トロイメライ～八重桜～

貴女は血のつながらない叔父である、執行智史と二人暮らし。

ある日、中庭で拾った八重桜を執行に見せるために持ち帰り、春をおすそわけ。
ふたりの間に流れる優しい時間――

その晩、貴女は執行の書斎の扉を開く。
家族ごっこが終わり、恋人同士の夜がはじまる。
誰にも言えない秘密の時間。ひそやかな戯れはしかし激しく。


――寝室に行こうか、私の。今日は多分、なかなか休ませてあげられないと思うけど……
あんなふうに、誘惑されたら勝てないよ。八重桜も君も本当に綺麗だったから。
君は本当に美しいから……今日ももてあそぶよ、たくさん。

こうやって、首もとのレースリボンを解くたびに、いつも緊張するよ。
君も解かれるときに緊張しているみたいだね。わかるよ、そんな顔をされちゃ。
こう……そうっと、解くのってプレゼントのラッピングを解いているみたいで。
中からどんなプレゼントが出てくるのかなって。

今日はどんな可愛い人形なのかなって……どんなかな?

――君は私だけの大切なお人形さん。