僕の生きる道

ep.7 間違われた婚約者

时长: / 首播:2003-02-18
 秀雄(草なぎ剛)が病気を打ち明けた翌日、みどり(矢田亜希子)は学校を休んだ。「みどり先生に打ち明けましたから」。秀雄は麗子(森下愛子)にそっと耳打ちした。その頃、みどりは金田医師(小日向文世)の診察室にいた。「彼の話し相手になって下さい」。今、みどりにできることはそれしかなかった。
 みどりが秀雄の帰宅を待っていた。「もっと早く事実を話すべきでした。本当にすみませんでした」。秀雄は詫びると同時に別れ話を切り出した。「僕は長く生きられないんですから」「私はずっと中村先生のそばにいたいんです」。病状が進行すれば自制がきかなくなるだろう。みどりがそばにいれば犠牲を強いることになる。「みどり先生に無理をさせることは僕が辛くなるんです」。秀雄の願いは一つだけ。みどりが幸せになってくれることだけだった。
 秀雄は進路相談で教え子の吉田均(内 博貴)と向かい合った。いつもトップなのに今回の模試では悪かった。本人は体調不良を理由に「志望校は変えません」と強がったが、秀雄の目には動揺が明らかだった。秀雄が職員室に戻ると、ささいな言葉じりをとらえて久保(谷原章介)がくってかかった。「ホントは俺のこと、バカにしてたりして」。みどりを秀雄に奪われたうっ憤がふだんの冷静さを失わせたのだ。「どうかした?」。とっさに麗子が割って入ると、久保をいつものバーに連れ出した。「中村先生とみどり先生をそっとしておいて」。麗子から秀雄の病気を教えられた久保は絶句した。
 秀雄は週末の休みを利用して帰省した。もうこれ以上、母親の佳代子(山本道子)に黙っているわけにいかない。実家へ向かう道すがら、少年時代によく通っていた教会に入るとみどりが座っていた。「私、田舎って好きなんです」。戸惑う秀雄におかまいなく、みどりは初めて見る秀雄の故郷の自然を満喫した。通りすがりの人に記念写真まで撮ってもらった。「今日は今日だけのために過ごしたいんです。中村先生と」。しかし秀雄の表情は固かった。「本当にこれで終わりにして下さい」。秀雄は心穏やかにこれからの日々を迎えたかった。押し黙った2人の背後から声がかかった。「秀雄!」。佳代子だった。秀雄はみどりを紹介した。「いつもお世話になっております。そういうことなら、どうして言ってくれないのよ」。佳代子はみどりのことを息子の婚約者だと理解した。「ゆっくりしてって下さいね」。
 みどりは秀雄の実家に泊まることになった。「みどりさんはどっちで寝るものなの?」「じゃあ、お母さんと中村先生が一緒に寝て下さい」。みどりの優しい心遣いが佳代子にはうれしかった。佳代子は亡夫から贈られたネックレスをみどりの首にかけた。「思ったより早く、これを渡せる人に会えてうれしいわ」。
 深夜、寝つかれない秀雄が居間でぼんやりしていると佳代子も起き出して来た。「いい娘さんだね」「母さん、話したいことがあるんだ」。けれど秀雄は病気を打ち明けられず、父親の思い出を聞くことになった。秀雄の覚えている父親はいつも威張っていた。「ホントはすごく気が小さいの」「母さんに甘えてたんだよ」。母と息子の幸せそうな会話を、みどりは布団の中で聞いていた。翌朝、秀雄とみどりは佳代子に見送られた。「秀雄をよろしくお願いします」「はい。」みどりは微笑んで返事すると、佳代子が見ているのを意識してさりげなく秀雄と手をつないだ。
 秀雄が佳代子に言えなかったように、みどりも父親の秋本(大杉漣)に打ち明けられない。心ここにあらずの娘の様子を、秋本は早すぎるマリッジブルーだと勘違いした。その夜、秀雄もみどりもそれぞれの部屋で考えた。これからどうするのが一番いいのかと。そして2人とも同じ結論に達した──。

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