大奥 (1968年のテレビドラマ) 日剧

東映の岡田茂が企画・製作した1967年の映画『大奥㊙物語』から、エログロ部分を外してテレビドラマ化したもの。
大川博社長の命で1964年、所長として東京撮影所から京都撮影所（以下、京撮）に帰還した岡田の最大のミッションが京撮の合理化であったが時代劇の退潮とテレビの興隆を肌で感じていた岡田は、時代劇中心の京撮を抜本的に改革しなければ東映の将来はないと考えそれだけの人数を減らすにはテレビ部門を拡充、別会社にしてそこへ押し込むしかないという結論に達した。岡田は京撮で製作する映画は任侠映画のみとし、「東映京都テレビプロダクション」を設立して時代劇の製作はテレビに移行させて、『新選組血風録』、『素浪人 月影兵庫』、『銭形平次』といったテレビ時代劇の大ヒット作を製作した。これらの実績により関西テレビから開局十周年企画番組を東映で、というオファーが舞い込んだ。かねてから親交のあった関西テレビ芝田研三副社長と岡田の話し合いにより、岡田がプロデュースした1967年の映画『大奥㊙物語』のテレビシリーズ化が決定、東映京撮本体による製作が決定した。当時のトップどころの女優たちが顔を連ね、セットも豪華に組まれた。大奥の女たちを艶やかに着飾らせる衣装や小道具は、東映の時代劇黄金期に作られたものを使い回すことで予算を圧縮させた。キャストは岡田が全部決めた]。脚本の内容も岡田がかなりの部分を指示したという。しかし関西テレビから「この㊙だけは困る。題名は㊙はやめて『大奥』だけにしてくれ」と言われタイトルは『大奥』と変更された。
本作の大ヒットにより、以降映画・テレビ・舞台に大奥ブームが起こり、現在も連綿と続く。岡田は大奥物（大奥に関する作品の一覧）の実質的な生みの親でもある。