#1 - 2022-10-25 16:01
日立温 (迈向大和抚子之路)
最初に作品紹介であらすじだけを見たときはスルーしようかと思った作品で、
作品コンセプトでいえばよくある設定です。作者さんの前作で文章などが好きになっていたので購入しました。
内容でいえばタイトルにある「アオハル(青春)」中心で、それにと変わった要素が付け加えられたもので、
電撃文庫というよりはメディアワークス文庫などにあるタイプの物語です。

語り手は、過去になんらかの後悔をおきる経験をしたような、素朴な少年の有葉。
淡々とした語りの一人称視点中心です。このあたりはデビュー作と同じような形です。

モデルをしている同級生の衣緒花が、体から火が出るという形で悪魔につかれている問題を見つけ、
それに関わることで、その心の不安定さや不安に触れていくというものです。
かっこよいバトルやアクションはなく、「悪魔」という設定の関わりから、
誰もが持つ何気ない思春期の心の不安定さに触れるという感じです。
今回は登場だけですごい活躍をしていなかったサブキャラが今後の活躍をしそうです。
話としてエンタメ性はなく、単調ともいえるので、好みがわかれそうです。
作者さんの文章力で補って、読みやすく、読者を離さないという印象です。
小さい映画館でやってるような、妙にひかれるものはあるが地味な映画という感じです。

ラストが不穏な様子で、「悪魔に憑かれる」という形で生きている中で不安を抱えた
少年少女の物語シリーズになりそうです。
そういうテーマからしたら「化物語」や「青春ブタ野郎」シリーズに近い題材の作品かもしれません。
この作者さんのデビュー作とはまた違う話に期待してます。
ファンになっているというか、文章が私の好みなので甘い評価になっているかもしれません。