2023-12-24 15:07 /
本文为皇牌空战5中的作中作绘本就是大家的老婆永濑手里那本. 搬运自这里.

官方朗读剧的地址在这里.

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有朝一日大概会翻译, 大概会当作寒假旅途中的佐料吧.

Ⅰ『はじまり』

これは、とあるものたちにつたわる、小さな奇跡のお話です。
あるところ、緑と暖かさにつつまれたいなかの国のお城に、鳩は住んでいました。
子供のころ、けがをして城の庭に落ちていたところを、お姫様にひろわれたのです。
なにしろ小さな羽根がもげたように痛いほどのひどいけがでした。
体じゅうが痛み、枯葉のベッドに横になっているしかなかったところを、姫に助けてもらったのです。
鳩がいるのは姫の部屋のすみっこ、窓のちかくにつるしてある小さな鳥かごの中でした。
鳥かごに入っているといっても、鳩にとってまったく“ふまん”はありません。
姫はいつも鳩に気づかってくれるし、ここから見える景色と、なによりも姫の毎日を見るのが好きでした。
体も元気になり、鳥かごの中をぴょんぴょんと跳ね回っています。

Ⅱ「姫の病気」

鳩は、今の暮らしが好きで、そんな毎日がずっとつづいて欲しかったのですが、
ある日ようすが変わりました。
いつも元気で、鳩のところに日に何度も来てくれる姫なのに、今日は一度も来てくれないのです。
鳩はそのそのひ一日、とうとう食べ物をもらえませんでした。
翌日、朝早くから姫のベッドの周りには偉そうな格好で、深刻な顔した大勢の人たちがいて、
姫のほうを見ていました。
どうやら姫は病気で、治らないかもしれないし、ひょっとしたら死んでしまうかもしれない、というようなことをしゃべっていました。ようやくついこの間隣の国が戦争をやめてこれからがほんとうの平和なのにとかいう話になったときです。
「ラーズグリーズの悪魔だ!!」
そのうちの一人がふいに大きな声をあげました。
「歴史が大きく変わるとき、ラーズグリーズはその姿を現す。はじめには、漆黒の悪魔として。悪魔は、その力をもって大地に死を降り注ぎ、やがて死ぬ。」
「しばしの眠りのあと、ラーズグリーズは再び現れる。英雄として現れる。」
「こんな病気はラーズグリーズにしか出来ないんだ!」
昨日見た姫の顔色と、ベッドの周りにいる大人たちの深刻な話を思えば思うほど、鳩は心配になりました。
このままでは、姫はいなくなってしまうじゃないか。
二度と姫に会えないんじゃないか。というようなとてもかなしいことをなんどもなんども考えました。

Ⅲ『鳩の思い』

心配をしたり思い出をたどったりしているうちにふと、鳩はかすかに、
ひな鳥だった頃亡くなった母に聞いた言葉を思い出しました。
”世界のどこかに、どんなけがや病気も治す魔法の木の実を宿す大樹がある”
と。
”決して人の手の届くことのない険しい岩山のさらに奥深くに。”
それはある、と。
魔法の木の実があればきっと姫を助けることが出来る。
その木のみをとってくることができるなら、と鳩は考えました。
けれど考えれば考えるほど、鳩はどうにも落ち着かない気持ちになるのでした。
なんですぐ取りにいかないのかって?
それもしかたないのです。
”危険を冒して外に出て、鷹やハヤブサに狙われないだろうか?”
”はるか遠い岩山のさらにそのてっぺんにまでなどたどりつけるのだろうか?”
”そもそも、そんな遠くに行くことができるのだろうか?”
”運良く魔法の木の実を手に入れたとして、このたよりないくちばしでちゃんと運べるだろうか?”
”ちゃんと無事にここに戻ってこられるのだろうか?”
そんなことを思ってしまうのです。しかたのないことなのです。
だって鳩は、あのけが以来、ずっとかごの中で姫に守られながら、
このせまい鳥かごの中をただぴょんぴょんと跳ね回っていただけなのですから。
いっぽう、姫のようすはどんどん悪くなるばかりのようでした。
翌朝、姫のかわりの召使いのおばさんが餌をもってきました。
おばさんが、その干し芋のようなしわしわの手で、かごの中に食べ物入れようとしたとき、
扉が少しだけ開きます。
そのようすは鳩はいたって真面目な顔つきで見つめていました。
そしてその一瞬の”すき”に鳩はかごの外へと勢いよく飛び出したのです。
そのまま、部屋の扉をくぐり、城の胸壁えお縫って、空へ向かっていきます。
うしろのほうでおばあさんが
「わあ」
と言ったのが聞こえました。
鷹やハヤブサに狙われる不安はなくなったのでしょうか。決してそんなことはありませんでした。
どこへ行けばいいのかわかったのでしょうか。
わかりません。
わからなかったけれど、鳩は夢中で飛び出したのです!
魔法の木の実を求めて!

Ⅳ『ひばり』

鳩ははじめに、城の北の森にさしかかりました。すると。
「ずいぶん急いでいるようだね。そして君はとてもぎくしゃくしている。」
後ろからきたひばりが肩を並べて言いました。鳩は答えます。
「しょうがないよ。ずっと鳥かごに入っていたんだ。飛べるってだけでも大したもんだよ。」
「とりかごなんてダメさ。」
ひばりは”むげ”に答えます。
「俺たちには羽根があるだろう?こいつを使っていつだって飛んでいるのがいいのさ。気の向くままに、どこへでもいける。それがいいのさ。見てみなよ。世界はこんなに大きいんだ。」
「でも空は危なくない?鷹やハヤブサが狙ってくるんじゃない?地面に降りれば狸や狐や猫もいる。」
「じゃあ聞くけど、かごに入れられたままで、その日食べたい気分のものを食べられるかい?
ハムシが食べたい日もあれば野いばらの実にしたときだってあるものさ。ましてや、急に、餌をもらえなくなったらどうだい?”危険”だとか”安全”だいうことに意味はないのさ。どうにかなったそのとき、それがほかのやつの”せい”か、自分の”せい”かのちがいでしかないんだよ。」
「世界が大きいことを知っているのはそんなにいいことなのかい?」
「俺たちはその見えている世界の中だけで生きてるんだ。
だから、できるだけ広い世界を知っているほうがいいに決まってるのさ」
少しすましたような顔で。でもまじめな感じでひばりはそういいました。
「僕は魔法の実のなつ木をさがしているんだ」
鳩は、ひばりに聞いてみます。
「さあな。イモムシにでも聞いてみなよ。
見てみなよ。おれはあんなイモムシにはなりたくないな。いつも同じ木のうえを行ったり来たりしてるだけさ。あいつにとっては、あの木の上だけが世界の全てなのさ。」

鳩は、通り過ぎようとした足元の木に、草色のものがもぞもぞしているものを見つけました。

Ⅴ『イモムシ』

「ぼくも、君たちほど高いところへは行けないけど、空を飛べるからね。」
イモムシはとつぜんみょうなことを言い出します。鳩はすぐに言ってやりました。
「きみには羽根がないだろう?だから飛べないんだよ。」
「ちがうね。ぼくは飛べるんだよね。いっぺんさなぎになって、そのあと羽根が生える。だからぼくは飛べるんだよね。」
「でもいまは飛べないよ。」
「いま飛べるのと明日飛べるのと変わりはないんだよ。
君だって卵のときは飛べなかっただろう?
ぼくはさなぎに入ったらその中で、羽根が生えるんだ。
”羽根の大きさ”は、さなぎになるまでの”思い出の大きさ”と同じなんだよね。
羽根が生えてしまったら、足は貧弱になる。そうしたらこんな風に木すみずみまで歩き回ることは出来ないんだ。
だから僕は、今のうちに、木のすみずみまで見ておくんだよね。」
「僕は魔法の実のなる木をさがしているんだ」
鳩は、イモムシに聞いてみます。
「かしこそうな亀がこのあいだここを通りかかったよ。ふだんはこの森を抜けた先の湖のほとりにいるって言ってた。
何か知ってるんじゃないかな。かしこそうだけど、あいつは死ぬまでずっとこうらの中だ。羽根も生えてこない。
思い出は思い出のまま、いっしょに年をとるだけだからね。」
ずうっとむこう。下の森が切れてなくなるあたり、西日に照らされて光る湖が見えました。

Ⅵ『亀』

湖にたどりつくなり、かしこそうな亀にでくわしました。
「こうらはいいぜ。これのおかげで何度危険なめにあっても生きていることが出来るんだ。おまえたち鳥の仲間もこうらにはいったやつがいるよな。」
「鳥かごのことかい?あれはこうらじゃないよ。
閉じ込められているんだ。でたがっているやつらだっておおいよ。僕もあれに入ってたんだ。」
「何でわざわざ出てきたんだ?危なくてしょうがないぜ。
長生きするコツは、危険には一切近寄らねぇことだ。災難は、自分が悪くなくたって、突然やってくるもんだ。そんときゃぁ、じっとこう・・・こうらにはいって、過ぎ去っていくのを待つんだ。ヘタに動き回るな。」
亀はこうらに入るまねをしてそう言いました。
「でもそれじゃあ何も解決しないよ」
「ほう!」
亀は甲高い声を出し、そう言いました。
「おまえは、どんなことでも解決できるのか? そんな自信がおおありなのかい?!」
いいことも、悪いことも、かならず終わりがやってくる。
おひさまが出て晴れた日は、おもいきり陽えお体に浴びることだ。
なみだも凍るほどの寒い冬は、それまでにためた力で耐え忍ぶんだ。またお日さまの出る日まで。
おれたち、命あるものができることは、すべて”そういった”ことなんだぜ。」
おや?なんだかいやな風が吹いてきたぜ。こりゃまたなんかありそうだぞ」
そういって亀は頭をこうらにしまいこみました。
「僕は魔法の実のなる木をさがしているんだ」
鳩はかしこそうな亀に聞いてみます。
「この湖の向こう岸のもっと先に岩山があるだろ、みえるかい?あの真ん中の一番高い山の、上から4番目の峰に行ってみな。」
鳩がそっちに目をやると、うすぼんやりとしたぎざぎざの影がたしかにありました。
「何にせよ!」
亀はこうらの奥に頭を引っ込めたまましゃべっています。
「それがどんなことであれ、信じることだ。
おれは木の実より、こうらの固さを信じるぜ」

Ⅶ『老木』

鳩がやっとの思いで岩山にたどり着いたとき、老木はひとりでつぶやきはじめたところでした。
「悪い風が吹いとるな。奴さんとうとう現れよったか。こんどはいよいよわしももたんかもしれんのう。」
「ラーズグリーズの悪魔じゃよ。・・・ん、今回は英雄だったか?」
「それはなに?」
鳩はさりげなく聞いてみます。
「歴史が大きくかわるとき、ラーズグリーズはその姿を現す。はじめは、漆黒の悪魔として。」
老木は、鳩がこないだ城の中で聞いたのと同じようなことを話し始めました。
「悪魔は、その力をもって大地に死を降り注ぎ、やがて死ぬ。しばしの眠りののち、ラーズグリーズは再び現れる。英雄として現れる。」
「英雄?悪魔?何をするの?」
「はじめに見たのはな、わしがまだ細っこくて枝の少ない若木だったころじゃ。人間同士、さかんに争いあっていた時代じゃな。やつは、七十日とやまぬ嵐をおこし、おおきなひょうを降らしつづけた。草木は傷つき、人や獣は食うものがなくなった。それから、この地は荒れた果てた。命あるものはつぎつぎ息絶える。わしの仲間たちも、4つ足の獣も、人間達も。おまえさんの仲間たちもじゃ。あらゆる息吹をこの土地から奪い去ったあげく、あろうことか奴さん自身まで死んじまった。それから間もなくじゃよ。このあたりがこんなにはげ山になってしまったのは。」
「そいつは、ひどいやつだね?」
「・・・いや。」
老木はわからないふうに首をかしげて、ひとつ息を吐き、また大きく吸ってつづけます。
「この話にはつづきがある。大地が荒れてそれから随分とたった後、この地にひとりの旅人がやって来た。そやつは病気で苦しむ者を癒し、腐った地を掘りよみがえらせ、散りぢりの人間達たちをまとめ、村を作り、街を作った。川は満たされ、やがて麦が芽生えた。そうして、この地はふたたび豊かになった。土地が行きを吹き返すと、旅人は国を去ると言いだした。別れぎわ、旅人はなごり惜しむ村人達に告げたそうだ。・・・”我はラーズグリーズなり”・・・と。」
「僕は魔法の実のなる木をさがしているんだ」
鳩はとうとう老木に告げました。
「いいじゃろう。なけなしの大事な実じゃが一つくらいなら分けてやろう。・・・ところで、どうしてこれが魔法の木の実といわれるか知っておるか?」
鳩まだまって老木を見つめるばかりです。
「こいつは薬にもなるし、毒にもなる。それどころか、なんでもない木の実かもしれん、ただの石ころかもしれん」
「どういうこと?」
「それは、これを持つものが信じる”よう”になるからじゃ。」
鳩は城のほうを見ましたが、一番むこうにも城はまだ見えませんでした。
「いよいよ風が強くなってきたな。道中気をつけられよ。」

Ⅷ『降り注ぐ悪魔』

鳩は手に入れた木の実をしっかりと口にくわえ、老木にお礼と別れを告げ、岩山をあとにします。
風はますます強くなり、気がつけば、すでにひょうのまじった嵐でした。
けれど、鳩はできるだけ早く城に戻りたいのです。
すこしりりしいような顔つきで鳩は羽を大きく左右に張り出します。

Ⅸ『魔法の木の実』

鳩は次から次へと向きを変える風をじょうずにわたり、姫の住む、あの城をめざして飛んでいきます。
高く、さらに高く。
さらに大きな風をつかめる高さまで。
持つものが信じる”よう”になるという不思議な木の実を・・・
・・・いいえ!
”どんな病気もたちどころに治す万能の薬”をしっかりとくわえて!
足元の河が消えていく地平線の、そのまたはるか彼方に、見慣れた森や城がかすかに見えてきました。
もう少しだ!
もう少しで姫にあうことが出来るんだ!
そして、この実を姫に捧げるんだ。
そうすれば、またあのすばらしい暮らしが過ごせるんだ!

Ⅹ『帰還』

鳩がようやく城にたどり着いたとき、姫のベットの周りにはこないだよりもっと深刻な顔をした大勢にの人が集まってました。
みながみな、すすり泣きをしています。
中でも、王はひときわ大きな、うなるような悲しみの声を上げていました。
鳩は、ついに間にあわなかったのです。
姫がいなくなったことを、鳩はとても悲しく思いました。
けれど、鳩は自分のしたことを悔やんだり、がっかりしたりはしませんでした。
姫の最後の顔がとても安らかだったからです。
さいごまで希望をうしなわず、世界を愛して死んでいったことがわかるような、やさしくおだやかな面持ちだったからです。
いちかばちかの長旅に疲れ果てた鳩は、悲しくも不思議と落ち着いた気持ちで、まずはそのまま眠りにつくことにしました。

XI『おわり』

翌朝、部屋に入った召使いは、姫の骸の隣に一匹の鳩の亡骸を見つけました。
召使いはしわしわな顔を不思議そうにゆがめて、叫ぶように言いました。
「あらまあ!姫様の鳩じゃないかえ?
おかしいねえ!ここへ来た頃からけがをしてて羽根がだめんになってた子なのにねえ。
このぼろぼろの羽根じゃもともと空を飛ぶなんてかなわないのに、いったいどうやってでかけて戻ってくることが出来たんだろうね?この子は!   ・・・不思議なことさねぇ」
鳩が事切れてもなお大事そうにくわえていた、みずみずしいオリオンポプラの木の実を、召使いは庭の、ちょうど姫の部屋の窓の下に埋めることにしました。
やがてこの木は大きくなり、そのたわわなこずえからは、姫の部屋と窓辺の鳥かごがよく見えるのだそうです。
これは、オリオンポプラのこずえの中、枝から枝へ、親鳥から小鳥たちへとつたえられる、ちいさな奇跡のお話です。
「姫君の青い鳩」 おわり
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