僕の生きる道

ep.3 封印された恋心

时长: / 首播:2003-01-21
 秀雄(草なぎ剛)はビデオ日記を始めた。「僕は残りの人生を精一杯生きたい後悔しないよう生きたい」。それだけ言うのがやっとだったが、秀雄の決意は固かった。
 翌朝、秀雄は誰よりも早く職員室で授業の準備をして、朝のミーティングでは思いきって些細な事でも発言した。古田教頭(浅野和之)は初めて秀雄が発言した事に驚いたが、みどり(矢田亜希子)はそんな秀雄を黙って見ていた。ミーティングでは、体育教師の赤井(菊池均也)が結婚することを発表した。麗子(森下愛子)、久保(谷原章介)、岡田(鳥羽 潤)たちに囲まれて赤井はうれしそうに告白した。
 「僕に結婚はないんですね」。秀雄は担当医の金田(小日向文世)に確認するように聞いた。今すぐ結婚しても1年後には相手は未亡人になってしまう。「恋なんかしてる場合じゃないし。教師としてしっかりやろうと思ってます」。未来がなくとも今がある。秀雄は第二の人生を歩きだす決意をした。
 「授業中だけでも生物の勉強しませんか?」。秀雄は教壇に立ち生徒たちに語りかけた。
 そして派手なメイクをした鈴木りな(浅見れいな)には「放課後に職員室まで来てください」と指導した。これまでの秀雄なら見て見ぬふりをしていたから、生徒たちは少し驚いたが、りなは廊下で待っていた秀雄を振りきり、帰ってしまった。
 進路相談では医学部を目指していた田岡雅人(市原隼人)が突然志望校を変えると言いだした。「僕は医学部を勧めたいのですが」と指導するが、雅人も秀雄の言葉に耳を傾けようとはしなかった。どうすれば生徒たちは話を聞いてくれるのか。
 秀雄が誰もいない夜の教室でスピーチの練習をしていると、秋本理事長(大杉 漣)が顔をのぞかせた。「遅くまでご苦労さま」。どこか温かさの感じられる一言だった。
 帰宅した秀雄はビデオに向かった。「生徒とは全然うまくいかなかったけど、仕事を頑張った充実感がある。明日もこの調子でやっていこう」。第二の人生の初日が終わった。
 りなの様子がおかしい。「何かあったのなら話してくれませんか。僕にできることがあるかもしれません」「ないよ」。りなの反応はそっけない。理由がわからずに秀雄が悩んでいると、麗子が自信ありげに耳打ちしてくれた。「彼女の悩みは恋よ」。
 どうやら赤井の結婚にショックを受けたらしい。じっと何かを考えていた秀雄は職員室から駆け出していった。  りなを見つけた。「原因は赤井先生ですか」「違うよ」。否定したが、その表情がそうだと語っていた。「どうにもならないことってあるんです。前向きになってください」。
 しかしりなの態度は変わらない。秀雄が職員室に戻るとみどりがいた。「何かあったんですか。今までの先生なら、こんなふうに生徒を追いかけたりしなかったのに」。みどりは秀雄の変化に気づいていた。「変ですか?」。秀雄は冗談ぽくごまかした。
 りなが学校を休んだ。「一緒に行きます」「僕1人で行かせてください。必ずなんとかしますから」。みどりが同行してくれると言ったが、秀雄は1人でりなの家を訪ねた。ところがりなは秀雄の顔を見るなり家にこもってしまった。「出てきてください!」。秀雄がどんなに呼びかけても、結局りなは出てこなかった。
 落胆して帰宅した秀雄はビデオに向かった。「笑っちゃう1日だった」。無理に明るい口調で今日の出来事を振り返った。
 赤井の結婚パーティーがレストランで行われた。赤井と新婦は幸せそうだったが、秀雄が見とれたのはドレスアップしたみどりの美しさだった。「じゃあ、こちらの先生か」。
 秀雄が一番手でお祝いのスピーチを頼まれた。秀雄はちょっと焦ったが、やがて一言ずつ選ぶように話しはじめた。「おじいちゃんとおばあちゃんになっても今と同じように名前で呼び合う、仲のいい夫婦でいてくれたらなあって思います」。
 みどりはドキリとした。彼女の理想の夫婦象だったからだ。さらに秀雄は遠くを見つめるように続けた。「そしていつか・・・、先に旅立つ日が来ても、後悔しないように、たくさんの愛で・・・、お互いを思い合ってください」。会場は一瞬静まり返った。
 その直後に大きな拍手が起きた。赤井と美子がうれしそうに秀雄に会釈した。秀雄も微笑んで頭を下げた──。

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