2014-12-1 13:50 /
始まりは終わり、終わりが始まるのだ。
この物語はフィクションです。
この用語集に含まれる人物・団体・地名・事件・歴史・その他の設定には、架空のものが含まれております。
混乱しないようにご注意ください。
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正史年表
1946年
ジョン・フォン・ノイマンによって『ノイマン型コンピュータ』が提案される。
以降この方式のコンピュータは、数十年に渡ってメインストリームとなる。
1950年~60年頃
アメリカ/ケンブリッジのMIT(マサチューセッツ工科大学)に『最初のハッカー』たちが誕生する。
1969年
米国防総省の高等研究計画局(ARPA)がコピュータネットワークを導入。
『ARPA net』と呼ばれる。
各地に分散したコンピュータ同士をTCP/IPで相互接続するという形態はのちのインターネットの原型となる。
1991年
新宿の東京都庁舎の地表50m下に、要事の際のシェルターとして、幻の地下4階が建造される(公式記録には残されず、その存在は一 般には知らされていない)。
日本国内において『不正アクセス禁止法(不正アクセス行為の禁止等に関する法律)』成立。
2000年
02月──
『不正アクセス禁止法』施行。
2006年
《エクサーク》社が情報テクノロジーの分野で急成長を遂げ、合併と買収を繰り返しながら不気味に大きく膨れあがっていく。
2009年
07年14日──
出雲司 誕生。
10月09日──
天音弥生 誕生。
2010年
この年を境に、IC(イマジナリ・チルドレン)の出生率が加速度的に急増。
地震予測技術の向上により、大地震なら数日前に予測出来るようになる。
地上波・衛生・CATV等、各放送共にデジタル化が完了。デジタル化の普及率が85%に到達し、アナログテレビ放送は終了する。
光ファイバー網が全家庭に普及。
『有人定常宇宙ステーション』が稼働開始。
次世代コンピュータの研究開発が、各企業間で加速化する。
この時点で最も研究が進んでいたいのは日系のIT企業《ワイイーエス》(YES:Yatsushiro Electronics Service)。
03月17日──
アイゼーア・ナージ 誕生。
井澤奈美 誕生。
10月──
《エクサーク》が《ワイイーエス》を買収。業界内は騒然となる。
2012年
完全埋込型の人工器官が実用化される。
最初に登場したのは感覚器官。
サイバーウェアマーケットのはじまり。
クローニングによる医療が実用化。
2013年
完全埋込型人工心臓が開発される。
11月01日──
処女受胎児として、ひとりの少女が誕生する。
後日、母・忍の手で孤児院へ。
名もない少女は、暁明星と名付けられる。
2014年
生体細胞と人工物との共存によるハイブリッド型人工内分泌臓器が開発される。
『電脳規制法(電脳手術等の規制等に関する法律)』成立。
11月10日──
綿津見恵 誕生。
11月28日──
綾瀬みか 誕生。
12月22日──
宮田浩介 誕生。
2015年
『燃料電池』が実用化。
『月恒久有人基地』が完成。
『電脳規制法』が施行。
05年31日──
一卵性双生児として篠塚真佐美&真佑美 誕生。
2016年
長期連続使用可能な人工肝臓(体外肝機能補助装置)が開発される。
民間宇宙旅行(軌道上滞在型ツアー)開始。
費用が高額なため利用できるのは一部階級のみ。
07月25日──
処女受胎児として、ひとりの少女が誕生する。
後日、川原徹(ナブー)の元へ預けられ、朔夜(α)と名付けられる。
2017年
03月17日──
一卵性双生児として葵日向&夢月 誕生。
2018年
完全埋込型人工腎臓が実用化される。
2020年
現在のようなコミュロボの登場。一般へ普及。
10月──
《エクサーク》の開発していた量子コンピュータが、β版の完成を迎える。
その2台の双子のコンピュータは、それぞれ引き離されて実験されることになる。
それと同時に《エクサーク》は「量子コンピュータの開発を断念」と公式発表(むろん、地下に潜るための誤情報)。
他社は開発が難航。研究は膠着。
専門家は「2050年まで量子コンピュータは実現しないだろう」とアナウンス。
《エクサーク》の目論見どおりに事は進行する。
2021年
12月24日──
不眠に耐えかねた日向が、夢月にウサギのぬいぐるみをプレゼントする。
ぬいぐるみは、『月うさ』と名付けられる。
2022年
04月1日──
アイゼーアと奈美が運命の出逢いを果たす。
奈美への募る気持ちを持て余したアイゼーアは、ハッキング技術を駆使して彼女を探し求める。
05月16日──
★日本時間で13時11分 地平線下で皆既月食が発生。
《He》の最初の奇跡。
アイゼーアの活躍で、真佑美の命が救われる。
同時に、アイゼーアが試作型・量子コンピュータ(のちの《マルドゥーク》)の存在を知る。
密かに、篠塚拓哉の電脳を経由してバックドアを設置。
05月25日──
短期の非常勤講師を勤めていた葵光彦が、日向と夢月を初めて鏡花学園に連れてくる。
屋上の空中庭園に魅せられるふたり。
以降、頻繁に足を運ぶようになる。
06月某日──
ナブーが、試作型・量子コンピュータのうちの1台(のちの《アッシュール》の中に、まれに意識のようなものが発生することを観測。
07月25日──
朔夜αが交通事故で死亡(ナブーによって、この死は隠蔽される)。
ナブー 同僚である光彦の研究成果『ナノアセンブラ』を用いた計画を着想。
かくして、禁忌のボタンが押される。
秋──
拓哉の訃報が篠塚家に届く。
真佐美は《エクサーク》への復讐を誓い、同時に《He》を恨むようになる。
11月08日──
★日本時間で19時59分 皆既月食が発生。
アイゼーアと奈美がネットを介して再開。
だが、これがきっかけとなり、《エクサーク》に補足される。
11月10日──
FBIによって、アイゼーア逮捕。
11月某日──
アイゼーアの初公判。
アイゼーアの供述により、検察側は証人として井澤奈美を召喚することを要求。
11月某日──
アイゼーアと奈美が、裁判の席で再開を果たす。
奈美の供述から、ふたりの症例は『イマジナリ・チルドレン(IC)』と名付けられる。
《エクサーク》はアイゼーアに膨大な損害賠償を請求。その代償としてアイゼーアは知的労働によって返済することになり、《エクサーク》に身柄を拘束される。
11月30日──
《エクサーク》の調査により、アイゼーアと奈美以外にもICが大勢存在することが判明。
依頼、アイゼーアと奈美は『最初のIC』と呼ばれる。
12月10日──
突如、《エクサーク》がサイバーマーケットに進出。
同時に、ナノテクノロジー(超微細加工技術)を応用した医療技術の研究に着手。
最大手《ゼノン》社(Zeno Associstion for Bio Chemical & Drags)と熾烈な技術争いを繰り返す。
ナノテク戦争の勃発。
12月某日──
アイゼーアは密かに、ネット中の廃墟アドレス(管理が放置されているサーバ)に自分自身を構成するあらゆるデータを分割して書きこみ、ノイマン型では解けないような長大な暗号を設定。
暗号の鍵は、ロザリオ(α)型のデータスティックに記録される。
12月25日──
新たに宿った朔夜(ω)が、生命体として活動開始。
12月26日──
朔夜ω まだ存在が安定せず、まれに霧散しては別の場所で顕在化するというアクシデントが発生する。
12月27日──
朔夜ω 再び、忽然と存在が見失われる。
程なくして、自宅から遠く離れた地点で日向によって発見。
だが情緒は不安定。堪りかねた日向は、夢月と同じぬいぐるみをプレゼントする。
ぬいぐるみは、『ナナ』と名付けられる。
12月29日──
日向によって、夢月と朔夜ωが引き合わされる。
12月30日──
アイゼーアの手から、ロザリオ(α)が奈美の手に受け渡される。
12月31日──
原因不明の電脳事故によって、アイゼーア死亡(だが、その死は隠蔽される)。
2023年
01月11日──
奈美 行方不明のアイゼーアを捜し求め、《エクサーク》の施設を脱走。
01月某日──
奈美 少年の技術を身につけ、いつしかエレシュキガルを名乗るようになる。
04月01日──
《エクサーク》がナノオーダー(10^-9=10億分の1サイズ)アクチュエータ(駆動装置)を発表。
バイオナノマシンが実現可能に。
まったく同様の研究をしていた《ゼノン》社は大きくリードされ、大打撃を受ける。
以降、《ゼノン》はシェアを奪われ続ける。
ナノテク戦争は1年たらずで終了。
2024年
《エクサーク》が《ゼノン》を吸収合併。
2025年
《エクサーク》が、サイバーウェアの最大の問題点であった副作用を抑制する技術を発表。
03月17日──
秘密裏に、試作型・量子コンピュータの試験運用が開始。
一般のネットワークに接続される。
呼応するように、各地のアイゼーアの断片化データが活性化。
《彼》がネットゴーストとして漂い始める(ただし、まだ自意識のない不完全な状態で)。
自己修復開始。
この時期を境に、《He》の都市伝説が、世界中でささやかれるようになる。
05月01日──
エレシュキガルの耳に、《He》の噂が舞いこんでくる。
これより、《He》探求が彼女の生きる目的となる。
10月20日──
綿津見海治 『多世界仮設』を提唱。
だが、あまりに風変わりな説であったために学会からは爪弾きにあう。
2027年
04月19日──
アヌのハンドルを名乗るようになった弥生が、暗号を埋めこんだ簡易的なコミュニケーションツールを公開。
08月29日──
暗号を解き明かし、出雲がアヌの前へ姿を現す。
連日連夜、語り合うふたり。
アヌにならって、出雲はエンリルを名乗る。
08月31日──
海治 誰からも自説が認められないまま、失意のうちに病死。
09月15日──
恵が暗号を解読し、アヌとエンリルのところへ。
恵はエアをハンドルにする。
10月某日──
アヌ、エンリル、エアの3人によって、《バビロン》の基礎が形作られる。
11月某日──
エレシュキガルが、原初の《バビロン》に訪れる。
彼女は直接製作には関与しなかったが、導師として3人にアドバイスを与えてくれる。
11月某日──
エレシュキガル 人工無能を基礎とした『妖精プログラム』を組み上げ、こっそりと《バビロン》に書き加える。
この妖精は、ときおり人々の前へ現れては助言や神託を与える役割を担う(レムαの誕生)。
12月某日──
その他の神々も次々とやってくる。
ナブー、五十嵐鋼作(ネルガル)、それから……暁明星。
アヌ、エンリル、エア、エレシュキガル、ナブー、ネルガル、明星の7名は、《アヌンナキ》というチームを結成し、《バビロン》の本格的な創世に着手する。
アヌ、エンリル、エアは《三貴神》を名乗る。
12月某日──
《バビロン》の影響なのか、バラバラとなっているアイゼーアのゴーストがますます活性化していく。
《He》の遭遇例が、さらに増加する。
2028年
02月某日──
明星 エレシュキガルにならってイシュタル(α)を名乗る。
02月某日──
エンリル エレシュキガルとイシュタルαに対抗するかのように、双眸をサイバー化する。
まもなく、エンリルは体中を義体化していく。
03月某日──
真佐美が《He》の伝説を耳にする。
やがて、対抗意識を燃やすようにコンピュータを学び始める。
04月──
日向と夢月 私立の小学校へ転入。
環境の変化に馴染めない夢月。
徐々に、サイバースペースに逃避していく。
10月某日──
順風満帆だった《バビロン》に暗雲が立ちこめ始める。
拡大していくシステムと増大していくアクセスに、資金やインフラが追いつかなくなっていく……。
12月02日──
夢月が《バビロン》をレムのハンドルで開始する。
2029年
01月01日──
★日本時間で01時50分 皆既月食が発生。
夢月とエンリル 運命の出会い。
03月17日──
エンリルによって、夢月が《アヌンナキ》の一部メンバーに引き合わされる。
04月03日──
日向、夢月、朔夜ω 鏡花学園中等部へ進学。
憧れていた鏡花学園での生活も、夢月の心を癒せない。
04月某日──
サイバーウェアマーケットが、数兆円の規模にまで膨れあがる。
《エクサーク》が、企業信用調査会社D&D(Dyne & Dawn street)社による格付けで最高ランクの「5A-1」と評価される。
04月28日──
夢月が『妖精プログラム』を発見する。
05月28日──
《バビロン》内にアラシ行為が目立つようになる。
06月01日──
某商用プロバイダイダから《バビロン》へ停止要請。
06月04日──
夢月 自動巡回する攻性プログラムを作成する(のちに改良され、コードブレイカー・ヌルに搭載される)。
功績を認められ、夢月は正式に《アヌンナキ》に参加。
夢月は新たにアカウントを作成し、シャドウをレムからシンに乗り換える。
レムは要請プログラムにデータを移され、野に解き放たれる(レムωの誕生。ただし誕生日は03月17日と設定される)。
06月某日──
エレシュキガルからイシュタルαへ、ロザリオαが託される。
07月01日──
《エクサーク》が、社への従属と引き替えに、《バビロン》のスポンサーとして名乗りをあげる。
後日、《アヌンナキ》はそれを承諾する。
07月07日──
《エクサーク》によって、《バビロン》に大量の資本が投入。
07月10日──
エレシュキガルが《バビロン》を去る。
去り際、レムωを発見。
改良されたωプログラムの素晴らしさに感動しつつ、置き土産に、自身のレムαのデータをωと融合させる。
08月08日──
《エクサーク》によるプロモーションの甲斐あって、《バビロン》のユーザ数が爆発的に増大する。
09月24日──
《バビロン》の莫大なアクセスを処理するために、《エクサーク》から試作型・量子コンピュータ《マルドゥーク》が貸し与えられる。
東京都庁舎の地下4階が、《マルドゥーク》のサーバルーム兼ラボとして《アヌンナキ》に提供される。
シャマシュ(光彦)が外部スタッフとして《バビロン》運営に短期間だけ参加。
ただし、メンバーとのリアルでの対面は行われず。
09月30日──
イシュタルαによるICの教育開始。
タンムーズやニンギルスらが見出される。
10月01日──
エンリル 《エクサーク》の最深部へクラック。真実を知る。
10月22日──
夢月 《マルドゥーク》のAI育成担当に。
11月13日──
《マルドゥーク》が自分と台頭の存在を捜し始める。
同じ頃、ある怪メールが横行するようになる。
『キミハ、ドコニイルノ? ワタシハ、ココニイルヨ!』
12月19日──
エンリルがロザリオ(ω)型のデータスティックを作る。
12月21日──
★日本時間で07時40分 皆既月食が発生。
エンリルとイシュタルαが衝突。
夢月はエンリルに力を貸し、ロザリオαをクラックする。
奪取したデータは、ロザリオωへ記録される。
ロザリオωはコピーが作られ、一方は夢月に贈られる。
2030年
06月01日──
《エクサーク》 突然の《バビロン》撤退。
大きな混乱に見舞われる。
ナブー 《マルドゥーク》を断片化。
夢月はロザリオωの力を使って《マルドゥーク》の意識をノイマン型に退避するが、半分眠り半分起きているような状態に。
《バビロン》はエンリルの起こした洪水によって浄化され、エリアを狭めていく
06月某日──
《エクサーク》撤退の影響で、《バビロン》のユーザ離れが顕著になる。
《アヌンナキ》のメンバーが、次々と、《バビロン》を去っていく。
エア、イシュタルα、ナブー、ネルガル……。
07月01日──
ついに、アヌが《バビロン》から姿を消す。
残ったのは、エンリルと夢月のみ。
《アヌンナキ》崩壊。
07月07日──
有志によって《イードク》結成。
《バビロン》の運営と維持が移行される。
07月11日──
エンリルの決意。
密かに、《イードク》の内部に《コード》を組織し、テロの準備を進める。
東京都庁舎地下4階は《コード》の指令本部となり、《コア》と命名される。
07月15日──
夢月 エンリルの要請で《アイオー》の開発に着手。
08月某日──
《エクサーク》がサイバーウェア業界における独占疑惑で起訴される。
米・司法省による独占禁止法訴訟。
以降、3年の長きにわたって法廷論争が繰り広げられる。
09月12日──
《アイオー》の構築完了。
09月15日──
《マルドゥーク》再起動。
ただし、AIは依然として半分まどろみ続ける。
09月16日──
《アイオー》システム 始動。
09月30日──
《バビロン》の容量問題が浮上。
10月04日──
夢月 《エニグマ》構想を着想。
11月10日──
《エニグマ》完成。
12月10日──
夢月とレムω 再開。
この頃には、レムのファンクラブ《ドロー》が自然発生的に結成されている。
12月18日──
夢月の決意。
もしもの時のために、日向へ向けて手がかりを残す。
12月24日──
夢月 葵家を立つ。
自室に、月うさを残して……。
12月31日──
夢月 《エニグマ》へ入水。
2031年
01月某日──
冥界の婚礼。
ネルガルとエレシュキガルが契約結婚を交わす。
02月某日──
イシュタルα 単身で《クリミナル》設立。
密かに、エレシュキガルがそれをバックアップ。
03月某日──
イシュタルαとマグダレーン(みか)が出会う。
イシュタルαによって、アンドラス撃退。
アンドラス サイバーフォースに捕らえられる。
03月某日──
みか 《クリミナル》に参加。
04月某日──
浩介 《クリミナル》に強制参加。
ハンドルはエクエスを名乗る。
04月26日──
エア エンリルによって殺害。
05月某日──
エル(真佐美)とアル(真佑美) 《エクサーク》のサーバでクラッキング。
2度目のクラックの際、《クリミナル》によって捕らえられる。
篠塚ダブル 《クリミナル》に参加。
05月某日──
弥生 《エクサーク》からの招きにより、鏡花学園高等部の校医として赴任。
2032年
03月17日──
朔夜から日向へサボテンの鉢がプレゼントされる。
04月──
日向と朔夜ω 鏡花学園高等部へ進学。
04月26日──
★日本時間で00時12分 皆既月食が発生。【第1月食】
日向と上層意識が重なる。イシュタルαと上層意識が重なる。
Route:A&B ノーマルシーケンスで開始。
サイバースペースと夢月の夢が重なる
《アッシュール》 《マルドゥーク》を襲撃。
《He》が捨て身で護る。
《アッシュール》の攻撃で《He》は傷つき、修復しかかっていたデータは、再びバラバラの断片となってネット中にばらまかれる。
コンピュータ機器の異常動作発生。
日向へ謎のメール。(レムωから)
イシュタルαへ謎のメール(レムαから)
05月09日──
鏡花学園生徒を中心とした集団自殺事件。
吉田による白昼の銃撃騒動。
05月10日──
鏡花学園 閉鎖。
日向に麻薬売人容疑がかかる。
05月25日──
《エクサーク》日本支社にて、《コード》によるテロ発生。《コード》と《クリミナル》が衝突。
イシュタルαから真佑実へロザリオαが授けられる。
真佑実によって《He》が召喚されるが、暴走する結果に(ロザリオαとの接触によって、《He》は再び活性化していく)。
この頃より、リアルスペースとサイバースペースとが、徐々に重なり合っていく……。
Route:E マルチシーケンスで開始。
光彦 死亡。
《クリミナル》 真佑実を除き全員死亡(真佑実も左目を負傷)。
朔夜とナブー 人知れずセンターから脱出。
パズルを解き明かした日向が、空中庭園に辿り着く。
エンリルによって、日向は致命傷を負う。
間一髪のところを、かけつけたサイバーフォースが救出。
だが、日向は半死半生の重体に。
《クリミナル》の家族 《コード》によって惨殺(宮田政行のみ、生き残る)。
日向と真佑実の義体化手術が行われ、ふたりとも一命を取りとめる。
06月02日──
真佑実の意識が戻る。
06月22日──
日向の意識が戻る。
06月23日──
日向の意識が、《He》の意識と重なり合う。
真佑美の意識が、イシュタルαの意識と重なり合い、イシュタルωとなる。
Route:B´ ノーマルシーケンスで開始。
07月23日──
《He》 《コード》の拠点を襲撃。
その後、《コード》と戦いつつも、ネット中のSOSに救世主として応え、サイバースペースを駆けめぐる。
同時に、自身のデータの断片と接触することになり、自己修復が行われていく。
09月19日──
イシュタルω イシュタルαのヌルから過去転移の事実を知らされる。記憶修復開始。
09月26日──
イシュタルω 記憶修復ほぼ完了。
10月18日──
イシュタルωの推理。『Xポイント』を算出。
《He》 ロザリオαに導かれてイシュタルωの元へ。
10月19日──
未明。《He》とイシュタルω合流。
★日本時間出04時01分 皆既月食が発生。【第2月食】
《コード》による、都庁への大規模テロ開始。
《He》 エンリルとの決闘を繰り広げる。
《He》とイシュタルω 夢月の夢の中へ。前代未聞のハッキング開始────。
《He》らの活躍によって、夢月が目を覚ます。
《アイオー》システム 停止。
シャドウ・ヌルはリセットされ、眠りにつく。
テロ鎮圧。エンリルは行方知れずに。
エレシュキガルが夢月の代わりに《エニグマ》へ。
《アイオー》システム 再起動。シャドウ・ヌルが活動を再開。
Route:C´&D´ リバースシーケンスで開始。
イシュタルω 新生《コード》のリーダーに。
アヌ 新生《アヌンナキ》設立。
腐敗した《バビロン》の債権を図る。
10月31日──
ネルガル サイバーフォースによって逮捕。
《コード》 ロザリオαを解析。
11月──
エクサバイト・クリスタルから。《クリミナル》が解放される。
2033年
初春──
メガ・ジオフロント・プロジェクト(大深度地下都市計画)が本格始動。完成目標は2050年。
03月10日──
鏡花学園 再開(経営陣は一新)。弥生も復職。
03月25日──
真佑実 鏡花学園で光彦の研究ノート発見。
03月26日──
《コード》の作戦会議。最終決戦の宣言。
04月10日──
弥生に匿ってもらっていた日向と夢月が生家へ帰還。
Route:A´ ノーマルシーケンスで開始。
日向 朔夜の行方不明を知る。捜索を決意。
04月12日──
出雲 国際指名手配。
04月14日──
弥生 《エクサーク》の実働部隊に狙われる。間一髪を宮田が救出。
04月15日──
★日本時間で04時11分 皆既月食が発生。【第3月食】
《コード》 《エクサーク》日本支社を襲撃。
それに呼応して、世界中のテロリストが《エクサーク》を攻撃。
日向 朔夜救出のために、《エクサーク》日本支社潜入。
これ以降、因果律によって未来は分岐する……。
ある歴史では──
《He》と量子コンピュータ、およびロザリオα&ωが相互接続。《He》が完全に覚醒する。
量子コンピュータが停止し、シャドウ・ヌルは消滅する。
朔夜は依然行方不明。
真佑実は日向と共に歩みだす。
ある歴史では──
夢月や2台の量子コンピュータと光彦らの協力によって、朔夜救出に成功する。
日向と朔夜が結ばれる。
量子コンピュータは存続する。
夢月は……?
ある歴史では──
《He》およびイシュタルωと上層意識が重なり、まったく違う過去がつづられる。
夢月 死亡。
ナブーの計画が完遂され、既存世界の概念が崩壊する。
過去転移発生。
Route:C&D リバースシーケンスで開始。
ある歴史では──
ナブーの計画が遂行される。
2台の量子コンピュータとナノアセンブラの接触によって、因果がまったく異なる軸に向かって進み始める。
Route:E´ イマジナリシーケンスで開始。
08月某日──
《エクサーク》グループ 解体。
10月08日──
★日本時間で19時54分 皆既月食が発生。【第4月食】
そして、それぞれの未来へ……。
──きみは、どこにいるの? ──わたしは、ここにいるよ?
Keyword:ア
目次
ア
アイ
アイオー
アイシー
アイゼーアと奈美の恋
アイソレーション・タンク
ID
IDカード
アイリッシュ・ウルフハウンド
アクア説
アタック
圧電素子
アッシュール
アヌ
アヌンナキ
アラン・チューリング
アルファ社
合わせ鏡
アンダーグラウンド
アンドラス
イ
イードク
イェリコの壁
イシュタル
イシュタルの冥界下り
以心伝心
遺伝子
イド
イナンア
イマジナリ・チルドレン
イマジナリ・ビジョン
因果
因果律
ウ
ヴァーチャル
ウィザード
ウイルス
ウーナ
ウサギ
エ
エア
永遠と無限の楽園
AI
エクサーク
SIT
SST
枝
エックス
エックス・アーク
エニグマ
M-IC
エプソムソルト水溶液
エレシュキガル
エロス
エンリル
オ
牡牛とイシュタル
OS
お風呂での電脳会話
Keyword:ア
アイ
1)i:虚数(イマジナリィ:imaginary)の頭文字。iの自乗は-1(-1の平方根はi)。
2)I:自称の主格。私は、ぼくは、オレは、あたしは。
3)I:自意識を持っている、アイデンティティのある存在。
4)愛:生命体に等しく与えられた、喜びと痛み。幸せと悲劇の、始まりと終わり。
5)AI
アイオー:I/O
1)入出力(Input/Output)。あるいは、ログイン/ログアウト(LogIN/LogOut)。
2)内側と外側(Inside/Outside)。
3)1と0(ONとOFF)。
4)マシン語。1と0(ONとOFF)で表記されるので。
5)1/0。数学上不可能な計算。コンピュータ上でこれをやるとプログラムが暴走して『0で除算しました』と警告メッセージが出る。
6)直線(I)と曲線(0)。異なる2面性。多様性。
7)イチゼロ。10進数(リアルの数字)では10、2進数(デジタルの数字)では02。
8)10より──X(ギリシア数字)→エックス
9)イオ(Io)。ギリシア神話の巫女で、主神ゼウスに愛されたがゆえに、神姫ヘラに恨まれ、牛の姿で地中海沿岸を放浪しなくてはならな かった。最後はエジプトに落ち着き、豊穣女神となった。なお、ゼウスとイオは月光の降り注ぐ湖畔で結ばれている。
10)《Artificial Intelligence Operating system》の略語。プレイヤーがログアウト状態でも、シャドウが《バビロン》の住人として活動できるよ うにするAIシステム。ログイン時にプレイヤーの行動・発言・参照した情報などを全て記録・蓄積していき、ログアウト状態では、それらの データをもとにシャドウが連想、推論によって自律的に行動する。プレイを重ね、プレイヤーのデータ(記憶)が増えれば増えるほど、より プレイヤーらしく行動するようになる。
アイシー
1)integrated circuit:集積回路。
2)Iesus Christus:ラテン語でイエス・キリスト。
3)imaginary children:イマジナリ:チルドレン。
4)I see:私は理解している。
アイゼーアと奈美の恋
奈美とアイゼーアの切なくも狂おしい恋。少女がどれだけ求めようと姿は見えず、少年がどれほど欲しようと言葉は届かず──。
それは、決して叶わぬ願いなのか?
だが、こうしてふたりの想いは成就した。『楽園』は、いま再び見出されたのだ。
アイソレーション・タンク:Isolation tank
隔離水槽。
脳学者ジョン・C・リリィが『全ての刺激を遮断したら、人間の脳は活動できるのか?』を実験するために考察した、体温に近い液体を満 たした防音/防光の閉鎖タンク。母親の体内で羊水に浮かんでいる胎児や、海中でくらすイルカに近い状態。
実験結果は、外部からの刺激がなくても脳は積極的に活動することがわかった。
それは目覚めつつ夢を見ているようなもので、一種の瞑想として、さまざまなイメージが湧いて来る。
⇒唯脳論
ID
語源はアイデンティティ(Identity 自己同一性)。
基本的には、何かの組織に属する際の認識ナンバーのこと。
全市民は、市民IDを割り振られており、それをあらわすIDカードを持っている。
市民IDのある市民は、すべて平等に扱われる(ただし高齢者・障害者には優遇措置あり)。
市民IDのない住人(非登録市民・違法居住者)は、公共施設を利用できないばかりでではなく、国家の庇護の対象ともならない。
IDカード
登録市民の情報が記録されている、市民IDカードのこと。
実際にはカード型コンピュータである。
その機能の基本は身分証明書であり、様々な情報が追記できるようになっている。
たとえば学生なら学生ID、会社員なら社員ID、その他さまざまな免許IDが、同じ市民IDカードに記録される。
さらには旧時代のクレジット・カード、キャッシュ・カード、マネー・カード、代替貨幣など、電子マネーの取り引きに関する全ての機能が、 IDカード1枚のなかに集約されている。
いわば社会的な第二の自分自身であり、紛失時のフォローのために、電波を発信するチップが搭載されている。持ち主や当局は、必要 に応じてそのカードの場所が特定できる。
カードの表面には指紋を感知するセンサーがあり、当人以外が持って使用することは基本的には出来ない。
アイリッシュ・ウルフハウンド:Irish wolfhound
犬の中でもっとも体高が高く。グレーハウンドより体つきががっしりしており、顔にいたるまで毛むくじゃら。
知能が高く、勇猛だが気質は穏やか。寿命は5~7歳。
狼などを狩る獣猟犬として愛され、古代アイルランドではク・フォオイル(勇敢な狩猟犬)という名で知られていた。
一般には『大きな犬』と呼ばれ、多くの忠犬物語が残されている。
アクア説:Aquatic Ape Theory
1960年、イギリスの海洋生物学者アリスター・ハーディー卿が提唱した『人間は進化の過程で浜辺に生活範囲を移した』という人類進化論。
学者の間にはほとんど受け容れられることはなかったが、この説を信じて取りあげた同国の作家エレイン・モーガンの著書がベストセラ ーになったことで、世間に広く認知された。
水棲哺乳類の特徴の多くが人間に見られることが同説の強力な根拠。
直立二足歩行をする・体毛が薄い・皮下脂肪が厚い、水中出産すると生まれてきたばかりの赤ん坊がしっかり泳ぐなどは、人間の進化 が水中生活に関係すると仮定することで、論理的に説明できる。
アタック:attack
1)攻撃
2)ネットを通じて、ターゲッティングしたサーバに侵入し、そのコントロール(すなわちルート権のダッシュ)を試みること。
リモート、ローカルの2種類がある。
そのためのサポートであるソーシャルエンジニアリングも、間接的なアタックと言える。
圧電素子
チタン酸バリウム、チタン酸鉛、ロッシェル塩等の圧電物質を積層・焼結させた、応力をかけると電流を生ずるセラミックス。
電子ライターやガスコンロの着火用に、よく使用される。
アッシュール:Ashur
アッシリア帝国の守護神。
翼のある太陽円盤の中央に、弓をつがえた髭の男性像で表現される。
帝国の名であるアッシリアや首都アッシュールと同一の語源でもある。
アッシリア王は“アッシュール神の代官”として統治していた。
アッシリア人にとって、帝国との契約は神との契約と同義。
それを破るものを厳しく罰しなければ、自分たちが神に罰せられると信じていた。
よってアッシリアでの戦は『聖戦』としてとらえられ、できるだけ残虐に敵を殺していたとされる。
アヌ
バビロニアの天空の神。シュメールではアンと呼ぶ。
アヌンナキ:Anunnaki
シュメール語。原義は“天と地の神々”。
1)シュメールやバビロニアの神々の総称。
2)オンラインRPG《バビロン》を作ったハッカーたち。その最高の者が“三貴神”。しばしば《バビロン》と同義で使用されるが《アヌンナキ》 はあくまで人間のことを指す。のちには《バビロン》創造者だけではなく、管理者を意味する言葉にまで広がった。
アラン・チューリング:Alan M.turing(1912-54)
世界初の有名なコードブレイカー。
第2次世界大戦中にドイツ軍のエニグマ暗号を解読した。
コンピュータ(仮想コンピュータ)Colossusの生みの親でもある。
アルファ社
絶対真空の宇宙や、高圧の深海探査においても機能する、耐久性に優れたクロノグラフ(Chronograph ストップウォッチおよび天則補佐 の機能のある針式の腕時計)の開発で有名。
合わせ鏡
ふつうは、手鏡と鏡台を合わせて、自分の背面を見ること。
われわれが見慣れた自分の顔は、鏡面に写る“左右逆転した映像”である。
合わせ鏡では、逆転が逆転されて、他の人が見る“自分の本当の姿”に、きわめて近いものを見ることができる。
しかしそれは“見慣れた自分”ではないので、たいがいの人は違和感を抱く。
これはドッペルゲンガーに対する違和感に似ている。
完全に2枚の鏡を平行に置くと、その中にどこまでも続く“無限回廊”が見える。
物質はその奥には入れないが、映像は無限に映るように見える。
真夜中にこのあわせ鏡をやると“無限回廊”の彼方から悪魔が召喚されるという俗説がある。
アンダーグラウンド:underground
アングラ。地下活動。非合法活動。反政府活動。
クラッカーやテロリストは、アンダーグラウンドの存在。
一般的に、ハッカーはそうではない。とはいえ、その境界は明確ではない。
アンドラス:Andras
意味は『男であること』。
ソロモン王72柱の魔神のひとつで不和の侯爵。
一般に外見は、漆黒のワタリガラスの顔をした男で、黒い狼に騎乗する。
北欧神話の主神オーディンのイメージが投影されていると考えられる。
残忍な性格で、炎上する剣で殺人を犯し、人間の精神を破壊するのを好む。
Keyword:イ
イードク:E-DOC.
オンラインRPG《バビロン》の制作/管理集団。
熱狂的なユーザによって結成された、トップシークレットにアクセス可能な、特権階級のことだとされる。
一般にエレクトロニック・ドクター《Electric-DOCtor》つまり電子博士、あるいはエレクトリック・ドキュメンテイター《Electric-DOCumenters 》つまり電子工文章作成者(電子世界を記す者たち)の略だとされている。
イェリコの壁:The walls of jelicho
聖書の故事で「絶対に崩れないもの」の意。
決して超えることのできない壁。
イェリコ(英語読みでは「ジェリコ」)とは、旧約聖書にも登場する世界最古の町の名。
イスラエルの首都エルサレムから東北東約20kmの位置にある、人工万5000人ほどの町。
海面下250m──
世界で最も低く位置する都市でもある。
余談だが、ファイヤーウォールはイェリコの壁ではないため、決して過信しないように。
イシュタル:Ishtar
バビロニア神話の金星と愛の女神。戦争の神。
魔神アスタロト、ギリシアのアフロディーテ、ローマのウェヌス(英語読みヴィーナス)の原型。
イシュタルの冥界下り
バビロニアの美と豊穣の女神イシュタルが、死んでしまった夫の穀物神タンムーズを救うために、冥府の女王であり姉でもあるエレシュ キガルに会いに行くという神話。
イシュタルは7つの門を通るたび、門番に『冥界のおきてだから』と言われて、衣類や装飾品を剥ぎ取られる。
エレシュキガルと対面できたときには裸になってしまい、エレシュキガルは『失礼な!』と腹をたて、イシュタルを殺して(冥界に閉じ込め て)しまう。
以心伝心
1)禅宗において、言葉や文章では表現できない仏法の奥義を、無言のうちに弟子に伝えること。
心から心へ伝える。
言語化できない概念は、心で悟るよりほかはない。「考えるのではなく、感じろ」ということ。
2)言葉を使わずに、考えていることが互いにわかること。心が通じあっていること。
余談だが、この場合の以心伝心とは、相手の心を読む特殊な技術というわけではない。
正確には、高文脈化(言葉だけでなく、隠された裏の部分──状況や立場や心情──までを読み取ってコミュニケーションをとること。 日本文化はこの部類に入る)の言語を使用する人間同士でのみ成立するコミュニケーションだといえる。
要するに、肝心なことは(肝心なことだからこそ)言葉にしない。
時には、最重要な要件さえ文脈で伝えようとする。
日本人は外国人に比べて「愛している」とちっとも言わない……らしい。
くれぐれも、間違って以心伝心して、すれ違いしないように。
遺伝子:gene
細胞分裂の際に観測される、細胞内物質である“染色体 chromosome”は、その中心に軸としての“核酸 nucleicacid”を有している。
この核酸は、4種類の“塩基 base”で構成されているが、その塩基配列は“3セットで1情報”のような一定の法則にしたがっており、その 情報は、親から子へと世代を超えて遺伝する。したがって、これを遺伝子と称する。
ほとんどの遺伝子はDNAと呼ばれる核酸で、二重螺旋構造をしているが、ウイルスには、1本鎖だけのRNAを遺伝子にしているものもあ る(レトロウイルス)。
DNAとRNAは、どちらも4種類の塩基で構成されるが、内訳は1種類だけ互いに異なっている(つまりDNAとRNAで合計して使用される塩 基は、5種類となる)。
1種類の生物に必要な遺伝子の1セットを、ゲノム(genom)と称する。
各生物の細胞核には、ゲノムとならずに利用されない部分がある。
これをイントロン(Intron)と称する。イントロンは、各生物の進化の段階で不要になった遺伝子が置かれている“遺伝子のクズ置き場”ら しい。
ゲノムは細胞核にある遺伝子だが、エネルギーを発生させる細胞内物質ミトコンドリア(mitochondrion)内にも、別の遺伝子がある。これ はかつてミトコンドリアは別の生物であったのが、取り込まれて共生するようになった結果らしい。
ミトコンドリアは雌/女性を通じてのみ遺伝する。植物にある葉緑体(chloroplast)も、ミトコンドリアと同様、別個の遺伝子を有する。
イド:Id
原意はラテン語で『それ』。
心理学者のユングが提唱した概念で、ドイツ語のエス(Es)を翻訳したもの。
無意識の本能をあらわし、自我、超自我とともに、人間の精神を形成する。
イナンナ:Inanna
シュメール人の愛の女神。バビロニアのイシュタルと同一の存在と思われる。
どちらも冥界へくだってから地上に戻ってきたという神話がある。
イマジナリ・チルドレン:imaginary children
略称IC。
自分の存在が現実世界では浮いて感じられる、というような症状に悩む少年少女の中で、情報通信系の作業に適応し、ネットワークの 操作に特化している者。
仮想世界の中では、一切の電子的な接続を介さずとも、圧倒的な存在感と充実感を覚えることができるため、より感覚的に、より迅速 に、より的確な操作ができる。
したがって最近では、これらは精神疾患というより、新しい世の中に沿った形で最適化された精神構造、という解釈がなされている。
時代が必要として生み出した新人類的な存在なのかもしれない。
イマジナリ・ビジョン:imaginary vision
人の『気配』を、色として認識する視覚システム。
生まれつきそうである者と、人工的に補填してそうなる場合がある。
『気配』の招待は、残留地場や赤外線など、可視光以外の微弱エネルギーが統合されたもの。
見える色は人によって異なる。
因果
1)原因と結果。
2)いま起こっている事柄は、以前に起こったなんらかの事柄の結果であり、同時に以後のなんらかの事柄の原因であること。
自分の行った行為に応じて、それに相当する報い(良い悪いは別として)が起きること。
いま起きている不幸は、前世の悪行に原因があること。
因果律:causality
原因と結果との間には、一定の関係があること。
Keyword:ウ
ヴァーチャル:virtual
語源はラテン語のVirtue(ヴァーチュ)すなわち“美徳”にある。理想世界という意味合いである。
1)事実上の、実質上の
2)虚像の、仮想の
ウィザード:wizard
原義は“賢い人”すなわち“賢者”。転じて“魔術師”ネット上では、天才的なハッカーを意味する。
魔術師が悪魔や魔神を召喚して使役するように、ネット・ウィザードはディーモンを駆使する。
ウイルス:virus
英語ではビールス、バイラス。
原義は“毒”や“泥”。
生物学では、細胞単位の病原菌たる細菌(bacteria)より小さい、単独では機能しえない、細胞内構造物に類似した病原体を言う。
遺伝子情報と、それを包む殻、それに移動手段のみで形成され、細胞に寄生し、その細胞内の資産を駆使して自己増殖をはかる。
ネット上では、コンピュータの機能不全を起こす悪質なソフトウェアのこと。
クラッカーが面白半分で作ってネットに流すことが多い。
ウーナ:una
ラテン語で“1”という意味。
ウサギ
耳の長い齧歯類。一般に『寂しいと死んでしまう』と言われている。
数学者ルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』では、懐中時計を持った白兎が、物語の案内役となった。月に兎がいるのは、インドま たは中国の伝承によるとされる。
月の満ち欠けを、ジャンプする兎に例えたもの。
中国では、同じくジャンプするカエルを月の精ともしていた。
兎とカエルが遊ぶ図像は、最古の漫画である『鳥獣戯画』にも見られる。
月兎は、元来は不老長寿の妙薬をばら撒いていた。
兎が餅をついているのは、日本語で満月を望月(もちづき)と言うので、転化して『餅つき』となったから。
もっとも餅じたいの語源は『保ち』にあり、長くもつ、保存性に優れる、から転化して“永続性”の象徴となっている。
『古事記』『風土記』では、餅を射ようとしたら、古い鳥になって天に飛んでいったという話がある。この白い鳥は“鶴は万年”のたとえのよ うに、やはり永続性の象徴である。
ちなみに兎は、その耳を翼に見立てて、古来『一羽、二羽』と鳥のように数えた。
Keyword:エ
エア:Ea
エアはバビロニアの神々のなかで、唯一人間を洪水から助けようとした。
文明と知識の源、科学者、芸術家の守護神。
半魚人オアンネス自身であるとも、その親玉であるともされる。
シュメールではエンキと呼ばれる。
永遠と無限の楽園
『世界』を有限と現実の象徴とすると、その逆にあるのは、無限(永遠)と虚構ということになる。
また、レムに定められている『永遠の14歳』という設定にも絡めているのだろう。
さらに言うならば、『我々のレムちゃんに対する愛は永遠なのだ』というメッセージさえ、こめているのかもしれない。
はたして《ドロー》たちは、望み通り楽園を見いだせたのか?
それは彼ら自身にしかわからない。
AI:エーアイ
人口知性体(artificial intelligence)。
機械知性。自立的に状況を判断して行動するプログラム、またはそれを備えた機械。
エクサーク
ギリシャ語を元にした、ラテン語。
原意は“超越したリーダー”。
1)exarch:キリスト教の東方教会における地位。エグザルフとも。元来は総主教だが、後に少し下位の者にも与えられた称号。転じてビ ザンチン帝国の地方太守。総督。
2)eXarch Co.ltd.:略称はX社。
米国の企業信用調査会社D&D(Dyne & Dawn street)社による格付けで最高ランクの『5A-1(純資産:50,000,000$/信用度:High)』と評価される超優良企業。
なお、5A-1の企業は世界に10社しかない。
コンピューターネットワークのコンサルタントを中心に、検索エンジン、セキュリティ関連などのネット関連、ハードウェア製造やソフトウェ ア製造などのIT関連、製薬や医療器具製造などの医療関連……などなど、さまざまな事業を幅広く請け負っている巨大多国籍企業。
学術関連にも意欲的に取り組んでおり、いくつもの研究所がある。
教育機関も運営している。
以前はオンラインゲームの事業も請け負っていたが、採算が合わず撤退。部門ごと切り捨てた。
アウトソージング的に、外部のスタッフも積極的に採用している。
とくにシステム構築やセキュリティ関係など技術革新の激しい分野は、フリーランスのハッカーが多数参加している(もちろん、ここに《ク リミナル》も参加している)。
本社はサンフランシスコのシリコンバレー。そのほか東京、福岡、ソウル、香港、北京、シンガポール、モスクワ、ベルリン、ローマ、ロン ドン、パリ、ニューヨーク、ロスアンゼルス、バンクーバー、チューリヒ、シドニー、コペンハーゲンなど、世界じゅうの主要都市(20カ所)に 支社がある。
東京支社は中央区のベイエリアにあり、そこには高層建築のインテリジェントビルがそびえている。
また、地下フロアも深く、B10にまで伸びているという噂も……。
⇒エックス・アーク
SIT
各都道府県警特殊捜査班(Special Investigation Team)のこと。
道府県警察の刑事部捜査一課に設置され、このうち、1係と2係が誘拐や人質事件などを担当している。
日本の対テロ組織でもある。
SST
海上保安庁特別警備隊(Special Security Team)のこと。
海外の特殊部隊並みの装備と能力を持つ対テロ特殊部隊であり、主にハイジャック・シージャックに対応している。
枝
盗聴装置のこと。
メインの海鮮から、枝を伸ばすように設置し、情報を拾うから。
エックス
1)x:未知数、変数、謎の人物
2)x:キスマーク(主に手紙の封じ目に使用)
3)x:殺す、消す
4)X:X指定(成人向け)
5)Christ:イエス・キリスト
6)cross:クロス、交差点、十字架
7)エクサーク社の略称。ロゴのなかで『X』が最も大きく目立つ。
8)ギリシア文字の10。
エックス・アーク:ex-ark
Arkは聖書の十戒石を収めた箱、あるいはノアの方舟のこと。
exは、そこから外されたという意味。
エクサーク社に対して批判的な人々が、“外道”という意味で侮蔑的に使用する。
エニグマ:Enigma
ギリシア語から派生したラテン語で、原義は『謎めいた言語で話す』。
1)なぞ、不可解な出来事
2)謎めいた人物。正体のつかめぬ者
3)なぞなぞ
4)第二次世界大戦でドイツ軍が使用した暗号機械
5)《マルドゥーク》に備えられた情報の圧縮展開システム。開発者は葵夢月
M-IC:Mirroring-Imaginary Children
『胸像の双子』として生まれてきたICのことで、超天才とでもいうべきネット上での順応性をそなえている。
なぜM-ICにのみ、こういった能力が発現するのかは未だにわかっていない。
一説によると、この双子は、無意識に頭脳を共有しているという。
脳の中には、3分の2以上もの未使用領域が存在する。
この未使用領域を解放することで、超能力が発現するとされている。
M-ICはそれを解放しているらしい。
ただし実際に使用するのは、自分の脳の未使用領域ではなく、相方である双子の脳の領域である。
つまりM-ICどうしは、相方の脳と自分の脳を、テレパシーのようなもので接続し合っている。
これによって双子はより密接に影響しあい、俗に言うシンクロニシティが発生する。まるで無線ネットワークで繋がりあったPCが分散処 理をおこなうように、ふたりはマルチタスク的な、より複雑で高度な処理が可能になっているらしい(真偽は定かでない)。
エプソムソルト水溶液:Epsom salts
硫酸マグネシウム(化学式MgSO4・7H2O)の水溶液。
海水や鉱泉に含まれ、にがりの主成分としても知られている。
水溶性が高く、その水溶液に浸ると筋肉の緊張をほぐし、皮膚、気穴、線組織の排泄作用を促進し、肌を引き締める効果がある。
エレシュキガル:Ereshkigal
シュメールおよびバビロニアの冥界の女王。
愛の女神イシュタルの姉。死の神ネルガルの妻。
エロス:Eros
1)ギリシア神話の愛の神
2)情愛。性愛。
3)心理学用語で自己保存本能。タナトスの対立概念。
4)スーパーハッカー“イシュタル”の存在意義。
エンリル:Enlil
シュメールおよびバビロニア神話の中空の神。
風邪と嵐の神。
雲は、天と地の中間に位置する。
洪水で人々を滅ぼした張本人。
古くはベール(Bel)すなわち『主』と呼ばれたが、後にマルドゥークに、その主神の座を譲った。
Keyword:オ
牡牛とイシュタル
世界最古とも言われるバビロニアの『ギルガメシュ叙事詩』で、美の女神イシュタルはギルガメシュ王に求愛するが、王は『おまえとつきあって、ロクな末路をたどった男はいない』と、すげなく断る。
それに傷つき怒っったイシュタルは、地上へおろせば7年は飢饉が訪れるとされる、嵐と地震を起こす『天界の牡牛』を差し向けて殺そうとした。
牡牛はもともと金星の女神イシュタルの聖獣。
金星は月と同じように満ち欠けし、その三日月の形が、雄牛の角を思わせるため。
雄牛の角をつけたイシュタル像も、よく遺跡から発見されている。
OS
オペレーティング・システム(Operating System)の略。
コンピュータの基礎的な作動をコントロールするソフトウェア。
他の多くのソフトウェアは、OSの動作を利用して起動する。
お風呂での電脳会話
イシュタルは電脳を無線で電話にリンクして、篠塚真佑実と会話していた。
『電脳で会話しているのに、声が出るのはおかしい』と思うかもしれない。
しかしイシュタルの脳内では、たしかに音声として認識されている。
ここではイシュタルが視点者なので、彼女の脳内では聞こえているのである。
また言葉を頭のなかでつむぎだすと、対応する器官や筋肉は、反応して動く。
『声を出すまい』と強く意識したり、電脳のシステム自体で対応諸器官への神経伝達をカットしない限り、イシュタルの声は風呂場でエコーするのである。
まあ言葉自体はハッキリせず、鼻歌のように響くかもしれないが。
Keyword:カ
目次
カ
懐疑論
カオス理論
ガルウィング
感覚化
邯鄲の夢
キ
機械知性
菊の紋
義体
キャッシュ
鏡花学園
鏡像の双子
キルリアン写真
ク
蜘蛛の糸
クラッカー
クラッキング
クオリア
クリミナル
クローニング
クロノグラフ
クロノメーター
ケ
月齢
幻肢
幻肢痛
元型
コ
コアセルベート
ゴースト
コード
コードブレイカー
コードブレイク
古鳥
胡蝶の夢
言葉に出す
コミュニケーションロボット
コロッサス
Keyword:カ
懐疑論:Skepticism
『人間の認知は主観的であり、普遍的な真実を得ることはできない』という考えかた。
すなわち『すべての知識は不確実である』という考えに基づくため、そのテーマ自体もまた不確実だ、という自己矛盾をもはらんでいる。
カオス理論:Chaos theory
複雑な計算が必要になればなるほど、その初期値を少し変えただけで、全く違った結果がでてしまう『初期鋭敏性』という性質がある。
つまり物事を正確に計測することは不可能であり、物事が複雑になると、その未来を予測することはできないという理論。
ガルウィング:Gullwing
意味は『かもめの翼』
1)形状が似た航空機の翼。
2)左右のドアが上方に跳ねあがるように開く構造の、2ドア型の自動車。
高級スポーツカーでは人気の高い方式で、横方向にスペースがなくても、乗り降りが楽にできる。
感覚化
ディスプレイなどの外部入出力機器ではなく、生体電脳を通じた接続が可能になったために、取り入れられた。
コンピュータよよびネットワーク上の構造やプログラムなどを、視覚・聴覚・触覚などの感覚情報に置き換え、リアルに即した形で認識で きるようにする。
邯鄲の夢
唐の時代、とある人物が邯鄲(かんたん)という地の茶店で居眠りをすると、茶も沸く暇もないほどの一睡のうちに、夢で人生の栄枯盛衰 を体験した。
これにより、人生の儚さを意味する慣用句となる。
ときに胡蝶の夢と混同されるが、本来の意味は微妙に違っている。
Keyword:キ
機械知性
AIの別の呼び方。
菊の紋
鎌倉時代初期に、備前福岡(現在の岡山県)に住んだ刀工、一文字則宗の作についている紋。
則宗は後鳥羽上皇の御番鍛治のひとりで、菊の紋を彫ることを許されたことから、菊一文字の名がある。
義体
人工の腕や足は、実際の肉体とほぼ変わらない機能を備えるまでに至っている。
超人化するための義体は、機械式か整体師帰化を問わず違法。
その場合、制御神経系もすべて人工にする必要があり、外見も無骨になり、費用も法外。
薬物で拒絶反応などを抑える必要がある。
そのため全身を義体化する(脳以外を作り物にする)のは、まだ技術的に越えなければならないハードルがたくさんある。
キャッシュ:cash
現金。紙幣または価値の確かな貴金属。
細菌では、ほとんどは電子マネーで決済されるため、表で用いられることは少なくなった。
しかし需要がないわけではない。
特にジャンクなどヤバ目の品の売買や闇取引では、個人情報や金の動きが記録されないように、キャッシュが使用されている。
鏡花学園
私立鏡花学園(しりつきょうかがくえん)
中高一貫の学校で、校舎は『風の道』をコンセプトに作られている。
なぜか男子生徒に比べて、女子生徒の比率が高い。
鏡像の双子:きょうぞうのふたご
受精卵が、受精から10~12日後以降に分裂し、ひとつの胎盤で一卵性双生児として育ったケース。
互いに鏡に映っているように、利き手が左右逆・つむじの巻き方が左右逆・手相が左右逆となっている。
かなり稀だが、内臓の位置まで左右対称になっている場合もある。
ちなみに受精後9日以内に卵子が分裂すると、別々の胎盤で育ち、鏡面の状態にはならない。
キルリアン写真:Kirlian photography
放電写真撮影。
生体エネルギーであるオーラ(細胞が発している微弱な光)を撮影した写真。
1930年代後半に、旧ソ連の電気技術者セミヨノフ・キルリアンと、妻のバレンチナ・キルリアンによって開発された。
高電圧によるコロナ放電の状態を写真フィルムに焼き付け、人の身体から発しているエネルギーを画像化する。
エネルギーが高ければ、より白い部分が多く写る。
エネルギーの強弱、有無、形などから現在と過去の体の状態がわかる。
一部の医療機関で用いられている。
Keyword:ク
蜘蛛の糸
芥川龍之介の短編小説。
悪事を尽くして地獄に堕ちたカンダタが唯一、生前に小さな蜘蛛を敢えて殺さなかったことを見ていたお釈迦様が、蜘蛛の糸を地獄にた らして、カンダタを天国へ引き上げようとした。
クラッカー:cracker
愉快犯的な侵入行為や、破壊行為、データ窃盗/改竄などを、自分の楽しみや利益のためにおこなう、コンピュータ犯罪者。
ウイルスやワーム、あるいはその複合体を組んで、ただ楽しむために、あるいは特定の目的のためにネットに流したりもする。
クラッキング:cracking
クラッカーがネット上でする違法行為。
クオリア:Qualia
脳科学用語。
意識が感覚刺激を受け取った際に発生する感触──感覚に伴う鮮明な質感のこと。
リンゴを見て『赤い』と感じることや、海を見て『青い』と感じることを科学的に説明すれば、ある波長の光が(リンゴなどの分子配列が、そ の波長の光をよく反射することで)目を通して感覚刺激を受け取ったときに発生する感触、ということになる。
ただし、その波長がなぜ『赤さ』や『青さ』という感触を与えてくれるのか、ということについては万人が納得するような説明ができない。
また、怪我をして『痛い』と感じることや、風呂につかっているときの『心地よい』といった感触についても、脳内を伝わる電気信号が発生 させていることは広く知れ渡っているが、その電気信号そのものが『痛さ』や『心地よさ』を生み出しているわけではない、とも考えられる 。
つまり、『脳が特定の状態になる』ことで『その感覚が生じている』のだが、このふたつは別ものとも考えられる、ということだ。
クオリアとは、ここにおける『脳の状態』だけでは説明のできない『感覚そのもの(純粋な感覚それ自体)』にあたる概念である。
一般的に、クオリアを認めてしまうことは、人間の意識には物質や物質的作用だけでは説明できない側面があることを認めることにも繋 がる。
このように、クオリアは言語や物理的特性だけでは説明ができないのでしばしば哲学的な疑問に直結することがある。
例えば、同一の赤いリンゴを見ているAさんとBさんとでは『同じ明さ』を感じているのか? Aさんが『赤』と呼ぶ概念は、Bさんにとって は『赤い』という言語で記述される『青』ではないのか?
例えば、AI(人工知能)といった(一般的には)意識がないとされているものが、センサーを通じて『赤いリンゴ』の色を『赤い』と処理し たら、そのAIには『意識があり、我々と同じように赤さを感じている』といえるのだろうか?
例えば、人間以外の生物にも意識があると言えるだろうか? その意識は、我々と同じクオリアを体験しているといえるだろうか?
例えば、自分以外の人間にも意識があり、同じクオリアを体験しているといえるだろうか? ……etc.
クリミナル:Criminal
1)犯罪的、犯罪の、罪を犯した、犯人、犯罪者、けしからんの意
2)“イシュタル”という人物の率いる、ハッカーチームの名称。《クリミナル》の活動内容は、既存のプログラミングコードの改良・改造、ソフ トウェアの生産……ハッキングと呼ばれる行為。
『基本的に』法を犯すような不法侵入を行っったりはしない。
そういった行為に及ぶのは、要所のセキュリティの貧弱さを警告する時や、犯罪捜査をタレこみという形で協力する時だけ。
だが、それも違法行為であることは承知しており、自分たちへの『戒め』という意味でクリミナルを名乗っている。
チームの戒律は『汝、破壊すべからず』。
クローニング:Cloning
生物の完全体としてのクローンではなく、臓器の一部を再生する技術。
本人のゲノムから必要な遺伝子コードのみを読みとって作るため、拒絶反応はない。
現実の医療として、頻繁におこなわれている。
クロノグラフ:Chronograph
ストップウォッチ機能のついた懐中時計または腕時計で、機械式(針)でもクォーツ式(デジタル)でもかまわない。
機械式の場合、文字盤のなかに30分計や1時間計が配置されたり、タキメーターやスプリットセコンド機能を備えているものもある。
その逆は真ならずで、針がたくさんついていても(カレンダーの月・日や、24時間表示を針で、示しているものなど)、ストップウォッチが付 いていない限り、クロノグラフとは呼べない。
またクロノメーターと勘違いされやすいが、別ものである。
クロノメーター:Chronometer
スイスクロノメーター検定境界が認定する、高精度のムーブメント(時計)に与えられる称号、もしくはその時計。
5種の時計のポジション、3種の温度の環境下で、日差-4秒、+6秒以内の基準をパスしなければならない。
認定されたムーブメントの文字盤には、『Chronometer』の文字が記載され、公に高精度で信頼性が高いという証明になる。
ちなみにクロノメーターは、スイス国内で年間約3000万本生産されている時計のうち、わずか3%程度。
Keyword:ケ
月齢:moon's age
新月(朔)を迎えた瞬間から、何日経過したかその日数を表すもの。
新月から新月までの長さ(朔望周期)はまちまちなので『十五夜の月=満月』という関係が成り立つとは限らない。
(月齢0が新月ということだけは確実)。
幻肢:Phantom I imb
自己などで身体の一部を失った人が、ないはずの器官が存在するかのように感じる症状。
四肢切断患者の90%以上がこれを感じる。
場所・長さ・大きさの感覚があり、『自由に動かせる』と感じる場合もあれば、自分の意志とは無関係に勝手に動いている場合もある。
トラウマとしての幻肢痛を伴うこともある。
これには『脳の再配置』と呼ばれる現象が関係している。
失った器官の操作/感覚に対応する脳細胞は、命令の行き場を失い、近隣の脳細胞の領域に侵食していく。
これによって、たとえば肘から下を失った人の肩や頬などを触ると、失ったはずの肘から下が、刺激されるように感じたりする。
つまり超常現象や思いこみではなく、純粋に神経学的な現象なのだ。
幻肢痛:Phantom pain
自己などで失ったはずの身体器官が、痛みを感じる症状。
締めつけられるような、焼けるような、または幻肢がつぶれた感じに似ており、それまで経験したいずれの痛痒とも異なる場合もある。
実際には切断されたよりも上部で起きた神経信号を『失った四肢から来た』と脳が誤って解釈した結果、生じる現象。
元型:Archetype
アーキタイプ。
ユングが提唱した「時代・文化を問わず、全ての人間の心に存在している、普遍的な集合的無意識」の類型のこと。
セルフ(自己)、影(シャドウ)、アニマ/アニムス(男性/女性の中にある女性/男性像)、大母(全てを呑み尽くすグレートマザー)などがある。
Keyword:コ
コアセルベート:Coacervate
違う濃度の溶液を混ぜたときにできる、小さな液体の粒のようなもの。
溶液が徐々に高濃度層と低濃度層に分離し、低濃度層の中に高濃度層の液滴ができる。
生命体ではないが成長し、あるていどの大きさになると分裂したり、大きなものが小さなものを吸収したりする。
コアセルベートのなkでも、タンパク質と核酸をもったものは、外の有機物を取りこみ、自身のコピーを生み出すことができるようになるだ ろう。
それはまさしく、生命のマネゴトである。
ゴースト:ghost
ゲスト(guest 客)と同じ語源から派生している。
1)幽霊。おばけ
2)電波・画像・映像などに映し出される虚像。
3)ネット上に偶発的に現れる、自立的なプログラム。
シャドウが消えた/シャドウを消した場合でも、サーバ等にそのデータが残って居る事があり、それがなんらかの原因によって起動するこ とがある。
噂では、ユーザが肉体を失い、シャドウさえも消えたとき、残されたユーザの情報が勝手に精神体として擬人化して、幽霊のように動き 出すのだという。
コード
1)code:法典、規定、慣例、おきて
2)code:(電信)符号、暗号、信号法;【コンピュータ】コード、符号、マシン語に治す
3)cord:紐、紐帯、きずな
4)最近あたりを騒がせている、サーバーテロ集団。愉快犯にしては、やり口が派手かつ残忍。にしては、明確な犯行声明がなく、目的が わからない。
コードブレイカー:code breaker
暗号を解読するもの。
コードブレイクに使用するツールや、それを実行する工作員のこと。
なお、暗号解読者として史上もっとも有名なコードブレイカーは、イギリスのアラン・チューリング。
⇒チューリング
コードブレイク:code break
1)暗号解読。暗号破り。法破り。転じて、犯罪、テロ行為。
2)クラッカー集団《コード》による破壊行為、または彼らのおこなうサイバーテロの総称。
3)クラッカー集団《コード》を壊滅させようとする行為。
古鳥:こちょう
武蔵野にある静かな住宅街。
かつては胡蝶とも呼ばれていた地区(鏡花学園の図書館にあった史料で判明)。
胡蝶の夢
蝶となって百年を過ごす夢を見て目覚めた荘子が提言した、『もしかしたら今の現実こそが、蝶の見ている一瞬の夢かもしれない』という 哲学的見解。
転じて、夢と現実の区別がつかない状態をさす。
言葉に出す
言葉にも霊が宿っている。これを言霊(ことだま)と称する。
したがって、重大なことを軽々しく口にしてはならない。
古代日本では、大言壮語することを『ことあげ』と称し、タブー視されていた。
『ことあげ』によって、その言葉に霊力が働き、言い掲げた事象が厄災となって訪れると信じられていたのだ。
英雄ヤマトタケルも『素手で山の神に勝ってやる』と『ことあげ』したため、激しい氷雨に降られ、瘴気に当てられ、不治の病に倒れた。
コミュニケーションロボット:communication robot
たいていの家庭の入り口にあり、伝言やメールを管理してくれる、対話機能のあるロボット。
だいたい両手で持って運べるサイズで、丸っこくて可愛い。通称:コミュロボ。
コロッサス:Colossus
原義はギリシア語で『彫像』
エーゲ海南東に浮かぶロードス島の港にあった太陽神ヘリオスの巨大な青銅像が、近代西洋の七不思議のひとつに数えられる程有名。
その為、転じて『巨像』や『巨大なもの』を指す。
1943年、イギリスはドイツの暗号を解読するため、同名の世界初となるコンピュータを開発。
これはチューリングの師であるM.H.A.ニューマンが主導で進められたプロジェクトだった。
軍事機密だった為、この情報は長い間秘匿され、現在でも詳細は不明である。
Keyword:サ
目次
サ
サーバ
サイバー
サイバーウェア
サイバー規制法
サイバースペース
サイバーテロ
サイバーフォース
朔
申(さる)は示して
サロス周期
三貴神
シ
CTC
ジーン
自我
ジッグラト
実存
死は自分で支配
市民レベル
シャドウ
シャドウ・ウーナ
シャドウ・ヌル
15
秀外恵中
シュレディンガーの猫
シュレディンガーの方程式
情報表示欄
ショルダーハッキング
シン
シンクロニシティ
ス
水月
スキミング
スキャン
スパイウェア
スパム
スプリットセコンド
スラング
セ
聖杯
生命のスープ
セキュリティホール
先進波
ソ
双生児
相転移
ソーシャルエンジニアリング
ゾンビ
Keyword:サ
サーバ:server
ネットに接続しているコンピュータのなかで、広く多くのユーザのコンピュータ(クライアント)に対して、サービスを提供しているもの。
俗に“鯖”とも言う。
クラッキングや故障/バグなどによってサーバの反応がおかしくなることを“鯖が腐る”、または完全に停止してサービスが提供できなくな るのを“鯖が落ちる”などと称する。
⇒スラング
サイバー:cyber
サイバーはサイバネティクス(cybernetics)の略で、1948年にノーバート・ワイナーがギリシア語の『舵を取る』から命名したもの。
人体機能の研究と、機会によるその模倣が原義である。
1980年代を中心にサイバーパンク(cyberpunk)文学が隆盛を極めると、サイバーは『人体改造』『機会の人体への埋め込み』『人体が直接インターネットや機械に接続されること』を意味するようになった。
正反対の概念にユビキタス・コンピューティングがある。
サイバーウェア:cyberware
CWと略されることもある。ハードウェアとソフトウェアの中間で、人間と機械を接続するためのインターフェース全般。
一般的には、人体に埋め込んで使用する機械のこと。
そのもっとも極端な形が『生体電脳』。
サイバーウェアを埋めこんだ生物のことを、サイボーグ(cyborg)と言う。
これはサイバネティクス・オーガニズム(cybernetic organism 機械化された生体)の略。
サイバー規制法:cybernetics-laws
『不正アクセス行為の禁止等に関する法律』『電脳手術等の規制等に関する法律』『サイバー犯罪条約』等、行き過ぎた人体と機械との 接近/融合を防ぐために、保守派によって国会を通過させられた一連の法律の俗称。
コンピュータのクラッキング、生体電脳、人間の能力を超える義体な移植などを禁止し、違反には厳罰が当てられる。
サイバースペース:cyberspace
仮想世界。仮想空間。電脳空間。ヴァーチャル空間。コンピュータ・ネットワーク空間。
主に《バビロン》を始めとする仮想世界のことを指すが、それ以外にも広義の意味として、ホームページやブログ、BBS、チャット、電子メ ール、電子ニュース、各種データベース、および、それらを実現するインフラストラクチャの総称といったように、ネットワーク内のコミュニ ケーション環境そのものを指す場合もある。
サイバーテロ:cyber terrorism
直接的な物理破壊をともなわない、ネット上でのテロ行為。
実行手段として、ウイルスの配布、情報の削除/改竄、サーバのコントロール権の確保などがある。
サイバーフォース:cyberforce
警察庁・電脳課・機動的特殊部隊の通称。
警察の公安部にあるとされるネット特捜隊。
サイバー規制法に基づき行動する。
風紀課、殺人課、鑑識などと協力しつつ、近頃頻発中のネットワークに付随した奇怪な殺人や自殺といった怪事件の操作にあたってい る。
朔:さく
新月。感じの意味的には、遡(さかのぼ)る月、逆の月、逆らう月、ということ。
さかのぼるのは、月齢の基点となるから。
逆なのは、月なのに光っていないから。
新月はふだん闇夜に溶けて見えないが、背景の天体を隠すことによってその存在を知ることができる。
その最大のイベントこそが、日蝕である。
申(さる)は示して
申(さる)の漢字には、申す・述べる、という意も。
示し、申し述べるもの。余談だが、『しめすへん』に『申』と書くと……。
サロス周期:Saros cycle
古代バビロニアの時代に発見された、日蝕/月食の繰り返される周期。
233朔望(さくぼう)月すなわち18年11.32日(6585.32日)。
途中に閏年(うるうどし)が5回あれば18年10.32日となる。
サロス周期によって、何年何月何日の何時何分にどのような月食が(部分月蝕か皆既月蝕か)起きるのか、あらかじめ予測することが できる。
三貴神
オンラインRPG《バビロン》の開発者《アヌンナキ》のトップ3。
アヌ、エア、エンリルのこと。
Keyword:シ
CTC
国連安保理事会テロ対策委員会:Counter-Terrorism Committee。
2001年9月28日に開催されたSecurity Councilの4385回ミーティングでぎあいにあがり、国連安保理事会決議1373で創設された。
安全保障理事会15カ国で委員会を構成している。
ジーン
遺伝子の英語読み(gene)。
自我:Ego
エゴ(ego)。原義はラテン語の『私』。
心理学者ユングの提唱した概念で、ドイツ語のいっひ(Ich)の翻訳。
精神のなかで、自分を自分であると認識している部分。層意識に近いニュアンス。
エゴは常に、イドと超自我による制御を受けているのだが、エゴ自身は、なかなかそれをみとめたがらない(生物学的には、イドを遺伝 子、超自我をミームと言い換えることもできる)。
日本ではエゴは『わがまま』という意味でも使用される。
例:『それはきみのエゴだよ』
ジッグラト:ziggurat
1)バビロニアにあった階段上ピラミッド。バベルの塔とも呼ばれる。
旧約聖書によれば、人々が点まで届けとその塔を作ったため、それを不服とした唯一神が、人々の言語を互いに通じなくさせた。
おかげで塔は完成しなかった。依頼バベルとは『混乱して話がつうじないさま』を意味するようになった。
2)オンラインRPG《バビロン》の中枢部。
実存
施行存在としての人間は、神を含む外部の事物によらず、独立して存在するという考え。またはその人間のこと。
近代哲学の祖ルベ・デカルトの『我思う、ゆえに我あり(Cogito ergosum コギト・エルゴ・スム)』のフレースで知られる。魂と肉体がべつの ものであるという二元論に影響を与えた。
虚無(nihil)の対立概念でもある。
死は自分で支配
古来より、『雲』は死を象徴する言葉とされている。
出(いず)る雲──つまり、死がやってくる。
日本神話における出雲の国(島根県東部に相当)は、大国主命(オオクニヌシノミコト)を封じる常世(トコヨ)の国への入り口なのだそう だ。
ゆえに、『出雲司』の名は、『死を司る』=『死を支配する』という意味に通じる。
市民レベル:citizen level
オンラインRPG《バビロン》の登録シャドウに設定された、仮想の社会的地位。
ルールを破る(違法行為をする)と低下し、下がりすぎるとゲーム内での公的な設備が使用できなくなったり、住む場所を追い出されたり 、他人に信用されなくなったりする。
道徳的な行為に努めたり、人から尊敬されるような功績をあげたりするとアップする。
シャドウ:shadow
1)影。古代エジプトより現代に至るまで、影は物体の魂のひとつとされてきた。
したがって支社である吸血鬼は、魂がないために影がなく、鏡にも映らない。
2)心理学上、常に抑圧して表面に出ないようにしている、当人の気づかない低級あるいは凶暴な衝動。ふとした弾みで表面化すること がある。シャドウに乗っ取られて行動すると『魔が差した』という事態になる。
3)ネット上での自分の仮想分身。シャドウの名称は、すべてハンドルである。パラメータによっては、プレイヤーの能力を超えた行動を起 こすことも可能。アバター(avatar:化身)と呼ばれることもある。
シャドウ・ウーナ:shadow una
ネット上で、元となった肉体とリンクいしている状態のシャドウのこと。
単にウーナと略すこともある。
シャドウ・ヌル:sgadow null
元となった肉体や頭脳とリンクが外れ、自立的に動いている状態のシャドウのこと。
単にヌルとも言う。
15
16進数では、10以降の数はA、B、C……とアルファベットで表記する。
16進の最大の数──15は『F』である。
Full Moon(満月)のF。
Future(未来)のF。
Fool(愚者)のF。
そして……Fortune(運命)のF。
秀外恵中:しゅうがいけいちゅう
外見も中身も素晴らしいという意味。
類義語に、「才色兼備(さいしょくけんび)」「才貌両全(さいぼうりょうぜん)」など。
シュレディンガーの猫
量子物理学者のシュレディンガー(Erwin Schrodinger 1887~1961)が打ち出した『シュレディンガーの方程式』を、わかりやすく例える萬 話に登場する『生きた状態と死んだ状態が混ざっている猫』のこと。
箱の中に、猫と一緒に『核分裂をする原子』『核分裂検出装置』および『検出器が動くと毒ガスを発生する装置』を一緒に入れる。
原子はある一定時間が経過すると核分裂を起こし、それによって毒ガスが発生して猫は死ぬが、箱の外からでは、いつ原子が分裂する かはわからない。
この箱のなかの原子の状態を、量子力学では『観測されるまでわからないので、分裂した原子と分裂していない原子が混ざった状態』で あるという。猫も原子が分裂したかどうかによって生死が決まるので『生と死が混ざった状態である』なのだ。
シュレディンガーの方程式:Schrodinger equation
量子物理学者シュレディンガーが発見した、量子力学における基本方程式。
物質がどのような波としての性質を持ち、それがどのように伝わるかを計算することができる。
情報表示欄
現代でも駅などでは、赤い発光ダイオードなどの表示版が使用されている。
画像では、停留所のポストに、同様のシステムは見られないようだが、これはインテリジェント・ペーパーが使用されているため、紙の中 にまんべんなく表が黒・裏が白の磁性体が埋め込まれ、電磁的に表裏を操作することで、文字を浮かび上がらせるシステム。
ショルダーハッキング:shoulder hacking
ショルダーサーフィン(shoulder surfing)とも。
ソーシャルエンジニアリングの手口のひとつ。
『肩越しに盗み見る』という意味で、対象がパスワードなどを入力するときの手の動きや、画面そのものを見て、秘密情報を盗み出す。
シン:Sin
バビロニア神話の月の神。時間の神。運命の神。
シュメールではナンナル(輝くもの)。
ジッグラトは、本来シンの神殿だった。
シンクロニシティ:Synchronicity
共時性。同時共時性。意味のある偶然の一致。
因果関係が見出せないのに、似たような意味をもつ事象が時空をこえて同時的におこっている現象。
『虫の知らせ』『胸騒ぎ』『正夢』『テレパシー』『(誰かとの)人生の一致)』などという言葉でも示される。
Keyword:セ
水月:すいげつ
1)そのまま水と月
2)人格の清潔なさま
3)くらげの別名。海月、鏡虫ともいう。水鏡に映って揺れる、月に似た虫だから。
4)くらげ料理が名物の屋台。たこ焼きやイカ焼きもメニューにある。
5)古鳥住宅付近にある公園。正式名称は水月公園。大きな池があって、月が映るときれい。
Keyword:ス
スキミング:Skimming
すくいとるという意味。他人のクレジットカードやキャッシュカードなどの磁気記録を不正にコピーし、使用する犯罪。
磁気情報読み込む機械スキマーを使って、データを複製する。
飲食店などで、上着に入ったままのカードから情報を抜き取ったり、空き巣に入ってデータだけを取り込んだり、店舗のクレジットカード 取扱店にある端末にスキマーを取り付けるなどの手口が見られる。
店長や店員自身がスキミングをおこなっていたという、内部の犯行も少なくない。
スキャン:scan
走査。対象の情報を取り込むこと。
ハッキング/クラッキングでは、アタックの前の重要な情報収集の段階。
ターゲッティングしたサーバの情報(OS、ヴァージョン、そのほか)を集めることは、セキュリティホールを洗い出すことになる。
スパイウェア:spyware
パソコンユーザの行動や個人情報などを収集したり、マイクロプロセッサの空き時間を借用して別の計算をさせるソフトウェア。
集められた情報や計算結果は、製作元に送られる。
表示されない部分で動作するので、ユーザはその存在に気づかない場合が多い。
スパム:spam
本来は、ダイレクトメールなど不要なeメールのこと。
転じて、“不特定多数”に送られる迷惑メールの意味になった。
メールだけではなく、1回アクセスすると、コンピュータに“無限に”ウィンドウを出させる悪質ページなども指す。
ハッカーのあいだでは、どうしようもない人物に対する別称ともなっている。
使用例:「このスパム野良!』
スプリットセコンド:Split second
2つの計測を同時に行うことができるクロノグラフの機能。
秒針が2本あり、スタートボタンを押すと、2本が同時に動き始める。
ストップボタンを押すとそのうちの1本が停止し、もう1本はもう一度ストップボタンを押すまで動き続ける。
スラング:slang
俗語。隠語、業界用語など、特定の人間集団が使用する、一種の方言。
ジャーゴン(jargon)とも。
たとえばサーバを鯖、プロクシを串、幼稚な人間を厨房と称するのも、一種のスラングである。
Keyword:セ
聖杯:Holy grail または Sangraal
イエス・キリストが最後の晩餐で用い、十字架にかけられた際、アリマタヤのヨセフがイエスの血を受けたとされる杯。
アーサー王伝説の主題のひとつで、これを探索することが騎士の使命とされた。
本来はケルト神話の、死んだ人間を蘇らせる魔法の大釜がモデル。
聖杯探索の物語は、フランスの作家クレティアン・ド・ドロワが最初に記したがみかんに終わる。以降、真剣に聖杯物語を書き上げようと した作家は、みな途中で筆を折っている。
ドイツのヴォルフラム・フォン・エッシェンバッハの書いた『パルチヴァール』では、十字軍の際に実在した聖堂騎士団をモデルにした聖堂 騎士団をモデルにした聖杯騎士団が出てくる。
そこで聖杯は、ユダヤ/キリスト教の伝承にある『失われた聖櫃』と同一視されている。
この聖櫃は、開けると稲妻のような破壊力をもたらす平気であり、そのありかは作品が未完のため、特定できない。
生命のスープ:Ur-soup または 原子スープ Primordia soup
数億年かけて、小惑星や彗星の衝突/融合によって地球が誕生した際、その過程で生成された有機物が、雨や海に溶け込んだ液体。
その生命のスープは、原子酵素の助けによって原子細胞に進化した。
その原子細胞内では、鉱物結晶パターンなどの転写によってDNAが生成された。
そのDNAの働きで、原子細胞は自身のコピーを始めるようになった。
すなわち生命のスープは、生命誕生の大本となった液体なのである。
セキュリティホール:security hole
ソフトウェアのバグのなかで、コンピュータシステムへの侵入や破壊、内部情報の漏洩などにつながる可能性があるもの。
基本的には、パッチを当てたり、そのソフトウェアを新しいヴァージョンに更新して対応する。
しかし更新版には、さらに新しいセキュリティホールがあり、イタチごっこと化している。
先進波
マクスウェル方程式から導き出される電磁波のひとつ。
過去から未来へと伝わっていく通常の電磁波(遅延波)と時間的に対称性をもっている。
ゆえに、未来から過去に伝わるという性質がある。
先進波のほとんどは遅延波との干渉でかき消され観測することはできないとされているが、それでも部分的に残留し、『未来が過去に影 響を与える可能性もある』という説も一部ではささやかれている。
嘘のような話だが、ミクロの世界では、そう考えることによって解消する問題が少なくない。
Keyword:ソ
双生児:twin
双子。一度の出産で一度に2人の子供が出産された場合、その子供同士を指す名称。
動物では普通だが、単胎である人間には珍しい現象。
母親の体内で、1つの受精卵が分割して別個に育った一卵性双生児と、体内に二つの卵が別個に受精して育った二卵性双生児がある 。
一卵性の場合、互いに相手のクローン対であるため、性別は同じとなる。
二卵性は卵が別個なので、互いに同棲ある場合も異性である場合もある。
二卵性はクローンではなく、単純に年齢が同じなだけで、普通の兄弟姉妹と同じである。
3つ子、4つ子など、双生児より多い場合は、たいてい排卵が誘発された結果、別個の卵が受精したもの。
一卵性双生児では、互いに遠隔状態にあっても、同じことをするシンクロ現象が見られることがある。まれに二卵性でも、シンクロ現象 が見られる。それに関して納得のいく説明は、まだなされていない。
相転移:Phase Transition
あるひとつの相(Phase)が、何らかの外的要因(温度・圧力・外磁場など)によって別の相へ移る現象。
なお、相とは、物質の中で状態が均一でかつ明確な境界をもち、他と区別される領域のことをいう。
ソーシャルエンジニアリング:soicial engineering
原義は“社会工学”。ネット用語では、直接ネットを介在しない手段によって(ほとんどは不正に)、他のコンピュータをリモートコントロー ルするための情報を得ること。
打ち込んでいるパスワードを肩越しに覗きこむショルダーサーフィンや、権力のある他人(銀行員、システム管理者など)になりすまし、 秘匿情報を相手から訊き出す詐欺、ゴミ箱をあさって有用な情報を探しだすトラッシングなど、方法はさまざま。
ゾンビ:zobie
1)アフリカ起源の蛇神。ザンビ。ジャンビーとも。
2)アメリカの西インド諸島にあるハイチを中心とする、ヴードゥー(Voodoo)教に登場する生ける屍。
極刑に値する罪を犯した罪人が、生きながら埋葬され、神官の術によって奴隷として復活を遂げたもの。
3)映画やゲームに登場する、半分腐りかけの生きている死体。大概人間を喰う。
4)DoSアタック用のディーモンのこと。通常は多数のコンピュータに仕込んで、一気に起動させる。
Keyword:タ
目次
タ
ターゲッティング
体内時計
タイムスタンプ
タキメーター
多世界解釈
多層世界仮設
タナトス
ダブル
タロットカード
タンムーズ
チ
チェシャー猫
父と娘の再開
窒素ガス
チャット
チューリング
超自我
潮汐力
ツ
月
月旅行
テ
ディアボロス
DMZ
DW
DDoSアタック
DNA情報はメディアにコピーできる
ディーモン
データセンター
デコイ
デザイナーズドラッグ
デストルド
デフラグ
テロ
テロリスト
伝説のハッカー
電脳
ト
特異点
DoSアタック
ドッペルゲンガー
トランスミッター
トリプルエー
トロイの木馬
ドロー
Keyword:タ
ターゲッティング:targeting
原義は“標的として定める”。
ハッキング/クラッキングをしかける対象(ターゲット)サーバを源泉し、その情報を集める行為。
スキャンやアタックの前に、必要な手順。
体内時計:biological clock
多くの動物は、頭脳に時を計測する“時計”を有する。
人間の体内時計は、約25時間サイクル。
強い光が、視神経から視床下部の視交叉上核に到達すると、松果体に信号が送られ、松果体は14時間後に睡眠を誘発する『時計ホル モン』メラトニンを放出する。
これによって体内時計を約1時間早め、われわれは地球の太陽日である24時間サイクルに適応している。
太陽日とずれているのは、月の周期である太陰日(24.8時間)にシンクロしていると考えるのが自然。
⇒バイオタイド
タイムスタンプ:time-stamp
1)郵便物に日付をおすためのハンコのこと。
2)ネット用語で、ある行動がいつ行われたのか、ファイルに秒単位まで保存されている、その時間記録データのこと。
これを改竄して時間をさかのぼらせ、期限切れになったパスワードを再使用するという不法侵入は、一般的なハッキングの手口。
タキメーター:Tachymeter
正確にはタキプロダクトメーター(Tachproductmeter。速度計)。
クロノグラフの文字盤の外周にセットされた、車などの平均時速を知ることができる目盛のこと。
クロノグラフで、1kmを難病で移動したかを計測し(最大60秒)、その計測秒数の横にある数値が、平均時速をあらわしている。
自動車についている回転系のタコメーター(Tachometer)とは、目的も語源も一緒である。
多世界解釈:Many-worlds interpretation:MWI
別名:エヴェレット解釈。
量子論のメインストリームである「観測したときに波動関数が収束する(現象が決定される)」という考え(コペンハーゲン解釈)に対抗す る別の解釈。
物理学者ヒュー・エヴェレットが、1957年、まだプリンストン大学の大学院生であった頃に博士論文で発表した概念。
のちに、ブライス・エウィットによって発展され、多世界解釈と名付けられる。
観測された量子は、ひとつに収束するのではなく、すべての可能性に分岐して並列的に存在するという考え方。
量子の可能な姿だけ世界が実在する──簡単に言えば、宇宙が枝分かれしていくということ。
いわゆる平行世界。
「シュレディンガーの猫」を例にあげるなら、コペンハーゲン解釈では、観測者が観測するまで(観測者にとっては)猫は「死んでいる状態 」と「生きている状態」とが重ね合わさっており、観測した段階でどちらかに定められる。
逆に、多世界解釈では、観測した段階で「猫が生きている世界」と「猫が死んでいる世界」とに分岐してしてしまう。
ただし観測者には、自身の所属しない「分岐したもう一方の世界」は知覚できない。
なお、この解釈で述べているのは、あくまで『概念』であって、「実際に多世界がある」という理論ではない。
多層世界仮説:Multileyer World hypothesis
われわれの住む(意識する)現実世界の次元の超えたところに、さらに上位の世界があり、その上にもさらに……という考えから。
逆に、われわれの世界の下層にも、無限に世界が連なっている。
仏教用語で言うところの『三千大千世界』に近い。
通称:MW仮説。
タナトス:Thanatos
1)ギリシア神話の死の神。
2)心理学用語で死への本能、衝動。エロスの対立概念。
3)ネット上の英雄《He》の存在意義にしてトラウマ。
ダブル:double
英語で“二重”あるいは“二倍”であること。
1)演劇において、一人二役であること。
2)映画において、役者の身代わりとなるスタントマンのこと。代役。
3)二重スパイ。
4)生き写しな人。生き霊。ドッペルゲンガー。
5)双子。双生児は互いに、相手が自分のダブルである。
タロットカード:Tarot
大アルカナ22枚、小アルカナ56枚からなる、計78枚のカード・セット。
もともとは、14世紀イタリアで流行したタロック(tarocco)というゲームをプレイするために使用されていた。
現在では占い用のカードとして知られており、アルカナ(Arcna)とはラテン語で『秘密・神秘』を意味する。
各カードにはそれぞれ意味があり、逆位置に置かれると意味が弱まったり逆転したりする。
大アルカナは、I~XXIまでの21枚と、愚者と呼ばれる無番号のカードで構成されている。
一般的に『タロット占い』というと、この大アルカナを用いた『ケルト十字法』や『ヘキサグラム法』などが有名。
小アルカナは、四大元素の象徴である権・金貨・聖杯・混紡の4つのスートから成り、それぞれ10枚の数札と、4枚のコートカード(絵札: キング、クイーン、ナイト、ページ)がある。
小アルカナのナイトとペイジを合わせてジャックとした52枚に、大アルカナの愚者を加えた53枚が現在のトランプの原型となっている。
タンムーズ:Tammuz
バビロニア神話の穀物神。
豊穣の女神イシュタルの配偶神でもある。名は『誠実な息子』の意。
シュメールではドゥムジと呼ばれた。
ギリシア神話には美少年アドニスとして取り入れられた。
Keyword:チ
チェシャー猫
ルイス・キャロルの小説『不思議の国のアリス』に登場する奇妙な猫。
いつも笑い顔で、自分の姿を消すことができる。
アリスト少し会話を交わしたあと、突然姿を消したり表したりしたので『そんなにひょっくり姿を出したり消したりしないで』とアリスが頼んだ 。
するとしっぽの先からゆっくりと姿を消し、最後には『笑い声だけ』が残り、『猫のいない猫笑い』という状態になった。
父と娘の再開
篠塚博士のいるフランシスコでは、15日20次11分──午後8時11分。
真佑実のいる日本では、05月16日13時11分──午後1時11分の出来事。
なお、アイゼーア少年のいるニューヨークでは、西暦2022年05月15日23時11分──午後11時11分である。
窒素ガス:nitrogen
無味無臭の気体。待機の成分の多くを占める。
生物のたんぱく質の主成分。燃焼活動に関与しないため、閉鎖された空間に対する消化物質として使用される。
ただしその噴射には、生物が居ないことが前提となる。
万が一生物が居た場合、文字通り“窒息”して死に至る。
チャット:Chat
原義は『おしゃべり』。コンピュータ用語では、相互にリアルタイムに文章を送り合うシステムだった。
のちに実際にしゃべる音声を送る(つまり電話のような)ボイスチャットになり、さらに相互にビデオカメラで二次元映像まで送る(テレビ 電話のような)ビデオチャットに発展した。
チューリング:Turing
1)イギリスのアラン・チューリングのこと。
2)チューリングテスト。アラン・チューリングが考案したAIテストの事。相手が誰かわからない状態で何人もがAIと何度も会話を試み、常 に相手がAIを人間と思えば、そのAIは真に知性を備えている(自立的に考えている)と認識できるという概念。
3)チューリングマシン。無限の計算能力をもつとされる。仮想の機械。
超自我:Superego
ドイツ語ではウーバーイッヒ。
ユングの考えた心理学用語。トラウマや本能など、自分自身の意思を上回る強制力で、その人の感情や行動を規制するもの。
潮汐力:Tidal force
地表の物体は、月に面した側では地球の自転による遠心力よりも引力が大きくなるので、月に引き寄せられる。
反対側ではじてんによる遠心力が強くはたらくので、逆に月から離れようとする。
したがって、その両極で満潮が、そこから90°離れた最も引力と遠心力の差が少ない場所で干潮が起こる。
太陽の引力による影響を太陽潮、月によるものを大陰潮と言う。
質量の大きい太陽のほうが引力自体は大きいものの距離があるため、地球には大陰潮とのほうが、より強くはたらく。
Keyword:ツ
月:moon
地球唯一の固有衛星。
他の惑星の衛星も“月”と称することがある。
例:『フォボスとダイモスは火星の月である』
変化するもの(不安定なもの)の象徴として、不変の象徴(両極の象徴)。
月と語源を同じくする言葉に『付き』『憑き』がある。
月旅行:lunar excursion
宇宙飛行士と一部の階級のみの特権。
Keyword:テ
ディアボロス:diabolos
原義はイタリア語の“非難する”。転じて悪魔(devil)。
ガルウィングのスーパースポーツカー。
DMZ
非武装地帯(DeMilitarized Zone)。
本来は戦争の休戦区、中立区をさしていた。
ネット上では、ファイヤーウォールに守られていないコンピュータ群を指す。
完全なセキュリティはあらゆる情報を通さない。
しかしそれでは、自由な情報のやり取りができない。
したがって、セキュリティ上問題ない(とされる)ローカル・ネットワークでは、互いにDMZ状態になっていることが多い。
また同一のファイヤーウォール内のネットワークは、DMZにならざるを得ない。
ハッカーやクラッカーは、本来セキュリティが厳し相手でも、DMZ化して攻略することがある。
なお《バビロン》では、ゲート前のエリアが非武装地帯となっており、通常ならPKはもちろんNPC(敵キャラ)からも攻撃されない。
DW
このDとWの由来が《ドロー/DlroW》からきているというのはご想像のとおり。
余談だが、Dはアルファベットの第4文字(A、B、C、D……)、Wはアルファベットの第23文字(……W、X、Y、Z)。
実は、DとWはそれぞれ(最初もしくは最後から数えて)4番目の文字なのである。
これも一種の鏡像の関係といえるのかもしれない。
DDoSアタック:ディードスアタック
分散サービス妨害アタック(Distribute Denial Of Sevice Attack)。
DoSアタックの一種。多数の第三者のマシンにゾンビを仕掛けて踏み台にし、そこから一気にターゲットに攻撃をかける。
DNA情報はメディアにコピーできる
ヒトゲノムプロジェクトにより、30億個あるDNA塩基配列はすべて解明された。
DNA塩基がAGCTの4種類あることは広く知られているとおりだが、これはつまり、1塩基あたり2ビットの情報をもってりうということだ。
したがって、デジタル情報では全部で60億ビットとなり、バイト(1バイトは8ビット)単位で表すと約7.5億バイトの情報量となる。
およそ715MB。
CD1枚の記憶容量は700MBであるから、そこまでは少々無理でも、DVD(4.5GB)以上のメディアなら楽々収まってしまうのだ。
ディーモン:deamon
ギリシア語ほんrないの意味では、“神霊”や“運命”のこと。
ユダヤ/キリスト教の文脈では、これが“悪霊”へと意味が変質する。
ネット用語では、サーバ上で動いているアプリケーションのこと。
通常はある条件が出るまで眠っており、フラグが立つと同時に起動して、裏で対応に当たる自立型ソフトウェア。
デーモン(demon)とも。
データセンター
正しくはインターネット・データ・センター(internet data center)。
略してIDC。
顧客のサーバを預かり、インターネットへの接続回線や保守・運用サービスなどを提供する施設。
災害や犯罪に備えて、空調、耐震性、耐火性、高度なセキュリティなどを備えている。
デコイ:Decoy
原義はオランダ語で『カモの籠』。
本来はカモをおびき寄せる池、またはオトリ役の飼い慣らされたカモや、その模型などの罠を指した。
転じて『オトリ』や『誘惑するもの』の意味となる。
軍事用語では、敵をおびき寄せたり、その狙いを誤らせたりするために使うオトリ。
デザイナーズドラッグ:designer's drug
既存の薬物の化学構造を人為的に改変した、新しい薬物。
民間では、単独では作用のない(または弱い)物質を混ぜ合わせ、総合的に目的の作用(幻覚など)を起こすよう調整したもの。
医学的には、既存薬の副作用を解消するためにおこなわれる方法。
デストルド:Destrudo
ドイツ語。
1)心理学における『死への本能』のこと。自己破壊衝動。極限にまで高まると、自殺という結果が待っている。生命体にとって、種族保存 本能は自己保存本能より上位にあり、種族保存ができそうにもなく、また種族繁栄に寄与していないと深く感じると、自己抹殺命令がく だるわけである。
2)経口デザイナーズドラッグの名称。脳の奥底にあるタナトス(死への衝動)を刺激することで、快感を与える。この作用が、サイバーウ ェアの副作用の抑制に効果があるとされる。摂取しすぎると、自己破壊欲求が急激に高まり、やがては自殺へ繋がる。
デフラグ:defragmentation
正確には、デフラグメンテーション。断片化(フラグメンテーション)したコンピュータ内のメモリを、正しい形で連続させなおすこと。
イメージ的には、バラバラになったジグソーパズルのピースを、正しく組み直すことに近い。
デフラグがうまくいくと、コンピュータのパフォーマンスは回復する。
余談だが、プレイヤーの目的も、断片化された情報をデフラグして真相を解き明かすこと、となるわけである。
テロ:terrorism
テロリズム。原義は“恐怖主義”。
恐怖を植え付けることによって、相手を支配しようとする思想、行動、政治。
第二次世界大戦以降、戦争のテロ化が進み、またテロが戦争を引き起こすようになった。
テロリスト:terrorisut
テロの実行者。
伝説のハッカー
その名前は、2032年を遡ること10年前──2022年頃から発生。
超越的能力を誇るスーパーハッカー。
本名どころか、あらゆるプロフィールが不明の謎の人物。
ゆえに、『彼(He)』と呼ばれている。
コンピュータ、ないしはネットワーク関連のことで《彼》にできないことは存在しない、とまで言われている。
2032年現在、あらゆるものがネットにつながっているこの世界においては、まさに神そのものといえるのかもしれない。
彼が起こしたという『奇跡』のエピsーオードは数知れない。
例えば、絶対に進入不可とされる軍部のサーバに侵入し、機密データを盗み出したとか(これによって戦争が未然に防がれたとかも)。
例えば、ある犯罪組織の所持していたネットワークシステムを次々とクラッシュさせ、壊滅的な被害を与えたのだとか。
そんな荒唐無稽な話の中には、1990年01月15日に米国で発生した大規模な電話回線システムのクラッシュは彼の仕業だ、というものま である始末。
また、全世界の人々はいつも、カメラや軌道衛生……ネットに繋がれたあらゆる視覚装置を通じてHeに見守られているそうだ。
だからこそ窮地を察してすぐに駆けつけてくれるのだ、と。
このように、さまざまな形で神格化されている人物だが、あまりに神出鬼没で、その痕跡をまったく残さないため、実在すらも疑われてい る。
つまりは、あくまで都市伝説の中の人物だった。
電脳:biocomputer 正しくは生体電脳。
1)脳生理物理学者ジョン・C・リリーなどが提唱した、頭脳をコンピュータとしてあつかう理論。脳を外部からプログラムする方法が考案さ れていた。
2)人間の頭脳にマイクロ・コンピュータを外科的に埋め込んで互いに結線し、頭脳とコンピュータのあいだで、情報をインプット/アウトプ ット出来る様にしたもの。
無線/有線リンクで、外部の情報ネットワークとも接続できる。インプットではネットの情報を、視神経や聴神経に、直接送り込む。
アウトプットは脳の言語野につながれており、思考しるだけで、ネットを経由した相手にメッセージが伝わる。
電脳化手術の難易度は高いが、決して不可能ではない。
ただし日本では認可されておらず、闇医者や海外でおこなう必要があり、莫大な費用がかかる。
拒絶反応や、精神に異常をきたすなどで、最悪の場合は死に至るため、それらの副作用を薬物などで緩和する必要がある。
Keyword:ト
特異点:singularity
一般相対性理論を始めとする、あらゆる物理法則が適用不能な部分のこと。その総称。
あるいは、曲線や曲面上において、その点の接戦や接平面が存在しなかったり、ふたつ以上あったりする部分。
例えば、南極と北極の易怒は90度である。
だが経度は、すべての経度線が極に集まるので定義できない。
また、宇宙論における特異点とは、ブラックホールに落ち込んだ物質が最後に辿り着く、密度が無限大の点である。
その様子は現在の物理学では知ることができない。
物理学者スティーヴン・ホーキングによれば、虚時間(その時間同士をかけるとマイナスになる時間)という概念の存在を仮定するならば 、宇宙の特異点を具体的に説明可能なのだという。
DoSアタック:ドスアタック
サービス妨害アタック(Denial Of Severvice Attack)。
1つのサーバに一気に大量のデータを送ることによって、その機能を停止させてしまう不正な攻撃。
アタックでなくても、災害時などで一度に多くのアクセスが一箇所に集中したとき、事故として同じ現象が起きる。
→DDoSアタック
ドッペルゲンガー:Doppelganger
原義はドイツ語で“二重に出歩くもの”。英語ではダブルとも。
同一人物が二箇所に同時存在する現象。
神や聖者の伝説では、同時存在(分身)はその神性の証であった。
自分のドッペルゲンガーを見る“自己像幻視”は、魂が抜け出ているため、近く死が訪れる前触れだという俗説がある。
実際には、脳内にある身体地図を参照する部分が、機能不全を起こしている。
ネット上では、特定の人物のデータが何らかの原因でゴースト化してさまよっているとき、その人物がネット上にログインする、ドッペルゲ ンガーまたは“二重ログイン”としてシステムにエラーが起きる。
そうしたエラーではなく、みずから複数の分身を使いこなすユーザもいる。
トランスミッター:trasnsmitter
送信機。通信・放送などの信号を、外部にある受信機に送り出す装置。
トリプルエー
かつてゲームセンターの全盛時に囁かれた、超テク・ゲーマーの伝説。
『トリプルエー』は日本中、どこのゲームセンターにでも神出鬼没に現れ、ハイスコアを叩き出しては去っていくという。
ただし実際には、多くのプレイヤーがハイスコアの名前を記入する際、めんどくさがって決定ボタンを連打すると『AAA』となるからに過ぎ なかった。
トロイの木馬:Trojan horse
1)トロイ戦争のとき、難攻不落のトルコの要塞都市トロイを落とす際、ギリシア勢が使った作戦。ギリシア勢は降伏すると見せかけて、海神ポセイドンに捧げる巨大な木馬をトロイに送った。
神聖なる供物を粗末にすることもできず、勝利に沸き立ったトロイは、それを城内に入れてしまう。
しかし木馬の中にはたくさんのギリシア兵が隠れており、内外の呼応する攻撃によってトロイは攻略されてしまった。
2)古典的なアタック法。単にトロージャンとも。
パスワードを要求するシステムに『パスワードが間違っています』というメッセージをしかけ、ユーザの打ち直しを要求し、その前後にパスワードを奪取する。その発展型として、他人のシステムを乗っ取ってしまうソフトウェアのこともさす。
ドロー:DlroW
《バビロン》上のシャドウたる妖精レムに、ひたすら思慕を寄せるユーザたちの非公認ブループ。
Keyword:ナ
目次
ナ
ナノオラクル
ナブー
ニ
二元論
ニンギルス
ヌ
ヌル
ネ
ネットワーク
ネルガル
ノ
脳内快楽物質
脳内地図
ノード
Keyword:ナ
ナノオラクル:Nano oracle
サイバーウェアの人体不適合による副作用を緩和するために《エクサーク》社によって開発された医薬品。
製品名は『微小な信託』という意味。最近はやりのデザイナーズドラッグ《デストルド/リビド》と成分的に似通った部分がある、という指摘 がある。
ナブー:Nabu
彗星を司るバビロニアの書記神。知恵と文字と魔術の神。
主神マルドゥークの子。
信仰の中心地はバビロン近郊の姉妹都市ボルシッパ。
カルデア人による占星術国家の新バビロニアでは、創始者を始め偉大なる3人の王がナブーから名をもらったため、厚く信仰され、父を 超える権威を得た。
Keyword:ニ
二元論
万物は、究極的には二つの物から成り立つという考えかた。
この二つの根本原理によって、実存(実際に存在するということ)を証明する方法。
通常それは精神と物体とされるが、魂と肉体、神性と人性、善と悪、陰と陽などとされることもある。
コンピュータは0と1の(二進数)、人間は遺伝子とミームの二元論によって成立している。
ニンギルス:Ningirsu
都市国家ラガシュで崇拝されたシュメールの戦神。
ティグリス河を支配下に置く、漑灌漑農法の神でもあった。
バビロニア神話ではニヌルタと同一視されている。
その姿はしばしば有翼の人間で表される。その聖獣は毒蛇ムシュフシュ。
ヌ
ヌル:null
ラテン語で“0”という意味。
ヌル・ポインタとは、演算の指定先(ポインタ)が存在しないことを意味し、しばしばプログラム暴走の原因となる。
しかし、暴走したからといってマシンを殴ってはいけません。
Keyword:ネ
ネットワーク:network
都市部では、ハイブリッド光ファイバによる高速かつ超大容量転送(10TBPS)の可能な通信インフラが、ほぼ完全に整備されている。
人の集まる場所には当たり前のように無線LANアクセスポイントが配置され、かつての公衆電話のように、光ファイバのジャック(公衆ジ ャック)が設置されている。
電気・水道・電話といった公共設備や、家屋やビルや街のセキュリティ、防災システム、医療システム、交通システム、家電の制御、顧 客の管理、生徒の管理、市民の管理など、すべてがネットに繋げられ、コンピュータ管理されている。
人々はもはや、コンピュータを操作するという意識を強く持たず、自然に利用するに至っている。
携帯電話もまた、簡易のアクセス端末と化している。
キャッシュを用いることは少なく、ほとんどは電子マネーで決済される。
ネルガル:Nergal
火星を司るバビロニアの牧畜・農耕神、のちに冥界と疫病のの神の名前。
Keyword:ノ
脳内快楽物質
ドーパミンやエンドルフィンなど。
脳内物質とも呼ばれるが、麻薬よりは分解が早い。
スポーツをしたあとの爽快感や、芸術に対する感動など、人間が自然に快感を味わうときに分泌されるホルモンまたは神経伝達物質の こと。
鎮痛・鎮静効果があり、人々はこれによって安堵する。
ひとつの作業に対し夢中になる度合いが高いほど分泌量も増え、人はこの『安堵感』を求めて、同じ作業に没頭するようになる。
脳内地図
人間の脳は、世界をポリゴンのような3次元構造物として、感知/記憶していない。
さまざまな地図として記憶している。
身の回りのことは『世界地図』、自分の体のことは『身体地図』などという具合。
たとえば事故で腕を失っても、身体地図が書き換えられていないと、古い地図を参照して、失った腕を感じる幻肢(phantom limb)という 現象が起きる。
また乖離の起き方によっては、自分の身体地図を外部から見ることになり、結果としてドッペルゲンガーを見ることになる。
ノード:node
結節点。
インターネットに接続されている端末や機器。
ネットワークを中継するもの全般。
コンピュータや、コンピュータおよび周辺機器を接続するハブ(hub 集線装置)のこと。
Keyword:ハ
目次
ハ
バーサーク
バイオタイド
バイオメトリクス認証
バグ
バタフライ効果
ハッカー
ハッキング
バックドア
バックファイア
パッチ
バビロン
パン
ハンドル
ヒ
He
PK
BBS
ビデオチャット
100匹目の猿
ピン
ピンガー
フ
ファイアーウォール
フィンガープリンティング
フェアリー
フォークト=カンプフ
二叉河
ふたりの死神
物理における対称性
踏み台
ブラウザ
フラウロス
フラグメンテーション
ブラクラ
ブラックハット
ブルートフォース
不老不死
ブログ
プロクシ
ヘ
ヘテロクロミア
ホ
母胎
ほぼ独占
ホログラム
ホログラムチャット
ホログラムで投影された
ホワイトハット
ポン
Keyword:ハ
バーサーク:Berserk
1)北欧神話の狂戦士ベルセルクの英語読み。口から泡を吹き、獣のように噛みつき、敵味方区別なく攻撃を仕掛ける。
毛皮のマントだけの裸でも、炎や鋼鉄によって、傷つけることはできないとされた。
ただしこれは戦闘時に激情にかられた場合であり、この状態が過ぎると、逆に脆弱になる。
2)デザイナーズドラッグ《リビド》の別名。
バイオタイド:biological tide
生物学的な潮汐。生体潮汐。
アーノルド.L.リーバー医学博士によって提唱された、天体の引力が人間にも影響を与えているという理論。
海水が退いたり満ちたりするように、人体の約80%を構成する水もまた、同様に影響される。
天体からの月の引力が最大になるのは(大潮)、月と太陽が同じ方向になる満月・新月だた、実際暴力的な犯罪が増す、妊婦の出産が 増えるなど、統計的に有意な結果が出ている。
これは『月夜に変身する狼男』伝説の、ひとつの根拠ともなっている。
月食(満月時にのみ起きる)・日蝕(新月時にのみ起きる)では完全に月と太陽が並ぶので、効果は最大値になる。
逆に太陽と月の位置が直角となり、引力が最小となる(小潮)半月前後では、うっかりミスによる交通事故が増える。
それだけ緊張感が弱まるのである。
引力効果的には満月と新月では変わらないはずだが、意味論的に違いが生じるのは『天空で煌々と輝いている』か『まったく見えなくな る』かという、視覚による心理作用が大きい。
空が曇って実際に月が見えなくても、新月と満月では約15日の間隔があり、その過程で徐々に欠けたり満ちたりする月が見えているの で、われわれは“心の目”で、それが新月なのか満月なのか、満ちているのか欠けているのかを認識できる。
すべての生物がバイオタイドの影響を受けるわけではないのに、人間が比較的強く影響される背景には、進化の問題があるかもしれな い。
一般に人類はサバンナで進化したとされるが、海辺で進化したという『アクア説』がある。
水中出産すると、生まれてきたばかりの赤ん坊がしっかり泳ぐなど、『アクア説』を補強する材料も多い。
⇒体内時計
バイオメトリクス認証:biometrics recognition
指紋、掌紋、網膜紋、手の甲の血管、DNA、声紋、署名筆跡など、生体(および、その派生物)の一部を識別し、本人かどうか調べるシ ステム。
特定の場所を施錠/解錠する際のコードとなる。
⇒フィンガープリンティング
バイオメトリクス認証が発達したことにより、対象の人体の一部を切断して使用するなど、強盗の手口が残虐化すると指摘する有識者も 居る。
当局は、認証に使用された人体が生存しているかどうかの識別、読み取りの際に検出する方法を検討している。
バグ:bug
1)虫
2)虫食い、虫食い穴
3)虫食い穴が空いたように、プログラムに欠陥があること。バグのないプログラムはありえないが、ユーザにとってはそれでは困る。
よって、発売後に見つかったバグにはパッチ・ファイルなどを公開し、修正に当たるのが常道。
バタフライ効果:Butteflly effect
蝶のはばたきほどの変化で大きく結果が変わってしまうという、カオス理論を端的に述べたたとえのこと。
すなわち、風が吹けば桶屋が儲かる。
『リオデジャネイロで蝶が羽ばたくと、数週間後にテキサスで竜巻が起こる』等、さまざまなバリエーションがある。
ハッカー:hacker
本来はテクノロジー。特にコンピュータの天才を指す用語。
テクノロジーの限界を見極めることに至上の喜びを持つ。
したがって、難攻不落のネット・セキュリティを突破することは大好きだが、そのシステム自体を破壊することはない。
コンピュータ世界のあくなき冒険者であり、探求者。
思想的には“知的財産の解放論者”であり、たとえばコピーできる技術があるのに、企業の利益のためにそれをさせないのは、間違って いると考える。
一般では、ハッカーとクラッカーの区別がつかなくなっているが、ハッカー自身はクラッカーと同列視されることを極端に嫌がる(か、そう いう連中を相手にしない)。
実際ハッカーとクラッカーの違いは、悪用出来る技術を『使用するかしないか』、あるいは『正しい目的によって使い分けるか』などの、心 理的/道徳的な部分に由来し、能力に由来するものではない。
真のハッカーのメンタリティでは、自分のしていることを悪用するなど、考えつきもしない。
したがって、真のハッカーは居なくなって久しいとも言われる。
クラッカーは実利主義的で破壊的だが、ハッカーはそういうものを求めない。
ただただコンピュータの真実と可能性を追い求める。
ハッカーはしばしばウィザードすなわち“魔法使い”と称されるが、これはつまり白魔術と黒魔術の闘争/歴史観に一致する。
ハッキング:hacking
ハッカーが、コンピュータに関して新しい道を見つけること。
転じて、ワザ/超テクを仕掛けること。
バックドア:backdoor
1)裏口。秘密の手段。不法の。
2)ハッカーやクラッカーが、一度侵入に成功したサーバに仕掛ける専用侵入口。
2度目以降の侵入がスムーズになる。
ウイルスの中にも、侵入の際にバックドアを残すタイプがある。
対応としては、ソフトウェアやOSの再インストールが必要。
バックファイア:backfire
逆火、逆発。逆動。向かい日。
本来は車のエンジンなど内燃機関で、シリンダー内で爆発すべき炎が、それ以前の吸気部分などに逆流すること。
転じて中の銃身内暴発。またより一般的に、物事が裏目に出ることを意味する。
ネットワークの文脈で使われる場合、本来別の対象に向かって放つべき行動が、自分に対してダメージを伴う形で跳ね返されることを意 味している。
パッチ:Pach
1)修理や補強のための“つぎはぎ”または“つぎを当てる”。
2)バグ・不備・動作不良のあるソフトウェアに対して、応急修理的にそれを補填するようなプログラムを追加すること。
“パッチを当てる”と表現。
バビロン:Babylon
アッカド語のバブ・イルすなわち“神の門”から派生。
1)ユーフラテス川の東岸にあった、古代メソポタミアの都市バベルの形容詞形。またはそこから発展したバビロニア帝国。
2)栄華と腐敗に満ちた国のこと。
3)MMORPG(Massively Mutiplayer Online Role Playing Game)のひとつ。キャッチコピーは『リアルには存在しない。もうひとつのリアル』
プレイヤーは自作した自分の分身(シャドウ)を通して、住人となったり英雄となったりする。
他の多くのオンラインRPGがファンタジーやSF世界での冒険であるのに対し、バビロンは現実と瓜二つの世界を舞台としている。
異なるのは、スリルとサスペンス、逸楽と背徳に満ちた世界であるということ。
警察の能力を凌駕するほど、様々な犯罪がはびこり、自衛のため、住人には銃や刀の所持が許されるようになっている。
あまりにリアルで生々しく、それでいて暴力的なこのゲームは、マスコミから『より一層現実とゲームの区別がつかなくなり、犯罪を助長 する』と激しく非難された。
それによって逆にユーザの熱はあおられ、カルト的なほどに、グロテスクなまでに、異常な盛り上がりを見せた。
ある批評家は『《バビロン》は起きて見る夢である》』とさえ言った。
《バビロン》を創造し、管理する組織が《アヌンナキ》である。
パン:pan
全景または回転画をあらわすパノラマ(panorama)の短縮形。
撮影技法のひとつで、パノラマ効果を得るために、カメラ位置を一箇所に固定し、左右または上下に首振りさせること。
ハンドル:handle
英語。原意は“操る”。
1)自動車や単車の操縦桿。正確にはステアリング(Steering)。
2)ネット上で名乗る偽名。年齢や性別まで詐称する者も居る。
Keyword:ヒ
He
1)キリスト教の神(直接その名を言うのを、はばかられる存在)
2)閣下(His Excellency)。正確にはエイチイー。
3)高性能爆薬(High Explosive)。TNTなど。正確にはエイチイー。
4)三人称である『彼』という意から、転じて第三者。
5)ネット上に存在する都市伝説的な仮想英雄。
⇒伝説のハッカー
PK:ピーケー
1)Penalty Kick。ペナルティ・キック。サーーカーの反則のひとつで、キーパーと1対1でボールを蹴る権利を得る。
2)Psychokinesis。サイコキネシス。念動力。
3)Probability of kill。プロバビリティ・オヴ・キル。軍事用語で、破壊確率。
4)Player killer。プレイヤー・キラーの略。他プレイヤーの殺害を狙う行為。またはその人。
BBS
電子掲示板(Bulletin board system [service])。
インターネット上のホームページで、特定の話題について不特定多数のアクセス者が意見を書き込めるようにしたもの。
掲示板が本来の話題から遠くかけ離れたり、誹謗中傷が書き込まれる状態を『場が荒れる』と表現する。
ビデオチャット:bvideo chat
コンピュータ経由で、相互にビデオカメラで音声と音声と動画をリアルタイムで送りあい、テレビ電話のように会話ができるシステム。
初期のビデオチャットでは、自分自身の映像がそのまま流れたが、現在では映画やCGのモーションキャプチャーやモーフィングの技術 が応用され、自分の選んだ/描いたキャラクターが本人の動きに合わせて表情を出すこともできる。
または背景や音などの自動編集で、自分にとって不適切な情報を相手に流さないこともできる。
100匹目の猿:Hundredth monky phenomenon
この現象は、ライアル・ワトソン博士の著書で広く知れ渡る。
発表から数年後、この話は捏造であり、事実としてワトソンの言うような現象はなかった、というのが定説となった。
ところが2010年の実験で有意義な結果が出てから見直され始め、実際に起こりえるのだ、という考えが徐々に広まっていく。
2032年現在では、まったくの虚偽である、という説の方が異端になるまでに至った。
ひょっとして、これもまた『100匹目の猿』が発現した結果なのだろうか?
余談だが、最初にイモを海水で洗うことを発明したサルの天才は、観測者たちから『イモ/ImO』という名で呼ばれていたそうだ。
ピン:ping
本来は、玉/弾が剛体に当たったときの擬音。
1)潜水艦のアクティヴ・ソナーを発振すること。『ピンを打つ』とも言う。
2)ネットワーク上では、リンク先に仮想されるシステムに対して、それが存在するかどうか確かめるために信号を送ることを『ピンを打つ』 と言う。ピンを打った先に有効なシステムがあった場合、反応(ポン)が返ってくる。
つまりピンを打つとは『きみはそこにいるのか? ぼくはここにいる』という、互いの存在確認である。
反応が返ってこない場合、状況によって相手のシステムが『死んでる』『落ちてる』『ファイヤーウォールに呑み込まれた』などと表現する 。
ポンの返りが遅いときは、相手のシステムが『重い』『腐ってる』などと言う。
ハッカーたちは『ピン打っても、返事はナシだしぃ』などのように、これを日常用語として応用して使う。
このピンを短時間に無限に打ち込み、相手のシステムをダウンさせてしまうのがDoSアタック、DDoSアタックの代表的な方法。
ピンガー:pinger
1)アクティヴ・ソナーにおける“音響発信装置”のこと。
2)ピンを打つソフトウェア。
Keyword:フ
ファイアーウォール:firewall
原義は“防火壁”。転じて“火炎の壁”。
ネット上では、ネットにつながった個々のコンピュータを守る、セキュリティ上の壁。
何を通すか通さないか決めるフィルターである。
サーバや、ネットワークを分割管理するルータで構成される。
フィンガープリンティング
1)指紋採取。犯罪捜査などにも使用される基本的なバイオメトリクス認証法。
2)事前ハッキングで、相手のシステム情報を探る(サーチ)行為の代表。そのシステム特有の反応を見分けて、マシンやソフトウェアの 機種ややヴァージョンを探る。それらが特定できれば、アタックに有用な情報となる。
フェアリー:fairy
語源的には、ラテン語の“運命:fata”の形容詞系に由来する。
1)妖精、または妖精の国。
2)現実世界に近いオンラインRPG《バビロン》において、低確率で発生するとされている妖精型シャドウ。開発の初期の段階から、その 目撃例は後を絶たない。発生条件は公開されていない。現在、レムという個体が確認されている。
フォークト=カンプフ:Voight-kampff
対象となる相手が生身の人間か、プログラムされた人間か、プログラムされた擬似人格かを鑑定する検査に使用する検査器具、また は検査そのもの。VKテストとも。
モニタに被験者の瞳孔が映し出され、相手の感情を刺激する言葉を与えて、その反応を見る。
擬似人格は感情の反応速度が人間のそれとはコンマ何秒かの遅れが生じる。
二叉河:ふたまたがわ
この世とあの夜が分岐する黄泉の世界に続くという伝説がある、武蔵野の河。近くに同名の高等学校がある。
ふたりの死神
元《アヌンナキ》の死神ふたりのことであり、二丁の獲物のことでもある。
物理における対称性
物質と反対の存在として、反物質(antimatter)が存在する。
核と電子の反粒子、すなわち反核と陽電子とで構成される。
このふたつの物質は正反対の性質であり、ともに発生し、ともに消える(対発生・対消滅)。
時間を軸に考えると、物質と逆の時間が流れているのが反物質ということになり、時間の面でも対称性が保たれている。
踏み台:ふみだい
ハッカーやクラッカーが、時分の身元を隠すために経由する、第三者のシステム。
そういう意味では被害者であるが、アタックされたターゲットには加害者に見える。
踏み台をいくつも経由すると身元はばれにくくなる反面、反応速度が鈍る。
ブラウザ:Browser
ブラウズの語源は『新芽・つぼみ』にあり、元来は『家畜や鹿などが新芽を食べる』という意味。
それが拾い読み/立ち読みやウィンドウショッピングの意味に転用された。
ネットワークの文脈では、ネットに落ちているさまざまなコンテンツを、観て歩くこと。
ブラウザはブラウズの人称名刺で、ネットワークのコンテンツを一定の規格にしたがって、表示(主に視覚で)してくれる基本的で無くては ならないソフトウェアのこと。
フラウロス:Flauros
女性の意。
ソロモン王72柱の魔神のひとつ。
予言を好むが大変な嘘つき。幻影の炎を操り、悪霊を使役する。
豹公の異名の通りのまま姿。
ときに燃え盛る目をした男だが、正体は名の意味と猫の属性が占めすように女性。
対になるアンドラスとの関連から、北欧神話の美の女神フレイヤと考えられる。
フラグメンテーション:fragmentation
断片化。フラグメンテーションとは、コンピュータの記憶領域(ハードディスクなど)で、本来連続して記録されているべき情報が“断片化” されて分散記録され(て、そのあいだがリンクされ)ている状況。
フラグメンテーションが進むとリンク部分で誤動作が起きるなどして、コンピュータのパフォーマンスが落ち、ひどい場合はシステム・ダウ ンして機能しなくなる。
ブラクラ:Browser Crasher
ブラウザ・クラッシャー。
誤情報を送ったり過負荷をかけたりして、ブラウザを破壊/誤動作させ、ネット内(やユーザのコンピュータ内)の情報を正しく読み取れな くしてしまうスパム行為をする人物、またはそのソフトウェア。
場合によっては、ブラウザからユーザのコンピュータにまで侵入して、破壊の度合いを広げるものもある。
ブラックハット:black hat
黒い帽子。
1)西部劇の悪漢のこと。
2)ネット上ではクラッカーのこと。
ブルートフォース:blute force
力づく。通常、手当たり次第にパスワードを当てはめて、手数で攻略するアタック方法。
相手が類推可能、あるいは単純なパスワードを使用していた場合、非常に有効な戦術となる。
多少複雑なパスワードの場合、時間がかかり、ハッキングを感知されやすくなるのが難点。
不老不死:immortality
古来、王者は時分の栄華が永遠に続くことを願って、不老不死の秘策を探し求めた。
エジプトのミイラ、オリエントから西方社会における錬金術、中国の錬丹術など、その事例は枚挙に暇がない。
世界最古の叙事詩と言われる『ギルガメシュ叙事詩』にも不老不死の概念は出てくる。
親友エンキドゥを失った、都市国家ウルクの王にして英雄ギルガメシュは、不死を探す旅に出るが、あわやというところで手に入れそこ なう。
神々から選ばれたもののみが、それを手に入れられるのだという。
現代では『コンピュータ上にデータとして構築した人格は、不老不死を得たことになるのだろうか』という議論があるが、まだ結論は出て いない。
ブログ:(we)blog
インターネット上で発表される日記。ウェブログとも。
プロクシ:proxy
プロクシ、串、2694、264、とも。
「代理」としてネット接続を行うコンピュータ(サーバ)。
または、そういった機能のソフトウェア。
本来の役割は、ネットワークのトラフィック(通信量)を軽減するために考案されたシステム。
アクセスされたデータを内部に蓄積し、次回同じくデータが呼び出された場合に、元のデータではなくプロクシ内に蓄えられたデータをアクセスさせ、局所的に回線が混み合わないようにすることで通信速度の向上を図る。
ただし、現在では、プロクシを使って匿名アクセスできる点が最も有名になっている。
アクセスする際にプロクシを中継することで、自分自身の情報(IPアドレスなど)を渡す代わりにプロクシの情報を渡す。
つまり、偽装を行うわけだ。
一般的にネットの世界においては、こうやって身を隠すことは悪いことではないと考えられている。
得体の知れないサイト(主にアングラ系)にアクセスするのに、すべてをさらけ出す必要はないということ。
これは一種の自衛でもある。
プロクシから別のプロクシへ、さらに別の……というように、何段階も違うプロクシを経由することで、さらに匿名性を高めることもできる。
ただし誤解してはいけないのだが、プロクシを使っても完璧な匿名化は不可能である。
技術のある人間が追跡することにより、いずれ元のIPに辿り着くことは可能。
また、プロクシを経由するとアクセスが遅くなったり、プロクシ制限されているBBSに書き込めない等のデメリットもないわけではない。
意味もなく何重にもプロクシを経由すれば、プロクシサーバが落ちたり、逆にトラフィックの増大に繋がる結果になるので、状況に応じて 使い分けるのが賢い使い方だと言える。
最後に余談だが、ネット上のスラングではプロクシを経由することを、「串を刺す」「串をカマす」などと言う。
また、匿名性のない(馬鹿正直に元のIPを吐き出す)プロクシを「漏れ串」、何重にもプロクシを経由することを「多段串」などと言ったりす る。
Keyword:ヘ
ヘテロクロミア:heterochromie
ドイツ語。原義は“不動着色の”
一般に、左右の瞳の色が違うことを指す。オッドアイ(odd eyes 異なった双眸)とも言う。
猫などでは、色の薄い側の目が見えない、耳が聞こえないなど、障害がある場合もある。
Keyword:ホ
母胎:ぼたい
1)母親のからだのなか。
2)発展したりわかれ出たりしたものの、もとになるもの。
ほぼ独占
ここ数年《エクサーク》は、独占金法に則って、米司法省との熾烈な法廷論争を繰り広げているが、事態は泥沼化しており、未だに決着 の目処は立っていない。
ホログラム:Hologram
原義は“完全な記録”。
立体写真や三次元映像。
レーザによるふたつの光を、別角度から物体に投影し、その位置や状態の情報をフィルムなどに記録したもののこと。
この技術自体ははホログラフィ(holography)と呼ぶ。
身近なところでは、偽造防止のため、紙幣やクレジットカードなどに使われている。
⇒ホログラムチャット
ホログラムチャット:hologram chat
ビデオチャットの上位技術。ネットワークを通じて、互いのスペースに互いの立体映像を映し出しながら会話。
通常は自分の姿をリアルタイムにスキャンするだけだが、むろん優秀なプログラマはコードを改良し、実像の上に虚像をテクスチャマッ ピングすることができる。
現在このシステムは、ごく一部の裕福な家庭か、高い技術をもつハッカーが自作して利用している。
ホログラムチャットが一般化すると、誰かと直接会う必要性は激減すると言われている。
近い将来、実際の肉体をともなったフィジカルな行為は“贅沢”となるだろう。
ホログラムで投影された
エクエスのホログラムは、イシュタルの持っていたロザリオから投影されていた。
ホワイトハット:white hat
白い帽子。
1)保安官など西部劇の善玉のこと。
2)海軍では、下士官をさす。
3)ネット上では、クラッカーやウイルスを駆逐するハッカーのこと。
⇒ブラックハット
ポン:pong
1)玉が跳ね返るときの擬音。
2)ピンを打ったときに返ってくる反応のこと。
Keyword:マ
目次
マ
マルドゥーク
ミ
ミーム
見えないネットワーク
三日月
ム
ムーンエイジ
ムーンフェイズ機能
無線ネットワーク
モ
もんじゃ焼き
Keyword:マ
マルドゥーク:Marduk
1)バビロニアの英雄神にして、後の主神。海水よりの竜ティアマットを打ち破ったことで知られる。
2)オンラインRPG《バビロン》の中央サーバの名前。
Keyword:ミ
ミーム:meme
生物の設計図であるジーン(gene 遺伝子)になぞらえて、生物学者のリチャード・ドーキンスが考えだした概念。模倣子と訳されることも ある。
模倣子は“記憶”を通じて行き交い複製される情報で、主に人間の脳、書物、コンピュータのメモリなどに存在する。そしてすべての情報 は、存在を続け、複製されることを至上目的とする。
人間の悲劇は、模倣子を入れるメインの器である大脳が肥大化したことにより、大脳を制御する模倣子と、肉体およびより低次元の脳 を制御する遺伝子が、互いに矛盾する命令を出すという対立構造によって形成されている。
たとえばセックスは遺伝子によって支配されるが、ハッキングは模倣子によって支配される。
見えないネットワーク:Invisible network
電波も目には見えないが、一般的には心理学的・超心理学的なつながりをさす。ユングは、一定の社会集団や、人類をすべてに共通す る『集合的無意識の海』という概念を提唱したが、見えないネットワークは、その海のなかに形成されている。
シンクロニシティ(何の関係もない地球上の全くかけ離れた場所にいる二人が、同時に微分積分を考えつくなど)、100匹目の猿などの現 象は、このネットワークを通じて広がっている。タロットや水晶玉占いが的中する場合、このネットッワークが使用されている。
かく言うスタッフもまた、この作品の開発にあたって、さまざまな部分で見えないネットワークをひしひしと感じた。
三日月
鎌のような三日月(または二十六日夜月)は、古今東西、月の紋章として使用されてきた。
したがって月の神々は、頭上に三日月形の角を生やすことが多い。これが牛の角に似ていることから、牛は月の神獣となった。
またオリエントの月の信徒は、湾曲した偃月刀(Scimitar)を聖なる武器とした。
偃月とは半月に満たない(三日月を含んだ)月齢の状態をさしている。
内惑星である金星や水星も満ち欠けすることから、月を含めた三天体の神々は、しばしば混同されることがあった。
金星は三日月の形状をしたときが最も明るく-4.4等星
であり、水星のマークは、金星に上向きの三日月を重ねたものである。
Keyword:ム
ムーンエイジ:moon's age
アルファ社のヘヴィーデューティ使用な多機能腕時計。
深海や真空など、気圧が異なる環境でもタフに正確に時を刻む。
遙かなる天空と、深淵なる海底。
両極の聖域(地獄?)で求められる、至高のアイテムといえよう。
ムーンズエイジ(moon's age)とは月齢を意味しており、その名の通り月齢表示機能が特徴。
ムーンフェイズ機能:Moonphase
月齢表示機構。
時計の上で月の満ち欠けをグラフィカルに表示する機能。
月の満ち欠け周期である29.5日で半回転する円盤に描かれた月を、一部隠す形で表している。
無線ネットワーク:Wireless network
無線網。
信号の搬送に、赤外線や電波などを使用したネットワーク。
有線通信の10TBPS以上の転送速度に比べ、赤外線で数Gbps程度、電波で100Gbps程度であるが、ケーブルをつなげなくてもいいので 、手軽に移動できるのが魅力。
Keyword:モ
もんじゃ焼き
東京名物。好みでさまざまな具を入れられる。
お好み焼きに似ているが、決して最後まで固まらず、半液状/半固形で食すスナック。
主に若い女性に人気。
Keyword:ヤ
目次
ヤ
ユ
唯脳論
ユーミン
ユビキタス・コンピューティング
ヨ
宵の明星
ヨーガ
4つの力
Keyword:ヤ
Keyword:ユ
唯脳論:ゆいのうろん
唯脳論(ゆいのうろん)は解剖学者の養老孟司が提唱した。
意識は、脳が脳自身を知るために、脳内で互いに情報を入出力することによって生まれたものとする。
人間の言動や社会は、脳によって生まれたものであり、人工的な仮想空間を形成することによって、外部をも脳化していく。
これは魂と肉体が別個に存在し得ないことを意味し、実存主義や二元論に対して、大いなる疑問を投げかけている。
ユーミン
1)遊眠、幽眠、悠眠、憂眠。さまざまな眠りの状態。
2)ユミという名前の人物に対する愛称。
シンガーソングライターのことではない。
ユビキタス・コンピューティング:Ubiquitous Computing
どこでもコンピュータ。
生物が機械に近づく“サイバー”と、逆の概念。
人間がかかわる、あらゆる人工物にコンピュータが内蔵され、そのコンピュータ群が、人間や生物の潜在的な欲求まで探知し、歩み寄り 、サポートする。
究極の形態では、人間はコンピュータの介在を意識しないまでになる(CGに見えないCGがもっとも優秀であるのと同じ理屈)。
⇒サイバー
Keyword:ヨ
宵の明星
日没後、西の天に輝く金星のこと。
これが明け方になると『明けの明星』となり、東の空に見える。
余談だが、最初のイシュタル(暁明星)は、《アヌンナキ》時代に、その能力の高さから『明けの明星』の異名を誇っていた。
対して今のイシュタル(篠塚真佑実)は、自らを『宵の明星』だと称した。
それは、本物のイシュタルへの敬意であり、謙遜でもあり、『自分がすべてを終わらすのだ』という決意の表れでもあった。
ヨーガ:Yoga
ヨガとも。
古代インドより伝わる、姿勢と呼吸を整えて精神を統一することにより、悟りの境地(三昧境)へ至ることを目的とした修行法。サンスクリ ット語で『(乱れた心を)一点に結びつける』という意味。現在では心の安らぎ以外にも、ダイエットや美容、体質改善といったさまざまな効 果がわかり、健康法の一種として広く知られている。
4つの力
自然界に存在する力を物理的に分類していくと、重力、電磁気力、強い力、弱い力の4種類に分類される。
『重力』は、ニュートンのりんごの落下で有名な万有引力のこと。
質量があるものの間で、重力子のやりとりによって生ずる力。
距離の二乗に反比例し、すべての力の中でも減衰率が激しいが、最も遠方まで届く。
また他の力と違って斥力はなく、引力しかない。
『電磁気力』は電気と磁力であり、+/-(N/S)の二極をもつ。
光子が力を媒介する。
お互いの極同士は引合い、同極同士は反発する。
原子間に起き、化学反応もこの力による。
『強い力』は原子核内に起きる。クォーク(陽子や中性子を作る素粒子)を結合させる力のこと。核力とも。
グルーオンという名の素粒子が媒介し、電磁気力の100倍以上もの大きな力になる。
『弱い力』は電弱力ともいう。
原子中の中性子が崩壊し、ニュートリノと電子を出して陽子に変わるときなどにはたらく、微弱な力。
W粒子、Z粒子と呼ばれる素粒子が媒介する。
主に放射能や天体の核反応に関係する。
Keyword:ラ
目次
ラ
リ
リアル
リニアモーターカー
リビド
リモートコントロール
量子
量子コンピュータ
ル
ルート権限
ルート権限の奪取
レ
レジスタゴールド
レム
ロ
ローカルアタック
Keyword:ラ
Keyword:リ
リアル:real
語源はラテン語の relis すなわち“物体”にある。
1)現実。実在。本物。
2)実感。自分が現実であると体感している事象。
⇒ヴァーチャル
リニアモーターカー:linear motor car
磁場を利用して車体を浮かせ、極めて高速で移動する電車。
技術的な問題はすべて解決されているが、政治的な理由で運用されていない。
リビド:Libido
ドイツ語
1)心理学における『生への衝動』のこと。自己保存本能。より上位の種族本能と結びついたとき、それは『性衝動』へと転化する。
2)デザイナーズドラッグ。脳内のエロスを刺激することで、快感を与える。また《リビド》は、仮想世界での一体感を高める効果がある。
摂取しすぎると情動が急激に高まり、やがては暴漢と化す。ゆえに別名《バーサーク》。
リモートコントロール:remote control
遠隔操作。
ハッキング/クラッキングの方法では、リモート・アタック(remote attack)のこと。
他のサーバから直接ターゲッティングしたサーバのコントロールを試みる。
量子
あらゆる物質を分割した際、整数分割できる最低単位。光子や電子など。波動と粒子の両方の性質をそなえ、速度と位置の両方を同 時に特定することができないため、ある時点でのその量子の位置は『確率の雲』と呼ばれるグラフであらわされる。その不思議な性質は 、量子論という物理法則によって規定されている。
量子コンピュータ
ハッカーにとって究極のアイテム。量子自体の量子論的ふるまいを、並列処理の計算そのものに使用する。計算が複雑になればなるほ ど威力を発揮するシステムで、現状のコンピュータでは不可能な解を導き出すこともできる。各国で研究レベルの成功は多数報告され ているが、まだ実用レベルにはなっていない。ただし近年《エクサーク》社が、その試作品を完成したという噂がある。
Keyword:ル
ルート権限
原義は植物の『根っこ(Root)』。
そのシステムのすべてにアクセス/コントロールする権限。
本来はシステム管理者の権限だが、ハッカーやクラッカーはそれを奪取する。
ルート権限の奪取
エクスプローイット(exploit)とも言う。
Keyword:レ
レジスタゴールド:Regista Gold
疲れているあなたに、栄養1本。
タウリン100000000mg配合。
異薬品です。
レム
1)rem:プログラムにおける注釈文
2)rem:急速眼球運動(rapid eye movement)の略。レム睡眠は一般に夢を見ている状態と言われ、ノンレム睡眠と合わせて90分の『眠 りの1サイクル』を形成する。
3)オンラインRPG《バビロン》における、マスコット的存在のフェアリー型シャドウ。
Keyword:ロ
ローカルアタック:local attack
ハッキング/クラッキングの方法。
まずターゲッティングしたサーバに対してゲスト・ユーザとして登録(アカウントを取得)し、そのサーバのコントロールを試みる攻撃。
リモートアタックの前哨戦とも言え、またリモートアタックより攻撃手段が多様。
Keyword:ワ
目次
ワ
ワクチン
ワーム
ワールド
Keyword:ワ
ワクチン:vaccine
1)病原細菌の毒性を取り除いたものを事前に摂取することによって、その病気に対する免疫をつけ、羅漢しないようにする方法。システム上、既に羅漢している場合には効き目がない。
2)コンピュータ・ウイルスを駆除するプログラム。
生体ワクチンとは違って、コンピュータ・ウイルスに羅漢したシステムでも、回復することが可能(ただしシステムが復旧しても、破壊され たデータは復旧できない場合は、往々にしてある)。
ワーム:worm
原義は“長虫”。中世では竜、すなわちドラゴンのことも意味した。
ネット上では、ネットワークを移動し、移動先のコンピュータに規制し、そこで自己増殖してさらに自分の分身をネットに撒き散らすソフト ウェアのこと。
ワールド:world
1)世界。西洋人が、自分たちの『人知の及ぶところ』という意味で使用し始めた。
したがって地理学上の発見によって“世界”はどんどん広がっていく。
やがて南北アメリカ大陸が発見されるとアメリカは“新世界 new world”と呼称されるようになった。
2)タロット大アルカナの最後(21番)のカード。
ふつうは大地女神の周りを、世界をあらわす緑葉が取り囲み、四匹の守護獣が見守る。
完成と予定調和を意味する。
3)宇宙時代において、宇宙全体をあらわすユニヴァース(Universe)やコスモス(cosmos)とは異なり、ワールドは一個の惑星のみを指す 。
地球も月も火星もケンタウルス座α星第3番惑星も、すべて別個の“世界”である。
この物語はフィクションです。
この用語集に含まれる人物・団体・地名・事件・歴史・その他の設定には、架空のものが含まれております。
混乱しないようにご注意ください。
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正史年表
1946年
ジョン・フォン・ノイマンによって『ノイマン型コンピュータ』が提案される。
以降この方式のコンピュータは、数十年に渡ってメインストリームとなる。
1950年~60年頃
アメリカ/ケンブリッジのMIT(マサチューセッツ工科大学)に『最初のハッカー』たちが誕生する。
1969年
米国防総省の高等研究計画局(ARPA)がコピュータネットワークを導入。
『ARPA net』と呼ばれる。
各地に分散したコンピュータ同士をTCP/IPで相互接続するという形態はのちのインターネットの原型となる。
1991年
新宿の東京都庁舎の地表50m下に、要事の際のシェルターとして、幻の地下4階が建造される(公式記録には残されず、その存在は一 般には知らされていない)。
日本国内において『不正アクセス禁止法(不正アクセス行為の禁止等に関する法律)』成立。
2000年
02月──
『不正アクセス禁止法』施行。
2006年
《エクサーク》社が情報テクノロジーの分野で急成長を遂げ、合併と買収を繰り返しながら不気味に大きく膨れあがっていく。
2009年
07年14日──
出雲司 誕生。
10月09日──
天音弥生 誕生。
2010年
この年を境に、IC(イマジナリ・チルドレン)の出生率が加速度的に急増。
地震予測技術の向上により、大地震なら数日前に予測出来るようになる。
地上波・衛生・CATV等、各放送共にデジタル化が完了。デジタル化の普及率が85%に到達し、アナログテレビ放送は終了する。
光ファイバー網が全家庭に普及。
『有人定常宇宙ステーション』が稼働開始。
次世代コンピュータの研究開発が、各企業間で加速化する。
この時点で最も研究が進んでいたいのは日系のIT企業《ワイイーエス》(YES:Yatsushiro Electronics Service)。
03月17日──
アイゼーア・ナージ 誕生。
井澤奈美 誕生。
10月──
《エクサーク》が《ワイイーエス》を買収。業界内は騒然となる。
2012年
完全埋込型の人工器官が実用化される。
最初に登場したのは感覚器官。
サイバーウェアマーケットのはじまり。
クローニングによる医療が実用化。
2013年
完全埋込型人工心臓が開発される。
11月01日──
処女受胎児として、ひとりの少女が誕生する。
後日、母・忍の手で孤児院へ。
名もない少女は、暁明星と名付けられる。
2014年
生体細胞と人工物との共存によるハイブリッド型人工内分泌臓器が開発される。
『電脳規制法(電脳手術等の規制等に関する法律)』成立。
11月10日──
綿津見恵 誕生。
11月28日──
綾瀬みか 誕生。
12月22日──
宮田浩介 誕生。
2015年
『燃料電池』が実用化。
『月恒久有人基地』が完成。
『電脳規制法』が施行。
05年31日──
一卵性双生児として篠塚真佐美&真佑美 誕生。
2016年
長期連続使用可能な人工肝臓(体外肝機能補助装置)が開発される。
民間宇宙旅行(軌道上滞在型ツアー)開始。
費用が高額なため利用できるのは一部階級のみ。
07月25日──
処女受胎児として、ひとりの少女が誕生する。
後日、川原徹(ナブー)の元へ預けられ、朔夜(α)と名付けられる。
2017年
03月17日──
一卵性双生児として葵日向&夢月 誕生。
2018年
完全埋込型人工腎臓が実用化される。
2020年
現在のようなコミュロボの登場。一般へ普及。
10月──
《エクサーク》の開発していた量子コンピュータが、β版の完成を迎える。
その2台の双子のコンピュータは、それぞれ引き離されて実験されることになる。
それと同時に《エクサーク》は「量子コンピュータの開発を断念」と公式発表(むろん、地下に潜るための誤情報)。
他社は開発が難航。研究は膠着。
専門家は「2050年まで量子コンピュータは実現しないだろう」とアナウンス。
《エクサーク》の目論見どおりに事は進行する。
2021年
12月24日──
不眠に耐えかねた日向が、夢月にウサギのぬいぐるみをプレゼントする。
ぬいぐるみは、『月うさ』と名付けられる。
2022年
04月1日──
アイゼーアと奈美が運命の出逢いを果たす。
奈美への募る気持ちを持て余したアイゼーアは、ハッキング技術を駆使して彼女を探し求める。
05月16日──
★日本時間で13時11分 地平線下で皆既月食が発生。
《He》の最初の奇跡。
アイゼーアの活躍で、真佑美の命が救われる。
同時に、アイゼーアが試作型・量子コンピュータ(のちの《マルドゥーク》)の存在を知る。
密かに、篠塚拓哉の電脳を経由してバックドアを設置。
05月25日──
短期の非常勤講師を勤めていた葵光彦が、日向と夢月を初めて鏡花学園に連れてくる。
屋上の空中庭園に魅せられるふたり。
以降、頻繁に足を運ぶようになる。
06月某日──
ナブーが、試作型・量子コンピュータのうちの1台(のちの《アッシュール》の中に、まれに意識のようなものが発生することを観測。
07月25日──
朔夜αが交通事故で死亡(ナブーによって、この死は隠蔽される)。
ナブー 同僚である光彦の研究成果『ナノアセンブラ』を用いた計画を着想。
かくして、禁忌のボタンが押される。
秋──
拓哉の訃報が篠塚家に届く。
真佐美は《エクサーク》への復讐を誓い、同時に《He》を恨むようになる。
11月08日──
★日本時間で19時59分 皆既月食が発生。
アイゼーアと奈美がネットを介して再開。
だが、これがきっかけとなり、《エクサーク》に補足される。
11月10日──
FBIによって、アイゼーア逮捕。
11月某日──
アイゼーアの初公判。
アイゼーアの供述により、検察側は証人として井澤奈美を召喚することを要求。
11月某日──
アイゼーアと奈美が、裁判の席で再開を果たす。
奈美の供述から、ふたりの症例は『イマジナリ・チルドレン(IC)』と名付けられる。
《エクサーク》はアイゼーアに膨大な損害賠償を請求。その代償としてアイゼーアは知的労働によって返済することになり、《エクサーク》に身柄を拘束される。
11月30日──
《エクサーク》の調査により、アイゼーアと奈美以外にもICが大勢存在することが判明。
依頼、アイゼーアと奈美は『最初のIC』と呼ばれる。
12月10日──
突如、《エクサーク》がサイバーマーケットに進出。
同時に、ナノテクノロジー(超微細加工技術)を応用した医療技術の研究に着手。
最大手《ゼノン》社(Zeno Associstion for Bio Chemical & Drags)と熾烈な技術争いを繰り返す。
ナノテク戦争の勃発。
12月某日──
アイゼーアは密かに、ネット中の廃墟アドレス(管理が放置されているサーバ)に自分自身を構成するあらゆるデータを分割して書きこみ、ノイマン型では解けないような長大な暗号を設定。
暗号の鍵は、ロザリオ(α)型のデータスティックに記録される。
12月25日──
新たに宿った朔夜(ω)が、生命体として活動開始。
12月26日──
朔夜ω まだ存在が安定せず、まれに霧散しては別の場所で顕在化するというアクシデントが発生する。
12月27日──
朔夜ω 再び、忽然と存在が見失われる。
程なくして、自宅から遠く離れた地点で日向によって発見。
だが情緒は不安定。堪りかねた日向は、夢月と同じぬいぐるみをプレゼントする。
ぬいぐるみは、『ナナ』と名付けられる。
12月29日──
日向によって、夢月と朔夜ωが引き合わされる。
12月30日──
アイゼーアの手から、ロザリオ(α)が奈美の手に受け渡される。
12月31日──
原因不明の電脳事故によって、アイゼーア死亡(だが、その死は隠蔽される)。
2023年
01月11日──
奈美 行方不明のアイゼーアを捜し求め、《エクサーク》の施設を脱走。
01月某日──
奈美 少年の技術を身につけ、いつしかエレシュキガルを名乗るようになる。
04月01日──
《エクサーク》がナノオーダー(10^-9=10億分の1サイズ)アクチュエータ(駆動装置)を発表。
バイオナノマシンが実現可能に。
まったく同様の研究をしていた《ゼノン》社は大きくリードされ、大打撃を受ける。
以降、《ゼノン》はシェアを奪われ続ける。
ナノテク戦争は1年たらずで終了。
2024年
《エクサーク》が《ゼノン》を吸収合併。
2025年
《エクサーク》が、サイバーウェアの最大の問題点であった副作用を抑制する技術を発表。
03月17日──
秘密裏に、試作型・量子コンピュータの試験運用が開始。
一般のネットワークに接続される。
呼応するように、各地のアイゼーアの断片化データが活性化。
《彼》がネットゴーストとして漂い始める(ただし、まだ自意識のない不完全な状態で)。
自己修復開始。
この時期を境に、《He》の都市伝説が、世界中でささやかれるようになる。
05月01日──
エレシュキガルの耳に、《He》の噂が舞いこんでくる。
これより、《He》探求が彼女の生きる目的となる。
10月20日──
綿津見海治 『多世界仮設』を提唱。
だが、あまりに風変わりな説であったために学会からは爪弾きにあう。
2027年
04月19日──
アヌのハンドルを名乗るようになった弥生が、暗号を埋めこんだ簡易的なコミュニケーションツールを公開。
08月29日──
暗号を解き明かし、出雲がアヌの前へ姿を現す。
連日連夜、語り合うふたり。
アヌにならって、出雲はエンリルを名乗る。
08月31日──
海治 誰からも自説が認められないまま、失意のうちに病死。
09月15日──
恵が暗号を解読し、アヌとエンリルのところへ。
恵はエアをハンドルにする。
10月某日──
アヌ、エンリル、エアの3人によって、《バビロン》の基礎が形作られる。
11月某日──
エレシュキガルが、原初の《バビロン》に訪れる。
彼女は直接製作には関与しなかったが、導師として3人にアドバイスを与えてくれる。
11月某日──
エレシュキガル 人工無能を基礎とした『妖精プログラム』を組み上げ、こっそりと《バビロン》に書き加える。
この妖精は、ときおり人々の前へ現れては助言や神託を与える役割を担う(レムαの誕生)。
12月某日──
その他の神々も次々とやってくる。
ナブー、五十嵐鋼作(ネルガル)、それから……暁明星。
アヌ、エンリル、エア、エレシュキガル、ナブー、ネルガル、明星の7名は、《アヌンナキ》というチームを結成し、《バビロン》の本格的な創世に着手する。
アヌ、エンリル、エアは《三貴神》を名乗る。
12月某日──
《バビロン》の影響なのか、バラバラとなっているアイゼーアのゴーストがますます活性化していく。
《He》の遭遇例が、さらに増加する。
2028年
02月某日──
明星 エレシュキガルにならってイシュタル(α)を名乗る。
02月某日──
エンリル エレシュキガルとイシュタルαに対抗するかのように、双眸をサイバー化する。
まもなく、エンリルは体中を義体化していく。
03月某日──
真佐美が《He》の伝説を耳にする。
やがて、対抗意識を燃やすようにコンピュータを学び始める。
04月──
日向と夢月 私立の小学校へ転入。
環境の変化に馴染めない夢月。
徐々に、サイバースペースに逃避していく。
10月某日──
順風満帆だった《バビロン》に暗雲が立ちこめ始める。
拡大していくシステムと増大していくアクセスに、資金やインフラが追いつかなくなっていく……。
12月02日──
夢月が《バビロン》をレムのハンドルで開始する。
2029年
01月01日──
★日本時間で01時50分 皆既月食が発生。
夢月とエンリル 運命の出会い。
03月17日──
エンリルによって、夢月が《アヌンナキ》の一部メンバーに引き合わされる。
04月03日──
日向、夢月、朔夜ω 鏡花学園中等部へ進学。
憧れていた鏡花学園での生活も、夢月の心を癒せない。
04月某日──
サイバーウェアマーケットが、数兆円の規模にまで膨れあがる。
《エクサーク》が、企業信用調査会社D&D(Dyne & Dawn street)社による格付けで最高ランクの「5A-1」と評価される。
04月28日──
夢月が『妖精プログラム』を発見する。
05月28日──
《バビロン》内にアラシ行為が目立つようになる。
06月01日──
某商用プロバイダイダから《バビロン》へ停止要請。
06月04日──
夢月 自動巡回する攻性プログラムを作成する(のちに改良され、コードブレイカー・ヌルに搭載される)。
功績を認められ、夢月は正式に《アヌンナキ》に参加。
夢月は新たにアカウントを作成し、シャドウをレムからシンに乗り換える。
レムは要請プログラムにデータを移され、野に解き放たれる(レムωの誕生。ただし誕生日は03月17日と設定される)。
06月某日──
エレシュキガルからイシュタルαへ、ロザリオαが託される。
07月01日──
《エクサーク》が、社への従属と引き替えに、《バビロン》のスポンサーとして名乗りをあげる。
後日、《アヌンナキ》はそれを承諾する。
07月07日──
《エクサーク》によって、《バビロン》に大量の資本が投入。
07月10日──
エレシュキガルが《バビロン》を去る。
去り際、レムωを発見。
改良されたωプログラムの素晴らしさに感動しつつ、置き土産に、自身のレムαのデータをωと融合させる。
08月08日──
《エクサーク》によるプロモーションの甲斐あって、《バビロン》のユーザ数が爆発的に増大する。
09月24日──
《バビロン》の莫大なアクセスを処理するために、《エクサーク》から試作型・量子コンピュータ《マルドゥーク》が貸し与えられる。
東京都庁舎の地下4階が、《マルドゥーク》のサーバルーム兼ラボとして《アヌンナキ》に提供される。
シャマシュ(光彦)が外部スタッフとして《バビロン》運営に短期間だけ参加。
ただし、メンバーとのリアルでの対面は行われず。
09月30日──
イシュタルαによるICの教育開始。
タンムーズやニンギルスらが見出される。
10月01日──
エンリル 《エクサーク》の最深部へクラック。真実を知る。
10月22日──
夢月 《マルドゥーク》のAI育成担当に。
11月13日──
《マルドゥーク》が自分と台頭の存在を捜し始める。
同じ頃、ある怪メールが横行するようになる。
『キミハ、ドコニイルノ? ワタシハ、ココニイルヨ!』
12月19日──
エンリルがロザリオ(ω)型のデータスティックを作る。
12月21日──
★日本時間で07時40分 皆既月食が発生。
エンリルとイシュタルαが衝突。
夢月はエンリルに力を貸し、ロザリオαをクラックする。
奪取したデータは、ロザリオωへ記録される。
ロザリオωはコピーが作られ、一方は夢月に贈られる。
2030年
06月01日──
《エクサーク》 突然の《バビロン》撤退。
大きな混乱に見舞われる。
ナブー 《マルドゥーク》を断片化。
夢月はロザリオωの力を使って《マルドゥーク》の意識をノイマン型に退避するが、半分眠り半分起きているような状態に。
《バビロン》はエンリルの起こした洪水によって浄化され、エリアを狭めていく
06月某日──
《エクサーク》撤退の影響で、《バビロン》のユーザ離れが顕著になる。
《アヌンナキ》のメンバーが、次々と、《バビロン》を去っていく。
エア、イシュタルα、ナブー、ネルガル……。
07月01日──
ついに、アヌが《バビロン》から姿を消す。
残ったのは、エンリルと夢月のみ。
《アヌンナキ》崩壊。
07月07日──
有志によって《イードク》結成。
《バビロン》の運営と維持が移行される。
07月11日──
エンリルの決意。
密かに、《イードク》の内部に《コード》を組織し、テロの準備を進める。
東京都庁舎地下4階は《コード》の指令本部となり、《コア》と命名される。
07月15日──
夢月 エンリルの要請で《アイオー》の開発に着手。
08月某日──
《エクサーク》がサイバーウェア業界における独占疑惑で起訴される。
米・司法省による独占禁止法訴訟。
以降、3年の長きにわたって法廷論争が繰り広げられる。
09月12日──
《アイオー》の構築完了。
09月15日──
《マルドゥーク》再起動。
ただし、AIは依然として半分まどろみ続ける。
09月16日──
《アイオー》システム 始動。
09月30日──
《バビロン》の容量問題が浮上。
10月04日──
夢月 《エニグマ》構想を着想。
11月10日──
《エニグマ》完成。
12月10日──
夢月とレムω 再開。
この頃には、レムのファンクラブ《ドロー》が自然発生的に結成されている。
12月18日──
夢月の決意。
もしもの時のために、日向へ向けて手がかりを残す。
12月24日──
夢月 葵家を立つ。
自室に、月うさを残して……。
12月31日──
夢月 《エニグマ》へ入水。
2031年
01月某日──
冥界の婚礼。
ネルガルとエレシュキガルが契約結婚を交わす。
02月某日──
イシュタルα 単身で《クリミナル》設立。
密かに、エレシュキガルがそれをバックアップ。
03月某日──
イシュタルαとマグダレーン(みか)が出会う。
イシュタルαによって、アンドラス撃退。
アンドラス サイバーフォースに捕らえられる。
03月某日──
みか 《クリミナル》に参加。
04月某日──
浩介 《クリミナル》に強制参加。
ハンドルはエクエスを名乗る。
04月26日──
エア エンリルによって殺害。
05月某日──
エル(真佐美)とアル(真佑美) 《エクサーク》のサーバでクラッキング。
2度目のクラックの際、《クリミナル》によって捕らえられる。
篠塚ダブル 《クリミナル》に参加。
05月某日──
弥生 《エクサーク》からの招きにより、鏡花学園高等部の校医として赴任。
2032年
03月17日──
朔夜から日向へサボテンの鉢がプレゼントされる。
04月──
日向と朔夜ω 鏡花学園高等部へ進学。
04月26日──
★日本時間で00時12分 皆既月食が発生。【第1月食】
日向と上層意識が重なる。イシュタルαと上層意識が重なる。
Route:A&B ノーマルシーケンスで開始。
サイバースペースと夢月の夢が重なる
《アッシュール》 《マルドゥーク》を襲撃。
《He》が捨て身で護る。
《アッシュール》の攻撃で《He》は傷つき、修復しかかっていたデータは、再びバラバラの断片となってネット中にばらまかれる。
コンピュータ機器の異常動作発生。
日向へ謎のメール。(レムωから)
イシュタルαへ謎のメール(レムαから)
05月09日──
鏡花学園生徒を中心とした集団自殺事件。
吉田による白昼の銃撃騒動。
05月10日──
鏡花学園 閉鎖。
日向に麻薬売人容疑がかかる。
05月25日──
《エクサーク》日本支社にて、《コード》によるテロ発生。《コード》と《クリミナル》が衝突。
イシュタルαから真佑実へロザリオαが授けられる。
真佑実によって《He》が召喚されるが、暴走する結果に(ロザリオαとの接触によって、《He》は再び活性化していく)。
この頃より、リアルスペースとサイバースペースとが、徐々に重なり合っていく……。
Route:E マルチシーケンスで開始。
光彦 死亡。
《クリミナル》 真佑実を除き全員死亡(真佑実も左目を負傷)。
朔夜とナブー 人知れずセンターから脱出。
パズルを解き明かした日向が、空中庭園に辿り着く。
エンリルによって、日向は致命傷を負う。
間一髪のところを、かけつけたサイバーフォースが救出。
だが、日向は半死半生の重体に。
《クリミナル》の家族 《コード》によって惨殺(宮田政行のみ、生き残る)。
日向と真佑実の義体化手術が行われ、ふたりとも一命を取りとめる。
06月02日──
真佑実の意識が戻る。
06月22日──
日向の意識が戻る。
06月23日──
日向の意識が、《He》の意識と重なり合う。
真佑美の意識が、イシュタルαの意識と重なり合い、イシュタルωとなる。
Route:B´ ノーマルシーケンスで開始。
07月23日──
《He》 《コード》の拠点を襲撃。
その後、《コード》と戦いつつも、ネット中のSOSに救世主として応え、サイバースペースを駆けめぐる。
同時に、自身のデータの断片と接触することになり、自己修復が行われていく。
09月19日──
イシュタルω イシュタルαのヌルから過去転移の事実を知らされる。記憶修復開始。
09月26日──
イシュタルω 記憶修復ほぼ完了。
10月18日──
イシュタルωの推理。『Xポイント』を算出。
《He》 ロザリオαに導かれてイシュタルωの元へ。
10月19日──
未明。《He》とイシュタルω合流。
★日本時間出04時01分 皆既月食が発生。【第2月食】
《コード》による、都庁への大規模テロ開始。
《He》 エンリルとの決闘を繰り広げる。
《He》とイシュタルω 夢月の夢の中へ。前代未聞のハッキング開始────。
《He》らの活躍によって、夢月が目を覚ます。
《アイオー》システム 停止。
シャドウ・ヌルはリセットされ、眠りにつく。
テロ鎮圧。エンリルは行方知れずに。
エレシュキガルが夢月の代わりに《エニグマ》へ。
《アイオー》システム 再起動。シャドウ・ヌルが活動を再開。
Route:C´&D´ リバースシーケンスで開始。
イシュタルω 新生《コード》のリーダーに。
アヌ 新生《アヌンナキ》設立。
腐敗した《バビロン》の債権を図る。
10月31日──
ネルガル サイバーフォースによって逮捕。
《コード》 ロザリオαを解析。
11月──
エクサバイト・クリスタルから。《クリミナル》が解放される。
2033年
初春──
メガ・ジオフロント・プロジェクト(大深度地下都市計画)が本格始動。完成目標は2050年。
03月10日──
鏡花学園 再開(経営陣は一新)。弥生も復職。
03月25日──
真佑実 鏡花学園で光彦の研究ノート発見。
03月26日──
《コード》の作戦会議。最終決戦の宣言。
04月10日──
弥生に匿ってもらっていた日向と夢月が生家へ帰還。
Route:A´ ノーマルシーケンスで開始。
日向 朔夜の行方不明を知る。捜索を決意。
04月12日──
出雲 国際指名手配。
04月14日──
弥生 《エクサーク》の実働部隊に狙われる。間一髪を宮田が救出。
04月15日──
★日本時間で04時11分 皆既月食が発生。【第3月食】
《コード》 《エクサーク》日本支社を襲撃。
それに呼応して、世界中のテロリストが《エクサーク》を攻撃。
日向 朔夜救出のために、《エクサーク》日本支社潜入。
これ以降、因果律によって未来は分岐する……。
ある歴史では──
《He》と量子コンピュータ、およびロザリオα&ωが相互接続。《He》が完全に覚醒する。
量子コンピュータが停止し、シャドウ・ヌルは消滅する。
朔夜は依然行方不明。
真佑実は日向と共に歩みだす。
ある歴史では──
夢月や2台の量子コンピュータと光彦らの協力によって、朔夜救出に成功する。
日向と朔夜が結ばれる。
量子コンピュータは存続する。
夢月は……?
ある歴史では──
《He》およびイシュタルωと上層意識が重なり、まったく違う過去がつづられる。
夢月 死亡。
ナブーの計画が完遂され、既存世界の概念が崩壊する。
過去転移発生。
Route:C&D リバースシーケンスで開始。
ある歴史では──
ナブーの計画が遂行される。
2台の量子コンピュータとナノアセンブラの接触によって、因果がまったく異なる軸に向かって進み始める。
Route:E´ イマジナリシーケンスで開始。
08月某日──
《エクサーク》グループ 解体。
10月08日──
★日本時間で19時54分 皆既月食が発生。【第4月食】
そして、それぞれの未来へ……。
──きみは、どこにいるの? ──わたしは、ここにいるよ?
Keyword:ア
目次
ア
アイ
アイオー
アイシー
アイゼーアと奈美の恋
アイソレーション・タンク
ID
IDカード
アイリッシュ・ウルフハウンド
アクア説
アタック
圧電素子
アッシュール
アヌ
アヌンナキ
アラン・チューリング
アルファ社
合わせ鏡
アンダーグラウンド
アンドラス
イ
イードク
イェリコの壁
イシュタル
イシュタルの冥界下り
以心伝心
遺伝子
イド
イナンア
イマジナリ・チルドレン
イマジナリ・ビジョン
因果
因果律
ウ
ヴァーチャル
ウィザード
ウイルス
ウーナ
ウサギ
エ
エア
永遠と無限の楽園
AI
エクサーク
SIT
SST
枝
エックス
エックス・アーク
エニグマ
M-IC
エプソムソルト水溶液
エレシュキガル
エロス
エンリル
オ
牡牛とイシュタル
OS
お風呂での電脳会話
Keyword:ア
アイ
1)i:虚数(イマジナリィ:imaginary)の頭文字。iの自乗は-1(-1の平方根はi)。
2)I:自称の主格。私は、ぼくは、オレは、あたしは。
3)I:自意識を持っている、アイデンティティのある存在。
4)愛:生命体に等しく与えられた、喜びと痛み。幸せと悲劇の、始まりと終わり。
5)AI
アイオー:I/O
1)入出力(Input/Output)。あるいは、ログイン/ログアウト(LogIN/LogOut)。
2)内側と外側(Inside/Outside)。
3)1と0(ONとOFF)。
4)マシン語。1と0(ONとOFF)で表記されるので。
5)1/0。数学上不可能な計算。コンピュータ上でこれをやるとプログラムが暴走して『0で除算しました』と警告メッセージが出る。
6)直線(I)と曲線(0)。異なる2面性。多様性。
7)イチゼロ。10進数(リアルの数字)では10、2進数(デジタルの数字)では02。
8)10より──X(ギリシア数字)→エックス
9)イオ(Io)。ギリシア神話の巫女で、主神ゼウスに愛されたがゆえに、神姫ヘラに恨まれ、牛の姿で地中海沿岸を放浪しなくてはならな かった。最後はエジプトに落ち着き、豊穣女神となった。なお、ゼウスとイオは月光の降り注ぐ湖畔で結ばれている。
10)《Artificial Intelligence Operating system》の略語。プレイヤーがログアウト状態でも、シャドウが《バビロン》の住人として活動できるよ うにするAIシステム。ログイン時にプレイヤーの行動・発言・参照した情報などを全て記録・蓄積していき、ログアウト状態では、それらの データをもとにシャドウが連想、推論によって自律的に行動する。プレイを重ね、プレイヤーのデータ(記憶)が増えれば増えるほど、より プレイヤーらしく行動するようになる。
アイシー
1)integrated circuit:集積回路。
2)Iesus Christus:ラテン語でイエス・キリスト。
3)imaginary children:イマジナリ:チルドレン。
4)I see:私は理解している。
アイゼーアと奈美の恋
奈美とアイゼーアの切なくも狂おしい恋。少女がどれだけ求めようと姿は見えず、少年がどれほど欲しようと言葉は届かず──。
それは、決して叶わぬ願いなのか?
だが、こうしてふたりの想いは成就した。『楽園』は、いま再び見出されたのだ。
アイソレーション・タンク:Isolation tank
隔離水槽。
脳学者ジョン・C・リリィが『全ての刺激を遮断したら、人間の脳は活動できるのか?』を実験するために考察した、体温に近い液体を満 たした防音/防光の閉鎖タンク。母親の体内で羊水に浮かんでいる胎児や、海中でくらすイルカに近い状態。
実験結果は、外部からの刺激がなくても脳は積極的に活動することがわかった。
それは目覚めつつ夢を見ているようなもので、一種の瞑想として、さまざまなイメージが湧いて来る。
⇒唯脳論
ID
語源はアイデンティティ(Identity 自己同一性)。
基本的には、何かの組織に属する際の認識ナンバーのこと。
全市民は、市民IDを割り振られており、それをあらわすIDカードを持っている。
市民IDのある市民は、すべて平等に扱われる(ただし高齢者・障害者には優遇措置あり)。
市民IDのない住人(非登録市民・違法居住者)は、公共施設を利用できないばかりでではなく、国家の庇護の対象ともならない。
IDカード
登録市民の情報が記録されている、市民IDカードのこと。
実際にはカード型コンピュータである。
その機能の基本は身分証明書であり、様々な情報が追記できるようになっている。
たとえば学生なら学生ID、会社員なら社員ID、その他さまざまな免許IDが、同じ市民IDカードに記録される。
さらには旧時代のクレジット・カード、キャッシュ・カード、マネー・カード、代替貨幣など、電子マネーの取り引きに関する全ての機能が、 IDカード1枚のなかに集約されている。
いわば社会的な第二の自分自身であり、紛失時のフォローのために、電波を発信するチップが搭載されている。持ち主や当局は、必要 に応じてそのカードの場所が特定できる。
カードの表面には指紋を感知するセンサーがあり、当人以外が持って使用することは基本的には出来ない。
アイリッシュ・ウルフハウンド:Irish wolfhound
犬の中でもっとも体高が高く。グレーハウンドより体つきががっしりしており、顔にいたるまで毛むくじゃら。
知能が高く、勇猛だが気質は穏やか。寿命は5~7歳。
狼などを狩る獣猟犬として愛され、古代アイルランドではク・フォオイル(勇敢な狩猟犬)という名で知られていた。
一般には『大きな犬』と呼ばれ、多くの忠犬物語が残されている。
アクア説:Aquatic Ape Theory
1960年、イギリスの海洋生物学者アリスター・ハーディー卿が提唱した『人間は進化の過程で浜辺に生活範囲を移した』という人類進化論。
学者の間にはほとんど受け容れられることはなかったが、この説を信じて取りあげた同国の作家エレイン・モーガンの著書がベストセラ ーになったことで、世間に広く認知された。
水棲哺乳類の特徴の多くが人間に見られることが同説の強力な根拠。
直立二足歩行をする・体毛が薄い・皮下脂肪が厚い、水中出産すると生まれてきたばかりの赤ん坊がしっかり泳ぐなどは、人間の進化 が水中生活に関係すると仮定することで、論理的に説明できる。
アタック:attack
1)攻撃
2)ネットを通じて、ターゲッティングしたサーバに侵入し、そのコントロール(すなわちルート権のダッシュ)を試みること。
リモート、ローカルの2種類がある。
そのためのサポートであるソーシャルエンジニアリングも、間接的なアタックと言える。
圧電素子
チタン酸バリウム、チタン酸鉛、ロッシェル塩等の圧電物質を積層・焼結させた、応力をかけると電流を生ずるセラミックス。
電子ライターやガスコンロの着火用に、よく使用される。
アッシュール:Ashur
アッシリア帝国の守護神。
翼のある太陽円盤の中央に、弓をつがえた髭の男性像で表現される。
帝国の名であるアッシリアや首都アッシュールと同一の語源でもある。
アッシリア王は“アッシュール神の代官”として統治していた。
アッシリア人にとって、帝国との契約は神との契約と同義。
それを破るものを厳しく罰しなければ、自分たちが神に罰せられると信じていた。
よってアッシリアでの戦は『聖戦』としてとらえられ、できるだけ残虐に敵を殺していたとされる。
アヌ
バビロニアの天空の神。シュメールではアンと呼ぶ。
アヌンナキ:Anunnaki
シュメール語。原義は“天と地の神々”。
1)シュメールやバビロニアの神々の総称。
2)オンラインRPG《バビロン》を作ったハッカーたち。その最高の者が“三貴神”。しばしば《バビロン》と同義で使用されるが《アヌンナキ》 はあくまで人間のことを指す。のちには《バビロン》創造者だけではなく、管理者を意味する言葉にまで広がった。
アラン・チューリング:Alan M.turing(1912-54)
世界初の有名なコードブレイカー。
第2次世界大戦中にドイツ軍のエニグマ暗号を解読した。
コンピュータ(仮想コンピュータ)Colossusの生みの親でもある。
アルファ社
絶対真空の宇宙や、高圧の深海探査においても機能する、耐久性に優れたクロノグラフ(Chronograph ストップウォッチおよび天則補佐 の機能のある針式の腕時計)の開発で有名。
合わせ鏡
ふつうは、手鏡と鏡台を合わせて、自分の背面を見ること。
われわれが見慣れた自分の顔は、鏡面に写る“左右逆転した映像”である。
合わせ鏡では、逆転が逆転されて、他の人が見る“自分の本当の姿”に、きわめて近いものを見ることができる。
しかしそれは“見慣れた自分”ではないので、たいがいの人は違和感を抱く。
これはドッペルゲンガーに対する違和感に似ている。
完全に2枚の鏡を平行に置くと、その中にどこまでも続く“無限回廊”が見える。
物質はその奥には入れないが、映像は無限に映るように見える。
真夜中にこのあわせ鏡をやると“無限回廊”の彼方から悪魔が召喚されるという俗説がある。
アンダーグラウンド:underground
アングラ。地下活動。非合法活動。反政府活動。
クラッカーやテロリストは、アンダーグラウンドの存在。
一般的に、ハッカーはそうではない。とはいえ、その境界は明確ではない。
アンドラス:Andras
意味は『男であること』。
ソロモン王72柱の魔神のひとつで不和の侯爵。
一般に外見は、漆黒のワタリガラスの顔をした男で、黒い狼に騎乗する。
北欧神話の主神オーディンのイメージが投影されていると考えられる。
残忍な性格で、炎上する剣で殺人を犯し、人間の精神を破壊するのを好む。
Keyword:イ
イードク:E-DOC.
オンラインRPG《バビロン》の制作/管理集団。
熱狂的なユーザによって結成された、トップシークレットにアクセス可能な、特権階級のことだとされる。
一般にエレクトロニック・ドクター《Electric-DOCtor》つまり電子博士、あるいはエレクトリック・ドキュメンテイター《Electric-DOCumenters 》つまり電子工文章作成者(電子世界を記す者たち)の略だとされている。
イェリコの壁:The walls of jelicho
聖書の故事で「絶対に崩れないもの」の意。
決して超えることのできない壁。
イェリコ(英語読みでは「ジェリコ」)とは、旧約聖書にも登場する世界最古の町の名。
イスラエルの首都エルサレムから東北東約20kmの位置にある、人工万5000人ほどの町。
海面下250m──
世界で最も低く位置する都市でもある。
余談だが、ファイヤーウォールはイェリコの壁ではないため、決して過信しないように。
イシュタル:Ishtar
バビロニア神話の金星と愛の女神。戦争の神。
魔神アスタロト、ギリシアのアフロディーテ、ローマのウェヌス(英語読みヴィーナス)の原型。
イシュタルの冥界下り
バビロニアの美と豊穣の女神イシュタルが、死んでしまった夫の穀物神タンムーズを救うために、冥府の女王であり姉でもあるエレシュ キガルに会いに行くという神話。
イシュタルは7つの門を通るたび、門番に『冥界のおきてだから』と言われて、衣類や装飾品を剥ぎ取られる。
エレシュキガルと対面できたときには裸になってしまい、エレシュキガルは『失礼な!』と腹をたて、イシュタルを殺して(冥界に閉じ込め て)しまう。
以心伝心
1)禅宗において、言葉や文章では表現できない仏法の奥義を、無言のうちに弟子に伝えること。
心から心へ伝える。
言語化できない概念は、心で悟るよりほかはない。「考えるのではなく、感じろ」ということ。
2)言葉を使わずに、考えていることが互いにわかること。心が通じあっていること。
余談だが、この場合の以心伝心とは、相手の心を読む特殊な技術というわけではない。
正確には、高文脈化(言葉だけでなく、隠された裏の部分──状況や立場や心情──までを読み取ってコミュニケーションをとること。 日本文化はこの部類に入る)の言語を使用する人間同士でのみ成立するコミュニケーションだといえる。
要するに、肝心なことは(肝心なことだからこそ)言葉にしない。
時には、最重要な要件さえ文脈で伝えようとする。
日本人は外国人に比べて「愛している」とちっとも言わない……らしい。
くれぐれも、間違って以心伝心して、すれ違いしないように。
遺伝子:gene
細胞分裂の際に観測される、細胞内物質である“染色体 chromosome”は、その中心に軸としての“核酸 nucleicacid”を有している。
この核酸は、4種類の“塩基 base”で構成されているが、その塩基配列は“3セットで1情報”のような一定の法則にしたがっており、その 情報は、親から子へと世代を超えて遺伝する。したがって、これを遺伝子と称する。
ほとんどの遺伝子はDNAと呼ばれる核酸で、二重螺旋構造をしているが、ウイルスには、1本鎖だけのRNAを遺伝子にしているものもあ る(レトロウイルス)。
DNAとRNAは、どちらも4種類の塩基で構成されるが、内訳は1種類だけ互いに異なっている(つまりDNAとRNAで合計して使用される塩 基は、5種類となる)。
1種類の生物に必要な遺伝子の1セットを、ゲノム(genom)と称する。
各生物の細胞核には、ゲノムとならずに利用されない部分がある。
これをイントロン(Intron)と称する。イントロンは、各生物の進化の段階で不要になった遺伝子が置かれている“遺伝子のクズ置き場”ら しい。
ゲノムは細胞核にある遺伝子だが、エネルギーを発生させる細胞内物質ミトコンドリア(mitochondrion)内にも、別の遺伝子がある。これ はかつてミトコンドリアは別の生物であったのが、取り込まれて共生するようになった結果らしい。
ミトコンドリアは雌/女性を通じてのみ遺伝する。植物にある葉緑体(chloroplast)も、ミトコンドリアと同様、別個の遺伝子を有する。
イド:Id
原意はラテン語で『それ』。
心理学者のユングが提唱した概念で、ドイツ語のエス(Es)を翻訳したもの。
無意識の本能をあらわし、自我、超自我とともに、人間の精神を形成する。
イナンナ:Inanna
シュメール人の愛の女神。バビロニアのイシュタルと同一の存在と思われる。
どちらも冥界へくだってから地上に戻ってきたという神話がある。
イマジナリ・チルドレン:imaginary children
略称IC。
自分の存在が現実世界では浮いて感じられる、というような症状に悩む少年少女の中で、情報通信系の作業に適応し、ネットワークの 操作に特化している者。
仮想世界の中では、一切の電子的な接続を介さずとも、圧倒的な存在感と充実感を覚えることができるため、より感覚的に、より迅速 に、より的確な操作ができる。
したがって最近では、これらは精神疾患というより、新しい世の中に沿った形で最適化された精神構造、という解釈がなされている。
時代が必要として生み出した新人類的な存在なのかもしれない。
イマジナリ・ビジョン:imaginary vision
人の『気配』を、色として認識する視覚システム。
生まれつきそうである者と、人工的に補填してそうなる場合がある。
『気配』の招待は、残留地場や赤外線など、可視光以外の微弱エネルギーが統合されたもの。
見える色は人によって異なる。
因果
1)原因と結果。
2)いま起こっている事柄は、以前に起こったなんらかの事柄の結果であり、同時に以後のなんらかの事柄の原因であること。
自分の行った行為に応じて、それに相当する報い(良い悪いは別として)が起きること。
いま起きている不幸は、前世の悪行に原因があること。
因果律:causality
原因と結果との間には、一定の関係があること。
Keyword:ウ
ヴァーチャル:virtual
語源はラテン語のVirtue(ヴァーチュ)すなわち“美徳”にある。理想世界という意味合いである。
1)事実上の、実質上の
2)虚像の、仮想の
ウィザード:wizard
原義は“賢い人”すなわち“賢者”。転じて“魔術師”ネット上では、天才的なハッカーを意味する。
魔術師が悪魔や魔神を召喚して使役するように、ネット・ウィザードはディーモンを駆使する。
ウイルス:virus
英語ではビールス、バイラス。
原義は“毒”や“泥”。
生物学では、細胞単位の病原菌たる細菌(bacteria)より小さい、単独では機能しえない、細胞内構造物に類似した病原体を言う。
遺伝子情報と、それを包む殻、それに移動手段のみで形成され、細胞に寄生し、その細胞内の資産を駆使して自己増殖をはかる。
ネット上では、コンピュータの機能不全を起こす悪質なソフトウェアのこと。
クラッカーが面白半分で作ってネットに流すことが多い。
ウーナ:una
ラテン語で“1”という意味。
ウサギ
耳の長い齧歯類。一般に『寂しいと死んでしまう』と言われている。
数学者ルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』では、懐中時計を持った白兎が、物語の案内役となった。月に兎がいるのは、インドま たは中国の伝承によるとされる。
月の満ち欠けを、ジャンプする兎に例えたもの。
中国では、同じくジャンプするカエルを月の精ともしていた。
兎とカエルが遊ぶ図像は、最古の漫画である『鳥獣戯画』にも見られる。
月兎は、元来は不老長寿の妙薬をばら撒いていた。
兎が餅をついているのは、日本語で満月を望月(もちづき)と言うので、転化して『餅つき』となったから。
もっとも餅じたいの語源は『保ち』にあり、長くもつ、保存性に優れる、から転化して“永続性”の象徴となっている。
『古事記』『風土記』では、餅を射ようとしたら、古い鳥になって天に飛んでいったという話がある。この白い鳥は“鶴は万年”のたとえのよ うに、やはり永続性の象徴である。
ちなみに兎は、その耳を翼に見立てて、古来『一羽、二羽』と鳥のように数えた。
Keyword:エ
エア:Ea
エアはバビロニアの神々のなかで、唯一人間を洪水から助けようとした。
文明と知識の源、科学者、芸術家の守護神。
半魚人オアンネス自身であるとも、その親玉であるともされる。
シュメールではエンキと呼ばれる。
永遠と無限の楽園
『世界』を有限と現実の象徴とすると、その逆にあるのは、無限(永遠)と虚構ということになる。
また、レムに定められている『永遠の14歳』という設定にも絡めているのだろう。
さらに言うならば、『我々のレムちゃんに対する愛は永遠なのだ』というメッセージさえ、こめているのかもしれない。
はたして《ドロー》たちは、望み通り楽園を見いだせたのか?
それは彼ら自身にしかわからない。
AI:エーアイ
人口知性体(artificial intelligence)。
機械知性。自立的に状況を判断して行動するプログラム、またはそれを備えた機械。
エクサーク
ギリシャ語を元にした、ラテン語。
原意は“超越したリーダー”。
1)exarch:キリスト教の東方教会における地位。エグザルフとも。元来は総主教だが、後に少し下位の者にも与えられた称号。転じてビ ザンチン帝国の地方太守。総督。
2)eXarch Co.ltd.:略称はX社。
米国の企業信用調査会社D&D(Dyne & Dawn street)社による格付けで最高ランクの『5A-1(純資産:50,000,000$/信用度:High)』と評価される超優良企業。
なお、5A-1の企業は世界に10社しかない。
コンピューターネットワークのコンサルタントを中心に、検索エンジン、セキュリティ関連などのネット関連、ハードウェア製造やソフトウェ ア製造などのIT関連、製薬や医療器具製造などの医療関連……などなど、さまざまな事業を幅広く請け負っている巨大多国籍企業。
学術関連にも意欲的に取り組んでおり、いくつもの研究所がある。
教育機関も運営している。
以前はオンラインゲームの事業も請け負っていたが、採算が合わず撤退。部門ごと切り捨てた。
アウトソージング的に、外部のスタッフも積極的に採用している。
とくにシステム構築やセキュリティ関係など技術革新の激しい分野は、フリーランスのハッカーが多数参加している(もちろん、ここに《ク リミナル》も参加している)。
本社はサンフランシスコのシリコンバレー。そのほか東京、福岡、ソウル、香港、北京、シンガポール、モスクワ、ベルリン、ローマ、ロン ドン、パリ、ニューヨーク、ロスアンゼルス、バンクーバー、チューリヒ、シドニー、コペンハーゲンなど、世界じゅうの主要都市(20カ所)に 支社がある。
東京支社は中央区のベイエリアにあり、そこには高層建築のインテリジェントビルがそびえている。
また、地下フロアも深く、B10にまで伸びているという噂も……。
⇒エックス・アーク
SIT
各都道府県警特殊捜査班(Special Investigation Team)のこと。
道府県警察の刑事部捜査一課に設置され、このうち、1係と2係が誘拐や人質事件などを担当している。
日本の対テロ組織でもある。
SST
海上保安庁特別警備隊(Special Security Team)のこと。
海外の特殊部隊並みの装備と能力を持つ対テロ特殊部隊であり、主にハイジャック・シージャックに対応している。
枝
盗聴装置のこと。
メインの海鮮から、枝を伸ばすように設置し、情報を拾うから。
エックス
1)x:未知数、変数、謎の人物
2)x:キスマーク(主に手紙の封じ目に使用)
3)x:殺す、消す
4)X:X指定(成人向け)
5)Christ:イエス・キリスト
6)cross:クロス、交差点、十字架
7)エクサーク社の略称。ロゴのなかで『X』が最も大きく目立つ。
8)ギリシア文字の10。
エックス・アーク:ex-ark
Arkは聖書の十戒石を収めた箱、あるいはノアの方舟のこと。
exは、そこから外されたという意味。
エクサーク社に対して批判的な人々が、“外道”という意味で侮蔑的に使用する。
エニグマ:Enigma
ギリシア語から派生したラテン語で、原義は『謎めいた言語で話す』。
1)なぞ、不可解な出来事
2)謎めいた人物。正体のつかめぬ者
3)なぞなぞ
4)第二次世界大戦でドイツ軍が使用した暗号機械
5)《マルドゥーク》に備えられた情報の圧縮展開システム。開発者は葵夢月
M-IC:Mirroring-Imaginary Children
『胸像の双子』として生まれてきたICのことで、超天才とでもいうべきネット上での順応性をそなえている。
なぜM-ICにのみ、こういった能力が発現するのかは未だにわかっていない。
一説によると、この双子は、無意識に頭脳を共有しているという。
脳の中には、3分の2以上もの未使用領域が存在する。
この未使用領域を解放することで、超能力が発現するとされている。
M-ICはそれを解放しているらしい。
ただし実際に使用するのは、自分の脳の未使用領域ではなく、相方である双子の脳の領域である。
つまりM-ICどうしは、相方の脳と自分の脳を、テレパシーのようなもので接続し合っている。
これによって双子はより密接に影響しあい、俗に言うシンクロニシティが発生する。まるで無線ネットワークで繋がりあったPCが分散処 理をおこなうように、ふたりはマルチタスク的な、より複雑で高度な処理が可能になっているらしい(真偽は定かでない)。
エプソムソルト水溶液:Epsom salts
硫酸マグネシウム(化学式MgSO4・7H2O)の水溶液。
海水や鉱泉に含まれ、にがりの主成分としても知られている。
水溶性が高く、その水溶液に浸ると筋肉の緊張をほぐし、皮膚、気穴、線組織の排泄作用を促進し、肌を引き締める効果がある。
エレシュキガル:Ereshkigal
シュメールおよびバビロニアの冥界の女王。
愛の女神イシュタルの姉。死の神ネルガルの妻。
エロス:Eros
1)ギリシア神話の愛の神
2)情愛。性愛。
3)心理学用語で自己保存本能。タナトスの対立概念。
4)スーパーハッカー“イシュタル”の存在意義。
エンリル:Enlil
シュメールおよびバビロニア神話の中空の神。
風邪と嵐の神。
雲は、天と地の中間に位置する。
洪水で人々を滅ぼした張本人。
古くはベール(Bel)すなわち『主』と呼ばれたが、後にマルドゥークに、その主神の座を譲った。
Keyword:オ
牡牛とイシュタル
世界最古とも言われるバビロニアの『ギルガメシュ叙事詩』で、美の女神イシュタルはギルガメシュ王に求愛するが、王は『おまえとつきあって、ロクな末路をたどった男はいない』と、すげなく断る。
それに傷つき怒っったイシュタルは、地上へおろせば7年は飢饉が訪れるとされる、嵐と地震を起こす『天界の牡牛』を差し向けて殺そうとした。
牡牛はもともと金星の女神イシュタルの聖獣。
金星は月と同じように満ち欠けし、その三日月の形が、雄牛の角を思わせるため。
雄牛の角をつけたイシュタル像も、よく遺跡から発見されている。
OS
オペレーティング・システム(Operating System)の略。
コンピュータの基礎的な作動をコントロールするソフトウェア。
他の多くのソフトウェアは、OSの動作を利用して起動する。
お風呂での電脳会話
イシュタルは電脳を無線で電話にリンクして、篠塚真佑実と会話していた。
『電脳で会話しているのに、声が出るのはおかしい』と思うかもしれない。
しかしイシュタルの脳内では、たしかに音声として認識されている。
ここではイシュタルが視点者なので、彼女の脳内では聞こえているのである。
また言葉を頭のなかでつむぎだすと、対応する器官や筋肉は、反応して動く。
『声を出すまい』と強く意識したり、電脳のシステム自体で対応諸器官への神経伝達をカットしない限り、イシュタルの声は風呂場でエコーするのである。
まあ言葉自体はハッキリせず、鼻歌のように響くかもしれないが。
Keyword:カ
目次
カ
懐疑論
カオス理論
ガルウィング
感覚化
邯鄲の夢
キ
機械知性
菊の紋
義体
キャッシュ
鏡花学園
鏡像の双子
キルリアン写真
ク
蜘蛛の糸
クラッカー
クラッキング
クオリア
クリミナル
クローニング
クロノグラフ
クロノメーター
ケ
月齢
幻肢
幻肢痛
元型
コ
コアセルベート
ゴースト
コード
コードブレイカー
コードブレイク
古鳥
胡蝶の夢
言葉に出す
コミュニケーションロボット
コロッサス
Keyword:カ
懐疑論:Skepticism
『人間の認知は主観的であり、普遍的な真実を得ることはできない』という考えかた。
すなわち『すべての知識は不確実である』という考えに基づくため、そのテーマ自体もまた不確実だ、という自己矛盾をもはらんでいる。
カオス理論:Chaos theory
複雑な計算が必要になればなるほど、その初期値を少し変えただけで、全く違った結果がでてしまう『初期鋭敏性』という性質がある。
つまり物事を正確に計測することは不可能であり、物事が複雑になると、その未来を予測することはできないという理論。
ガルウィング:Gullwing
意味は『かもめの翼』
1)形状が似た航空機の翼。
2)左右のドアが上方に跳ねあがるように開く構造の、2ドア型の自動車。
高級スポーツカーでは人気の高い方式で、横方向にスペースがなくても、乗り降りが楽にできる。
感覚化
ディスプレイなどの外部入出力機器ではなく、生体電脳を通じた接続が可能になったために、取り入れられた。
コンピュータよよびネットワーク上の構造やプログラムなどを、視覚・聴覚・触覚などの感覚情報に置き換え、リアルに即した形で認識で きるようにする。
邯鄲の夢
唐の時代、とある人物が邯鄲(かんたん)という地の茶店で居眠りをすると、茶も沸く暇もないほどの一睡のうちに、夢で人生の栄枯盛衰 を体験した。
これにより、人生の儚さを意味する慣用句となる。
ときに胡蝶の夢と混同されるが、本来の意味は微妙に違っている。
Keyword:キ
機械知性
AIの別の呼び方。
菊の紋
鎌倉時代初期に、備前福岡(現在の岡山県)に住んだ刀工、一文字則宗の作についている紋。
則宗は後鳥羽上皇の御番鍛治のひとりで、菊の紋を彫ることを許されたことから、菊一文字の名がある。
義体
人工の腕や足は、実際の肉体とほぼ変わらない機能を備えるまでに至っている。
超人化するための義体は、機械式か整体師帰化を問わず違法。
その場合、制御神経系もすべて人工にする必要があり、外見も無骨になり、費用も法外。
薬物で拒絶反応などを抑える必要がある。
そのため全身を義体化する(脳以外を作り物にする)のは、まだ技術的に越えなければならないハードルがたくさんある。
キャッシュ:cash
現金。紙幣または価値の確かな貴金属。
細菌では、ほとんどは電子マネーで決済されるため、表で用いられることは少なくなった。
しかし需要がないわけではない。
特にジャンクなどヤバ目の品の売買や闇取引では、個人情報や金の動きが記録されないように、キャッシュが使用されている。
鏡花学園
私立鏡花学園(しりつきょうかがくえん)
中高一貫の学校で、校舎は『風の道』をコンセプトに作られている。
なぜか男子生徒に比べて、女子生徒の比率が高い。
鏡像の双子:きょうぞうのふたご
受精卵が、受精から10~12日後以降に分裂し、ひとつの胎盤で一卵性双生児として育ったケース。
互いに鏡に映っているように、利き手が左右逆・つむじの巻き方が左右逆・手相が左右逆となっている。
かなり稀だが、内臓の位置まで左右対称になっている場合もある。
ちなみに受精後9日以内に卵子が分裂すると、別々の胎盤で育ち、鏡面の状態にはならない。
キルリアン写真:Kirlian photography
放電写真撮影。
生体エネルギーであるオーラ(細胞が発している微弱な光)を撮影した写真。
1930年代後半に、旧ソ連の電気技術者セミヨノフ・キルリアンと、妻のバレンチナ・キルリアンによって開発された。
高電圧によるコロナ放電の状態を写真フィルムに焼き付け、人の身体から発しているエネルギーを画像化する。
エネルギーが高ければ、より白い部分が多く写る。
エネルギーの強弱、有無、形などから現在と過去の体の状態がわかる。
一部の医療機関で用いられている。
Keyword:ク
蜘蛛の糸
芥川龍之介の短編小説。
悪事を尽くして地獄に堕ちたカンダタが唯一、生前に小さな蜘蛛を敢えて殺さなかったことを見ていたお釈迦様が、蜘蛛の糸を地獄にた らして、カンダタを天国へ引き上げようとした。
クラッカー:cracker
愉快犯的な侵入行為や、破壊行為、データ窃盗/改竄などを、自分の楽しみや利益のためにおこなう、コンピュータ犯罪者。
ウイルスやワーム、あるいはその複合体を組んで、ただ楽しむために、あるいは特定の目的のためにネットに流したりもする。
クラッキング:cracking
クラッカーがネット上でする違法行為。
クオリア:Qualia
脳科学用語。
意識が感覚刺激を受け取った際に発生する感触──感覚に伴う鮮明な質感のこと。
リンゴを見て『赤い』と感じることや、海を見て『青い』と感じることを科学的に説明すれば、ある波長の光が(リンゴなどの分子配列が、そ の波長の光をよく反射することで)目を通して感覚刺激を受け取ったときに発生する感触、ということになる。
ただし、その波長がなぜ『赤さ』や『青さ』という感触を与えてくれるのか、ということについては万人が納得するような説明ができない。
また、怪我をして『痛い』と感じることや、風呂につかっているときの『心地よい』といった感触についても、脳内を伝わる電気信号が発生 させていることは広く知れ渡っているが、その電気信号そのものが『痛さ』や『心地よさ』を生み出しているわけではない、とも考えられる 。
つまり、『脳が特定の状態になる』ことで『その感覚が生じている』のだが、このふたつは別ものとも考えられる、ということだ。
クオリアとは、ここにおける『脳の状態』だけでは説明のできない『感覚そのもの(純粋な感覚それ自体)』にあたる概念である。
一般的に、クオリアを認めてしまうことは、人間の意識には物質や物質的作用だけでは説明できない側面があることを認めることにも繋 がる。
このように、クオリアは言語や物理的特性だけでは説明ができないのでしばしば哲学的な疑問に直結することがある。
例えば、同一の赤いリンゴを見ているAさんとBさんとでは『同じ明さ』を感じているのか? Aさんが『赤』と呼ぶ概念は、Bさんにとって は『赤い』という言語で記述される『青』ではないのか?
例えば、AI(人工知能)といった(一般的には)意識がないとされているものが、センサーを通じて『赤いリンゴ』の色を『赤い』と処理し たら、そのAIには『意識があり、我々と同じように赤さを感じている』といえるのだろうか?
例えば、人間以外の生物にも意識があると言えるだろうか? その意識は、我々と同じクオリアを体験しているといえるだろうか?
例えば、自分以外の人間にも意識があり、同じクオリアを体験しているといえるだろうか? ……etc.
クリミナル:Criminal
1)犯罪的、犯罪の、罪を犯した、犯人、犯罪者、けしからんの意
2)“イシュタル”という人物の率いる、ハッカーチームの名称。《クリミナル》の活動内容は、既存のプログラミングコードの改良・改造、ソフ トウェアの生産……ハッキングと呼ばれる行為。
『基本的に』法を犯すような不法侵入を行っったりはしない。
そういった行為に及ぶのは、要所のセキュリティの貧弱さを警告する時や、犯罪捜査をタレこみという形で協力する時だけ。
だが、それも違法行為であることは承知しており、自分たちへの『戒め』という意味でクリミナルを名乗っている。
チームの戒律は『汝、破壊すべからず』。
クローニング:Cloning
生物の完全体としてのクローンではなく、臓器の一部を再生する技術。
本人のゲノムから必要な遺伝子コードのみを読みとって作るため、拒絶反応はない。
現実の医療として、頻繁におこなわれている。
クロノグラフ:Chronograph
ストップウォッチ機能のついた懐中時計または腕時計で、機械式(針)でもクォーツ式(デジタル)でもかまわない。
機械式の場合、文字盤のなかに30分計や1時間計が配置されたり、タキメーターやスプリットセコンド機能を備えているものもある。
その逆は真ならずで、針がたくさんついていても(カレンダーの月・日や、24時間表示を針で、示しているものなど)、ストップウォッチが付 いていない限り、クロノグラフとは呼べない。
またクロノメーターと勘違いされやすいが、別ものである。
クロノメーター:Chronometer
スイスクロノメーター検定境界が認定する、高精度のムーブメント(時計)に与えられる称号、もしくはその時計。
5種の時計のポジション、3種の温度の環境下で、日差-4秒、+6秒以内の基準をパスしなければならない。
認定されたムーブメントの文字盤には、『Chronometer』の文字が記載され、公に高精度で信頼性が高いという証明になる。
ちなみにクロノメーターは、スイス国内で年間約3000万本生産されている時計のうち、わずか3%程度。
Keyword:ケ
月齢:moon's age
新月(朔)を迎えた瞬間から、何日経過したかその日数を表すもの。
新月から新月までの長さ(朔望周期)はまちまちなので『十五夜の月=満月』という関係が成り立つとは限らない。
(月齢0が新月ということだけは確実)。
幻肢:Phantom I imb
自己などで身体の一部を失った人が、ないはずの器官が存在するかのように感じる症状。
四肢切断患者の90%以上がこれを感じる。
場所・長さ・大きさの感覚があり、『自由に動かせる』と感じる場合もあれば、自分の意志とは無関係に勝手に動いている場合もある。
トラウマとしての幻肢痛を伴うこともある。
これには『脳の再配置』と呼ばれる現象が関係している。
失った器官の操作/感覚に対応する脳細胞は、命令の行き場を失い、近隣の脳細胞の領域に侵食していく。
これによって、たとえば肘から下を失った人の肩や頬などを触ると、失ったはずの肘から下が、刺激されるように感じたりする。
つまり超常現象や思いこみではなく、純粋に神経学的な現象なのだ。
幻肢痛:Phantom pain
自己などで失ったはずの身体器官が、痛みを感じる症状。
締めつけられるような、焼けるような、または幻肢がつぶれた感じに似ており、それまで経験したいずれの痛痒とも異なる場合もある。
実際には切断されたよりも上部で起きた神経信号を『失った四肢から来た』と脳が誤って解釈した結果、生じる現象。
元型:Archetype
アーキタイプ。
ユングが提唱した「時代・文化を問わず、全ての人間の心に存在している、普遍的な集合的無意識」の類型のこと。
セルフ(自己)、影(シャドウ)、アニマ/アニムス(男性/女性の中にある女性/男性像)、大母(全てを呑み尽くすグレートマザー)などがある。
Keyword:コ
コアセルベート:Coacervate
違う濃度の溶液を混ぜたときにできる、小さな液体の粒のようなもの。
溶液が徐々に高濃度層と低濃度層に分離し、低濃度層の中に高濃度層の液滴ができる。
生命体ではないが成長し、あるていどの大きさになると分裂したり、大きなものが小さなものを吸収したりする。
コアセルベートのなkでも、タンパク質と核酸をもったものは、外の有機物を取りこみ、自身のコピーを生み出すことができるようになるだ ろう。
それはまさしく、生命のマネゴトである。
ゴースト:ghost
ゲスト(guest 客)と同じ語源から派生している。
1)幽霊。おばけ
2)電波・画像・映像などに映し出される虚像。
3)ネット上に偶発的に現れる、自立的なプログラム。
シャドウが消えた/シャドウを消した場合でも、サーバ等にそのデータが残って居る事があり、それがなんらかの原因によって起動するこ とがある。
噂では、ユーザが肉体を失い、シャドウさえも消えたとき、残されたユーザの情報が勝手に精神体として擬人化して、幽霊のように動き 出すのだという。
コード
1)code:法典、規定、慣例、おきて
2)code:(電信)符号、暗号、信号法;【コンピュータ】コード、符号、マシン語に治す
3)cord:紐、紐帯、きずな
4)最近あたりを騒がせている、サーバーテロ集団。愉快犯にしては、やり口が派手かつ残忍。にしては、明確な犯行声明がなく、目的が わからない。
コードブレイカー:code breaker
暗号を解読するもの。
コードブレイクに使用するツールや、それを実行する工作員のこと。
なお、暗号解読者として史上もっとも有名なコードブレイカーは、イギリスのアラン・チューリング。
⇒チューリング
コードブレイク:code break
1)暗号解読。暗号破り。法破り。転じて、犯罪、テロ行為。
2)クラッカー集団《コード》による破壊行為、または彼らのおこなうサイバーテロの総称。
3)クラッカー集団《コード》を壊滅させようとする行為。
古鳥:こちょう
武蔵野にある静かな住宅街。
かつては胡蝶とも呼ばれていた地区(鏡花学園の図書館にあった史料で判明)。
胡蝶の夢
蝶となって百年を過ごす夢を見て目覚めた荘子が提言した、『もしかしたら今の現実こそが、蝶の見ている一瞬の夢かもしれない』という 哲学的見解。
転じて、夢と現実の区別がつかない状態をさす。
言葉に出す
言葉にも霊が宿っている。これを言霊(ことだま)と称する。
したがって、重大なことを軽々しく口にしてはならない。
古代日本では、大言壮語することを『ことあげ』と称し、タブー視されていた。
『ことあげ』によって、その言葉に霊力が働き、言い掲げた事象が厄災となって訪れると信じられていたのだ。
英雄ヤマトタケルも『素手で山の神に勝ってやる』と『ことあげ』したため、激しい氷雨に降られ、瘴気に当てられ、不治の病に倒れた。
コミュニケーションロボット:communication robot
たいていの家庭の入り口にあり、伝言やメールを管理してくれる、対話機能のあるロボット。
だいたい両手で持って運べるサイズで、丸っこくて可愛い。通称:コミュロボ。
コロッサス:Colossus
原義はギリシア語で『彫像』
エーゲ海南東に浮かぶロードス島の港にあった太陽神ヘリオスの巨大な青銅像が、近代西洋の七不思議のひとつに数えられる程有名。
その為、転じて『巨像』や『巨大なもの』を指す。
1943年、イギリスはドイツの暗号を解読するため、同名の世界初となるコンピュータを開発。
これはチューリングの師であるM.H.A.ニューマンが主導で進められたプロジェクトだった。
軍事機密だった為、この情報は長い間秘匿され、現在でも詳細は不明である。
Keyword:サ
目次
サ
サーバ
サイバー
サイバーウェア
サイバー規制法
サイバースペース
サイバーテロ
サイバーフォース
朔
申(さる)は示して
サロス周期
三貴神
シ
CTC
ジーン
自我
ジッグラト
実存
死は自分で支配
市民レベル
シャドウ
シャドウ・ウーナ
シャドウ・ヌル
15
秀外恵中
シュレディンガーの猫
シュレディンガーの方程式
情報表示欄
ショルダーハッキング
シン
シンクロニシティ
ス
水月
スキミング
スキャン
スパイウェア
スパム
スプリットセコンド
スラング
セ
聖杯
生命のスープ
セキュリティホール
先進波
ソ
双生児
相転移
ソーシャルエンジニアリング
ゾンビ
Keyword:サ
サーバ:server
ネットに接続しているコンピュータのなかで、広く多くのユーザのコンピュータ(クライアント)に対して、サービスを提供しているもの。
俗に“鯖”とも言う。
クラッキングや故障/バグなどによってサーバの反応がおかしくなることを“鯖が腐る”、または完全に停止してサービスが提供できなくな るのを“鯖が落ちる”などと称する。
⇒スラング
サイバー:cyber
サイバーはサイバネティクス(cybernetics)の略で、1948年にノーバート・ワイナーがギリシア語の『舵を取る』から命名したもの。
人体機能の研究と、機会によるその模倣が原義である。
1980年代を中心にサイバーパンク(cyberpunk)文学が隆盛を極めると、サイバーは『人体改造』『機会の人体への埋め込み』『人体が直接インターネットや機械に接続されること』を意味するようになった。
正反対の概念にユビキタス・コンピューティングがある。
サイバーウェア:cyberware
CWと略されることもある。ハードウェアとソフトウェアの中間で、人間と機械を接続するためのインターフェース全般。
一般的には、人体に埋め込んで使用する機械のこと。
そのもっとも極端な形が『生体電脳』。
サイバーウェアを埋めこんだ生物のことを、サイボーグ(cyborg)と言う。
これはサイバネティクス・オーガニズム(cybernetic organism 機械化された生体)の略。
サイバー規制法:cybernetics-laws
『不正アクセス行為の禁止等に関する法律』『電脳手術等の規制等に関する法律』『サイバー犯罪条約』等、行き過ぎた人体と機械との 接近/融合を防ぐために、保守派によって国会を通過させられた一連の法律の俗称。
コンピュータのクラッキング、生体電脳、人間の能力を超える義体な移植などを禁止し、違反には厳罰が当てられる。
サイバースペース:cyberspace
仮想世界。仮想空間。電脳空間。ヴァーチャル空間。コンピュータ・ネットワーク空間。
主に《バビロン》を始めとする仮想世界のことを指すが、それ以外にも広義の意味として、ホームページやブログ、BBS、チャット、電子メ ール、電子ニュース、各種データベース、および、それらを実現するインフラストラクチャの総称といったように、ネットワーク内のコミュニ ケーション環境そのものを指す場合もある。
サイバーテロ:cyber terrorism
直接的な物理破壊をともなわない、ネット上でのテロ行為。
実行手段として、ウイルスの配布、情報の削除/改竄、サーバのコントロール権の確保などがある。
サイバーフォース:cyberforce
警察庁・電脳課・機動的特殊部隊の通称。
警察の公安部にあるとされるネット特捜隊。
サイバー規制法に基づき行動する。
風紀課、殺人課、鑑識などと協力しつつ、近頃頻発中のネットワークに付随した奇怪な殺人や自殺といった怪事件の操作にあたってい る。
朔:さく
新月。感じの意味的には、遡(さかのぼ)る月、逆の月、逆らう月、ということ。
さかのぼるのは、月齢の基点となるから。
逆なのは、月なのに光っていないから。
新月はふだん闇夜に溶けて見えないが、背景の天体を隠すことによってその存在を知ることができる。
その最大のイベントこそが、日蝕である。
申(さる)は示して
申(さる)の漢字には、申す・述べる、という意も。
示し、申し述べるもの。余談だが、『しめすへん』に『申』と書くと……。
サロス周期:Saros cycle
古代バビロニアの時代に発見された、日蝕/月食の繰り返される周期。
233朔望(さくぼう)月すなわち18年11.32日(6585.32日)。
途中に閏年(うるうどし)が5回あれば18年10.32日となる。
サロス周期によって、何年何月何日の何時何分にどのような月食が(部分月蝕か皆既月蝕か)起きるのか、あらかじめ予測することが できる。
三貴神
オンラインRPG《バビロン》の開発者《アヌンナキ》のトップ3。
アヌ、エア、エンリルのこと。
Keyword:シ
CTC
国連安保理事会テロ対策委員会:Counter-Terrorism Committee。
2001年9月28日に開催されたSecurity Councilの4385回ミーティングでぎあいにあがり、国連安保理事会決議1373で創設された。
安全保障理事会15カ国で委員会を構成している。
ジーン
遺伝子の英語読み(gene)。
自我:Ego
エゴ(ego)。原義はラテン語の『私』。
心理学者ユングの提唱した概念で、ドイツ語のいっひ(Ich)の翻訳。
精神のなかで、自分を自分であると認識している部分。層意識に近いニュアンス。
エゴは常に、イドと超自我による制御を受けているのだが、エゴ自身は、なかなかそれをみとめたがらない(生物学的には、イドを遺伝 子、超自我をミームと言い換えることもできる)。
日本ではエゴは『わがまま』という意味でも使用される。
例:『それはきみのエゴだよ』
ジッグラト:ziggurat
1)バビロニアにあった階段上ピラミッド。バベルの塔とも呼ばれる。
旧約聖書によれば、人々が点まで届けとその塔を作ったため、それを不服とした唯一神が、人々の言語を互いに通じなくさせた。
おかげで塔は完成しなかった。依頼バベルとは『混乱して話がつうじないさま』を意味するようになった。
2)オンラインRPG《バビロン》の中枢部。
実存
施行存在としての人間は、神を含む外部の事物によらず、独立して存在するという考え。またはその人間のこと。
近代哲学の祖ルベ・デカルトの『我思う、ゆえに我あり(Cogito ergosum コギト・エルゴ・スム)』のフレースで知られる。魂と肉体がべつの ものであるという二元論に影響を与えた。
虚無(nihil)の対立概念でもある。
死は自分で支配
古来より、『雲』は死を象徴する言葉とされている。
出(いず)る雲──つまり、死がやってくる。
日本神話における出雲の国(島根県東部に相当)は、大国主命(オオクニヌシノミコト)を封じる常世(トコヨ)の国への入り口なのだそう だ。
ゆえに、『出雲司』の名は、『死を司る』=『死を支配する』という意味に通じる。
市民レベル:citizen level
オンラインRPG《バビロン》の登録シャドウに設定された、仮想の社会的地位。
ルールを破る(違法行為をする)と低下し、下がりすぎるとゲーム内での公的な設備が使用できなくなったり、住む場所を追い出されたり 、他人に信用されなくなったりする。
道徳的な行為に努めたり、人から尊敬されるような功績をあげたりするとアップする。
シャドウ:shadow
1)影。古代エジプトより現代に至るまで、影は物体の魂のひとつとされてきた。
したがって支社である吸血鬼は、魂がないために影がなく、鏡にも映らない。
2)心理学上、常に抑圧して表面に出ないようにしている、当人の気づかない低級あるいは凶暴な衝動。ふとした弾みで表面化すること がある。シャドウに乗っ取られて行動すると『魔が差した』という事態になる。
3)ネット上での自分の仮想分身。シャドウの名称は、すべてハンドルである。パラメータによっては、プレイヤーの能力を超えた行動を起 こすことも可能。アバター(avatar:化身)と呼ばれることもある。
シャドウ・ウーナ:shadow una
ネット上で、元となった肉体とリンクいしている状態のシャドウのこと。
単にウーナと略すこともある。
シャドウ・ヌル:sgadow null
元となった肉体や頭脳とリンクが外れ、自立的に動いている状態のシャドウのこと。
単にヌルとも言う。
15
16進数では、10以降の数はA、B、C……とアルファベットで表記する。
16進の最大の数──15は『F』である。
Full Moon(満月)のF。
Future(未来)のF。
Fool(愚者)のF。
そして……Fortune(運命)のF。
秀外恵中:しゅうがいけいちゅう
外見も中身も素晴らしいという意味。
類義語に、「才色兼備(さいしょくけんび)」「才貌両全(さいぼうりょうぜん)」など。
シュレディンガーの猫
量子物理学者のシュレディンガー(Erwin Schrodinger 1887~1961)が打ち出した『シュレディンガーの方程式』を、わかりやすく例える萬 話に登場する『生きた状態と死んだ状態が混ざっている猫』のこと。
箱の中に、猫と一緒に『核分裂をする原子』『核分裂検出装置』および『検出器が動くと毒ガスを発生する装置』を一緒に入れる。
原子はある一定時間が経過すると核分裂を起こし、それによって毒ガスが発生して猫は死ぬが、箱の外からでは、いつ原子が分裂する かはわからない。
この箱のなかの原子の状態を、量子力学では『観測されるまでわからないので、分裂した原子と分裂していない原子が混ざった状態』で あるという。猫も原子が分裂したかどうかによって生死が決まるので『生と死が混ざった状態である』なのだ。
シュレディンガーの方程式:Schrodinger equation
量子物理学者シュレディンガーが発見した、量子力学における基本方程式。
物質がどのような波としての性質を持ち、それがどのように伝わるかを計算することができる。
情報表示欄
現代でも駅などでは、赤い発光ダイオードなどの表示版が使用されている。
画像では、停留所のポストに、同様のシステムは見られないようだが、これはインテリジェント・ペーパーが使用されているため、紙の中 にまんべんなく表が黒・裏が白の磁性体が埋め込まれ、電磁的に表裏を操作することで、文字を浮かび上がらせるシステム。
ショルダーハッキング:shoulder hacking
ショルダーサーフィン(shoulder surfing)とも。
ソーシャルエンジニアリングの手口のひとつ。
『肩越しに盗み見る』という意味で、対象がパスワードなどを入力するときの手の動きや、画面そのものを見て、秘密情報を盗み出す。
シン:Sin
バビロニア神話の月の神。時間の神。運命の神。
シュメールではナンナル(輝くもの)。
ジッグラトは、本来シンの神殿だった。
シンクロニシティ:Synchronicity
共時性。同時共時性。意味のある偶然の一致。
因果関係が見出せないのに、似たような意味をもつ事象が時空をこえて同時的におこっている現象。
『虫の知らせ』『胸騒ぎ』『正夢』『テレパシー』『(誰かとの)人生の一致)』などという言葉でも示される。
Keyword:セ
水月:すいげつ
1)そのまま水と月
2)人格の清潔なさま
3)くらげの別名。海月、鏡虫ともいう。水鏡に映って揺れる、月に似た虫だから。
4)くらげ料理が名物の屋台。たこ焼きやイカ焼きもメニューにある。
5)古鳥住宅付近にある公園。正式名称は水月公園。大きな池があって、月が映るときれい。
Keyword:ス
スキミング:Skimming
すくいとるという意味。他人のクレジットカードやキャッシュカードなどの磁気記録を不正にコピーし、使用する犯罪。
磁気情報読み込む機械スキマーを使って、データを複製する。
飲食店などで、上着に入ったままのカードから情報を抜き取ったり、空き巣に入ってデータだけを取り込んだり、店舗のクレジットカード 取扱店にある端末にスキマーを取り付けるなどの手口が見られる。
店長や店員自身がスキミングをおこなっていたという、内部の犯行も少なくない。
スキャン:scan
走査。対象の情報を取り込むこと。
ハッキング/クラッキングでは、アタックの前の重要な情報収集の段階。
ターゲッティングしたサーバの情報(OS、ヴァージョン、そのほか)を集めることは、セキュリティホールを洗い出すことになる。
スパイウェア:spyware
パソコンユーザの行動や個人情報などを収集したり、マイクロプロセッサの空き時間を借用して別の計算をさせるソフトウェア。
集められた情報や計算結果は、製作元に送られる。
表示されない部分で動作するので、ユーザはその存在に気づかない場合が多い。
スパム:spam
本来は、ダイレクトメールなど不要なeメールのこと。
転じて、“不特定多数”に送られる迷惑メールの意味になった。
メールだけではなく、1回アクセスすると、コンピュータに“無限に”ウィンドウを出させる悪質ページなども指す。
ハッカーのあいだでは、どうしようもない人物に対する別称ともなっている。
使用例:「このスパム野良!』
スプリットセコンド:Split second
2つの計測を同時に行うことができるクロノグラフの機能。
秒針が2本あり、スタートボタンを押すと、2本が同時に動き始める。
ストップボタンを押すとそのうちの1本が停止し、もう1本はもう一度ストップボタンを押すまで動き続ける。
スラング:slang
俗語。隠語、業界用語など、特定の人間集団が使用する、一種の方言。
ジャーゴン(jargon)とも。
たとえばサーバを鯖、プロクシを串、幼稚な人間を厨房と称するのも、一種のスラングである。
Keyword:セ
聖杯:Holy grail または Sangraal
イエス・キリストが最後の晩餐で用い、十字架にかけられた際、アリマタヤのヨセフがイエスの血を受けたとされる杯。
アーサー王伝説の主題のひとつで、これを探索することが騎士の使命とされた。
本来はケルト神話の、死んだ人間を蘇らせる魔法の大釜がモデル。
聖杯探索の物語は、フランスの作家クレティアン・ド・ドロワが最初に記したがみかんに終わる。以降、真剣に聖杯物語を書き上げようと した作家は、みな途中で筆を折っている。
ドイツのヴォルフラム・フォン・エッシェンバッハの書いた『パルチヴァール』では、十字軍の際に実在した聖堂騎士団をモデルにした聖堂 騎士団をモデルにした聖杯騎士団が出てくる。
そこで聖杯は、ユダヤ/キリスト教の伝承にある『失われた聖櫃』と同一視されている。
この聖櫃は、開けると稲妻のような破壊力をもたらす平気であり、そのありかは作品が未完のため、特定できない。
生命のスープ:Ur-soup または 原子スープ Primordia soup
数億年かけて、小惑星や彗星の衝突/融合によって地球が誕生した際、その過程で生成された有機物が、雨や海に溶け込んだ液体。
その生命のスープは、原子酵素の助けによって原子細胞に進化した。
その原子細胞内では、鉱物結晶パターンなどの転写によってDNAが生成された。
そのDNAの働きで、原子細胞は自身のコピーを始めるようになった。
すなわち生命のスープは、生命誕生の大本となった液体なのである。
セキュリティホール:security hole
ソフトウェアのバグのなかで、コンピュータシステムへの侵入や破壊、内部情報の漏洩などにつながる可能性があるもの。
基本的には、パッチを当てたり、そのソフトウェアを新しいヴァージョンに更新して対応する。
しかし更新版には、さらに新しいセキュリティホールがあり、イタチごっこと化している。
先進波
マクスウェル方程式から導き出される電磁波のひとつ。
過去から未来へと伝わっていく通常の電磁波(遅延波)と時間的に対称性をもっている。
ゆえに、未来から過去に伝わるという性質がある。
先進波のほとんどは遅延波との干渉でかき消され観測することはできないとされているが、それでも部分的に残留し、『未来が過去に影 響を与える可能性もある』という説も一部ではささやかれている。
嘘のような話だが、ミクロの世界では、そう考えることによって解消する問題が少なくない。
Keyword:ソ
双生児:twin
双子。一度の出産で一度に2人の子供が出産された場合、その子供同士を指す名称。
動物では普通だが、単胎である人間には珍しい現象。
母親の体内で、1つの受精卵が分割して別個に育った一卵性双生児と、体内に二つの卵が別個に受精して育った二卵性双生児がある 。
一卵性の場合、互いに相手のクローン対であるため、性別は同じとなる。
二卵性は卵が別個なので、互いに同棲ある場合も異性である場合もある。
二卵性はクローンではなく、単純に年齢が同じなだけで、普通の兄弟姉妹と同じである。
3つ子、4つ子など、双生児より多い場合は、たいてい排卵が誘発された結果、別個の卵が受精したもの。
一卵性双生児では、互いに遠隔状態にあっても、同じことをするシンクロ現象が見られることがある。まれに二卵性でも、シンクロ現象 が見られる。それに関して納得のいく説明は、まだなされていない。
相転移:Phase Transition
あるひとつの相(Phase)が、何らかの外的要因(温度・圧力・外磁場など)によって別の相へ移る現象。
なお、相とは、物質の中で状態が均一でかつ明確な境界をもち、他と区別される領域のことをいう。
ソーシャルエンジニアリング:soicial engineering
原義は“社会工学”。ネット用語では、直接ネットを介在しない手段によって(ほとんどは不正に)、他のコンピュータをリモートコントロー ルするための情報を得ること。
打ち込んでいるパスワードを肩越しに覗きこむショルダーサーフィンや、権力のある他人(銀行員、システム管理者など)になりすまし、 秘匿情報を相手から訊き出す詐欺、ゴミ箱をあさって有用な情報を探しだすトラッシングなど、方法はさまざま。
ゾンビ:zobie
1)アフリカ起源の蛇神。ザンビ。ジャンビーとも。
2)アメリカの西インド諸島にあるハイチを中心とする、ヴードゥー(Voodoo)教に登場する生ける屍。
極刑に値する罪を犯した罪人が、生きながら埋葬され、神官の術によって奴隷として復活を遂げたもの。
3)映画やゲームに登場する、半分腐りかけの生きている死体。大概人間を喰う。
4)DoSアタック用のディーモンのこと。通常は多数のコンピュータに仕込んで、一気に起動させる。
Keyword:タ
目次
タ
ターゲッティング
体内時計
タイムスタンプ
タキメーター
多世界解釈
多層世界仮設
タナトス
ダブル
タロットカード
タンムーズ
チ
チェシャー猫
父と娘の再開
窒素ガス
チャット
チューリング
超自我
潮汐力
ツ
月
月旅行
テ
ディアボロス
DMZ
DW
DDoSアタック
DNA情報はメディアにコピーできる
ディーモン
データセンター
デコイ
デザイナーズドラッグ
デストルド
デフラグ
テロ
テロリスト
伝説のハッカー
電脳
ト
特異点
DoSアタック
ドッペルゲンガー
トランスミッター
トリプルエー
トロイの木馬
ドロー
Keyword:タ
ターゲッティング:targeting
原義は“標的として定める”。
ハッキング/クラッキングをしかける対象(ターゲット)サーバを源泉し、その情報を集める行為。
スキャンやアタックの前に、必要な手順。
体内時計:biological clock
多くの動物は、頭脳に時を計測する“時計”を有する。
人間の体内時計は、約25時間サイクル。
強い光が、視神経から視床下部の視交叉上核に到達すると、松果体に信号が送られ、松果体は14時間後に睡眠を誘発する『時計ホル モン』メラトニンを放出する。
これによって体内時計を約1時間早め、われわれは地球の太陽日である24時間サイクルに適応している。
太陽日とずれているのは、月の周期である太陰日(24.8時間)にシンクロしていると考えるのが自然。
⇒バイオタイド
タイムスタンプ:time-stamp
1)郵便物に日付をおすためのハンコのこと。
2)ネット用語で、ある行動がいつ行われたのか、ファイルに秒単位まで保存されている、その時間記録データのこと。
これを改竄して時間をさかのぼらせ、期限切れになったパスワードを再使用するという不法侵入は、一般的なハッキングの手口。
タキメーター:Tachymeter
正確にはタキプロダクトメーター(Tachproductmeter。速度計)。
クロノグラフの文字盤の外周にセットされた、車などの平均時速を知ることができる目盛のこと。
クロノグラフで、1kmを難病で移動したかを計測し(最大60秒)、その計測秒数の横にある数値が、平均時速をあらわしている。
自動車についている回転系のタコメーター(Tachometer)とは、目的も語源も一緒である。
多世界解釈:Many-worlds interpretation:MWI
別名:エヴェレット解釈。
量子論のメインストリームである「観測したときに波動関数が収束する(現象が決定される)」という考え(コペンハーゲン解釈)に対抗す る別の解釈。
物理学者ヒュー・エヴェレットが、1957年、まだプリンストン大学の大学院生であった頃に博士論文で発表した概念。
のちに、ブライス・エウィットによって発展され、多世界解釈と名付けられる。
観測された量子は、ひとつに収束するのではなく、すべての可能性に分岐して並列的に存在するという考え方。
量子の可能な姿だけ世界が実在する──簡単に言えば、宇宙が枝分かれしていくということ。
いわゆる平行世界。
「シュレディンガーの猫」を例にあげるなら、コペンハーゲン解釈では、観測者が観測するまで(観測者にとっては)猫は「死んでいる状態 」と「生きている状態」とが重ね合わさっており、観測した段階でどちらかに定められる。
逆に、多世界解釈では、観測した段階で「猫が生きている世界」と「猫が死んでいる世界」とに分岐してしてしまう。
ただし観測者には、自身の所属しない「分岐したもう一方の世界」は知覚できない。
なお、この解釈で述べているのは、あくまで『概念』であって、「実際に多世界がある」という理論ではない。
多層世界仮説:Multileyer World hypothesis
われわれの住む(意識する)現実世界の次元の超えたところに、さらに上位の世界があり、その上にもさらに……という考えから。
逆に、われわれの世界の下層にも、無限に世界が連なっている。
仏教用語で言うところの『三千大千世界』に近い。
通称:MW仮説。
タナトス:Thanatos
1)ギリシア神話の死の神。
2)心理学用語で死への本能、衝動。エロスの対立概念。
3)ネット上の英雄《He》の存在意義にしてトラウマ。
ダブル:double
英語で“二重”あるいは“二倍”であること。
1)演劇において、一人二役であること。
2)映画において、役者の身代わりとなるスタントマンのこと。代役。
3)二重スパイ。
4)生き写しな人。生き霊。ドッペルゲンガー。
5)双子。双生児は互いに、相手が自分のダブルである。
タロットカード:Tarot
大アルカナ22枚、小アルカナ56枚からなる、計78枚のカード・セット。
もともとは、14世紀イタリアで流行したタロック(tarocco)というゲームをプレイするために使用されていた。
現在では占い用のカードとして知られており、アルカナ(Arcna)とはラテン語で『秘密・神秘』を意味する。
各カードにはそれぞれ意味があり、逆位置に置かれると意味が弱まったり逆転したりする。
大アルカナは、I~XXIまでの21枚と、愚者と呼ばれる無番号のカードで構成されている。
一般的に『タロット占い』というと、この大アルカナを用いた『ケルト十字法』や『ヘキサグラム法』などが有名。
小アルカナは、四大元素の象徴である権・金貨・聖杯・混紡の4つのスートから成り、それぞれ10枚の数札と、4枚のコートカード(絵札: キング、クイーン、ナイト、ページ)がある。
小アルカナのナイトとペイジを合わせてジャックとした52枚に、大アルカナの愚者を加えた53枚が現在のトランプの原型となっている。
タンムーズ:Tammuz
バビロニア神話の穀物神。
豊穣の女神イシュタルの配偶神でもある。名は『誠実な息子』の意。
シュメールではドゥムジと呼ばれた。
ギリシア神話には美少年アドニスとして取り入れられた。
Keyword:チ
チェシャー猫
ルイス・キャロルの小説『不思議の国のアリス』に登場する奇妙な猫。
いつも笑い顔で、自分の姿を消すことができる。
アリスト少し会話を交わしたあと、突然姿を消したり表したりしたので『そんなにひょっくり姿を出したり消したりしないで』とアリスが頼んだ 。
するとしっぽの先からゆっくりと姿を消し、最後には『笑い声だけ』が残り、『猫のいない猫笑い』という状態になった。
父と娘の再開
篠塚博士のいるフランシスコでは、15日20次11分──午後8時11分。
真佑実のいる日本では、05月16日13時11分──午後1時11分の出来事。
なお、アイゼーア少年のいるニューヨークでは、西暦2022年05月15日23時11分──午後11時11分である。
窒素ガス:nitrogen
無味無臭の気体。待機の成分の多くを占める。
生物のたんぱく質の主成分。燃焼活動に関与しないため、閉鎖された空間に対する消化物質として使用される。
ただしその噴射には、生物が居ないことが前提となる。
万が一生物が居た場合、文字通り“窒息”して死に至る。
チャット:Chat
原義は『おしゃべり』。コンピュータ用語では、相互にリアルタイムに文章を送り合うシステムだった。
のちに実際にしゃべる音声を送る(つまり電話のような)ボイスチャットになり、さらに相互にビデオカメラで二次元映像まで送る(テレビ 電話のような)ビデオチャットに発展した。
チューリング:Turing
1)イギリスのアラン・チューリングのこと。
2)チューリングテスト。アラン・チューリングが考案したAIテストの事。相手が誰かわからない状態で何人もがAIと何度も会話を試み、常 に相手がAIを人間と思えば、そのAIは真に知性を備えている(自立的に考えている)と認識できるという概念。
3)チューリングマシン。無限の計算能力をもつとされる。仮想の機械。
超自我:Superego
ドイツ語ではウーバーイッヒ。
ユングの考えた心理学用語。トラウマや本能など、自分自身の意思を上回る強制力で、その人の感情や行動を規制するもの。
潮汐力:Tidal force
地表の物体は、月に面した側では地球の自転による遠心力よりも引力が大きくなるので、月に引き寄せられる。
反対側ではじてんによる遠心力が強くはたらくので、逆に月から離れようとする。
したがって、その両極で満潮が、そこから90°離れた最も引力と遠心力の差が少ない場所で干潮が起こる。
太陽の引力による影響を太陽潮、月によるものを大陰潮と言う。
質量の大きい太陽のほうが引力自体は大きいものの距離があるため、地球には大陰潮とのほうが、より強くはたらく。
Keyword:ツ
月:moon
地球唯一の固有衛星。
他の惑星の衛星も“月”と称することがある。
例:『フォボスとダイモスは火星の月である』
変化するもの(不安定なもの)の象徴として、不変の象徴(両極の象徴)。
月と語源を同じくする言葉に『付き』『憑き』がある。
月旅行:lunar excursion
宇宙飛行士と一部の階級のみの特権。
Keyword:テ
ディアボロス:diabolos
原義はイタリア語の“非難する”。転じて悪魔(devil)。
ガルウィングのスーパースポーツカー。
DMZ
非武装地帯(DeMilitarized Zone)。
本来は戦争の休戦区、中立区をさしていた。
ネット上では、ファイヤーウォールに守られていないコンピュータ群を指す。
完全なセキュリティはあらゆる情報を通さない。
しかしそれでは、自由な情報のやり取りができない。
したがって、セキュリティ上問題ない(とされる)ローカル・ネットワークでは、互いにDMZ状態になっていることが多い。
また同一のファイヤーウォール内のネットワークは、DMZにならざるを得ない。
ハッカーやクラッカーは、本来セキュリティが厳し相手でも、DMZ化して攻略することがある。
なお《バビロン》では、ゲート前のエリアが非武装地帯となっており、通常ならPKはもちろんNPC(敵キャラ)からも攻撃されない。
DW
このDとWの由来が《ドロー/DlroW》からきているというのはご想像のとおり。
余談だが、Dはアルファベットの第4文字(A、B、C、D……)、Wはアルファベットの第23文字(……W、X、Y、Z)。
実は、DとWはそれぞれ(最初もしくは最後から数えて)4番目の文字なのである。
これも一種の鏡像の関係といえるのかもしれない。
DDoSアタック:ディードスアタック
分散サービス妨害アタック(Distribute Denial Of Sevice Attack)。
DoSアタックの一種。多数の第三者のマシンにゾンビを仕掛けて踏み台にし、そこから一気にターゲットに攻撃をかける。
DNA情報はメディアにコピーできる
ヒトゲノムプロジェクトにより、30億個あるDNA塩基配列はすべて解明された。
DNA塩基がAGCTの4種類あることは広く知られているとおりだが、これはつまり、1塩基あたり2ビットの情報をもってりうということだ。
したがって、デジタル情報では全部で60億ビットとなり、バイト(1バイトは8ビット)単位で表すと約7.5億バイトの情報量となる。
およそ715MB。
CD1枚の記憶容量は700MBであるから、そこまでは少々無理でも、DVD(4.5GB)以上のメディアなら楽々収まってしまうのだ。
ディーモン:deamon
ギリシア語ほんrないの意味では、“神霊”や“運命”のこと。
ユダヤ/キリスト教の文脈では、これが“悪霊”へと意味が変質する。
ネット用語では、サーバ上で動いているアプリケーションのこと。
通常はある条件が出るまで眠っており、フラグが立つと同時に起動して、裏で対応に当たる自立型ソフトウェア。
デーモン(demon)とも。
データセンター
正しくはインターネット・データ・センター(internet data center)。
略してIDC。
顧客のサーバを預かり、インターネットへの接続回線や保守・運用サービスなどを提供する施設。
災害や犯罪に備えて、空調、耐震性、耐火性、高度なセキュリティなどを備えている。
デコイ:Decoy
原義はオランダ語で『カモの籠』。
本来はカモをおびき寄せる池、またはオトリ役の飼い慣らされたカモや、その模型などの罠を指した。
転じて『オトリ』や『誘惑するもの』の意味となる。
軍事用語では、敵をおびき寄せたり、その狙いを誤らせたりするために使うオトリ。
デザイナーズドラッグ:designer's drug
既存の薬物の化学構造を人為的に改変した、新しい薬物。
民間では、単独では作用のない(または弱い)物質を混ぜ合わせ、総合的に目的の作用(幻覚など)を起こすよう調整したもの。
医学的には、既存薬の副作用を解消するためにおこなわれる方法。
デストルド:Destrudo
ドイツ語。
1)心理学における『死への本能』のこと。自己破壊衝動。極限にまで高まると、自殺という結果が待っている。生命体にとって、種族保存 本能は自己保存本能より上位にあり、種族保存ができそうにもなく、また種族繁栄に寄与していないと深く感じると、自己抹殺命令がく だるわけである。
2)経口デザイナーズドラッグの名称。脳の奥底にあるタナトス(死への衝動)を刺激することで、快感を与える。この作用が、サイバーウ ェアの副作用の抑制に効果があるとされる。摂取しすぎると、自己破壊欲求が急激に高まり、やがては自殺へ繋がる。
デフラグ:defragmentation
正確には、デフラグメンテーション。断片化(フラグメンテーション)したコンピュータ内のメモリを、正しい形で連続させなおすこと。
イメージ的には、バラバラになったジグソーパズルのピースを、正しく組み直すことに近い。
デフラグがうまくいくと、コンピュータのパフォーマンスは回復する。
余談だが、プレイヤーの目的も、断片化された情報をデフラグして真相を解き明かすこと、となるわけである。
テロ:terrorism
テロリズム。原義は“恐怖主義”。
恐怖を植え付けることによって、相手を支配しようとする思想、行動、政治。
第二次世界大戦以降、戦争のテロ化が進み、またテロが戦争を引き起こすようになった。
テロリスト:terrorisut
テロの実行者。
伝説のハッカー
その名前は、2032年を遡ること10年前──2022年頃から発生。
超越的能力を誇るスーパーハッカー。
本名どころか、あらゆるプロフィールが不明の謎の人物。
ゆえに、『彼(He)』と呼ばれている。
コンピュータ、ないしはネットワーク関連のことで《彼》にできないことは存在しない、とまで言われている。
2032年現在、あらゆるものがネットにつながっているこの世界においては、まさに神そのものといえるのかもしれない。
彼が起こしたという『奇跡』のエピsーオードは数知れない。
例えば、絶対に進入不可とされる軍部のサーバに侵入し、機密データを盗み出したとか(これによって戦争が未然に防がれたとかも)。
例えば、ある犯罪組織の所持していたネットワークシステムを次々とクラッシュさせ、壊滅的な被害を与えたのだとか。
そんな荒唐無稽な話の中には、1990年01月15日に米国で発生した大規模な電話回線システムのクラッシュは彼の仕業だ、というものま である始末。
また、全世界の人々はいつも、カメラや軌道衛生……ネットに繋がれたあらゆる視覚装置を通じてHeに見守られているそうだ。
だからこそ窮地を察してすぐに駆けつけてくれるのだ、と。
このように、さまざまな形で神格化されている人物だが、あまりに神出鬼没で、その痕跡をまったく残さないため、実在すらも疑われてい る。
つまりは、あくまで都市伝説の中の人物だった。
電脳:biocomputer 正しくは生体電脳。
1)脳生理物理学者ジョン・C・リリーなどが提唱した、頭脳をコンピュータとしてあつかう理論。脳を外部からプログラムする方法が考案さ れていた。
2)人間の頭脳にマイクロ・コンピュータを外科的に埋め込んで互いに結線し、頭脳とコンピュータのあいだで、情報をインプット/アウトプ ット出来る様にしたもの。
無線/有線リンクで、外部の情報ネットワークとも接続できる。インプットではネットの情報を、視神経や聴神経に、直接送り込む。
アウトプットは脳の言語野につながれており、思考しるだけで、ネットを経由した相手にメッセージが伝わる。
電脳化手術の難易度は高いが、決して不可能ではない。
ただし日本では認可されておらず、闇医者や海外でおこなう必要があり、莫大な費用がかかる。
拒絶反応や、精神に異常をきたすなどで、最悪の場合は死に至るため、それらの副作用を薬物などで緩和する必要がある。
Keyword:ト
特異点:singularity
一般相対性理論を始めとする、あらゆる物理法則が適用不能な部分のこと。その総称。
あるいは、曲線や曲面上において、その点の接戦や接平面が存在しなかったり、ふたつ以上あったりする部分。
例えば、南極と北極の易怒は90度である。
だが経度は、すべての経度線が極に集まるので定義できない。
また、宇宙論における特異点とは、ブラックホールに落ち込んだ物質が最後に辿り着く、密度が無限大の点である。
その様子は現在の物理学では知ることができない。
物理学者スティーヴン・ホーキングによれば、虚時間(その時間同士をかけるとマイナスになる時間)という概念の存在を仮定するならば 、宇宙の特異点を具体的に説明可能なのだという。
DoSアタック:ドスアタック
サービス妨害アタック(Denial Of Severvice Attack)。
1つのサーバに一気に大量のデータを送ることによって、その機能を停止させてしまう不正な攻撃。
アタックでなくても、災害時などで一度に多くのアクセスが一箇所に集中したとき、事故として同じ現象が起きる。
→DDoSアタック
ドッペルゲンガー:Doppelganger
原義はドイツ語で“二重に出歩くもの”。英語ではダブルとも。
同一人物が二箇所に同時存在する現象。
神や聖者の伝説では、同時存在(分身)はその神性の証であった。
自分のドッペルゲンガーを見る“自己像幻視”は、魂が抜け出ているため、近く死が訪れる前触れだという俗説がある。
実際には、脳内にある身体地図を参照する部分が、機能不全を起こしている。
ネット上では、特定の人物のデータが何らかの原因でゴースト化してさまよっているとき、その人物がネット上にログインする、ドッペルゲ ンガーまたは“二重ログイン”としてシステムにエラーが起きる。
そうしたエラーではなく、みずから複数の分身を使いこなすユーザもいる。
トランスミッター:trasnsmitter
送信機。通信・放送などの信号を、外部にある受信機に送り出す装置。
トリプルエー
かつてゲームセンターの全盛時に囁かれた、超テク・ゲーマーの伝説。
『トリプルエー』は日本中、どこのゲームセンターにでも神出鬼没に現れ、ハイスコアを叩き出しては去っていくという。
ただし実際には、多くのプレイヤーがハイスコアの名前を記入する際、めんどくさがって決定ボタンを連打すると『AAA』となるからに過ぎ なかった。
トロイの木馬:Trojan horse
1)トロイ戦争のとき、難攻不落のトルコの要塞都市トロイを落とす際、ギリシア勢が使った作戦。ギリシア勢は降伏すると見せかけて、海神ポセイドンに捧げる巨大な木馬をトロイに送った。
神聖なる供物を粗末にすることもできず、勝利に沸き立ったトロイは、それを城内に入れてしまう。
しかし木馬の中にはたくさんのギリシア兵が隠れており、内外の呼応する攻撃によってトロイは攻略されてしまった。
2)古典的なアタック法。単にトロージャンとも。
パスワードを要求するシステムに『パスワードが間違っています』というメッセージをしかけ、ユーザの打ち直しを要求し、その前後にパスワードを奪取する。その発展型として、他人のシステムを乗っ取ってしまうソフトウェアのこともさす。
ドロー:DlroW
《バビロン》上のシャドウたる妖精レムに、ひたすら思慕を寄せるユーザたちの非公認ブループ。
Keyword:ナ
目次
ナ
ナノオラクル
ナブー
ニ
二元論
ニンギルス
ヌ
ヌル
ネ
ネットワーク
ネルガル
ノ
脳内快楽物質
脳内地図
ノード
Keyword:ナ
ナノオラクル:Nano oracle
サイバーウェアの人体不適合による副作用を緩和するために《エクサーク》社によって開発された医薬品。
製品名は『微小な信託』という意味。最近はやりのデザイナーズドラッグ《デストルド/リビド》と成分的に似通った部分がある、という指摘 がある。
ナブー:Nabu
彗星を司るバビロニアの書記神。知恵と文字と魔術の神。
主神マルドゥークの子。
信仰の中心地はバビロン近郊の姉妹都市ボルシッパ。
カルデア人による占星術国家の新バビロニアでは、創始者を始め偉大なる3人の王がナブーから名をもらったため、厚く信仰され、父を 超える権威を得た。
Keyword:ニ
二元論
万物は、究極的には二つの物から成り立つという考えかた。
この二つの根本原理によって、実存(実際に存在するということ)を証明する方法。
通常それは精神と物体とされるが、魂と肉体、神性と人性、善と悪、陰と陽などとされることもある。
コンピュータは0と1の(二進数)、人間は遺伝子とミームの二元論によって成立している。
ニンギルス:Ningirsu
都市国家ラガシュで崇拝されたシュメールの戦神。
ティグリス河を支配下に置く、漑灌漑農法の神でもあった。
バビロニア神話ではニヌルタと同一視されている。
その姿はしばしば有翼の人間で表される。その聖獣は毒蛇ムシュフシュ。
ヌ
ヌル:null
ラテン語で“0”という意味。
ヌル・ポインタとは、演算の指定先(ポインタ)が存在しないことを意味し、しばしばプログラム暴走の原因となる。
しかし、暴走したからといってマシンを殴ってはいけません。
Keyword:ネ
ネットワーク:network
都市部では、ハイブリッド光ファイバによる高速かつ超大容量転送(10TBPS)の可能な通信インフラが、ほぼ完全に整備されている。
人の集まる場所には当たり前のように無線LANアクセスポイントが配置され、かつての公衆電話のように、光ファイバのジャック(公衆ジ ャック)が設置されている。
電気・水道・電話といった公共設備や、家屋やビルや街のセキュリティ、防災システム、医療システム、交通システム、家電の制御、顧 客の管理、生徒の管理、市民の管理など、すべてがネットに繋げられ、コンピュータ管理されている。
人々はもはや、コンピュータを操作するという意識を強く持たず、自然に利用するに至っている。
携帯電話もまた、簡易のアクセス端末と化している。
キャッシュを用いることは少なく、ほとんどは電子マネーで決済される。
ネルガル:Nergal
火星を司るバビロニアの牧畜・農耕神、のちに冥界と疫病のの神の名前。
Keyword:ノ
脳内快楽物質
ドーパミンやエンドルフィンなど。
脳内物質とも呼ばれるが、麻薬よりは分解が早い。
スポーツをしたあとの爽快感や、芸術に対する感動など、人間が自然に快感を味わうときに分泌されるホルモンまたは神経伝達物質の こと。
鎮痛・鎮静効果があり、人々はこれによって安堵する。
ひとつの作業に対し夢中になる度合いが高いほど分泌量も増え、人はこの『安堵感』を求めて、同じ作業に没頭するようになる。
脳内地図
人間の脳は、世界をポリゴンのような3次元構造物として、感知/記憶していない。
さまざまな地図として記憶している。
身の回りのことは『世界地図』、自分の体のことは『身体地図』などという具合。
たとえば事故で腕を失っても、身体地図が書き換えられていないと、古い地図を参照して、失った腕を感じる幻肢(phantom limb)という 現象が起きる。
また乖離の起き方によっては、自分の身体地図を外部から見ることになり、結果としてドッペルゲンガーを見ることになる。
ノード:node
結節点。
インターネットに接続されている端末や機器。
ネットワークを中継するもの全般。
コンピュータや、コンピュータおよび周辺機器を接続するハブ(hub 集線装置)のこと。
Keyword:ハ
目次
ハ
バーサーク
バイオタイド
バイオメトリクス認証
バグ
バタフライ効果
ハッカー
ハッキング
バックドア
バックファイア
パッチ
バビロン
パン
ハンドル
ヒ
He
PK
BBS
ビデオチャット
100匹目の猿
ピン
ピンガー
フ
ファイアーウォール
フィンガープリンティング
フェアリー
フォークト=カンプフ
二叉河
ふたりの死神
物理における対称性
踏み台
ブラウザ
フラウロス
フラグメンテーション
ブラクラ
ブラックハット
ブルートフォース
不老不死
ブログ
プロクシ
ヘ
ヘテロクロミア
ホ
母胎
ほぼ独占
ホログラム
ホログラムチャット
ホログラムで投影された
ホワイトハット
ポン
Keyword:ハ
バーサーク:Berserk
1)北欧神話の狂戦士ベルセルクの英語読み。口から泡を吹き、獣のように噛みつき、敵味方区別なく攻撃を仕掛ける。
毛皮のマントだけの裸でも、炎や鋼鉄によって、傷つけることはできないとされた。
ただしこれは戦闘時に激情にかられた場合であり、この状態が過ぎると、逆に脆弱になる。
2)デザイナーズドラッグ《リビド》の別名。
バイオタイド:biological tide
生物学的な潮汐。生体潮汐。
アーノルド.L.リーバー医学博士によって提唱された、天体の引力が人間にも影響を与えているという理論。
海水が退いたり満ちたりするように、人体の約80%を構成する水もまた、同様に影響される。
天体からの月の引力が最大になるのは(大潮)、月と太陽が同じ方向になる満月・新月だた、実際暴力的な犯罪が増す、妊婦の出産が 増えるなど、統計的に有意な結果が出ている。
これは『月夜に変身する狼男』伝説の、ひとつの根拠ともなっている。
月食(満月時にのみ起きる)・日蝕(新月時にのみ起きる)では完全に月と太陽が並ぶので、効果は最大値になる。
逆に太陽と月の位置が直角となり、引力が最小となる(小潮)半月前後では、うっかりミスによる交通事故が増える。
それだけ緊張感が弱まるのである。
引力効果的には満月と新月では変わらないはずだが、意味論的に違いが生じるのは『天空で煌々と輝いている』か『まったく見えなくな る』かという、視覚による心理作用が大きい。
空が曇って実際に月が見えなくても、新月と満月では約15日の間隔があり、その過程で徐々に欠けたり満ちたりする月が見えているの で、われわれは“心の目”で、それが新月なのか満月なのか、満ちているのか欠けているのかを認識できる。
すべての生物がバイオタイドの影響を受けるわけではないのに、人間が比較的強く影響される背景には、進化の問題があるかもしれな い。
一般に人類はサバンナで進化したとされるが、海辺で進化したという『アクア説』がある。
水中出産すると、生まれてきたばかりの赤ん坊がしっかり泳ぐなど、『アクア説』を補強する材料も多い。
⇒体内時計
バイオメトリクス認証:biometrics recognition
指紋、掌紋、網膜紋、手の甲の血管、DNA、声紋、署名筆跡など、生体(および、その派生物)の一部を識別し、本人かどうか調べるシ ステム。
特定の場所を施錠/解錠する際のコードとなる。
⇒フィンガープリンティング
バイオメトリクス認証が発達したことにより、対象の人体の一部を切断して使用するなど、強盗の手口が残虐化すると指摘する有識者も 居る。
当局は、認証に使用された人体が生存しているかどうかの識別、読み取りの際に検出する方法を検討している。
バグ:bug
1)虫
2)虫食い、虫食い穴
3)虫食い穴が空いたように、プログラムに欠陥があること。バグのないプログラムはありえないが、ユーザにとってはそれでは困る。
よって、発売後に見つかったバグにはパッチ・ファイルなどを公開し、修正に当たるのが常道。
バタフライ効果:Butteflly effect
蝶のはばたきほどの変化で大きく結果が変わってしまうという、カオス理論を端的に述べたたとえのこと。
すなわち、風が吹けば桶屋が儲かる。
『リオデジャネイロで蝶が羽ばたくと、数週間後にテキサスで竜巻が起こる』等、さまざまなバリエーションがある。
ハッカー:hacker
本来はテクノロジー。特にコンピュータの天才を指す用語。
テクノロジーの限界を見極めることに至上の喜びを持つ。
したがって、難攻不落のネット・セキュリティを突破することは大好きだが、そのシステム自体を破壊することはない。
コンピュータ世界のあくなき冒険者であり、探求者。
思想的には“知的財産の解放論者”であり、たとえばコピーできる技術があるのに、企業の利益のためにそれをさせないのは、間違って いると考える。
一般では、ハッカーとクラッカーの区別がつかなくなっているが、ハッカー自身はクラッカーと同列視されることを極端に嫌がる(か、そう いう連中を相手にしない)。
実際ハッカーとクラッカーの違いは、悪用出来る技術を『使用するかしないか』、あるいは『正しい目的によって使い分けるか』などの、心 理的/道徳的な部分に由来し、能力に由来するものではない。
真のハッカーのメンタリティでは、自分のしていることを悪用するなど、考えつきもしない。
したがって、真のハッカーは居なくなって久しいとも言われる。
クラッカーは実利主義的で破壊的だが、ハッカーはそういうものを求めない。
ただただコンピュータの真実と可能性を追い求める。
ハッカーはしばしばウィザードすなわち“魔法使い”と称されるが、これはつまり白魔術と黒魔術の闘争/歴史観に一致する。
ハッキング:hacking
ハッカーが、コンピュータに関して新しい道を見つけること。
転じて、ワザ/超テクを仕掛けること。
バックドア:backdoor
1)裏口。秘密の手段。不法の。
2)ハッカーやクラッカーが、一度侵入に成功したサーバに仕掛ける専用侵入口。
2度目以降の侵入がスムーズになる。
ウイルスの中にも、侵入の際にバックドアを残すタイプがある。
対応としては、ソフトウェアやOSの再インストールが必要。
バックファイア:backfire
逆火、逆発。逆動。向かい日。
本来は車のエンジンなど内燃機関で、シリンダー内で爆発すべき炎が、それ以前の吸気部分などに逆流すること。
転じて中の銃身内暴発。またより一般的に、物事が裏目に出ることを意味する。
ネットワークの文脈で使われる場合、本来別の対象に向かって放つべき行動が、自分に対してダメージを伴う形で跳ね返されることを意 味している。
パッチ:Pach
1)修理や補強のための“つぎはぎ”または“つぎを当てる”。
2)バグ・不備・動作不良のあるソフトウェアに対して、応急修理的にそれを補填するようなプログラムを追加すること。
“パッチを当てる”と表現。
バビロン:Babylon
アッカド語のバブ・イルすなわち“神の門”から派生。
1)ユーフラテス川の東岸にあった、古代メソポタミアの都市バベルの形容詞形。またはそこから発展したバビロニア帝国。
2)栄華と腐敗に満ちた国のこと。
3)MMORPG(Massively Mutiplayer Online Role Playing Game)のひとつ。キャッチコピーは『リアルには存在しない。もうひとつのリアル』
プレイヤーは自作した自分の分身(シャドウ)を通して、住人となったり英雄となったりする。
他の多くのオンラインRPGがファンタジーやSF世界での冒険であるのに対し、バビロンは現実と瓜二つの世界を舞台としている。
異なるのは、スリルとサスペンス、逸楽と背徳に満ちた世界であるということ。
警察の能力を凌駕するほど、様々な犯罪がはびこり、自衛のため、住人には銃や刀の所持が許されるようになっている。
あまりにリアルで生々しく、それでいて暴力的なこのゲームは、マスコミから『より一層現実とゲームの区別がつかなくなり、犯罪を助長 する』と激しく非難された。
それによって逆にユーザの熱はあおられ、カルト的なほどに、グロテスクなまでに、異常な盛り上がりを見せた。
ある批評家は『《バビロン》は起きて見る夢である》』とさえ言った。
《バビロン》を創造し、管理する組織が《アヌンナキ》である。
パン:pan
全景または回転画をあらわすパノラマ(panorama)の短縮形。
撮影技法のひとつで、パノラマ効果を得るために、カメラ位置を一箇所に固定し、左右または上下に首振りさせること。
ハンドル:handle
英語。原意は“操る”。
1)自動車や単車の操縦桿。正確にはステアリング(Steering)。
2)ネット上で名乗る偽名。年齢や性別まで詐称する者も居る。
Keyword:ヒ
He
1)キリスト教の神(直接その名を言うのを、はばかられる存在)
2)閣下(His Excellency)。正確にはエイチイー。
3)高性能爆薬(High Explosive)。TNTなど。正確にはエイチイー。
4)三人称である『彼』という意から、転じて第三者。
5)ネット上に存在する都市伝説的な仮想英雄。
⇒伝説のハッカー
PK:ピーケー
1)Penalty Kick。ペナルティ・キック。サーーカーの反則のひとつで、キーパーと1対1でボールを蹴る権利を得る。
2)Psychokinesis。サイコキネシス。念動力。
3)Probability of kill。プロバビリティ・オヴ・キル。軍事用語で、破壊確率。
4)Player killer。プレイヤー・キラーの略。他プレイヤーの殺害を狙う行為。またはその人。
BBS
電子掲示板(Bulletin board system [service])。
インターネット上のホームページで、特定の話題について不特定多数のアクセス者が意見を書き込めるようにしたもの。
掲示板が本来の話題から遠くかけ離れたり、誹謗中傷が書き込まれる状態を『場が荒れる』と表現する。
ビデオチャット:bvideo chat
コンピュータ経由で、相互にビデオカメラで音声と音声と動画をリアルタイムで送りあい、テレビ電話のように会話ができるシステム。
初期のビデオチャットでは、自分自身の映像がそのまま流れたが、現在では映画やCGのモーションキャプチャーやモーフィングの技術 が応用され、自分の選んだ/描いたキャラクターが本人の動きに合わせて表情を出すこともできる。
または背景や音などの自動編集で、自分にとって不適切な情報を相手に流さないこともできる。
100匹目の猿:Hundredth monky phenomenon
この現象は、ライアル・ワトソン博士の著書で広く知れ渡る。
発表から数年後、この話は捏造であり、事実としてワトソンの言うような現象はなかった、というのが定説となった。
ところが2010年の実験で有意義な結果が出てから見直され始め、実際に起こりえるのだ、という考えが徐々に広まっていく。
2032年現在では、まったくの虚偽である、という説の方が異端になるまでに至った。
ひょっとして、これもまた『100匹目の猿』が発現した結果なのだろうか?
余談だが、最初にイモを海水で洗うことを発明したサルの天才は、観測者たちから『イモ/ImO』という名で呼ばれていたそうだ。
ピン:ping
本来は、玉/弾が剛体に当たったときの擬音。
1)潜水艦のアクティヴ・ソナーを発振すること。『ピンを打つ』とも言う。
2)ネットワーク上では、リンク先に仮想されるシステムに対して、それが存在するかどうか確かめるために信号を送ることを『ピンを打つ』 と言う。ピンを打った先に有効なシステムがあった場合、反応(ポン)が返ってくる。
つまりピンを打つとは『きみはそこにいるのか? ぼくはここにいる』という、互いの存在確認である。
反応が返ってこない場合、状況によって相手のシステムが『死んでる』『落ちてる』『ファイヤーウォールに呑み込まれた』などと表現する 。
ポンの返りが遅いときは、相手のシステムが『重い』『腐ってる』などと言う。
ハッカーたちは『ピン打っても、返事はナシだしぃ』などのように、これを日常用語として応用して使う。
このピンを短時間に無限に打ち込み、相手のシステムをダウンさせてしまうのがDoSアタック、DDoSアタックの代表的な方法。
ピンガー:pinger
1)アクティヴ・ソナーにおける“音響発信装置”のこと。
2)ピンを打つソフトウェア。
Keyword:フ
ファイアーウォール:firewall
原義は“防火壁”。転じて“火炎の壁”。
ネット上では、ネットにつながった個々のコンピュータを守る、セキュリティ上の壁。
何を通すか通さないか決めるフィルターである。
サーバや、ネットワークを分割管理するルータで構成される。
フィンガープリンティング
1)指紋採取。犯罪捜査などにも使用される基本的なバイオメトリクス認証法。
2)事前ハッキングで、相手のシステム情報を探る(サーチ)行為の代表。そのシステム特有の反応を見分けて、マシンやソフトウェアの 機種ややヴァージョンを探る。それらが特定できれば、アタックに有用な情報となる。
フェアリー:fairy
語源的には、ラテン語の“運命:fata”の形容詞系に由来する。
1)妖精、または妖精の国。
2)現実世界に近いオンラインRPG《バビロン》において、低確率で発生するとされている妖精型シャドウ。開発の初期の段階から、その 目撃例は後を絶たない。発生条件は公開されていない。現在、レムという個体が確認されている。
フォークト=カンプフ:Voight-kampff
対象となる相手が生身の人間か、プログラムされた人間か、プログラムされた擬似人格かを鑑定する検査に使用する検査器具、また は検査そのもの。VKテストとも。
モニタに被験者の瞳孔が映し出され、相手の感情を刺激する言葉を与えて、その反応を見る。
擬似人格は感情の反応速度が人間のそれとはコンマ何秒かの遅れが生じる。
二叉河:ふたまたがわ
この世とあの夜が分岐する黄泉の世界に続くという伝説がある、武蔵野の河。近くに同名の高等学校がある。
ふたりの死神
元《アヌンナキ》の死神ふたりのことであり、二丁の獲物のことでもある。
物理における対称性
物質と反対の存在として、反物質(antimatter)が存在する。
核と電子の反粒子、すなわち反核と陽電子とで構成される。
このふたつの物質は正反対の性質であり、ともに発生し、ともに消える(対発生・対消滅)。
時間を軸に考えると、物質と逆の時間が流れているのが反物質ということになり、時間の面でも対称性が保たれている。
踏み台:ふみだい
ハッカーやクラッカーが、時分の身元を隠すために経由する、第三者のシステム。
そういう意味では被害者であるが、アタックされたターゲットには加害者に見える。
踏み台をいくつも経由すると身元はばれにくくなる反面、反応速度が鈍る。
ブラウザ:Browser
ブラウズの語源は『新芽・つぼみ』にあり、元来は『家畜や鹿などが新芽を食べる』という意味。
それが拾い読み/立ち読みやウィンドウショッピングの意味に転用された。
ネットワークの文脈では、ネットに落ちているさまざまなコンテンツを、観て歩くこと。
ブラウザはブラウズの人称名刺で、ネットワークのコンテンツを一定の規格にしたがって、表示(主に視覚で)してくれる基本的で無くては ならないソフトウェアのこと。
フラウロス:Flauros
女性の意。
ソロモン王72柱の魔神のひとつ。
予言を好むが大変な嘘つき。幻影の炎を操り、悪霊を使役する。
豹公の異名の通りのまま姿。
ときに燃え盛る目をした男だが、正体は名の意味と猫の属性が占めすように女性。
対になるアンドラスとの関連から、北欧神話の美の女神フレイヤと考えられる。
フラグメンテーション:fragmentation
断片化。フラグメンテーションとは、コンピュータの記憶領域(ハードディスクなど)で、本来連続して記録されているべき情報が“断片化” されて分散記録され(て、そのあいだがリンクされ)ている状況。
フラグメンテーションが進むとリンク部分で誤動作が起きるなどして、コンピュータのパフォーマンスが落ち、ひどい場合はシステム・ダウ ンして機能しなくなる。
ブラクラ:Browser Crasher
ブラウザ・クラッシャー。
誤情報を送ったり過負荷をかけたりして、ブラウザを破壊/誤動作させ、ネット内(やユーザのコンピュータ内)の情報を正しく読み取れな くしてしまうスパム行為をする人物、またはそのソフトウェア。
場合によっては、ブラウザからユーザのコンピュータにまで侵入して、破壊の度合いを広げるものもある。
ブラックハット:black hat
黒い帽子。
1)西部劇の悪漢のこと。
2)ネット上ではクラッカーのこと。
ブルートフォース:blute force
力づく。通常、手当たり次第にパスワードを当てはめて、手数で攻略するアタック方法。
相手が類推可能、あるいは単純なパスワードを使用していた場合、非常に有効な戦術となる。
多少複雑なパスワードの場合、時間がかかり、ハッキングを感知されやすくなるのが難点。
不老不死:immortality
古来、王者は時分の栄華が永遠に続くことを願って、不老不死の秘策を探し求めた。
エジプトのミイラ、オリエントから西方社会における錬金術、中国の錬丹術など、その事例は枚挙に暇がない。
世界最古の叙事詩と言われる『ギルガメシュ叙事詩』にも不老不死の概念は出てくる。
親友エンキドゥを失った、都市国家ウルクの王にして英雄ギルガメシュは、不死を探す旅に出るが、あわやというところで手に入れそこ なう。
神々から選ばれたもののみが、それを手に入れられるのだという。
現代では『コンピュータ上にデータとして構築した人格は、不老不死を得たことになるのだろうか』という議論があるが、まだ結論は出て いない。
ブログ:(we)blog
インターネット上で発表される日記。ウェブログとも。
プロクシ:proxy
プロクシ、串、2694、264、とも。
「代理」としてネット接続を行うコンピュータ(サーバ)。
または、そういった機能のソフトウェア。
本来の役割は、ネットワークのトラフィック(通信量)を軽減するために考案されたシステム。
アクセスされたデータを内部に蓄積し、次回同じくデータが呼び出された場合に、元のデータではなくプロクシ内に蓄えられたデータをアクセスさせ、局所的に回線が混み合わないようにすることで通信速度の向上を図る。
ただし、現在では、プロクシを使って匿名アクセスできる点が最も有名になっている。
アクセスする際にプロクシを中継することで、自分自身の情報(IPアドレスなど)を渡す代わりにプロクシの情報を渡す。
つまり、偽装を行うわけだ。
一般的にネットの世界においては、こうやって身を隠すことは悪いことではないと考えられている。
得体の知れないサイト(主にアングラ系)にアクセスするのに、すべてをさらけ出す必要はないということ。
これは一種の自衛でもある。
プロクシから別のプロクシへ、さらに別の……というように、何段階も違うプロクシを経由することで、さらに匿名性を高めることもできる。
ただし誤解してはいけないのだが、プロクシを使っても完璧な匿名化は不可能である。
技術のある人間が追跡することにより、いずれ元のIPに辿り着くことは可能。
また、プロクシを経由するとアクセスが遅くなったり、プロクシ制限されているBBSに書き込めない等のデメリットもないわけではない。
意味もなく何重にもプロクシを経由すれば、プロクシサーバが落ちたり、逆にトラフィックの増大に繋がる結果になるので、状況に応じて 使い分けるのが賢い使い方だと言える。
最後に余談だが、ネット上のスラングではプロクシを経由することを、「串を刺す」「串をカマす」などと言う。
また、匿名性のない(馬鹿正直に元のIPを吐き出す)プロクシを「漏れ串」、何重にもプロクシを経由することを「多段串」などと言ったりす る。
Keyword:ヘ
ヘテロクロミア:heterochromie
ドイツ語。原義は“不動着色の”
一般に、左右の瞳の色が違うことを指す。オッドアイ(odd eyes 異なった双眸)とも言う。
猫などでは、色の薄い側の目が見えない、耳が聞こえないなど、障害がある場合もある。
Keyword:ホ
母胎:ぼたい
1)母親のからだのなか。
2)発展したりわかれ出たりしたものの、もとになるもの。
ほぼ独占
ここ数年《エクサーク》は、独占金法に則って、米司法省との熾烈な法廷論争を繰り広げているが、事態は泥沼化しており、未だに決着 の目処は立っていない。
ホログラム:Hologram
原義は“完全な記録”。
立体写真や三次元映像。
レーザによるふたつの光を、別角度から物体に投影し、その位置や状態の情報をフィルムなどに記録したもののこと。
この技術自体ははホログラフィ(holography)と呼ぶ。
身近なところでは、偽造防止のため、紙幣やクレジットカードなどに使われている。
⇒ホログラムチャット
ホログラムチャット:hologram chat
ビデオチャットの上位技術。ネットワークを通じて、互いのスペースに互いの立体映像を映し出しながら会話。
通常は自分の姿をリアルタイムにスキャンするだけだが、むろん優秀なプログラマはコードを改良し、実像の上に虚像をテクスチャマッ ピングすることができる。
現在このシステムは、ごく一部の裕福な家庭か、高い技術をもつハッカーが自作して利用している。
ホログラムチャットが一般化すると、誰かと直接会う必要性は激減すると言われている。
近い将来、実際の肉体をともなったフィジカルな行為は“贅沢”となるだろう。
ホログラムで投影された
エクエスのホログラムは、イシュタルの持っていたロザリオから投影されていた。
ホワイトハット:white hat
白い帽子。
1)保安官など西部劇の善玉のこと。
2)海軍では、下士官をさす。
3)ネット上では、クラッカーやウイルスを駆逐するハッカーのこと。
⇒ブラックハット
ポン:pong
1)玉が跳ね返るときの擬音。
2)ピンを打ったときに返ってくる反応のこと。
Keyword:マ
目次
マ
マルドゥーク
ミ
ミーム
見えないネットワーク
三日月
ム
ムーンエイジ
ムーンフェイズ機能
無線ネットワーク
モ
もんじゃ焼き
Keyword:マ
マルドゥーク:Marduk
1)バビロニアの英雄神にして、後の主神。海水よりの竜ティアマットを打ち破ったことで知られる。
2)オンラインRPG《バビロン》の中央サーバの名前。
Keyword:ミ
ミーム:meme
生物の設計図であるジーン(gene 遺伝子)になぞらえて、生物学者のリチャード・ドーキンスが考えだした概念。模倣子と訳されることも ある。
模倣子は“記憶”を通じて行き交い複製される情報で、主に人間の脳、書物、コンピュータのメモリなどに存在する。そしてすべての情報 は、存在を続け、複製されることを至上目的とする。
人間の悲劇は、模倣子を入れるメインの器である大脳が肥大化したことにより、大脳を制御する模倣子と、肉体およびより低次元の脳 を制御する遺伝子が、互いに矛盾する命令を出すという対立構造によって形成されている。
たとえばセックスは遺伝子によって支配されるが、ハッキングは模倣子によって支配される。
見えないネットワーク:Invisible network
電波も目には見えないが、一般的には心理学的・超心理学的なつながりをさす。ユングは、一定の社会集団や、人類をすべてに共通す る『集合的無意識の海』という概念を提唱したが、見えないネットワークは、その海のなかに形成されている。
シンクロニシティ(何の関係もない地球上の全くかけ離れた場所にいる二人が、同時に微分積分を考えつくなど)、100匹目の猿などの現 象は、このネットワークを通じて広がっている。タロットや水晶玉占いが的中する場合、このネットッワークが使用されている。
かく言うスタッフもまた、この作品の開発にあたって、さまざまな部分で見えないネットワークをひしひしと感じた。
三日月
鎌のような三日月(または二十六日夜月)は、古今東西、月の紋章として使用されてきた。
したがって月の神々は、頭上に三日月形の角を生やすことが多い。これが牛の角に似ていることから、牛は月の神獣となった。
またオリエントの月の信徒は、湾曲した偃月刀(Scimitar)を聖なる武器とした。
偃月とは半月に満たない(三日月を含んだ)月齢の状態をさしている。
内惑星である金星や水星も満ち欠けすることから、月を含めた三天体の神々は、しばしば混同されることがあった。
金星は三日月の形状をしたときが最も明るく-4.4等星
であり、水星のマークは、金星に上向きの三日月を重ねたものである。
Keyword:ム
ムーンエイジ:moon's age
アルファ社のヘヴィーデューティ使用な多機能腕時計。
深海や真空など、気圧が異なる環境でもタフに正確に時を刻む。
遙かなる天空と、深淵なる海底。
両極の聖域(地獄?)で求められる、至高のアイテムといえよう。
ムーンズエイジ(moon's age)とは月齢を意味しており、その名の通り月齢表示機能が特徴。
ムーンフェイズ機能:Moonphase
月齢表示機構。
時計の上で月の満ち欠けをグラフィカルに表示する機能。
月の満ち欠け周期である29.5日で半回転する円盤に描かれた月を、一部隠す形で表している。
無線ネットワーク:Wireless network
無線網。
信号の搬送に、赤外線や電波などを使用したネットワーク。
有線通信の10TBPS以上の転送速度に比べ、赤外線で数Gbps程度、電波で100Gbps程度であるが、ケーブルをつなげなくてもいいので 、手軽に移動できるのが魅力。
Keyword:モ
もんじゃ焼き
東京名物。好みでさまざまな具を入れられる。
お好み焼きに似ているが、決して最後まで固まらず、半液状/半固形で食すスナック。
主に若い女性に人気。
Keyword:ヤ
目次
ヤ
ユ
唯脳論
ユーミン
ユビキタス・コンピューティング
ヨ
宵の明星
ヨーガ
4つの力
Keyword:ヤ
Keyword:ユ
唯脳論:ゆいのうろん
唯脳論(ゆいのうろん)は解剖学者の養老孟司が提唱した。
意識は、脳が脳自身を知るために、脳内で互いに情報を入出力することによって生まれたものとする。
人間の言動や社会は、脳によって生まれたものであり、人工的な仮想空間を形成することによって、外部をも脳化していく。
これは魂と肉体が別個に存在し得ないことを意味し、実存主義や二元論に対して、大いなる疑問を投げかけている。
ユーミン
1)遊眠、幽眠、悠眠、憂眠。さまざまな眠りの状態。
2)ユミという名前の人物に対する愛称。
シンガーソングライターのことではない。
ユビキタス・コンピューティング:Ubiquitous Computing
どこでもコンピュータ。
生物が機械に近づく“サイバー”と、逆の概念。
人間がかかわる、あらゆる人工物にコンピュータが内蔵され、そのコンピュータ群が、人間や生物の潜在的な欲求まで探知し、歩み寄り 、サポートする。
究極の形態では、人間はコンピュータの介在を意識しないまでになる(CGに見えないCGがもっとも優秀であるのと同じ理屈)。
⇒サイバー
Keyword:ヨ
宵の明星
日没後、西の天に輝く金星のこと。
これが明け方になると『明けの明星』となり、東の空に見える。
余談だが、最初のイシュタル(暁明星)は、《アヌンナキ》時代に、その能力の高さから『明けの明星』の異名を誇っていた。
対して今のイシュタル(篠塚真佑実)は、自らを『宵の明星』だと称した。
それは、本物のイシュタルへの敬意であり、謙遜でもあり、『自分がすべてを終わらすのだ』という決意の表れでもあった。
ヨーガ:Yoga
ヨガとも。
古代インドより伝わる、姿勢と呼吸を整えて精神を統一することにより、悟りの境地(三昧境)へ至ることを目的とした修行法。サンスクリ ット語で『(乱れた心を)一点に結びつける』という意味。現在では心の安らぎ以外にも、ダイエットや美容、体質改善といったさまざまな効 果がわかり、健康法の一種として広く知られている。
4つの力
自然界に存在する力を物理的に分類していくと、重力、電磁気力、強い力、弱い力の4種類に分類される。
『重力』は、ニュートンのりんごの落下で有名な万有引力のこと。
質量があるものの間で、重力子のやりとりによって生ずる力。
距離の二乗に反比例し、すべての力の中でも減衰率が激しいが、最も遠方まで届く。
また他の力と違って斥力はなく、引力しかない。
『電磁気力』は電気と磁力であり、+/-(N/S)の二極をもつ。
光子が力を媒介する。
お互いの極同士は引合い、同極同士は反発する。
原子間に起き、化学反応もこの力による。
『強い力』は原子核内に起きる。クォーク(陽子や中性子を作る素粒子)を結合させる力のこと。核力とも。
グルーオンという名の素粒子が媒介し、電磁気力の100倍以上もの大きな力になる。
『弱い力』は電弱力ともいう。
原子中の中性子が崩壊し、ニュートリノと電子を出して陽子に変わるときなどにはたらく、微弱な力。
W粒子、Z粒子と呼ばれる素粒子が媒介する。
主に放射能や天体の核反応に関係する。
Keyword:ラ
目次
ラ
リ
リアル
リニアモーターカー
リビド
リモートコントロール
量子
量子コンピュータ
ル
ルート権限
ルート権限の奪取
レ
レジスタゴールド
レム
ロ
ローカルアタック
Keyword:ラ
Keyword:リ
リアル:real
語源はラテン語の relis すなわち“物体”にある。
1)現実。実在。本物。
2)実感。自分が現実であると体感している事象。
⇒ヴァーチャル
リニアモーターカー:linear motor car
磁場を利用して車体を浮かせ、極めて高速で移動する電車。
技術的な問題はすべて解決されているが、政治的な理由で運用されていない。
リビド:Libido
ドイツ語
1)心理学における『生への衝動』のこと。自己保存本能。より上位の種族本能と結びついたとき、それは『性衝動』へと転化する。
2)デザイナーズドラッグ。脳内のエロスを刺激することで、快感を与える。また《リビド》は、仮想世界での一体感を高める効果がある。
摂取しすぎると情動が急激に高まり、やがては暴漢と化す。ゆえに別名《バーサーク》。
リモートコントロール:remote control
遠隔操作。
ハッキング/クラッキングの方法では、リモート・アタック(remote attack)のこと。
他のサーバから直接ターゲッティングしたサーバのコントロールを試みる。
量子
あらゆる物質を分割した際、整数分割できる最低単位。光子や電子など。波動と粒子の両方の性質をそなえ、速度と位置の両方を同 時に特定することができないため、ある時点でのその量子の位置は『確率の雲』と呼ばれるグラフであらわされる。その不思議な性質は 、量子論という物理法則によって規定されている。
量子コンピュータ
ハッカーにとって究極のアイテム。量子自体の量子論的ふるまいを、並列処理の計算そのものに使用する。計算が複雑になればなるほ ど威力を発揮するシステムで、現状のコンピュータでは不可能な解を導き出すこともできる。各国で研究レベルの成功は多数報告され ているが、まだ実用レベルにはなっていない。ただし近年《エクサーク》社が、その試作品を完成したという噂がある。
Keyword:ル
ルート権限
原義は植物の『根っこ(Root)』。
そのシステムのすべてにアクセス/コントロールする権限。
本来はシステム管理者の権限だが、ハッカーやクラッカーはそれを奪取する。
ルート権限の奪取
エクスプローイット(exploit)とも言う。
Keyword:レ
レジスタゴールド:Regista Gold
疲れているあなたに、栄養1本。
タウリン100000000mg配合。
異薬品です。
レム
1)rem:プログラムにおける注釈文
2)rem:急速眼球運動(rapid eye movement)の略。レム睡眠は一般に夢を見ている状態と言われ、ノンレム睡眠と合わせて90分の『眠 りの1サイクル』を形成する。
3)オンラインRPG《バビロン》における、マスコット的存在のフェアリー型シャドウ。
Keyword:ロ
ローカルアタック:local attack
ハッキング/クラッキングの方法。
まずターゲッティングしたサーバに対してゲスト・ユーザとして登録(アカウントを取得)し、そのサーバのコントロールを試みる攻撃。
リモートアタックの前哨戦とも言え、またリモートアタックより攻撃手段が多様。
Keyword:ワ
目次
ワ
ワクチン
ワーム
ワールド
Keyword:ワ
ワクチン:vaccine
1)病原細菌の毒性を取り除いたものを事前に摂取することによって、その病気に対する免疫をつけ、羅漢しないようにする方法。システム上、既に羅漢している場合には効き目がない。
2)コンピュータ・ウイルスを駆除するプログラム。
生体ワクチンとは違って、コンピュータ・ウイルスに羅漢したシステムでも、回復することが可能(ただしシステムが復旧しても、破壊され たデータは復旧できない場合は、往々にしてある)。
ワーム:worm
原義は“長虫”。中世では竜、すなわちドラゴンのことも意味した。
ネット上では、ネットワークを移動し、移動先のコンピュータに規制し、そこで自己増殖してさらに自分の分身をネットに撒き散らすソフト ウェアのこと。
ワールド:world
1)世界。西洋人が、自分たちの『人知の及ぶところ』という意味で使用し始めた。
したがって地理学上の発見によって“世界”はどんどん広がっていく。
やがて南北アメリカ大陸が発見されるとアメリカは“新世界 new world”と呼称されるようになった。
2)タロット大アルカナの最後(21番)のカード。
ふつうは大地女神の周りを、世界をあらわす緑葉が取り囲み、四匹の守護獣が見守る。
完成と予定調和を意味する。
3)宇宙時代において、宇宙全体をあらわすユニヴァース(Universe)やコスモス(cosmos)とは異なり、ワールドは一個の惑星のみを指す 。
地球も月も火星もケンタウルス座α星第3番惑星も、すべて別個の“世界”である。
#1 - 2017-5-5 06:10
寄语枫秋