アル・アジフ 艾尔·阿吉芙

1000年の時を越えて生きる、倣岸不遜な魔導書精霊美少女
九郎の口喧嘩相手にして、史上最強のパートナー

狂気の詩人アブドウル・アルハザードがこの世に残した稀代の魔導書『アル・アジフ』。その書物に宿る精霊が彼女、アル・アジフである。外見は幼くかわいらしいか、すでに1000年もの時を生きている。口が悪く、倣岸不遜、尊大な性格の持ち主で、本来ならば敬意を払うべきである主、九郎にもまるで容赦がない。アル・アジフは世界最強の魔導書のうちの1冊とされ、その記述の1部を別の言語に訳した写本『死霊秘法(ネクロノミコン)』も有名である。アル・アジフを手に入れた者は、その内に記述された魔術、モンスター、アーティファクトの使役はもちろん、神の模造品ことデウス・マキナをも招喚することができるという。だが、現在のアルはページの多くを失った不完全体で、写本並みの力しか出せないでいる。失われたページのなかには、"外なる神"に関する禁忌の記述もあったというが……。このアルのように意思を持った魔導書は、術者に従うものの、自身の目的のために術者の意識を操り、ときとして主を犠牲にしても保身を優先することがある。こうした性質は魔術師側にも充分に認知されているところであり、術者も魔導書も、たがいを利用する打算関係を築くのが普通とされる。だが、九郎はそうせず、アルを友のように扱う。アルはそんな九郎を素人扱いするが、やがて、そうした奇妙な関係を自然に受け入れている自分に気がつくこととなる。そもそも九郎とアル、そしてデモンべインの出逢いは、運命ならぬ宿命にほかならなかった。その理由は、狂気に陥りながらもアル・アジフを残したアルハザードの真意とともに明らかになっていく。