柘榴がうちに引き取られたのは、俺が三歳になったばかりのころだったと聞いている。
霜の降りる寒い夜のことだ。
庭の片隅、離れに寄り添うように佇む柘榴の木。
葉は枯れ落ち、うねるように節くれ立った枝を晒しているはずの、老木。
その木が、狂い咲いていた。
はらはらと散っていく花びらの中に、その子どもは佇んでいた。
何も語らない子どもの手をそっと引き、父はその子を迎え入れることに決めた。
引き取ると言う父を宥めて、柘榴に家や両親のことを訪ねても、柘榴ははじめ口を開かなかったそうだ。
ただ名前を聞いたときだけ柘榴、と答えたのだという――
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