗が飛び散り、顔は苦悶の表情に満ちていて、
それでも2人は美しかった。
それはまるで、予め設えられた、2人だけのワルツを踊っているようにも見えた。

この場は、他の何者も存在しない。
この時は、他の何者も介入しない。
この戦は、他の何者も邪魔しない。

嬉しかった。
でも否定したかった。
喜んでしまった。
それが苦しかった。

自分に望まれたことは一体何か。
自分が進むべき方向はどちらか。
自分が一体、どんな存在なのか。
それを忘れたことはただの一時として無かった。

それでも、嬉しかった。
どうしようもないくらい。

君と僕とお前と私(2/34)2006/05/15(月) 22:29:58 ID:LZCRGtVC0

   プリンセス・ワルツ 外伝   『君と僕とお前と私』

深森家の朝は大抵が慌しい。

「ほら、新。クリス君。早く朝食を片付けてしまえ。」
「はーい。姉ちゃん。」
「分かりました、静さん。」

今の時刻は部屋の目覚まし時計で大体把握している。
着替えはすでに完了、教科書やノートの準備も万端。
ならば、この朝食にかけられる時間は・・・約10分!

「姉ちゃん、おかわり。」
「あ!ぼ、僕もお願いします!」
「はいはい。もっとよく噛んで食べろ。まだ余裕はあるだろう?」
「いや、今日はあいつが早めに来るって。日直らしいんだ。」
「ああ、そうだったのか。ふふ、ならゆっくりしていられないな?」
「そうなんだよ・・・あっ。」


急いで食べていたためか、味噌汁が入った椀を倒してしまった。
しかも運の悪いことに、こぼれた味噌汁はクリスの足にかかり、容赦なく熱を伝える。

「あ、あ、あ、あ、あつ!あ!あつ!」
「ああ!クリス!大丈夫か!?」
「だ、大丈夫ではない!この馬鹿者!」
「まったく、慌てて食べるからこうなるんだ。ほら、クリス君。早くズボンを脱がないと染みができるぞ?」


そう言われ、慌ててズボンを脱ごうとして、ベルトに手をかけた時点で動きが止まった。
急に顔が赤くなったりするのを見て、(熱でもあるのか?)と思った姉と弟がいたのはご愛嬌。
朴念仁な弟と超絶ブラコンな姉は血が繋がってなくとも似ているようだった。

「あ、あの!部屋で着替えてきます!予備がもう1着あるんで!」

そう言い残し全力へ部屋へと走っていくクリス。
残された2人はその後ろ姿を呆然と見ているしかできなかった。

結局、今日の朝食はこの騒動のせいでもう終わってしまった。
君と僕とお前と私(4/34)2006/05/15(月) 22:32:03 ID:LZCRGtVC0
「のどかは先に行っちまったし、まあゆっくり行くか。」
「誰のせいで先に行かせてしまったと思っている。反省が足りないぞ。」
「まあまあ、落ち着けよ、クリス。別に遅刻になるわけじゃないんだし。」
「それはそうだが・・・いーや、ここで甘やかすとすぐ調子に乗るからな、お前は。」
「げ。な、何か今日のクリス厳しくないか?」
「別に?制服に味噌汁をかけられたりしたことなんて全然気にしてないぞ。」
「気にしてるじゃん・・・」
「何か言ったか?」
「いや、何も。」
「・・・ふん、全く。」

そう呟くクリスの頬は僅かに朱に染まっていた。
何も制服を汚されたから怒っているのではない。
むしろそれぐらい、いつもの事だと笑い飛ばしていたかもしれない。
怒っていたのは自分自身にだ。

(何故だ・・・
 あの場で服を脱がなかった・・・
 静さんがいたから?いや、違う!
 恥ずかしかったんだ!
 新に見られるのが・・・
 僕は何を考えているんだ!
 僕は王子なんだぞ!
 このワルツを勝ち進んで王子になるんだ・・・
 どうして新に見られたぐらいで恥ずかしがる必要がある・・・
 ちゃんとトランクスも穿いてるし、別に男同士で恥ずかしがる必要はない・・・
 僕は女じゃない。僕は男なんだ・・・)


思い出すは今よりほんの少し昔のこと。
まだ自分があの城の中にいた時のこと。

・・・出来損ない
・・・半端者
・・・役立たず
・・・偽王子
・・・邪魔者

色々な言葉で揶揄された。
色々な言葉で嘲笑された。
色々な言葉で
色々な言葉で
言葉で
言葉で
言葉
言葉
ことばことばことばことばことばしか知らないのは自分は一人だったからそれは自分が万が一にも知られてはいけない存在だったから
でももっと色んなことで貶められていたと思う例えば見下した顔とかでだって自分は女なのだからしょうがないだから男にならなくてはいけない

王子にならなくちゃ王子にならなくちゃ王子にならなくちゃ王子にならなくちゃ王子にならなくちゃ
王子にならなくちゃ王子にならなくちゃ王子にならなくちゃ王子にならなくちゃ王子にならなくちゃ
王子にならなくちゃ王子にならなくちゃ王子にならなくちゃ王子にならなくちゃ王子にならなくちゃ
おうじにおうじにおうじにおうじにおうじにおうじにおうじにおうじにおうじにおうじにおうじにおうじに

それしか自分の進む道は無いと分かっていた。


何となく覚えている。
自分について話している人たちのこと。

・・・何故だ!何故女が生まれ・・・
・・・んなことは、今まで起こ・・・
・・・うすれば良いのだ。こん・・・
・・・これではまるで出来損な・・・
・・・ともかく民に知らせては・・・

望まれなかった自分。
男ではなかった。
それだけが、致命的だった。

僕はただ
僕はただ

僕を見てほしいだけだ。
クリスという人物を見てほしいだけだ。

女だからいけないんだ。
男になればいいんだ。
でなければ王子になれない。
自分を誰にも見てもらえない。


「・・・・・・・」
「・・・・・・・」

どうにも気まずい雰囲気が流れている。
自慢にもならないが新はこんな空気が苦手なのだ。
交差点を右に曲がった。
まだ学校までの距離は半分以上残っている。
必死に話題を探し話しかける。

「え~と、そういえばさ~。」
「え?な、何だ?」
「ほら、今朝も母ちゃん寝坊してたよな~って。」
「あ、ああ。そうだな。本当に教師としての自覚があるのか・・・?」
「まあ、母ちゃんが朝早くに起きてたらそれはそれでやばいけどな。」
「・・・いや、朝早く起きたほうがいいだろ。」
「う~ん・・・何ていうかどっちが母ちゃんらしいかと言えば、やっぱり寝坊するほうが母ちゃんらしくてさ。」

なるほど、それは納得できる。
その人物にはその人らしさというものがある。
それは誰にでも、等しく、平等に、残酷に、存在する。
王子らしいとは一体何なのか。
王子とはどんな人物が相応しいのか。
少なくとも女では駄目だろう。
ああ、いけない。
せっかく場の空気を読んで話しかけてくれたのにそんなこと考えるな。
こっちも何か話さなくては。


「まあ、確かに。いきなり変わったら驚くな。」
「だろ?寝坊しない母ちゃんなんか母ちゃんじゃねえ!」
「何を力説してるんだ。全く・・・」
「そういえば、クリスの母ちゃんは?」
「え?」
「だからさ、クリスの母ちゃんや父ちゃんはどんな人なんだ?」
「・・・あ、いや。それは、また今度にしないか?」
「え?・・・どうしたんだ?」
「・・・分かった。話す。パートナーだから話すんだぞ。他言は無用だ。」
「いや、そんな、無理に話さなくてもいいんだって!」
「でも!」
「何となく聞いてみただけだからさ。そんなつらい顔をしなくちゃ話せないのなら話さなくていいよ。」
「つらい・・・?うん。そうだな。つらい。」

思い出すだけでつらい。
自分には両親がいない。
いや、父は生きている。
しかし、自分には滅多に会ってはくれなかった。
愛しているとも、可愛いとも、生まれてくれてありがとうとも、何も言ってはくれなかった。
母はすでに死んでいる。
子供のころの話だ。
すでに母のことは霧の向こう側にあるようにぼやけて思い出せない。
君と僕とお前と私(9/34)2006/05/15(月) 22:39:05 ID:LZCRGtVC0
「・・・つらい。僕は正直言って新が羨ましい。」
「羨ましい?どうしてだ?」
「だって、新自身を見てくれる人がいるから。姉と母親。・・・いないからかな。羨ましいんだ。」
「う~ん・・・。いきなりそんなこと言われてもよく分からないぞ。俺自身を見てくれるのが羨ましい?」
「いや、いいんだ。変なこと言ってしまったな。忘れてくれ。」
「いや、でもさ、クリスはクリスなんだろ?」
「・・・は?」
「クリスはクリスだろ?今、こうやって立っているクリスがクリスなんだろ?」
「いや、その・・・馬鹿者!そういう意味ではない!」
「俺はちゃんとクリスを見てるよ?」
「っっ!!」
「そりゃ以前に女だからって変に意識しちゃったことはあるけどさ、もう2度と色眼鏡をかけたりしない!クリスはクリスだ!」

やばい。
まずい。
完全な不意打ちだ。
こんな近くにいたのだ。
自分を自分として見てくれる人が。
抱きつきたくなる。
いや、駄目だ。僕は王子だ。王子にならなくてはいけないのだ。
王子になることを望んでいる人がたくさんいるんだ。
裏切るわけにはいけない。
どうでもいいだろ、そんなの。
裏切るんじゃない。向こうが無視したからこっちも無視するんだ。
馬鹿を言え。そんなのできるか。
どうしてできないのだ。
どうしてもだ。
どうしてだ。
どうしてもだ。


必死に自分の中の思いを否定する。
今までずっと王子として、王子になるために生きてきた。
今までの自分を殺すな。
こんな感情は違う。
ただの勘違いだ。
10年だ。
10年以上も王子になることだけを望んできた。
それ以外に無かったから。
生まれた瞬間からその宿命を背負っていたのだから。
だから王子になる。
みんなそう言ってた。
神官長ギジェも、エイプリルも、みんな僕がそうなることを望んでいる。
清白を騙し続けるわけにもいかない。
だから、だから!
王子になるしかないんだ!


強迫観念とも思い込みともとれる思い。
だがクリスの中には今までそれしかなかった。
『女』の自分も『男』の自分も
『友達』も『家族』も『恋人』も
クリスには無かった。

だから否定する。
はじめて生まれたこの想いを。
愛おしいのは気のせい。
恋しいのは勘違い。
狂おしいのは気の迷い。
そう信じ続ける。


「・・・変な話しちまったな。」
「・・・そうだな。」
「この話は終わりにしようぜ。」
「ああ、そうしようか。」

助かった。
耐え切れなくなる前に向こうから話しを切ってくれた。
学校もすぐそこなんだ。
思考を切り替えなくては。

「そういえばさ、何か最近クラスメートが足りないような気が・・・」
「足りない?一体何を言ってるんだ?」
「いや、う~ん・・・やっぱ気のせいかな?」
「気のせいさ。ちゃんとみんな出席してるだろ。」

そうだ。気のせいだ。
全部気のせいなんだ。


そのころ・・・

「ふあ~ぁ~~。おはよ~静~。」
「おはよう、母さん。」
「お、今朝の朝食もまた美味そうだね~。」
「褒めてくれるのは嬉しいが、時間は大丈夫なのか?」
「え?・・・あっ。」
「やれやれ・・・まったく。寝る時間を早くしたら?」
「ん~・・・そんな早く寝られなくてね~。」
「3分で食べれば間に合うだろう。はい、ご飯。」

(封印が解けかかっている・・・
 毎晩封印を掛けなおしているんだけどな~。
 愛する弟の危機に黙っていられないってか?
 ていうか毎晩あんたの嬌声聞かされるこっちの身にもなってくれって。
 あ~あ。我が娘ながら何とも・・・)

「母さん、早く食べないと本当に間に合わなくなる。」
「はいはい。さっさと食べます。」

白米を箸で掬い口に運ぶ。
こんな当たり前の日がいつまで続くのか。
七重は笑いながらそんなことを考えていた。


校内に8小節のフレーズが流れる。
それは学校という空間から開放される福音の響き。
つまりは放課後になったのだ。

「ねーねー、クリスく~ん。私とデートしようよ~。」
「ごめん、今日は新と買い物に出かけるんだ。」
「ががーん!ルン・・・トト子ショック~!」
「ははは・・・ごめんね。」

そして開放された瞬間に突貫してきたのは嵐の姫、リリアーナ=ルンルン=ギュンスター。
『この世界』では笹原トト子と名乗っている。
プリンセスワルツに参加している姫の内の1人でまさに百戦錬磨の実力を持っている。
だがしかし、さすがの彼女もショックを隠しきれない様子だ。
それもそうだろう。なけなしの勇気を振り絞った(つもり)のデートの誘いをあえなく断られたのだから。
普通の女の子ならだれもがショックを受けてしまうに違いない。

「おーい、クリス。さっさと済ませて帰ろうぜ。」
「分かった。それじゃ、また明日ね。」
「うう~・・・さよ~なら~~~。」

「まあ、後はこっそりつけちゃうけどね~☆」


買い物客で賑わう商店街。
制服姿でティッシュやトイレットペーパーを買い込んでるのは新とクリスの2人である。
そしてその後ろでこそこそと覗き見している少女もいた。
店員は通報するかどうか迷っているのだが、まあ仮に通報されても余裕で逃げ切るので問題は無いだろう。

「これで最後か?」
「え~と、そうだな。これで必要なのは全部買ったみたいだ。」
「やれやれ。なるほどね。これは結構かさばるんだな。」
「そうなんだよ。姉ちゃんと2人で行ってたんだけどさ、クリスがきてくれて助かったよ。」
「べ、別にこれぐらい大丈夫だ。礼を言われるまでもない。部屋も借りてるのだしな。」

大丈夫だ。
話をしてても鼓動が激しくなったり顔が熱くなったりしない。
普通にすれば良いんだ。それで問題無い。
そうだ。これが普通なんだ。
友人であり戦友であるパートナーとの関係ってのはこういうものなんだ。

「ごめん、ちょっとトイレ行ってくるわ。荷物頼む。」
「ああ、分かった。ここで待ってるから早く戻ってこいよ。」

一旦別れる2人。
これを好機と見る人物が『2人』いた。

1人は彼女

「やっほ~クリスく~ん。きっぐ~☆」


そしてもう1人は彼女。

「ふ~、すっきりした・・・」
「どうも~。ごきげんよう~。」
「・・・・・え?な!エ、エイプリル・・・さん!ここ、え?男子トイレ・・・ですよね。」
「はい、もちろんですとも。そんな細かいこと気にしちゃ駄目駄目ですよ~。」
「い、いや。細かく無いかと・・・」
「それはともかく、聞きたいことがあるのですよ。」
「え・・・?それってクリスのこと・・・?」
「はい!もちろんです!最近こう・・・何と言いますか・・・挙動不審になったりしませんでしたか?」
「挙動不審・・・?ん~っと・・・」

思い出してみる。
そういえば今朝はどうも挙動不審だったような・・・」

「そういえば・・・」
「なるほど~、やっぱりですか。」
「え~と、これもやっぱり合身の影響・・・?」
「そうですね。ん~ほら、あれですよ。他人の目が気になるというか、新様の目が気になるというか・・・」
「え?俺の目が気になる?充血でもしてるのかな・・・」
「そっちの意味じゃありませんよ~。ほら、私の目を見て下さい。」
「え・・・はい。」
「もっとじっくり。」
「・・・はい。」
「もっと。」
「はい。」
「もっと。」
「・・・」
「聞こえますか~?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


「は~い。よくできました。100点満点あげちゃいますよ。
 これで後は、仕込みをするだけ・・・
 さあ、あなたは意識も心も私の目の中に吸い込まれてゆく~吸い込まれてゆく~
 そして私の言葉を忠実に実行するようになる~実行するようになる~
 では、まずあなたの名前は?」

「ふかもり・・・あらた・・・」

「あなたの好きな女性は?」

「みんな・・・すき・・・」

「ハーレム!?いやいや、今のはノーカンです。改めて、あなたが特別愛しているのは誰ですか?」

「・・・・・・くりす・・・・・」

「あらあら、やっぱりですか。うふふ、ではあなたに指令を与えます。」

「・・・・・」

「な~に、簡単なことですよ。チンパンジーでもできることです。まずですね~・・・」

新にとある指令を与えるエイプリル。
全ての指令を言い渡した後、彼女は何処へとも無く消えていった。
後に残ったのは何も覚えていない新だけだった。


「それにしても新君って遅いね~。」
「そうだね・・・ごめんね、君まで一緒に待たせちゃって。」
「いえいえ、良いんです!私はクリス君とお話がしたいんですから!」
「あはは・・・そうなんだ。」
「そうなんですよ~・・・ってあれ?新君がきましたよ。」

ゆっくりと近づいてくる新。
その表情には先ほどトイレの中であったことを連想させるものは皆無だった。

「こら、新!遅いじゃないか。30分も何をしていた!」
「ああ、クリス。」

そっと『抱きつく』新。
その動作はあまりにも自然なのでその場にいる者に反応できた者はいなかった。

「・・・え?」
「・・・あれぇ?」
「ごめんな・・・クリス。待たせちゃったな。」

耳元で謝罪を囁く。
それはまるで恋人が久しぶりに邂逅したかのようにも見えた。


「な、な、な、な、な、な、な!?おい!新!」
「もう、なるべく1人にはしないからさ・・・」
(ん・・・耳に息が・・・)
「悪かったと思ってるよ。・・・許してくれる?」
(だめ・・・・・新・・・暖かい・・・)
「ほらクリス。返事してくれよ。」
(く~・・・離れなきゃ・・・でも・・・・・離れられない・・・)

脳髄が痺れる。
思考が停止する。
体が動かない。
それどころか、
この腕を彼の腰に回したい。
この体を彼の体に預けたい。
この声を彼の耳に囁きたい。

「くぅぅぅ・・・・・助けて・・・笹原さん。」
「きゃ~きゃ~何これ?禁断の恋?王子と従者の禁じられた愛!?
 あ~もう、何よこれ!萌えるじゃないの~!?」

必死に助けを求めるもその声は全力で萌えている(一応)姫には悲しくも届かなかった。
もう駄目だ・・・我慢できない。そう思ってしまった瞬間だった。

「さてと、それじゃ家に帰ろっか。」
「え?」

あっさりと体を離す新。先ほどの情緒を匂わすものは何も残ってなかった。

リリアーナと別れた帰り道。
そこにいるのは普段と同じ新。
・・・見た目だけは。

「・・・だろ?」
「・・・だな。」

ごく普通の話。
ごく普通の顔。
そしてごく普通の態度。
新は普通だった。
いつもの新だった。
そこがどうしようもなくおかしかった。

(今のは一体?
 こいつが何で僕にあんなことを・・・?
 もしかして新も僕のことを!?
 ・・・いや、待て。何だ、『も』って。『新も』って。
 何を考えているんだ、僕は。
 どう考えてもおかしいだろ。
 ・・・誰かに操られている?
 ならすぐさま界律庭園に連れ込み何かに利用するんじゃ?
 う~ん、人前であんな行動をとったのはおかしいけど・・・
 仮に操られているなら何が目的なんだ?)


(指令その1!謝罪は抱きついて耳元で囁くこと。
 上手くいってるみたいですね~。)


帰宅、着替え、夕飯、入浴。
呆気ないぐらいに普段と同じように過ぎていった。
特に着替えと入浴は乱入しようものなら4、5発は殴ってやろうと思っていたので拍子抜けだった。
おかしかったのはあの抱きついてきたことだけ。
やっぱりあれはたんなる新なりのいたずらなのか?
そこまで考え込んだところで気が付いた。
この後に、最高で最悪のイベントが待っている、と。

「じゃあ、電気を消すぞ~」
「あ、ああ。いいぞ。」

合身した時の力を増すために毎日一つの布団で一緒に寝ているのだ。
だが、これは今という時にはこれ以上ないぐらいピンチでありチャンスでもある。

(違う・・・違う!
 こんなの僕じゃない!
 女と認めたら・・・僕は、僕は!)

自分の中に2人いる。
僕と言い、お前と呼ぶ自分。
私と言い、あなたと呼ぶ自分。
駄目!
良いよ。
駄目なんだ!
早くきて。
やめろ!
求めて。


心が軋む、歪む、何もかも分からなくなる。
いっそ・・・こんな思いをするなら・・・新に出会わなければ・・・・・

最後まで考えることもできずに、
隣にあった温もりが覆いかぶさってきた。

「・・・な?あら・・・た・・・?」
「・・・ん・・・クリス。」
「ちょっと、新!いきなり何を。」
「クリス・・・。」
「やめろ!前歯をへし折るぞ!やめろってば!」
「・・・。」

無言で体を密着させてくる。
いやでも感じてしまう体温。
以外と筋肉もある。贅肉も少ないけど決して筋肉質というわけではない。
考えたくないのに、考えてしまう。
思ってしまう。
知ってしまう。

「お願い・・・やめて・・・。」
「・・・クリス。」

また耳元で声を囁かれる。
息が耳の中まで入ってくる。


「・・・ん!・・・やぁ、だ・・・めぇ・・・や!」

ただ抱きしめられ耳元に口が近づいている。
それだけでこんなにも体が官能に打ちひしがれる。
頭の中も体の中もぐちゃぐちゃになる。
名前を囁かれるたびに自分の全てが感動と官能にすり替わっていく。
抑えようとしても声は漏れてしまい、秘所も熱く疼いてしまっている。
自分の全てが裏切っていく。
王子になるためだけに存在していたのに。
浅ましくも女の悦びに震えている。
相手も顔もまともに見えずに、それでも空気の動きだけでますます耳に近づいてくるのが分かる。
戦いのために必死になり今まで何度も自分を救ってきたその技能が、今だけは恨めしかった。
次に何をするのか分かってしまったからだ。

「やめ・・・あらたぁ・・・ぁぁ。」

言葉だけの抵抗を示す。
自分でも分かってる。
こんなの誘ってるようにしか聞こえないだろう。
ゆっくりと近づいてきて、小さな耳を優しく咥えこんだ。

「くあ!あぁぁぁぁぁん!!」

達してしまった。
屈服してしまった。
認めてしまった。
そして失ってしまった。
君と僕とお前と私(23/34)2006/05/15(月) 23:02:29 ID:LZCRGtVC0
「ぐ、あ・・・あああ・・・・・ああああああああああああああああああああ!!!!!!!」

満足に力が入らない体に無理やり鞭を入れ全力で押し返す。
もう遅い。
何故この力がほんの10秒前に出せなかったのか。
後悔が激しく渦巻く。
目の前の人物に気を配る余裕すら無かった。
もしもあったなら後の悲劇は防げたかもしれない。
だが、無かったのだ。
だから、今こうなるのはどうしようもなかった。

(指令その2は、寝る時に襲っちゃうこと。
 やっぱり2人とも若いですね~。
 そしてその3は・・・)

空間がずれる。
同じでありながら違うところに位置する空間。
どれだけ周りに被害を及ぼしても本来の世界には何ら影響は無い。
界律庭園に突如囚われてしまった。
いや、違う。
これを行ったのは目の前にいる人物。
その人物は剣を持っておりそれをこっちに向かって振り下ろす。

「っ!くううううう!!」
「・・・・・。」


横っ飛びに回避するクリス。
前髪が汗で額にくっつくのが気持ち悪いがそうも言っていられない。
何故なら目の前の相手は焦点が合っておらず、あからさまにだれかの催眠だか洗脳だかにかかっている様子だったからだ。

「やはりか・・・、誰かに操られていたのか。」
「・・・・・・。」

返ってくる言葉は無言。
無視しているのでは無く、こちらの言葉を認知できない様子だ。
これは典型的な操られた時のパターン。
侍女のエイプリルに何度も教えてもらった。
そしてその解除の仕方も。

「術者を殺すか・・・ぶん殴って目を覚ます!」
「・・・・・。」
「embody!」

剣を手に持ち切りかかる!
横!に見せかけたフェイントを入れ彼の持つ剣そのものに自分の剣を叩き込む!
さほど狭くも広くもない部屋の中に鳴り響く甲高い音。
全力の攻撃に耐え切れず新の剣が弾かれ後方の壁に突き刺さる。
そしてがら空きの腹を目掛けて正拳突きを叩き込もうとする。
だが、彼は床を転がり避けると同時に突き刺さった剣を抜き再び構える。
そして打ち込まずに壁を背にしてクリスの攻撃を待つ。


これは困った。
完全に『待ち』の体勢に入られた。
操られているとは新を斬るわけにはいかない。
この先のプリンセス・ワルツのために、
そして何よりも自分は王子だから。
操られた人ごと斬っているようでは王子とは言えない

「・・・いや、違う。僕は・・・僕の心は!」

認めたくない。
プリンセス・ワルツよりも、
王子としての宿命よりも、
何よりも自分自身の心が拒否している。
斬りたくない。
彼を斬るぐらいなら自分が!

「違う!違う違う違う違う違う!!!この程度、助けられないようで何が王子だ!」

新は一般人の中ではかなり強い部類に入るが、身体能力も剣の技術もこちらが上。
なら、フェイントを混ぜて揺さぶり、ガードを開けてから顎や鳩尾を殴ればいいだけだ。

「大丈夫だ。できる。簡単なことだ!」

気合を入れ、再び斬りかかる!


上!下!上!斬!横!下!薙!横!
さらに多種多様なフェイントを織り交ぜ新の剣を弾こうとする。

(今!)

渾身の剛剣を放つ!
だが、その一撃は完全に見切られ防がれる。
二撃!三撃!四!五!六!七!八!
放っては防がれる攻撃。

楽しい!嬉しい!喜ばしい!
今だけは、この今の瞬間だけは!
彼を!
自分が!
独占している!

ただ純粋に切り結びあう自分と彼。
彼が斬り込んで来たりはしないし、
そもそも彼は操られている状態だ。
それでも、幸せを感じてしまう。
知らなかった。
自分の心はここまで壊れてしまっていたのか。

雑念を無理矢理振り払う。
今、やるべきことは新を助けることだ。


九!十!
反応速度を完全に上回る速度で打ち込む。
だが彼はフェイントに引っかからずに確実にこちらの攻撃を読みきる。
まるでこちらの手の内を完全に把握しているかのように。

(くっ・・・それもそうか。僕の剣を一番よく知っているのは合身している新か。
 無意識だけど・・・いや、無意識だからこそフェイントに体が反応しているのだな。)
「ならば・・・こうだ!」

フェイントを入れずに最短距離で突撃する。
そして流れるように一閃!
剣と剣がぶつかるが全体重を乗せたその一撃は彼の腕力を超えていた。
少しずつ傾いていく均衡。
近づいてくる勝利の瞬間。

(力任せに・・・弾き飛ばす!)

もう少し。もう少しで終わる。
だがその時、聞こえてしまった。

「・・・クリス。」


体中に電撃が走る。
声が聞こえただけで。
先ほどの官能を思い出してしまう。

「くっ!」

腰に回された腕も。

「・・・クリス。」

感じる体温も。

「・・・クリス。」

そして咥えられた瞬間に弾けた快感を。

「ぁぁ・・・あらた・・・・・・・・あらたぁ。」

手から剣が滑り落ちる。
目が潤み、体が火照ってくる。
思考が愛しい相手のことで埋め尽くされる。
欲しい。
彼が欲しい。


優しく押し倒される。
今度は腰ではなく首に腕を回される。
温もりを感じる。
無くしていたパズルの最後の1ピースを見つけたような気がした。

「あらた・・・あらた・・・あらたぁ・・・」

相手に聞こえるのではないかと思うばかりに動悸が激しい。
それは若干の不安と、そして大多数の期待。
耳だけであんなにもされてしまった。
なら、本格的にされたらどうなるのか?
そんな不安と期待。
自分は王子ではなくなる。それでいいのか?
でも、それは自分を縛るものから開放されることだ。
そんな不安と期待。
痛いのかな?すごく痛いと聞いている。
でも、これで、ようやく、やっと、彼と1つになれる。
そんな不安と期待。
全てが混ぜこぜになりそしてようやく意思をもった声が発せられた。

「あらた・・・・・・・・・・・おねがい。」
「クリス・・・・・・・・・・・・・・・・・ぐぅ・・・ぐぅ・・・ぐぅ・・・」
「・・・・・・・あれ?え?あらた!?おい!え?寝てる?ちょ、おい!生殺し!?」

覚悟を決めた瞬間の肩透かし。
この日は朝から味噌汁がかかったりと何だかんだあったが、
本日1番の不幸はこの生殺しとなったようだ。


その頃、深森家屋内

「アラタ・・・マモル・・・」
「あ~あ、また封印解けかかってるよ。
 ・・・今日のはまた強烈だね~。」
「アラタ・・・アラタ・・・アラタ・・・グアアアアアアア!!」
「お~よしよし。大丈夫だからな。
 にしても今日はまた一体どうしたんだい?」
「アラタガ・・・タブラカサレテ・・・ガアアアアア!!」
「・・・第6感ってやつ?
 というか嫉妬なのね・・・。
 あの弟にしてこの姉あり・・・か。
 まあ大丈夫だって。一緒に寝てるのはクリス君だし。」
「アラタ・・・アラタ・・・マモル・・・アラタアアアアアアア!!!!」
(・・・この子、クリス君が女だって知ってるのかね~?)


どうやら彼女は明朝も寝坊しなければならないらしい。


その頃、深森家屋外

「う~ん・・・逃がしちゃったか~。
 他の姫だったのかな?」
「きゅいきゅ~い。」
「まあ確かにそうだけどさ。
 何で界律結界まで使っておいて本人が襲撃しなかったのかな~?」
「きゅきゅ~い。」
「イーリス姫も現れなかったしね。
 どうもきな臭いな~。
 う~ん、今は情報不足だね。」
「きゅ~いきゅきゅい。」
「まあ、昼間に新君の様子がおかしかったら念のために気をつけておいてよかったよ。
 もし、あのままだったら・・・王子様が新君に・・・きゃ~きゃ~!!」
「きゅ~い・・・」
「あ、う~ん、ゴホン。まあ今日はこれで帰ろっか。
 夜更かしはお肌の天敵だしね。」
「きゅ~い。」


生殺しの原因は彼女らしい。


その頃、現クリス家

「う~ん・・・上手く行きそうだったんですけどね~。
 まあ、これでさらに男として意識すれば自ずと関係は深まるでしょう。
 あとは、殺し合いをさせるタイミングが・・・。
 ああ、そうそう。神官長もどうにかしてしないと。
 ・・・まあ、今は命令されたことをやるだけでいいでしょう。
 私は『依頼』は絶対に遂行するメイドさんですからね~」


メイドの悪巧みはまだまだ続くらしい。


そして再び新の部屋

頭から水を被ってようやく興奮は収まった。
結局何をしても新は目を覚まさなかった。
操られている状態は体力を異常に消耗するらしいからそのせいだろう。
冷静になって自分の行動を振り返ると自分自身に腹が立ってしかたない。
やっぱりあの時のことは一時の気の迷いなんだ。
自分は王子なんだ。
そして・・・彼は・・・このプリンセス・ワルツが終われば分かれるんだ。
ワルツが終わり、王位を継げばもう会えなくなる。
もう2度と会えなくなる。
胸が締め付けられる。
切ない。
考えるだけでもこんなに苦しい。
これは違うんだ。
ただ、友達を失いたくないだけだ。
それだけなんだ!

もしも思う。
操られてとかではなくて本当に『殺し合い』を行ったとき。
自分は彼を斬れるのか。
彼は自分を斬れるのか。
いっそ、自分で自分を・・・。
なんて素晴らしく、そして恐ろしい考えなのだろう。
その考えを否定する材料が無いことに気づいたと同時にクリスは眠りに落ちていった。


深森家の朝は大抵が慌しい。

「だからさ~何を怒ってるんだよ、クリス。」
「別に、何も。」
「全然別に何も無い顔じゃないってば。」

「母さん、また寝坊か?」
「ふぁ~・・・うう、おはようさん。いや、まあ。ちょっとばかし夜更かししちゃってね。」
「またか。一体そんなに何をしてるんだ?」
「ん~・・・月見酒とか?」
「・・・はぁ。」

いつもの日常。
穏やかな日々。
いつまで続くのかは分からない。
でも、
それでも、
これが壊れる瞬間は、
新だけは守ろうと決めた。
他の何を犠牲にしてしまっても。
例え自分を犠牲にしてしまっても。
そして願わくは、
ならなくちゃいけないから、なるではなく、
2人でなりたいから王子になるのだと、
胸を張って言える日が来ますようにと。
自らの指にある絆とも言える指輪にそっと願った。

そして本編に続く・・・
#5 - 2022-8-11 10:42
夜に咲く花、君は華
http://yellow.ribbon.to/~savess/20060630/pri4.html

遠くから喧騒の声が聞こえる。
いつもは近隣では早めに寝静まる深森家ではあったが今夜は別だ。
町には屋台が並び立ち、何処にいたのかと思うほどの人で賑わっている。
そう、今夜は夏祭りなのだ。


「そう、そのまま前で合わせて・・・ああ、違う。左前にするんだ。」
「え~と、こうですか?」
「そうだ。で、この両手のとこに腰紐を・・・。」
「こう・・・と。」
「次におはしょりを・・・。」


そして今、深森家ではとある試みを行っている。
つまり、クリスに浴衣を着せてみようというものだ。
可愛い恋人が着飾るのはとても楽しみなものだ。
もちろん襖1つ隔てただけの部屋にいる新も期待で胸を膨らませていた。


(しかし・・・落ち着かないなぁ。)


襖1つ程度では完全に防音はできず、2人の声や衣擦れの音が丸聞こえなのだ。
健康な男子としてはついつい部屋の中の姿を想像してしまうのであった。


「よし、できたぞ。新に見せてこい。」
「はい、ありがとうございます。静さん。」
夜に咲く花、君は華 2/162006/05/24(水) 18:27:55 ID:F5WMOegB0
襖を開け現れたその姿。
水色を基調とし、所々に日本の代表的な花である桜の花びらが見えている。
その姿は期待を良い意味で大きく裏切っていた。
金髪も不思議と桜の花びらに良く合い、堂々とした佇まいは平安の貴族をも思わせる気品があった。


「・・・?どうしたんだ?そんな呆けた顔をして。」
「え?あ、いや。・・・クリス、めちゃくちゃ可愛いよ。すげー似合ってる。」
「な!?あ、ああ。そうか、うん。似合ってるのか。」


ほんのりと頬を桜色に染め軽く俯いたその可憐さはもはや子供から老人まで、あらゆる世代の男たちに保護欲を掻き立てる役割を果たしていた。
もちろん、今目の前にいる少年も例外ではなかった。
控えめに言ってもクリスは凛々しいというかそこらへんの男よりもよっぽど勇敢な性格をしている。
普段の立ち振る舞いを見ていても中性的な顔立ちと相まってどちらかというと男らしいという印象を受けてしまう。
それだけにこのギャップは強烈で凶悪だった。
可愛い。可愛すぎる。
姉の目が無ければ今すぐにでも押し倒してしまいそうなぐらい可愛い。


「・・・・・・・・・。」
「おい、新?そ、そんなに見つめるな。は、恥ずかしいだろ。」
「あ、お、おう。いや、本当に可愛いよ。うん。」
「な!あ、う~・・・。ほら!さっさと行くぞ!」
「ちょっ、待てって。道分かんないだろ!?」


あからさまに分かるほど頬を赤く染めて逃げようとするクリスと、それを追いかける新。
最近は深森家では当たり前になってきた光景であった。
夜に咲く花、君は華 3/162006/05/24(水) 18:35:14 ID:F5WMOegB0
      プリンセス・ワルツ 外伝  「夜空に咲く花、君は華」


道路では交通規制が引かれており、車は進入できないようになっている。
歩道だけでは入りきらないほどの人が集まっているからだ。


「だからさ、ほら、手。」
「え?手を・・・繋ぐのか?」
「だってさ、迷子になったらやばいだろ?」
「だ、誰が迷子などになるものか!」
「いや、でもさ、はぐれたら大変だしさ・・・。」
「う、・・・でも。」
「それに、俺はクリスと手を繋ぎたいんだ。駄目かな?」
「う!そ、そんなことを真っ正直に言うな!・・・どうしてもと言うなら・・・はぐれたら大変だし。」


そっと握った手のひらは微かに汗で湿っていた。
ただ蒸し暑いだけではなく手を繋ぐ行為のためもあるらしい。


「あ、・・・っとさ。クリスは祭りって出たことあるのか?」
「いや、僕は無い。これが初めてなんだ。」
「あ、そうなんだ。向こうには祭りは無かったのか?」
「いや・・・、僕はずっと王宮の奥にいたから。」


迂闊だった。
場を持たせようと迂闊に放ってしまった。
クリスのことをいつでも考えるようにと思っていたのにこんな有様だ。
つくづく自分の学の無さが情けなくなってくる。
だが、肝心のクリス本人の表情は晴ればれとしていた。
夜に咲く花、君は華 4/162006/05/24(水) 18:36:07 ID:F5WMOegB0
「そんなに落ち込むなよ、新。」
「え?いや。でもさ、俺、お前の気持ちをあまり考えずに・・・。」
「確かに、辛かったさ。ああ、辛かった。」
「・・・。」
「でも、今は違うぞ。静さんがいて、七重さんがいて、そしてお前がいる。僕は今、幸せだ。」
「クリス・・・。」
「だから大丈夫だ。今という時を生きること。それを教えてくれたのはお前なんだぞ。」
「え?俺、そんなこといつの間に?」
「自覚が無いのか?お前らしいな。王子として生きることしか考えてなかった僕を、無理やり変えたのはお前だ。」
「あ、それ?でも、そんなの・・・。」
「いつまでも王子という言葉の呪縛に囚われず、本当の意味で前に進むことを教えてくれた。」
「そんな、大層なもんじゃないって。」
「いや、僕にとっては本当に嬉しいことだったんだ。生まれてはじめて自分の進む道に光が差し込んだ気がしたんだ。」
「クリス、お前・・・。」
「だから、ありがとう、新。」


真っ直ぐに見つめる瞳。
微かに染まった頬と微かに色づく桜の花びら。
我慢などできなかった。
ただこの可愛い彼女を抱きしめたいと思った。


「な!おい、新!」


人目も憚らずに強く抱きしめる。
腕の中で抵抗していた彼女もやがて大人しくなり、自らの腕で抱きしめ返した。
蒸し暑い夏の夜にあってはなおさら暑くなったが、それでも2人とも中々離そうとはしなかった。

夜に咲く花、君は華 5/162006/05/24(水) 18:36:44 ID:F5WMOegB0
「で、何か食いたいのある?今日は姉ちゃんから臨時で小遣いもらったから食い放題だぞ。」
「そうだな・・・新のおススメはあるか?」
「俺?チョコバナナとかじゃがバタとか好きだな。」
「じゃが・・・?何だ?」
「じゃがバタ。熱々のジャガイモにバターを乗せて食べるんだ。上手いぞ~。」
「なるほど、たしかにそれは美味しそうだな。それを食べてみたい。」
「了解しました。お姫様。」


そう冗談めかして言いながらしっかりと手を繋ぎ目当ての屋台を探し出した。
そこに言葉は必要なかった。
目的の物だけ買い、道端に2人並んで腰を下ろした。


「へ~、これがじゃがバラか・・・。」
「クリス、じゃがバタだ。」
「わ、分かってる。ほら、食べるぞ!」
「あ、そんな急いで食べたら・・・。」
「あ、あつ!あ、あ、あ、あつ!!」
「あ~ほら、ジュース飲め。」
「ん、ん、んぐ・・・。う~、舌がヒリヒリする。」
「まったく、仕方が無いな。ほら。」


そう言うとバターがたっぷりとかかっている所を取り、冷まそうと息を吹きかける。
つまり彼がやろうとしているのは『ふ~、ふ~。はい、あ~ん(ハート)』なのだ。

「はい、あ~ん。」
「な、な、な、な、な、な~~~!!!」
夜に咲く花、君は華 6/162006/05/24(水) 18:51:47 ID:F5WMOegB0
面白いほどに真っ赤になり慌てふためくクリス。
一方、新はそれを見て結構楽しんでいた。
どうやら確信犯的なとこもあるらしい。


「ほら、あ~ん。」
「駄目だって!そんな・・・恥ずかしい。」
「嫌なのか?」
「そんな、嫌って・・・う~。」
「俺のこと嫌い?」
「それは無い!絶対に嫌いになんてならない!」
「じゃあ、はい。あ~ん。」
「ううう・・・。」
「あ~ん。」
「・・・・・・・・・・・・・・あ~ん。」


ついに観念して口を開くクリス。
それを良いことに次々と食べさせてゆく新。
傍目から見たらバカップルにしか見えない2人がそこにいた。


「はい、次。あ~ん。」
「あ~ん。」


クリス自身も結構楽しくなってきたらしい。
それはそうだ。
愛する少年が食べさせてくれてるのだ。
周りも見えなくなり、お互いはお互いしか目に入らなくなっていた。
夜に咲く花、君は華 7/162006/05/24(水) 18:52:47 ID:F5WMOegB0
「はい、これで半分。あ~ん。」
「あ~ん。・・・んぐ。じゃあ、次は僕の番だな。」
「あ、やっぱり?」
「当然だろ。ほら、あ~ん。」


攻守交替され、今度はクリスが食べさせる番になった。
その表情は幸せそのもの。
戦いの末にようやく掴んだ幸せなのだ。
傍にいるだけで、ますます好きになってゆく。
クリス=ノースフィールドは深森新に対して、いわゆるメロメロな状態になっているのだ。


「あ~ん。」
「おう、あ~ん。」


ひたすらマイペースにじゃがバタを食べ続ける2人。
そして、最後の一欠けらとなった。


「これで、最後。はい、あ~ん。」
「あ~ん。」


ようやく食べ終わり、何とは無しに見つめあう2人。
周りの喧騒の中で2人だけの無言の世界が構築されている。
話さなくても無言が心地よかった。
まるで、心が繋がっているようで、互いの全てを知っているようで。
夜に咲く花、君は華 8/162006/05/24(水) 18:53:48 ID:F5WMOegB0
「え~と、暑くなってきたな?」
「そ、そうだな。じゃがバタって体に熱篭るしな。」
「どこか涼しい所・・・いや、人がいないだけでもいい。知らないか?」
「う~ん、そうだな。近くに小さな神社があるんだ。今回の祭りとは直接関係が無いからたぶん人はいないと思う。」
「じゃあ、そこに行こうか。」
「分かった。こっちだ。」

手を引っ張り、神社へと向かう。
そして、御堂の前に2人で座り込んだ。
幸いにも他に人はおらず、2人きりだった。


「ふ~、暑いな。」
「そうだな。さすがにこれはきつい。ソルディアは比較的涼しい気候だったからな。」
「・・・ちょっと離れただけでずいぶんと静かになったな。」


祭りの喧騒は遠く、まるで界律庭園に迷い込んだかのようにも思えた。
少しだけ強く握りこんだ手には互いの気持ちが現れていた。
欲しい。
今すぐ、君が欲しい、と。


「・・・クリス。」
「う、うん。良いよ。」


見つめあい、近づいてゆく顔と顔。
そして、そっと2つは重なった。
夜に咲く花、君は華 9/162006/05/24(水) 18:59:27 ID:F5WMOegB0
「ん、ふ、ん・・・・ん。」
「む・・・んん、ん。」


柔らかな唇の感触。
だけど、それだけでは物足りなくて。
クリスはおずおずと舌を新の口内に差し込んだ。


「む・・・・・ん、ん~・・・。」


そしてこの思いがけない行動に新はひどく驚いた。
なぜなら、普段は舌を差し込んだりと積極的に行動するのは新の役目であり、
クリスは大抵が『受け』だったからだ。


「ふ、ん、ん・・・・・ぅん。」
「む、んん。・・・んむ。」


クリスの舌が新の舌を絡めとり、歯茎の裏や、内壁などを思うがままに嘗め回す。
普段は味わえないクリスの攻めにもはや新は虜となっていた。


「ん・・・ぷはぁ。新・・・僕、もう我慢できない。」
「俺も、クリスが欲しいよ。」
「あぁ・・・新。ここで、いいよな?」
「あ、と。もうちょっと奥で・・・。」
夜に咲く花、君は華 10/162006/05/24(水) 19:02:23 ID:F5WMOegB0
やってきたのは神社の裏手。
祭りの明かりもここまでは届かず、微かに聞こえる音だけがその存在を表していた。


「凄い・・・新の、もうこんなに固くなってる。」
「そんなの・・・クリスが可愛すぎるからだ。」
「そっか、僕のせいなのか。なら、責任はちゃんと取らないとな・・・。」


そう言い放つと素早く新のズボンを下げる。
すでに痛いほどに張り詰めている性器に顔を近づけると丹念に舐め始めた。
愛情を込めて、何度も何度も舐めあげる。


「クリス、うあ・・・く。すげ・・・うぅ。」
「ん、んふ。ん~・・・うん。どうだ?気持ちいいか?」
「ああ、やばいぐらい気持ち良い。」
「そっか。嬉しいな・・・。んむ・・・んん・・・。」


敏感な部分を執拗に何度も攻めるクリス。
付け根から亀頭までねっとりと舐め上げたかと思えば次の瞬間には竿を銜え込み吸い上げる。
次々と紡ぎだされる快感にもはや新は限界だった。


「クリスッ!俺、もう駄目だ!」
「ん、良いよ!出して!」


さらに新の性器を限界まで深く銜えるてゆく。
飲み込まれるような感覚にあっさりと限界は訪れた。
夜に咲く花、君は華 11/162006/05/24(水) 19:03:45 ID:F5WMOegB0
「う、出る!くぅぅぅ!」
「んむ!ん!ん!ん・・・んぐ。ん、ん。・・・んん。」


口内に出された精液を1滴も残さず飲み干していく。
同時に竿も扱き微かに残ってた精液も搾り出す。


「ん、ん、ん・・・はぁ。凄い・・・一杯出た。」
「だって、気持ち良すぎだって。こんなの。」
「それでこんなに?」
「そうさ。今度は俺が気持ちよくしてやるな?」
「・・・うん。」
「じゃあ、そこの木に手をついてくれる?」
「こうか?」


後ろ向きになり木に手をついたその姿は艶かしくも可憐さを醸し出していた。
突き出した腰には小さなヒップの形が薄っすらと見えている。
新は可愛らしいヒップを優しく撫でまわし始めた。


「ん、んふ・・・ん。」
「クリスのお尻、柔らかいよ。」
「や、ん・・・切ないよぉ・・・。」


着物越しに撫でられるもどかしさに自ら腰を動かしてしまう。
すでに秘所はジンジンと熱く疼いている。
夜に咲く花、君は華 12/162006/05/24(水) 19:04:54 ID:F5WMOegB0
「あぁ、お願い・・・あらたぁ。」
「直接触って欲しい?」
「うん・・・触ってほしいの。」


そして、さらに腰を強く押し出され、手に柔らかいヒップに感触が伝わる。
新自身の理性もとっくに限界が来ていたのか即座に着物を裾をたくし上げる。


「すげ・・・クリスのすごい濡れてる。」
「あぁ・・・そんな、見ないで・・・。」
「ん?やだ。もっと近くで見るな。」


そう言い、顔をさらにクリスの秘所に近づける。
汗と愛液の混じった匂いが鼻を突くが、それも興奮を呼ぶ役割しか果たさない。
そして、花のように咲き誇るクリスの秘所にさらに顔を近づけるとおもむろに舐めだした。


「ひあ!はああぁぁぁぁ!!」
「ん、んむ。クリスの味がするよ。」
「そんなの!言わないで!あああぁぁぁ!!」
「・・・え?もうイッた?」


だが、問いかけには荒い息しか帰ってこなかった。
だが返事がないことがなによりの返事なのは新にはよく分かっていた。
だから、さらに問いかけることはせずに再び秘所を舐め始めた。
手で広げ中をかき回すように舐めあげる。
夜に咲く花、君は華 13/162006/05/24(水) 19:06:50 ID:F5WMOegB0
「んあ!らめぇ!ああぁ!また、きちゃうぅぅ!やめ!はあぁぁぁ!」
「ん、んぐ、ん。やめないからな。む、んん。」


快感と愛おしさだけが脳髄を駆け巡る。
声を抑えることさえ忘れて、クリスは今、ただの女となった。
舐められ、吸われ、飲まれ、理性はもはや欠片として存在しなかった。


「クリス、こっちもな。」
「はぁ!そっちらめぇ!ああああぁぁぁぁぁ!」


そして花の上にある豆を強く吸った瞬間、快感は弾けた。
2回連続で絶頂にたたされてしまい、もはや自力では体勢を維持することもできない。
腰を掴み支えながら、新は自らの性器をクリスのそれに擦り付ける。


「入れるよ?クリス。」
「ぁぁ・・・きて・・・。」


ゆっくりと捻じ込ませる。
互いの最も敏感な部分を擦り合わせる快感が体を支配する。


「あらたの・・・あついぃ。」
「クリスのも、すっげぇヌルヌルだぞ。」


次から次へと花の奥からは蜜が溢れ出てきて否応無く新に快感を擦り付ける。
もはや2人は、いや、きっとずっと前からお互いの事しか考えられなくなっていた。
夜に咲く花、君は華 14/162006/05/24(水) 19:08:33 ID:F5WMOegB0
「動くぞ!クリス!」
「はやく!きて!あらたぁ!」


獣のように重なり合い快感を貪る2人。
肉と肉の重なる音が一定の間隔で聞こえ、そんな淫らな音も快感を引き立てるスパイスだった。


「あぁぁ!はあああぁぁぁ!」
「クリス!そんな大きな声出してたら人に聞かれるぞ!」
「そんな!こえ!おさえられな、あああぁぁぁん!」


甘い締め付けと、甘い嬌声。
首筋を舐めるとさらに声が甲高くなる。塩っぽい味がした。
そして、汗の匂いと喘ぐ姿。
五感全てで男の欲望が満たされる。
だからなのか、限界は意外と早く訪れた。


「ごめ、クリス。俺、もう出そう・・・。」
「あぁ!僕も!僕もきちゃう!いっしょにきてぇ!」
「ぐぅ!クリス!」
「はあぁぁぁぁ!あついぃ!あああああぁぁぁぁん!!」


耐え切れずに膣内に大量に射精してしまった。
肉棒を引き抜くと中からは大量の白濁液がでてきた。
愛液と混じり太腿へと落ちてゆく姿はどうしようもなく淫靡だった。
夜に咲く花、君は華 15/162006/05/24(水) 19:12:03 ID:F5WMOegB0
情事を終えホッと一息をつく。
そして、新はポケットからティッシュを取り出すとおもむろにクリスの秘所から垂れる精液を拭きだした。


「な?新、ちょっ!何を?」
「いや、浴衣が汚れるじゃん?だからさ。」
「だったら一声かけてからしろ!」
「ああ、ごめんごめん。・・・今更だけどさ、今日は大丈夫な日なのか?」
「本当に今更だな。心配せずとも、コントロールする魔法や呪法はいくらでもある。」
「そんなのもあるのか・・・。」
「それよりも、浴衣どうしようか・・・。滅茶苦茶になった。」
「ああ、着付けなら俺できるぞ。」
「新が!嘘だろ!?」
「姉ちゃんから教え込まれてな・・・。ほら、拭き終わったら帯を解くぞ?」
「あ、ああ。分かったよ。頼むぞ、新。」
「任しとけって。」


人前に出ても恥ずかしくないようにと再び浴衣を整える。
ちょうど整えなおした時だった。
突如、上空から腹に響くような巨大な音が聞こえた。


「ひゃっ!な、何だ!ガードナーか!?」
「お、始まったか。ほら、クリス。空を見てみろって。」
「え?・・・うわぁ・・・。」


そこには大輪の花が咲いていた。
花火大会がはじまったのだ。
夜に咲く花、君は華 16/162006/05/24(水) 19:18:31 ID:F5WMOegB0
「・・・なぁ、新?」
「ん?どうした?」
「できれば、その、もうちょっとだけ2人で・・・。」
「ん。分かった。花火終わるまでゆっくりしていこうか。」
「う、うん。・・・ありがとう。」
「どういたしまして。」


そっと新の肩にクリスは頭を置く。
色取り取りの明かりに照らされながら、2人はいつまでも夜空に咲く大輪の花を見続けていた。


「来年も・・・。」
「ん?」
「来年も一緒に来ような。」
「ああ、僕も・・・一緒に来たい。」


ゆっくりと影が重なった。
夜空の花と、桜の花びらしか見ているものはいなかった。
夜に咲く花、君は華2006/05/24(水) 19:22:02 ID:F5WMOegB0
>>339-354
以上です。

立ちバックができたのでなんか満足。
しかしクリスばっかり書いてるな~自分。

次は何を書こうかな~っと。
だんだん妄想も尽きてきた。ぁぁぁぁぁ。

ゲームもう1週してこよっと。
でわ、読んでくださってありがとうございました~。
#6 - 2023-4-5 12:17
玩一下ai,看ai能写什么东西

命令:写一篇公主华尔兹中,能展现静的弟控欲望的galgame剧情短篇,以情人节为主题,大约3000字

《深森静的情人节》
在神秘的埃尔丁大陆,情人节即将来临。作为居住在异世界日本的深森静,她对这个特殊的节日充满了期待。她希望借此机会表达自己对弟弟新的深切感情,与此同时,她也渴望得到新的关注和回应。
作为半神的深森静,她的弟控欲望一直都是她内心无法抵挡的冲动。她一直在努力保持理智,但心中那不断翻涌的情感让她无法自拔。面对情人节这个特殊日子,她终于决定向新传达自己的心意。
为了制作最能表达自己心意的巧克力礼物,深森静开始了独自的研究。她跑遍了日本的各大巧克力商店,寻找最好的材料。在这个过程中,她不禁对日本这个异世界的情人节习俗产生了浓厚的兴趣。深森静了解到,在日本,女孩子会在情人节这天送给喜欢的人巧克力。她觉得这是一个绝佳的机会,能让她向新表达自己的感情。
经过连日的努力,深森静终于制作出了一盒精美的巧克力。然而,她并没有满足于此。为了让这份礼物更加特别,她决定将自己的体液混入巧克力中。在她看来,这是一种最直接的传达心意的方式。虽然这种做法在一般人看来可能有些过于极端,但对于深森静来说,这是她表达爱意的独特方式。
情人节当天,深森静戴上了眼镜,打扮得充满理性和智慧。她握紧了手中的巧克力礼盒,向新走去。见到新的那一刻,她的心跳加速,兴奋得无法自已。然而,她仍然努力保持镇定,将巧克力礼盒递给了新。
新接过了礼物,脸上露出了诚挚的感谢。深森静紧张地看着新打开礼盒,品尝着那精美的巧克力。每当新品尝一口巧克力,深森静的内心都泛起一股莫名的快感。她知道这是因为她的体液与新的唇齿相接,让她感到无比亲密。

在这个特殊的日子里,深森静的弟控欲望达到了巅峰。为了更好地表达自己的感情,她邀请新一起参加当地的情人节活动。尽管在外表上保持着冷静,但她内心的激动与喜悦无法用言语表达。

他们参加了游园活动,观赏了美丽的花火,还一起在摩天轮上欣赏了日本这个异世界的美景。深森静觉得这是她与新度过的最美好的时光。

当夜幕降临,新邀请深森静来到了一个幽静的公园。在月光的照耀下,新向深森静道出了自己的心意。他表示,虽然他知道深森静对自己有着特殊的感情,但他希望他们之间的关系能够保持现状。新强调,他非常珍惜与深森静的姐弟关系,不希望因为过于亲密的行为而破坏这份感情。

听到这番话,深森静的内心五味杂陈。尽管她对新的感情依然强烈,但她也理解了新的想法。她决定尊重新的意愿,并努力克制自己的弟控欲望。

情人节过后,深森静与新的关系变得更加稳固。尽管她的弟控欲望仍然存在,但她学会了如何把这份感情转化为关爱与保护。在未来的日子里,深森静与新一同面对了许多挑战,也共同度过了无数难忘的时光。而这一切,都源于那个特殊的情人节。

结局:深森静在经历了那个情人节后,慢慢学会了如何在保持姐弟关系的同时,处理自己的弟控欲望。在与新共度的日子里,她逐渐变得成熟稳重。而新,也在深森静的关爱下,逐渐成长为一个勇敢、善良的年轻人。他们共同迎接了未来的挑战,并在日益严峻的形势下,紧密地依靠着彼此。

随着故事的发展,深森静的封印逐渐解开,她获得了强大的力量。而新也在这个过程中,展现出了不凡的潜能。他们成为了埃尔丁大陆的守护者,肩负着拯救世界的重任。

在与邪恶势力的斗争中,深森静和新学会了彼此信任和依赖。他们共同战胜了敌人,也在这个过程中,深化了彼此之间的羁绊。虽然深森静对新的弟控欲望始终未消散,但她学会了如何以更加成熟的方式面对这份感情。
最终,在击败复活的埃尔丁并回到七央之后,新决定与六位公主结婚,其中包括深森静。在这个过程中,深森静逐渐接受了自己的感情,并勇敢地面对自己的欲望和本能。她与新以及其他公主们共同生活,度过了美好的时光。
时光荏苒,深森静在新的陪伴下,渐渐学会了如何平衡自己的感情和责任。她成为了一个受人尊敬的公主,也是新以及其他公主们信赖的伙伴。在这个充满挑战的世界里,深森静与新一同努力,谱写了他们属于自己的传奇故事。
而对于深森静来说,那个特殊的情人节,依然是她心中永远珍藏的回忆。那是她勇敢面对自己内心感情的开始,也是她与新共同成长的见证。而她深知,无论未来的路有多么艰难,她都将与新并肩前行,永远不离不弃。
#7 - 2023-7-8 20:34
理酱的忧郁

那一天,她无所事事。
如果问她到底有多无聊,她会告诉你她无聊到可以在矮桌周围不停地转圈。她的名字叫丽泽尔,而在这个世界,她是理子。大家熟知的她的真实身份是被亲切地称为“理酱”的“钢铁公主”。

那么,各位观众,即将为您呈现的是《公主华尔兹》番外篇

      舞台拉开序幕!

  “理酱的忧郁 守家篇”

那一天,她感到无比的无聊。
坦白讲,她实在找不到任何事情可以做。
家里唯一的男性已经出去支持朋友参加的草地棒球队。
其他的公主们也都因为各自的事情不在家。
所以现在,只剩下理酱一个人在家。
就算出去也提不起兴趣。
家务活也已经全部完成。
飞行手机的充电(每个大约花费20日元)也全部完成了100个。
她真的找不到任何事情可以做。

“……新……君。”

面朝坐垫,理酱低声呼唤着她所爱的男子的名字。
无论她多么天真无邪,毕竟她也是个年纪相仿的少女。
当她无聊的时候,自然会想起她所喜欢的男子。

“……新……君……。”

当她再一次呼唤他的名字时,她奇怪地感到他似乎就在她的身边。
是的,他一直以来都会像理所当然一样面对前方,保持微笑。
他总是主动冲入危险的地方。
她被他的勇敢所激励,无数次。
正因为他那耀眼的身姿,她才会喜欢上他。

“新……君。”

她又一次呼唤他的名字。
看来她已经无法自拔了。
思绪不断流淌。
去各种地方玩,分享生活的琐碎。
她的幻想如潮水般涌出。
左边是新君,右边也是新君。
正前方是新君,后面也是新君。
四面八方,全部都是新君。
这里真的变成了只有新君存在的乐土。
理酱将脸埋在“新总是坐着的”坐垫上,她的手慢慢地向下腹部伸去…

“喘……喘……喘……。”

看来她因为思念过于强烈,无法自制地做出了两次动作。
具体的描述就请原谅作者因为技术不足而省略了。

然后过了大概10分钟。
看来她开始慢慢恢复冷静了。
首先是脸红,然后是后悔。
再接着是自我厌恶。
她幻想着那个会温柔安慰她的他,脸又变红了。
不止是脸,耳朵和脖子都变得通红。
她看起来就像是被烫熟的章鱼或者虾。
正当她自嘲自己就像只章鱼一样的时候,突然有一句话浮现在她的脑海中。

“谁是他的意淫对象?”

当然,这个“他”指的就是她心目中的王子。
毫无疑问,所有的公主都是非常美丽的。
理酱觉得自己根本无法与她们相比。
但是……如果……他在想念我……(害羞)

请稍等,理酱正在进行幻想中

虽然在行动前就已经筋疲力尽的理酱,但她终于来到了他的房间门前。
但是,到了这里,她却无法迈出最后一步。
如果,仅仅是如果,
书中的内容是“女孩子的男装”或者“义姐”之类的,那她该怎么办。
如果真的变成那样,她觉得自己至少需要一个星期才能恢复过来。
但是她又想知道,又想看看。
她的不安和好奇心在内心交战。

“(唔,我果然不应该这么做…)” ←理智
“(不,收集情报是通往胜利的第一步。)” ←本能
“(但是,如果我私自看了他的东西……)”
“(只要他不知道就是一回事)”
“(呜……)”
“(或者,你愿意让其他公主抢走他吗?)”
“(!!)”
“(你想看着他和其他公主亲密吗?)”
“(不,我不想看到那样的场景……)”
“(那么,为了得到最好的结果,全力以赴是理所当然的事)”
“(理所当然……)”
“(没错。……这并非出于好奇心)”
“(对,对。应该就是这样……)”
“(对,这只是,你看,收集情报。)”
“(对……只是收集情报……没问题吧?)”
“(好吧,应该没问题。可能吧)”

理智和本能不但没有对抗,反而达成了一致。
再也没有人能够阻止她了。
对恋爱中的少女来说,理智是无法通达的。

于是,步入房间的理酱首先想到的事情是:

( 这 里 没 有 床 )

是的,因为新君总是在被褥上睡觉,所以这里没有床。
她从同工作的工人的妻子们那里了解到的藏东西的可能位置只有床下。
她对其他藏东西的地方一无所知。
不,不可能的。她肯定只是忘记了。于是她改变了自己的想法,再次回忆了一下。

“色情书籍都藏在床下呢。男人们就喜欢这样~”
“平时应该戴眼镜的,男人们就喜欢这样~”
“武器最好选择大锤或钻头,男人们就喜欢这样~”

看来这些知识似乎无关紧要。
深深叹了一口气后,她鼓起勇气重新打量了一下房间。
首先映入眼帘的是一排排的奖杯。
也就是说,这些奖杯是他努力的证据,是他的荣耀象征。
他虽然某些方面可能不足,但是他至少能在一对一的情况下击败低级的园丁。
他一定是有着某种天赋,但是他的努力也起到了很大的作用。
理酱知道,他一直在悄悄地向克里斯王子请求战斗训练。
他正在努力向前走。接受了作为王子的宿命,与克里斯王子一起承担。
无论是战斗还是政治,他都不逃避,而是正面对待。
那么,过去的他是怎么样的呢?
那个为了胜利不惜伤害朋友的自己又是怎么样的呢。

“新君真是了不起……”

关于他的任何细微之处,都让我更加深爱他。我不仅没有对这样的自己感到惊讶,反而觉得非常开心。我想我已经无法从他身边离开了。只是想到他不在的情况下,就感觉整个世界都崩溃了,如入迷幻。我可能会紧紧抱住他的腿,哭着求他的怜悯。我就是这么深爱着他,他绝对不会做出这种事情。

“新君……”

理酱悄悄地喊了他的名字,然后倒在他的被褥上。

(我究竟在做什么?他的黄书?我知道这个有什么用呢?嗯,嗯,我是想用它作为参考,但是,我真的应该这么做吗?对了,我还是先把这个被子晾干吧。他一定会很开心的。就从这个开始,没必要着急。我也要一步步向前走,赶上他,和他一起走……)

“好,那就把它晾干吧。”

就在理酱打算把被子拿起来的时候,她的身体突然失去了力气。不,不对,是她无法用力。

“咦……怎么回事……?”

(没关系,七皇已经不在了。先冷静下来。好的,深呼吸。吸~~~~气~~~~~!)

“啊……呜……”

深呼吸是个错误。她深深地吸进了一口气,夹杂着他的汗水、气味等各种气味的混合体臭。头脑昏沉,身体无法使力,但是手却伸向了下腹部。不行,这样不行,太危险了,陷入了危机。

(这样不行……)←理性
(这样多好,肯定很舒服)←本能
(嗯……应该没问题)
(没问题的)

只用了四句话,理性就投降了。毕竟他的体味,就像是“王子香气”一般的迷人。让这样迷恋他的少女吸到这种气味,就再也无法自控。她趴在那里,深深地吸了一口气,然后……。

“哈……哈……哈……”

好像做了四次。即便是公主,体力也似乎快耗尽了。但手似乎还没有停,还在小幅度地动着。这段时间,每天都是这样想着他来安慰自己。她想,或许我应该每周都决定一个不做的日子,然后把身体翻到背朝上。因为一直趴着,手臂会麻木,而且确实有点喘不过气来,确实有些累。但是,现在似乎时机不太好。

"我回来了……咦?"
"……咦?"

房间的主人刚好回来了。那么,她现在是什么姿势呢?首先,她是仰面躺着。然后,双脚大开。顺便说一下,双脚是朝向门的方向。再者,她用手指展开了自己的那里。总结一下,就是“全都露出来了”。

"啊……啊……"

她在心里想。这是惩罚。因为自己想要知道他的黄书,所以会变成这样。肯定被讨厌了。绝对被讨厌了。她的世界正在崩溃。

"不……别看……不要……"

思维停滞。身体也无法动弹。虽然知道要遮住,要逃跑,但却什么也做不了。她真的无力反抗。如同没有战斗意志的可怜小兔。

"理子……"
"呃!!"

慢慢接近她的他。一句话也没有说。一句话也没有解释。他的形象就像捕到猎物的狼。但是,似乎和平时的他有些不同?

"理子~~~~~~~~!!"
"啊~~~~~~~~~~"

新君突然扑到了理酱身上。而且不知何时只剩下一条内裤。看来他似乎也掌握了那个著名的Lun Dive。

"咦?啊?新君?不、不行!这、这、这、这是、那个,那个?呃……"
"对不起,理子。我已经无法忍耐了。"
"咦?那个,所以,这个是,那个,不对的。"
"其实我,最近一直在想理子,即使一个人的时候,也总是想着理子……"

理酱,你真是太幸运了。看来你一直都是他最近的脑内主角哦。

"啊!我忍不住了!理子~~~~~~~~!!"
"不、不行!啊啊啊啊啊啊……"

尽管她尽力地抵抗(虽然只是假装),但在一天中已经自慰了六次的理酱已经没有什么体力了。可爱的野兔子就这样被大狼吃掉了。顺便说一下,看来她似乎还挺享受被吃的。

就这样,怀孕的理酱再次被称为拥有神之血的圣女,但她并不在意这些,为了她所爱的丈夫和孩子,她今天也在摆弄机器。

后日谈

"这是什么?"
"这个……是摇篮。"
"摇篮?……摇篮?"
"为了防止可疑人物攻击,我们装配了自卫系统。
如果需要的话,也有标准的助推器。
有了防冲撞的缓冲垫,就算是被卡车撞到也没问题。
还有一个根据环境判断自动播放古典音乐的系统。"
"啊,嗯。那就加油吧……"
"嗯!为了新君和肚子里的孩子,我会加油的。"
"……是啊,但是,不要过度劳累自己,好吗?"

两个影子慢慢地重叠在一起。
即使开始的契机是那个,他们现在是幸福的。

   长命百岁,长命百岁

与此同时……
这是光明与黑暗交叉的地方。
这里的主人是开始的王。
这里的主人是曾经的英雄魔王。
有形无貌。
有词无声。
只有这个地方存在着他们两个。

"看来他们终于在一起了呢。"
"嗯,是的……"
"你的反应好像有些冷淡啊?"
"不,我只是在想为什么要做这种事情,包括心灵交流和思维操控……"
"那是当然的。看到那孩子,我就想起我过去的自己。"
"过去的?"
"对。那个害羞、内向、不敢直面自我感情的过去的我。"
(是吗……过去的我也是这样的吗……)
"你现在还是这样。"
"……嗯,是这样。"
"你这种反应是什么意思?"
"没有什么特别的意思吧?"
"如果你再这样,我今晚就不再理你了。"
"………………"
"………………"
"………………"
"……如果你真的想的话,我可以接受三次。"
"哎呀,如果你不喜欢,就直说。"
"但是,我等了一千年。为了和你这样……"
"真是……你是个怪女人……"
"请不要这样说……"

(真的变了很多……嗯,这样也不错……
深森新,你要做好准备……
其他的公主们马上就会行动了。
寻求唯一的王子的华尔兹,公主华尔兹。
你也一定会理解成为魔王的我所经历的一切。
然后,新的魔王将诞生……
到那时,我们一起倾酌一杯葡萄酒吧……
如果有牢骚的话,我愿意听。
对不起,过去的我……原谅我没有察觉到伊丽斯的计划。
我猜,我打败的魔王可能也是这样……
这确实是一场华尔兹,一场永无止境的华尔兹……
不过……他们应该能把所有复杂的问题一并解决。
他们就是真正的“王子”和“公主”。
“勇者”和“随从”即使能打败魔王,也无法改变世界……)
但我相信你们会做得到……)

然后两年后,第二次公主华尔兹开始,发生了前所未有的激战,这又是另一个故事。
再过三年,他们建立了一个包含所有世界和异世界的统一王国"深森",这还是另一个故事……

那么,公主华尔兹的番外篇

   大幕落下!!!

  结束(华尔兹还在继续)
#8 - 2023-7-8 21:47
公主华尔兹番外篇『只是朝前走去』

来源http://yellow.ribbon.to/~savess/20060630/pri3.html

清晨的阳光从窗帘的缝隙中射入。
被阳光唤醒,抢先于闹钟醒来。
轻轻转动头颅,望向身旁的她,我的心上人。
她的睡颌稚嫩,而那严肃的表情却让我心动不已。
在这种时刻,我总会觉得自己有些不公平。
因为她竟如此轻易地夺走了我的心。
我轻轻伸长脖颈,在她的脸颊上亲吻。
现在,只有这么多,因为我的唇需要为她醒来的时刻保留。
压抑住触碰她唇的冲动,我开始在她的脸颊、额头、鼻尖和下巴等各处亲吻。

“嗯...嗯嗯。”

她轻轻地扭动身体。
虽然我还想多看她睡颌的样子一会儿,但我放弃了这个念头,送上了唤醒的祝福之语。

“早上好,新。”
“早上好,克丽丝。”

然后,我轻轻地吻上了她的唇。

只是朝前走去2/122006/05/21(日) 22:09:50 ID:NQAbCcO+0
这样,我们安静地拥抱了一会儿。
心灵和身体都感到了安慰。
我紧贴着她的胸膛,轻抚她的头发。

“新,你的头发有点乱。”
“啊?在哪?”
“在这儿...”

我轻轻地将头发含在口中。
那粗糙的感觉让我的舌头起舞。
我感到这样的举动也让我更爱她,不自主地让唾液浸润她的头发。

“这样很脏,克丽丝。”
“呵呵,有一点儿汗味。...嗯。”

我仔细地含住了发尾的位置,舔着,让它湿润。
新也就这样,任由克丽丝的动作,将身体交给她。
这期间,我们的手臂仍然紧紧地相互拥抱。

“应该可以了吧?别动。”

我终于放开了她,触碰她的黑发。
顺着头发的流向,我轻轻地滑过她的发丝。
缓慢而仔细地,满是爱意地。

“看,做好了。”
“谢谢你,克丽丝。”

两人仍然躺着交谈。
然后,我们又开始亲吻。
无法忍受这份爱意,我将舌头伸进她的口中。

“嗯...嗯...”
“嗯,嗯嗯...嗯。”

我们互相摩擦着身体,互相渴望对方。
但是,我们仍然必须忍耐。
想要将她抱得紧紧的冲动,想要温柔地对待她的冲动,我拼命地压制住。
因为我知道。
如果我在这里忍耐,之后就会感觉更好。

「嗯…嗯、嗯…」
「嗯、嗯、嗯…嗯。」

品尝着对方流过来的口水,然后将其咽下。
昨晚的晚餐中的红酒,西浓的米酒,帕尔米多的白兰地,都无法让两人这样陶醉。
新和克里斯,他们无疑是醉了,彼此陶醉在对方身上。
在这个时刻,不存在任何人能阻止他们的行动。
否则,即便有人存在,也没人能够阻止他们。

舌与舌交织,手探索着对方的身体。
轻轻地抚摸着她的颈部,她的身体微微颤抖。
轻轻触摸耳朵,她发出混沌的声音。
已经快要忍不住了。
缓缓的压上克里斯的身体,舌头从脸颊向下,经过颈部、肩膀、锁骨,一点一点的向下移动。

「咳…呜!呜,啊!不…不行…呜!」

被缓慢而焦虑地下降的舌头触动,发出了声音的新,只是她自己的公主。
尽管隐秘之处已经湿润无比,但是我刻意避开那里,将嘴唇含住她胸部的峰顶。

「呀!呜呜,…啊,呜,…不行…感觉好棒…。」

理智已经瓦解,只是追求和新的快感。
这是前一段时间的自己无法想象的景象。
在宫殿的深处独自生活的时候,甚至连自慰都没有。
因为成为了王子,必须要更强大地独自生活下去。
现在的情况又是怎么样呢?
身心全部都被一个男人占据,被奉献出去。

「呜!呼,啊!…下面,感觉好棒…呼!」

对此没有任何疑问。
因为已经知道了两个人在一起的温暖。
再也不能回到一个人的日子。
只能一直往前走。

「我,不行了…快进来…拜托了,新。」

想要被穿透。
想要被占有。
还想被新爱上自己的全部。

「我,忍不住了…拜托…。」

无礼的用手指张开自己的秘处,像妓女一样恳求。
这就像自己把锁链缠在自己的心上。
只能看到与过去不同的,新的道路。
所以,即使是那个锁链,也欣然接受。

「我也,忍不住了。我要进来了,克里斯。」
「快来吧!快点来!」

不是作为一个男人。
也不是作为一个女人。
只是作为一个普通的"克里斯",去索要"新"。

「啊!已经…进去了…呜呼!」

这种热情。
与龙的火焰的热度完全不同。
这是一种心灵被深深融化,仿佛与对方成为一体的热度。

「克里斯!我要开始动了!」
「快来!快点过来!」

肉体之间碰撞的声音。
无论被怎样的快感攻击,目光始终交汇在一起,腰部不断运动。
但,这还不够。
要更高,更高,更高,更高,更高。

「啊!太好了!太舒服了!新!」
「我也是!我也觉得在克里斯体内很舒服!」

他猛烈地出入,接着用力刺激她最深处,无情地攻击克里斯的弱点。
他们已经做爱无数次,他已经熟悉了克里斯的每一个敏感部位。

「新!快了!我要来了!新!」
「再,再忍一下!」
「不行!不行!啊!我要来了!我要来了!呜呼!」

她的手臂猛烈地颤抖,背部大幅度地弯曲。
她已经达到了高潮,现在已经无法思考任何事情。
在战斗中这可能是致命的,但现在在她身边的是她完全信任的爱人。
他是她毫无保留地展现自己的对象。
他是她在华尔兹中与心灵合为一体的最好的伙伴。
尽管他还没达到高潮,可能非常渴望,但他却在照顾她的身体,没有做任何事情。
这个人是如此的可爱,使她无法自拔。

「对不起,新。只有我…」
「没关系。别在意。」
「不行!只有我享受了快感,这不公平。」
「我觉得这并不是什么公平不公平的问题…」
「所以,让我在这里…好吗?」

说完,她靠近新的性器,开始用舌头舔舐。
她像在炎热的Vislei享受大受欢迎的冰棒一样,用心地给予他爱抚。

「嗯,嗯…嗯…嗯~…。」
「克,克里斯。等,那里不行,嘿!」

无疑,克里斯已经不止一两次进行了口交。
因此,她非常清楚如何使新最为欣喜。
例如,像这样舔舐他的敏感部位。
或者,用舌尖轻轻划过他的凹槽部分。
甚至,重复刺激他的尿道。

「嗯咕…嗯,嗯,嗯~~~…。」
「克里斯…!不行!我真的快受不了了!」

她漠视新的抗议,决定开始最后的行动,强烈地吸吮他的龟头,同时猛烈地抚摸他的阴茎,这是新最为敏感的部位。

「嗯!嗯~~~~~!!」
「不,不行!我要来了!啊!」

面对如同吸走他灵魂的强烈吸吮,他无法抵挡,终于射精。
而且,在他射精的过程中,她的手并没有停下,好像要将他最后一滴精液都榨干。
她用如此痛苦的表情吸取他的所有,就好像她不愿意放弃他的任何一部分。

「嗯,嗯…啊。哈,哈,哈。新,你的味道真浓。」
「…你这个笨蛋。别说些奇怪的话。」
「别叫我笨蛋,笨蛋。都是你害的。」
「…我也想要你的全部,克里斯。」
「果然,你是个笨蛋。但是,我也是呢。」

两人静静地握着手,任由自己沉浸在温馨的迷离之中。待到闹钟开始实施它的任务前,他们就再慢慢地享受这样的时光吧。

「新,今天早餐想吃什么?」
「嗯~,想吃鲑鱼。」
「知道了。那我就把剩下的两条都烤了。」
「嗯。另外,我还想要煎蛋。」
「加盐胡椒吗?」
「对,黄瓜肯定要半熟。」
「了解。也就是说像平时那样。」
「就是这样。克里斯,你要加酱汁吗?」
「也是。我可以分你一口哦?」
「如果是口对口的话,我乐意接受。」
「真是个笨蛋。」

这些无关紧要的对话。但仅仅这样,就是真正的幸福。

电饭煲里是刚出炉的米饭。用勺子将它盛进碗里。当然,是两人份的。

「新,来。」
「好的。」

送餐是新的职责。这是两人早餐中不可缺少的互动。克里斯做好,新送过来。这种平凡的日常,正因为如此,才显得珍贵而可爱。城堡深处的独自一人的生活,还有那个在华尔兹舞曲中试图杀死他的人。或许这就是赎罪吧。但即便如此,我也想珍惜现在的这个时刻。

「新…嗯。」

她的动作仿佛在乞求一个吻。他把脸凑过来,脸上带着一副无可奈何的表情。

「嗯…」
「嗯…」

轻轻地接触,轻轻地分开。这种时刻,实在是太让人爱不释手了。

「新,鲑鱼烤好了。」
「知道了。」

交谈的话语只有几句。但只需这么多,就足以理解彼此的心意。看,新此刻就想要一个吻。他向这边靠近,然后凝视着这里。

「克里斯…嗯…」
「嗯嗯…」

他的手臂绕在她的腰上,然后慢慢地下滑。但是,他的这只淘气的手被她紧紧地抓住。

「哎哟,克里斯,对不起,好疼好疼好疼。」
「真是的,无可救药。早餐都要凉掉了。」
「我说对不起了,好疼好疼好疼。你在床上还那么直接…」
「你说这话的同时还想再碰我!你是猴子吗!」
「对不起!对不起!我真的是错了!」
「真是的…忍耐一下吧。」

又是一次的亲吻。显然,新变得越来越甜蜜了。再严苛一点…似乎做不到。

「来,吃早餐吧。」

早餐是两个人并排吃的。因为面对面的时候会感觉到距离。当我这么说的时候,新微笑着说,好的。我一定是,不,肯定是过度依赖新了。我在黑暗中独自一人。没有人真正看到真正的我。只是被强迫希望我只是一个王子。

「怎么了?克里斯。你的脸色看起来很阴沉。」
「啊?我有这样的表情吗?」
「有的。看起来你就像是要跳楼自杀一样。」
「我才不会那么做!…但是,确实我在想一些奇怪的事情。」
「克里斯就是喜欢把事情都憋在心里。我是不是很不靠谱?」
「没,没有这回事!我…我比任何人都信任新。」
「那么就多依赖我一点吧。你太危险了。」
「对,对吧…但是,这件事我可以应付。毕竟,这都是过去的事情了。」
「嗯,是这样吗。」
「嗯…嗯。」
「嗯…。」

他伸长脖子,再次亲吻她。就像在展示他内心的温暖,让她几乎能感觉到自己冻僵的心正在融化。没有他,她无法生存。这是她在那个早餐时刻深深地意识到的事实。

她想起曾经听过的一句话,人们本能地会选择那些拥有自己所欠缺的人。她和他有着相同的父亲,不同的母亲,但他们的母亲们是亲姐妹,因此血统非常相近。而她继承了祝福的力量,作为女性的她。那么,她最初之所以追求新,是不是因为他有着她所缺乏的东西呢?

然而她马上就否定了这个想法。那种事情可能吗?她追求新,只是因为她喜欢新。对此,她毫无疑虑。她如此喜欢他,喜欢得让她无法自拔。

在商业街的天幕下交换的誓言,那是他们的纽带。现在她的无名指上的戒指就是这份纽带的象征。只要有这份纽带,他们就能走到任何地方。因为对她来说,这就是她的全部。仅仅想象失去这份温暖的可能,就足以让她恐惧不已。所以,让他们两个人,她和他,就这样一直走下去吧。
#9 - 2023-7-8 22:11
夜に咲く花、君は華

远处的喧嚣声音隐隐可闻。尽管深森家通常在附近的邻居中是最早安静下来的,但今晚却不同。城市的各处都有摊位排列,到处都是人声鼎沸,一派热闹景象。没错,今晚是夏季祭典。

「嗯,正好,将前面对好......啊,不对,应该左边在前。」
「这样吗?」
「对的。然后,两手之间要绑腰带......。」
「这样……对吗。」
「接着,把襟口......」

现在,深森家正在进行一个尝试。换句话说,他们正尝试让克里斯穿上浴衣。看到自己可爱的女友打扮起来是一件非常令人期待的事情。新也在隔壁的房间里,一颗心满怀期待。

(但是……我感到不安。)

隔着一扇襖门,并不能完全隔绝声音,两个人的交谈和衣物摩擦的声音都清晰可听。作为一个健康的男孩,他不禁想象了房间里的情景。

「好了,搞定了。快去让新看看。」
「好的,谢谢你,静小姐。」

襖门一开,克里斯的身影出现在他们眼前。她穿着以水蓝色为主调的浴衣,这里那里都能看到代表日本的樱花花瓣。她的样子出乎意料地远超了他们的期待。金色的长发奇妙地与樱花花瓣相得益彰,她端庄的身姿散发着如同平安时代贵族的气质。

「……你怎么了?为什么一脸呆滞的样子?」
「啊?嗯,没什么……克里斯,你真的超级可爱,真的非常适合你。」
「什……?啊,是吗,好的。那就好。」

克里斯微微低下头,脸上浮现出淡淡的樱花色,这份可爱足以唤起所有男性,无论老少,都想要保护她的欲望。当然,此刻站在她面前的少年也不例外。克里斯其实有着勇敢的性格,比那些普通男人都要勇敢。从她平日的举止来看,她的面容中性,给人一种偏向男性的印象。正因为如此,这个对比带来的反差就显得更为强烈和震撼了。太可爱了。简直是可爱过头了。如果没有姐姐在,他恨不能马上将她拥入怀中。

「............。」
「喂,新?不要那样看我,我……我会觉得害羞的。」
「啊,嗯,对不起。你真的太可爱了。嗯。」
「啥!啊,哦~...快点走吧!」
「等等,你知道路吗!?」

克里斯的脸明显红了,她试图逃走,而新则紧随其后。这种情况在深森家已经是司空见惯的事了。

在街道上,交通被限制,汽车无法进入。这是因为聚集的人群过于庞大,单凭人行道无法容纳。

「所以,给我你的手。」
「什么?我们要……手牵手吗?」
「要是你走丢了那可就糟了吧?」
「谁会走丢了!?」
「不过,如果我们分散了,那可就麻烦了……」
「嗯,……但是。」
「再说,我就是想和克里斯手牵手。可以吗?」
「呃!不要那么直白地说出来!……如果你非要这样说的话……那如果走散了确实麻烦。」

他们悄悄握住的手掌微微出汗。这不仅是因为天气闷热,而且还因为他们正在牵手。

「嗯,……克里斯,你以前参加过祭典吗?」
「没有,这是我第一次。」
「哦,是这样啊。在你那里没有祭典吗?」
「不是的……我以前一直在王宫的深处。」
我犯下了一个大错误。我无视了这个场景,冒昧地抛下了它。我曾设想始终对克里斯充满思考,但现状却是这样。反反复复的,我对自己知识的匮乏感到无比的悔恨。然而,重要的是,克里斯本人的表情却是畅快的。

「新,别这么消沉了。」
「啊?不,但是,我好像没有很在意你的感受……」
「确实,我曾经很难受。确实,很难受。」
「……」
「但是,现在不同了。静和七重都在,还有你。我现在很幸福。」
「克里斯……」
「所以,没关系。你教会我如何活在当下。」
「啊?我,什么时候说过这个?」
「你没有意识到吗?你一直很像你自己。你强迫我,曾经只会按照王子的身份来活的我,发生了改变。」
「哦,那个?但是,那不过是……」
「你教会我,不要被“王子”这个词束缚,教我真正意义上的向前。」
「那并不是什么大不了的事情啊。」
「不,对我来说,那真的是非常开心的事情。我感觉我出生以来第一次看到自己前进的路上照进了光。」
「克里斯,你……」
「所以,谢谢你,新。」

他直视我,眼中光芒闪烁。他的脸颊略微泛红,映衬着淡淡的樱花瓣。
我无法忍耐,只想紧紧拥抱这个可爱的她。

「喂!新!」

我毫不顾忌地紧紧拥抱她。最初在我怀里挣扎的她,最终放弃抵抗,用自己的双臂紧紧回抱我。这是个闷热的夏夜,然而我们两个都不愿意轻易放开对方。

「那么,你想吃点什么吗?我今天从姐姐那里得到了临时零用钱,所以随你吃。」
「这样啊……你有什么推荐的吗,新?」
「我?我喜欢巧克力香蕉和黄油土豆。」
「黄油……是什么?」
「黄油土豆。热乎乎的土豆上抹上黄油吃。很美味哦~」
「我明白了,那确实听起来很美味。我想尝尝看。」
「好的,我的公主。」

说着,我们开玩笑似的,但是手紧紧牵在一起,找到了目标的小摊。没有必要说话。我们只是买了目标的食物,然后一起坐在路边。

「嗯~,这就是黄油玫瑰么……」
「克里斯,是黄油土豆。」
「哇,我知道的。看我吃!」「啊,别急着吃……」
「啊,好烫!好、好、好、好烫!!」
「看,喝点果汁。」
「嗯、嗯、嗯……哎呀,舌头都烫得发麻了。」
「真是的,没办法了。看。」

我说着,取出了涂了大量黄油的部分,吹气让它冷却。也就是说,我在做的是"呼~呼~。来,张嘴(心)"。

「来,张嘴。」
「哪、哪、哪、哪、哪~~~!!!」

克里斯的脸红得发亮,慌乱地扭动着。另一方面,新看着她,显然很享受。看来他完全是有预谋的。

「来,张嘴。」
「不行!这太……害羞了。」
「你不愿意吗?」
「那不是,不愿意……呜~」
「你讨厌我吗?」
「那绝对不可能!我绝对不会讨厌你的!」「那么,来,张嘴。」
「呜呜呜……。」
「来,张嘴。」
「………好吧,张嘴。」

最后,克里斯打开了嘴。新看到这个就一口气喂了好几口。在旁人看来,他们就像一对甜蜜的情侣。

「来,下一口。张嘴。」
「张嘴。」

看来克里斯也开始享受这个游戏了。也是,她深爱的男孩在喂她吃东西。她开始忽视周围的环境,只看到对方。

「好,这是一半。张嘴。」
「张嘴。……好,下一次轮到我了。」我真是太马虎了。为了让事情顺利进行,我无思无虑地让它们发生。我原本想一直关注着克里斯的情况,但现在却变成这样了。我越来越觉得自己的无知令人感到可悲。然而,关键的是,克里斯本人的表情却异常开朗。

夜空中盛开的花,你就如同那花般璀璨 4/16 2006/05/24 18:36:07

“别那么消沉,新。”
“哦?不,但我,我没有太多考虑你的感受……”
“确实,那段时间我很痛苦,真的,很痛苦。”
“……。”
“但现在不同了。静在这里,七重在这里,你也在这里。我现在,很幸福。”
“克里斯……”
“所以,没问题的。活在当下,这个道理是你教给我的。”
“哦?我,我什么时候?”
“你没有意识到吗?真像你的作风。总是只想活成王子的我,被你硬生生地改变了。”
“哦,那个?但是,那只是……”
“你教会我如何摆脱‘王子’这个词的束缚,如何真正向前走。”
“那并不是什么大不了的事情。”
“不,对我来说,那真的是很重要的事情。我感觉我终于看到自己前进的路上有了光。”
“克里斯,你……”
“所以,谢谢你,新。”

直接对着我凝视的双眸。微红的脸颊和稍微带色的樱花瓣。我无法再忍耐。我只想抱紧这个可爱的女孩。

“喂!新,你干嘛呢!”

我毫不在意旁人的眼光,紧紧地抱着她。开始还在我怀里挣扎的她,最后温顺地回应了我的拥抱。在这个闷热的夏夜,我们俩的身体温度越发升高,但我们仍然舍不得松开。

夜空中盛开的花,你就如同那花般璀璨 5/16 2006/05/24 18:36:44

“那么,有什么想吃的吗?今天我从姐姐那里得到了额外的零花钱,可以尽情享用。”
“这样啊……你有什么推荐的吗?”
“我?我挺喜欢吃巧克力香蕉和烤土豆的。”
“烤……?那是什么?”
“就是烤土豆。把滚烫的土豆上放些黄油,然后就可以吃了。非常好吃。”
“原来如此,那听起来的确很好吃。我想尝试一下。”
“好的,公主大人。”

我在说着玩笑话的同时,紧紧握住她的手,开始寻找我们的目标摊位。我们并不需要说太多。我们只需要购买目标食物,然后在路边坐下来。

“嗯~,这就是烤土豆吗……”
“克里斯,那叫烤土豆。”
“我,我知道。来,我要吃了!”
“哦,不要那么急,如果……”
“啊,烫!好、好烫!!”
“啊~来,喝口果汁。”
“嗯,嗯,嗯……哎呀,舌头好疼。”
“真是的,没有办法。来。”

说着,我从土豆上切下一块黄油满满的部分,吹着气让它冷却。我的举动就像是在说:“嘘~,嘘~,来,张嘴(心)”。

“来,张嘴。”
“啊、啊、啊、啊~!!!”

夜空中盛开的花,你就如同那花般璀璨 6/16 2006/05/24 18:51:47

克里斯的脸瞬间变得火红,手忙脚乱的。另一方面,新看着她的反应,倒是玩得很开心。看来这个行为似乎是他预谋的。
"来,张开嘴。"
"不行啊!这么...太尴尬了。"
"你不喜欢吗?"
"我并不是...不喜欢...哎呀。"
"你讨厌我吗?"
"不,绝对不是!我绝不会讨厌你!"
"那好,来,张嘴。"
"呜呜呜……"
"来,张嘴。"
"………………嗯,张嘴。"

终于,克里斯心平气和地张开了嘴。
新抓住这个机会,一口接一口地喂养她。
从旁人看来,他们就像是一对傻瓜般的恋人。

"好了,下一口。嗯,张嘴。"
"嗯,张嘴。"

克里斯自己似乎也开始享受起这个过程了。
这是理所当然的。
毕竟,喂她吃饭的是她深爱的少年。
他们忘记了周围的世界,只看到了彼此。

"好了,吃完一半了。嗯,张嘴。"
"嗯,张嘴。...好的,下一次轮到我了。"
"啊,果然吗?"
"那是当然的。来,张嘴。"

接下来,克里斯开始喂新吃饭。
她的表情洋溢着幸福。
这是经过战斗才终于获得的幸福。
只要在她身边,就会更加喜欢她。
克里斯·诺斯菲尔德已经对新深深地着迷了。

"嗯,张嘴。"
"好的,张嘴。"

他们两个人依旧以自己的节奏享受着这份黄油土豆。
然后,剩下最后一块。

"这是最后一口了,嗯,张嘴。"
"嗯,张嘴。"

他们终于吃完了,两人相视无言。
周围是喧闹的人群,只有他们两人独自构建了一个无声的世界。
即使不说话,也能感到无声的舒适。
就像他们的心灵相连,彼此彼此的所有都是知道的。

"嗯,开始有点热了吗?"
"嗯,是啊。黄油土豆会让人体内积热。"
"去一个凉快的地方...不,只要没有人就好。你知道有这样的地方吗?"
"嗯,让我想想。附近有一个小神社,和这次的庙会没有直接的关系,应该没有人的。"
"那我们去那里吧。"
"好的,就在这边。"

新牵着她的手,向神社走去。
然后他们在神社前坐下。
幸运的是,除了他们,没有其他人。

"呼~,真热。"
"是啊。这真是有些难受。索尔迪亚的气候相对较凉快。"
"…只是稍微离开了一下,就变得这么安静了。"

庙会的喧嚣已经在远处,仿佛他们已经迷失在界律庭园中。
他们紧紧握住手,表达出彼此的感情。
想要。
现在,我就想要你。

"…克里斯。"
"嗯,嗯。我知道了。"

他们互相对视,脸与脸慢慢靠近。
然后,他们的嘴唇轻轻地接触在一起。

"嗯,呼,嗯……嗯。"
"呣…嗯、嗯…嗯。"

柔软的嘴唇的触感。
但是,仅有这个还是不够的。
克里斯犹豫着把舌头伸进了新的嘴里。

"呣……嗯,嗯~…。"

这个出乎意料的动作让新大吃一惊。
因为,通常情况下,主动伸舌的角色应该是新,
而克里斯通常是"接受"的一方。

"呼,嗯,嗯…嗯。"
"呣,嗯嗯。…嗯呣。"
“嗯、嗯……啊。”
“嗯、嗯嗯……嗯嗯。”

克里斯的舌头缠绕着新的舌头,无拘无束地舔舐着他的牙龈和口腔内壁。
面对平日里无法体验到的克里斯的进攻,新已然成了她的囚犯。

“嗯……啊,新……我已经忍不住了。”
“我也想要你,克里斯。”
“啊……新。这里可以吗?”
“啊,等一下。更深一点……”

他们走到了神社的背后。
祭典的灯光无法照射到这里,只有微弱的声音在暗示着这里的存在。

“真是太棒了……新的已经这么硬了。”
“那是因为……克里斯太可爱了。”
“是吗?那我必须负责任啊……”

说完,她迅速解开新的裤子。
面对已经绷得疼痛的男性器官,她接近并开始舔舐。
充满爱意地一次又一次地舔舐。

“克里斯,哦……太棒了……”
“嗯,嗯嗯。嗯……嗯。怎么样?感觉好吗?”
“哦,太爽了。”
“是吗?我很开心……嗯……嗯嗯……”

克里斯执着地攻击新的敏感部位。
她舔舐着从根部到顶部,接着瞬间将整根含在嘴里吸吮。
新已经在接连不断的快感中到达极限。

“克里斯!我快不行了!”
“嗯,好的!射吧!”

她将新的器官深深含在嘴里。
在即将被吞噬的感觉中,新毫不费力地达到了极限。

“嗯,我要射了!呜……”
“嗯,嗯,嗯……嗯,嗯。”

她一滴不剩地将口中的精液吞下。
同时,她用手握住根部,尽可能地挤出残留的精液。

“嗯,嗯,嗯……哈,真是……你射了很多。”
“因为太舒服了。这种程度。”
“就因为这么舒服?”
“对,这次我也要让你感觉舒服,好吗?”
“……嗯。”
“那你能用手撑住那边的树吗?”
“这样吗?”

他背对着新,手撑在树上,那姿态既性感又娇媚。
他突出的臀部显露出微妙的曲线,新开始轻轻地抚摸他可爱的臀部。

“嗯,嗯……嗯。”
“克里斯的屁股真软。”
“不,呜……好难受……”

他因为在衣服上被抚摸而感到不安,自然而然地开始摆动他的臀部。
他的秘处已经热热的,疼痛不已。

“啊,拜托……新。”
“你想要我直接触摸?”
“嗯……我希望你能触摸。”

说着,他更加用力地突出臀部,新能感觉到他柔软的臀部。
新的理性也已经到达了极限,他立即将衣服拉起。

“太棒了……克里斯,你已经这么湿了。”
“啊……别看。”
“嗯?不行。我要近距离看看。”

他靠近克里斯的秘处。
混合着汗水和爱液的气味刺激着他的鼻子,只是增加了他的兴奋。
然后,他把脸贴近正像花一样绽放的克里斯的秘处,开始舔舐。

“呀!呀……呀啊啊啊!!”
“嗯,我可以尝到克里斯的味道。”
“别说那种话!啊啊啊啊!!”
“……啊?你已经达到高潮了吗?”

但是,对他的问题,只有粗重的呼吸作为回应。
没有回应就是最好的回答,新非常清楚这一点。
因此,他又开始舔舐她的秘处。
用手把它展开,像是在搅拌一样舔舐。

「啊啊!不要!啊啊!又要……要来了!停下!呼啊啊啊!」
「嗯,嗯嗯,嗯。我不会停下的。嗯,嗯嗯。」

只有快感和爱意在克里斯的脑海中疾驰。
她完全忘记了压抑自己的声音,现在的克里斯,就是一个纯粹的女人。
她被舔着,被吮吸着,被享用着,理性早已成为了微不足道的存在。

「克里斯,这边也是。」
「呼啊!那边不行!啊啊啊啊!」

在他强烈吸吮她花蕾上的小豆豆的瞬间,快感如烟花般绽放。
两次连续的高潮打击,已经无法自力维持身体的姿态了。
新抓着她的腰给予支撑,同时将自己的性器擦在克里斯的那里。

「要进去了,好吗?克里斯。」
「啊啊……来吧……」

他缓缓地深入其中。
两人最敏感的部位相互摩擦,快感完全占据了身体。

「新的……好热啊。」
「克里斯的也是,湿漉漉的。」

接连不断地,从花蕾深处溢出的蜜液无情地给新带来快感。
已经无法思考其他,不,可能早就只能彼此相想了。

「要动了,克里斯!」
「快点!来吧!新啊!」

像野兽般交缠在一起,贪婪地享受快感的两人。
肉体相接处的声音以一定的频率传来,这种淫荡的声音更加引发了快感。

「啊啊!呼啊啊!」
「克里斯!你这么大声会被别人听到的!」
「那样!声音!无法抑制,啊啊啊!」

甜美的紧握,甜美的呻吟声。
舔着她的颈项,她的声音更加尖锐。那是咸咸的味道。
然后是汗水的气味,和她喘息的样子。
五感全都被男性的欲望充满。
也许就是因为这个,极限早早就来临了。

「对不起,克里斯。我,要……要出来了……」
「啊!我也!我也要了!一起来吧!」
「呜!克里斯!」
「呼啊啊!好热!啊啊啊啊!」

无法抑制地在她体内射出大量精液。
拉出肉棒后,大量的浊白粘液从里面流出。
混合着爱液的精液沿着大腿滴下,那种景象无比淫荡。

结束了亲密之后,深深地松了一口气。
然后,新从口袋里拿出纸巾,开始擦拭从克里斯那里流出的精液。


「等等!新,你在做什么?」
「哎,你的浴衣会被弄脏的,所以……」
「那也要先说一声啊!」
「啊,对不起对不起。……现在问有点晚,但是,今天是安全日吗?」
「真是问得太晚了。不用担心,我有很多控制的魔法和咒语。」
「原来还有这样的东西啊……」
「不过,浴衣怎么办……被弄得一团糟。」
「啊,我会重新帮你系好的。」
「新会?你骗人吧!?」
「我姐姐教的……看,我擦完就会帮你解开浴衣带,好吗?」
「啊,好吧。我交给你了,新。」
「交给我吧。」

为了出门时不会觉得羞愧,他们再次整理浴衣。
就在他们整理完的时候,突然从天空中传来了震耳欲聋的巨大声音。

「呀!是、是什么!是守卫吗?!」
「哦,开始了。克里斯,看看天空。」
「啊?……哇……」

那里盛开了一朵巨大的花。
原来是烟火节开始了。

「……嗯,新?」
「嗯?怎么了?」
「如果可以的话,那个,我们能再多待一会儿吗……」
「嗯,知道了。花火结束前我们就慢慢享受这个时刻吧。」
「嗯、嗯……谢谢你。」
「不客气。」

克里斯轻轻地将头靠在新的肩膀上。在五光十色的灯光下,两人一直凝视着夜空中绽放的大朵花。

「明年也……」
「嗯?」
「明年也一起来吧。」
「嗯,我也……想和你一起来。」

他们的影子缓缓重叠在一起。除了夜空的花朵和樱花瓣,没有人看见他们。
夜に咲く花、君は華2006/05/24(水) 19:22:02 ID:F5WMOegB0


        就到这里。
成功地写了一个立着的后入式,感觉挺满足的。但感觉自己总是在写克里斯呢。

下次要写什么呢~总觉得我的想象力也快要用尽了。啊啊啊啊。

再玩一遍游戏来养精蓄锐吧。
那么,感谢大家的阅读~。

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